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「ビッグイシュー」購入と分析108


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今回の分析対象ビッグイシュー日本版 111号
購入日時平成21年1月?日(?)
購入場所不明

特集 あなたの冬に、8色のショートストーリー(P9-25)
 若手作家8人による、8本の短編小説を掲載。若手作家だけあって、8人中7人は知りません

青山七恵「唇」(P10-11)
 ある朝起きると、自分の唇が外れてしまった女性の物語。フランツ・カフカの「変身」を想起させる不条理なシチュエーションです。

西可奈子「背広」(P12-13)
 老夫婦の会話。「ぐれー」「ぼるどー」「べーじゅ」など、色を表わす外来語をひらがなで表記しているところに、主人公がそういった類の言葉に不慣れな状態にあることを感じます。

恒川光太郎「オレンジボール」(P14-15)
 目が覚めると毬に変身していた…って、これも「唇」と同様、カフカの「変身」を想起させる不条理な話です。

中島たい子「ブルガリアの緑」(P16-17)
 三十過ぎの独身女性が、元上司で今は退職している人の別送へ行ってその日のうちに帰路につくという話。主人公の気ぜわしさが感じられます。

多田容子「なんてんはぎ」(P18-19)
 ここに掲載されている8本の作品の中で唯一の時代小説。著者略歴に「居合道三段、柳生新陰流二蓋笠会会員」とあるので、剣術の心得が戦闘シーンでの描写に生かされているようです。

米澤穂信「青田買い」(P20-21)
 獄普通の男子学生が、大学一年生で青田買いに遇うというもの。この話ではそのままその会社に就職していますが、今のご時勢だったら卒業間際に内定取り消しにあったりするかもしれませんなあ。

津村記久子「金色の飛び交う季節」(P22-23)
 年賀状の郵便番号にシールを貼り続けるという作業を続けてゆくうちにトリップしてしまい、自分宛の年賀状で宝船を折ってしまうというもの。
 単調な作業を黙々と続けていると、衝動的に何か他のことをして逃避したくなる…という経験は私にもあるので気持ちはわかります。

滝本竜彦「クリアライト」(P24-25)
 一万円未満で脳を取り替えることができ、500円で悟りが開ける…。何ともすさまじい社会を描いています。本来は大変なことであるはずなのに、手軽にできてしまうという安直さには、強烈な皮肉を感じてニヤリとしてしまいますな。

ART(P26)
 灰掛博さんのアクリル水彩画2点を掲載。「白い子犬」の犬は白いというより青白い。

(続く)
著・泉獺(H21.2/13)
【参考文献】
「ビッグイシュー日本版 111号」(有)ビッグイシュー日本 2009年1月15日

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