魔法遣いに大切な岩手弁講座(2)
魔法遣いを目指しているあなた! 今や魔法遣いに岩手弁は必須です(ぉぃ)。ユメちゃんのような今時の若い娘の岩手弁を話すにはどうしたらいいか、今回は発音に焦点を当てて勉強したいと思います。
講師は前回に引き続き、岩手弁ネイティブ J先生(仮)です。では先生、お願いします。
魔法遣いに大切な岩手弁講座〜実践編〜
J先生(仮): |
今どきの娘の発音をするなら、標準語に少し手を加えるだけでOKっす。 |
カズくん: |
おっと、いきなり来ましたね。…それってネタ的にはあんまり面白くないんだけどね(笑) |
J: |
テレビとかが普及したから、単語レベルで違うのはあまり無いのよ。 |
カズくん: |
そうだろうねぇ。僕も以前、とある最果ての地に行った時も、女子高生はやっぱり短いスカートにルーズソックスでがっかりしたことがあります。 |
J: |
それでも少し訛っているんだけど、自分では標準語を喋っているつもりなんだよねー。 |
カズくん: |
で、どう手を加えるといいんですか? |
J: |
基本的には、標準語の「あ」「う」「え」の音に濁点を付けるだけでもそれらしくなるよね。 |
例)
ばか → ばが
わたし → わだし
祭り行った? → まづりいっだ?
カズくん: |
へぇ〜、なんでも濁るわけじゃなくて、『あ』『う』『え』の前の子音を濁らせるんですね。 |
J: |
語頭は濁らないけど。あと、英語みたいに母音だけの音は前後の音にくっつけた方が良いな。但し、最後は「あ」か「え」で終らせるのが基本。 |
例)
おまえ → おめ
そうではない → そでね or んでね
もう一杯 → もういっぺ
カズくん: |
岩手弁って英語だったのか! |
J: |
これだけで それらしくなるんじゃないかなぁ。単語レベルで違うのは地区が狭すぎて限定できないし(極端な話、家庭ごとに残っている単語が違っていたりするし)、そんなの全国区で放送しても誰も解らないだろうしね。
この位なら通じるのかなぁ…… |
牛 → べご
子供 → わらす
駄目 → わがね(「解らない」は「わがんね」)
いくら? → なんぼ?
〜じゃない? → 〜でねが?
カズくん: |
確かに聞いたことあるね。さすがに『わがね』と『わがんね』の違いは『わがんね』(笑)
『なんぼ』って大阪弁だと思ったら岩手でも言うんだね。…おっと、これ辞書(大辞林)に載ってるぞ。
『なにほど(何程)』→『なんぼう』→『なんぼ』って変化したものらしい。標準語と言ってもよさそうだ。 |
(注:便宜上、ここでは標準語と記述しているが、前回の講座の冒頭で「標準語(東京弁)」と書いた通り東京地方(特にNHKアナウンサー)の単語・発音が標準的に扱われているというだけで、これという決まりがあるわけではない)
J: |
あぁ、大事なの忘れてた。 |
カズくん: |
なんでしょう? |
J: |
無意味に「じゃ」を多用する事。これが一番大事。 |
例) 飲み会のときの会話
「じゃ、まんず」
「じゃじゃじゃ、わがねでば」
「じゃあ、まんずまんず」
「じゃじゃじゃじゃじゃ」(注:
この『じゃ』は短く、マシンガンのように連射すべし!!)
カズくん: |
先生! さっぱり分かりませんっ!! |
J: |
さっき書いたとおり、『駄目 → わがね』です。 |
カズくん: |
とすると… |
例 ) 飲み会のときの会話(標準語バージョン)
「それじゃ、まずひとつ」
「いやいやいや、僕はもう駄目ってば」
「いや、まぁまぁひとつ」
「いやいやいやいや」
(注: …と言いつつ、ぐびぐび呑む。北国は酒豪が多いのだ)
J: |
……標準語に出来んな、これは。 |
カズくん: |
先生、ちょっと気になるんですが。例が、飲み会というシチュエーションなんですけど、この『じゃじゃじゃ』っていうのは女の子も使うの? …ここ重要よ? |
J: |
……どうなんでしょうね(ぉ
僕が中高生の時にクラスメートの女の子が使っていたかは覚えてないなぁ。 |
カズくん: |
……まぁ、その頃に飲み会はなかっただろうからね。 |
J: |
でも、あのアニメの依頼人(綾乃)が仙台出身だと聞いて「なんたら!」というシーン。あれは「じゃ!なんたら!」の方が違和感なくて良いね。 |
カズくん: |
あぁ、よかった。最後に『魔法遣い』ネタが出てきて… |
では、ポイントを整理しておきましょう。
- 母音「あ」「う」「え」の前の子音を濁音化
- 母音だけの音は前後のにくっつけ(要するに単語は短く)、かつ最後は「あ」か「え」で終える
- 「じゃ」を多用(ただしうら若い乙女も使うかは不明)
これなら単語を覚えずとも岩手弁遣いになれる! …かも?
「魔法遣いに大切なこと」では、話が進んでいくにつれてユメちゃんが岩手弁を話す機会は減っていくような気がしますが、彼女の「じゃじゃじゃじゃじゃ」ってのも一度聞いてみたいですね。意外に可愛いかもしれません。
――上の文を、法則に従って岩手弁で言ってみましょう。先生、お願いします。
まほうづがいにてぇせづなことでは、はなしがすすんでぐにづれてユメちゃんが岩手弁をはなすきけぇはへってぐような気がすんども、彼女の「じゃじゃじゃじゃじゃ」ってぇのもいちどきいでみでぇな。いがいにめんけがもしれん。
…若干法則外のことも入っていますが、参考になりましたか?
多少は岩手弁が、ひいてはユメちゃんが身近に感じられたでしょうか。
と、こんなところで今回の「魔法遣いに大切なこと」プッシュ企画(そうなんです)はこれにてお開き。いろいろと言われているらしい「魔法遣い〜」ですが、僕はユメちゃんがいる限り応援してますよ〜。
(C)カズくん
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