まずは前回のおさらい。フロエとあの少年とは――おそらく故郷を破壊してしまったことで――うまく行かなかったようです。はっきりとは描かれていませんが。いつも通りにかまびすしい彼女に見えましたが、「あの夜のことは忘れたくない」とそれなりに堪えている模様。
さて、「あの夜」と言えば、今回のメインのカイムとアルティです。「パルになれ」と言われて、思わず歓声を上げそうになるアルティと、激しく反発するカイム。どうしてこのようなすれ違いが生じてしまったのか、あの夜の出来事とは…? 今回の話はキャラの内面をしっとり描いてみせた逸品になりました。
カイムとしては、「あの夜」の出来事は罪であるという意識にさいなまれていて、それをすべてアルティのせいにすることでやり過ごしてきたわけです。アーエルが「ほんとに誘ったのはあんたの方かもしれないし」とたやすく核心を突いてみせたことで、それと向かい合うことができましたが…。
もう一方のアルティは、「知らなかった感覚をくれた手じゃなくて、繋いで歩いた優しい手」と言っていたように(なかなかドキドキさせる台詞だが、それだけじゃなくて、カイムの方が「攻」だったことを窺わせます)、失われた姉妹の絆を取り戻したいと。彼女の方がずっと大人の対応です。今までカイムの仕打ちに耐えてきたわけですし。
では、今回の一件で、姉妹の絆は取り戻せたのか? 結局、カイムはアルティを信じて飛び降りることはできなかった。
しかし、いくら否定しようとも、血の濃さまでは否定することはできない。
キスで噛み切った妹の唇の血の味を思い出し、悔しさ半分、安堵を伴った気持ちが半分、と言ったところでしょうか。
さて、姉妹の裏で、ネヴィリルとアーエルも重要な動きをしていました。アーエルが「アムリアとは抱き締めあえなかった?」と言ったときには、ものすごい地雷を踏んだか!?と焦りましたが(だいたい、わざわざ否定形で聞かなくても…)、ネヴィリルさまは冷静でした。
「あなたの目に映っているのは、永遠に歳をとることのない、あなた自身の姿」というのは、おそらく、性別を選ぶことを放棄し、シヴュラに逃げていることを指していると思われます。自分を必要としているわけではない、と暗に語っていますが、ネヴィリルはアムリアを必要としていた。
しかしアムリアのほうはどうだったのか。第1話での「強く、もっと強くネヴィリル!」というアムリアの台詞には、そうすればもっと抱き締めあえる、そんな意味があったのかもしれません。
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