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国鉄があった時代
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国鉄改革に関する意見

第3章 国鉄事業再建に際して解決すべき諸問題

U.長期債務等の処理

  1. 処理すべき長期債務等の種類と金額

     新経営形態移行に際し、国鉄の事業経営に伴ってこれまでに生じた長期債務あるいはこれまで国鉄が負担していた費用、今後新たに発生する費用等で、その取扱いを決定する必要があるもの及び新経営形態移行に伴って、この際これらの国鉄の長期債務等と併せて処理することが適当なものは次のとおりである。

    昭和62年度首の長期債務等の金額兆円

    (1)国鉄長期債務

    25.4兆円

    (2)年金負担等(注1)

    4.9

      @国鉄共済年金追加貫用 4.7
      A国鉄共済年金公緩済負担 0.1
      B恩給負担金 0.1
    (3)3島会社基金(注2) 0.9
    (4)「旧国鉄」に所属する余剰人員の対策費  
    (5)鉄建公団建設施設に係る資本費負担(注3) 4.6
      @上越新幹線 1.9
      A本州の旅客鉄道会社及び鉄道貨物会社が経営する鉄建公団施設 1.1
      Bその他の峡建公囲建設施設 1.6 1.6
       (a)青函トンネル 1.1 1.1
       (b)北海道会社及び九州会社が経営する鉄道施設 0.1
       (c)第三セクター等が資本費を負担しないで経営する鉄道施設 0.2
       (d)工事を凍緒している鉄遵施設 0.2 0.2
    (6〉本四公団建設施設に係る資本費負担(注3) 0,6 0.6
      @本四連絡橋 児島・坂出ルート    0.6
      A本四連絡橋 神戸・鳴門ルート 0.03

    37.3

    (注1)国鉄共済年金迫加費用及び恩給負担金の額は予定利率を7.5%とした場合の年金現かである。

    (注2)3島の旅客鉄道全社に設定される基金は、このほかに土地の見合いて設定れるものが0.1兆円あり、合計1,0兆円となる。

    (注3)昭和62年度首時点での工事継続に係る債務については、完成持の見込み総額を計上した。

  2. 処理の基本的な考え方

    処理すべき長期債務等は1、で整理したように極めて多額に達するが、新事案体がそのすぺでを負担したのでは、たとえ民間並みの生産性を上げたとしても採鼻が成り立ち得ないことは明らかであり、新事業体の事業の遂行上過重な負担となるものについてはこれを軽減することが適当である。新事業体が負担しきれない長期債務等については別途処理せざるを得ないが、その場合であっても現在の国鉄が所有する広大な用地を最大限長期債務等の処理財源に充てる等可能な限りの手段を尽くし、そのうえでもなお残る長期債務等は何らかの形で国民に負担を求めざるを得ないと考える。このように、長期債務等の処理に当たっては、一方において新事業体の事業経営の健全性を図るという要請があり、他方において最終的に求めざるを得ない国民負担をできる限り軽減するという要請がある。この相反する二つの要請を同時に満たすような処理方策を見いだすことは非常に困難なことであるが、当委員会は、種々の処理方策を様々の角度から検討した結果、次のような考え方をとることが適当であるとの結論に達した。

    ア.新事業体は、事業の遂行上必要最小限の土地等の資産を引き継ぐとともに、最大限の効率的経営を行うことを前提として、当面収支が均衡し、かつ将来にわたって事業を健全に経営できる限度の長期債務等を負担する。なお、新幹線保有主体は、新幹線債務をを再調達価額によって引き継ぐとともに、資産価額のうち簿価に見合う長期債務を引き継ぎ、再調達価額と簿価との差額相当分について「旧国鉄」に対し30年分割払いの債務を負うが、これらは実質的に旅客鉄道会社が負担するものである。

    イ.新事業体及び新幹線保有主体が引き継がない資産は「旧国鉄」に残すとともに、これらが負担しない長期債務等も「旧国鉄」に残置する。

    ウ.「旧国鉄」は、「旧国鉄」に残された資産及び新事業体に対する出資株式を適正かつ有効な方法で売却し、その収入額を長期債務等の処理財に充てる。
    また、「旧国鉄」が新幹線保有主体から受け取る分割払い代金収入も3島の旅客鉄道会社の基金及び免除した長期債務の元利償還、余剰人員対策費等の処理財源に充てることとする。

    エ.その結果、なお「旧国鉄」に最終的に残る長期債務等についてはその返済を完了し得るよう政府において対処することとなるが、何らかの形で国民に負担を求めざるを得ないと考える。

  3. 長期債務等の配分

    以上のような基本的考え方に基づき、それぞれの長期債務等の性格も考慮した上で、次のように、新事業体、新幹線保有主体、「旧国鉄」等に長期債務等を配分することとする。

    )国鉄長期債務

    新事業体は国鉄から引き継いだ資産の価額に見合う額の長期債務を引き継ぐ。具体的には、資産の総額(事業用資産は原則として簿価、関連事業用資産・出資株式等は時価)から資本金及び退職給与引当金の額を控除した額に相当する長期債務を引き継ぐものとする。ただし、3島の旅客鉄道会社は長期債務を引き継がないものとする。なお、新幹線保有主体は、再調達価額によって引き継いだ資産価額のうち簿価に見合う長期債務を引き継ぎ、再調達価額と簿価との差額相当分については「旧国鉄」に対して分割払い債務を負うが、これらは実質的に本州の旅客鉄道会社が負担するものである。
      新事業体及び新幹線保有主体が引き離がない長期債務は「旧国鉄」に残置する。

    2)年金負担等

    @ 国鉄共済年金追加費用

      追加費用は、公共企業体等共済組合法施行時(昭和31年7月)に施行前の恩給公務員期間及び旧共済組合の組合期間を現行共済制度の組合員期間に通算したことにより生じる給付費用であってその原資を国鉄が全額負担しているものである。
      追加費用の負担額は、昭和32年度27億円と少額であったが、近年における大量の退職者の発生及び給与改定・年金改定等により、60年度は4,581憶円となっており、今後数十年は追加責用の発生が続くと予想される。追加責用は、他の公的共済年金制度にも存在し、事業主としての負担であると観念されているものであるが、これを新事業体が負担すれぱ経営が大きく圧迫されること等を考慮して、この負担は全額「旧国鉄」において処理する。

    A国鉄共済年金公経済

      公経済負担は年金に対する園膚負担と親念されているもので、現在の負担額は毎年の給付額の15.85%相当となっており、昭和60年度は純600憶円である。これは、国鉄はもと国が鉄道特別会計によって独占的に経営していたという事業の沿革等により、国鉄が公経済の主体として負担してきているものである。
      しかしながら、国鉄事業の民営化により新事業体に公経済性はなくなるものと考えられるので、この負担については国庫負担を求めるのが適当である。
      なお、その際1,000憶円前後の清算金が発生するが、これは「旧国鉄」において処理する。

    B恩給負担金
      恩給負担金は公共企業体職員等共済組合法が施行された昭利31年7月前に国鉄を退職した者に対する恩給給付の原資を国鉄が負担しているものである。この負担は鉄道特別会計に所属していた官吏を引き継いだ国鉄が特別会計に準じるものとして負担しているものであり、昭和60年度で124億円となっている。この負担については、追加費用と同じく、「旧国鉄」において処理する。

    3)3島会社基金

    3島の旅客鉄道で設会社にされる基金は1.0兆円であるが、このうち土地の見合いで設定される分0.1兆円を差し引いた0.9兆円について財務が必要となる。これについては一定期間内に「旧国鉄」において処理する。

    4)「旧国鉄」に余剰人員の対策費
    「旧国鉄」に所属する余剰人員に対する「旧国鉄」に所属する余剰人員に対する退職手当の支給、再就職促進のための教育訓練の実施等に要する費用は「旧国鉄」において処理する。

    5)鉄建公団施設に係る資本費負担
    鉄建公団については、昭和54年12月28日の閣議決定もあり、青函トンネルの本体工事が終了した時点で政府において適切な措置が辞じられるものと考えるが、鉄建公団が建設した鉄道施設に係る資本費については、新経営形態移行に際して次のように取扱う。

    @ 上越新幹線

    新幹線保有主体は、鉄建公団が保有する上越新幹線を含め保有することとするので、鉄建公団の新幹線資産に係る長期債務も新幹線保有主体が引き継ぐ

    A 本州の旅客鉄道会社及び鉄道貨物会社が経営する鉄建公団施設

     鉄建公団建設施設のうち本州の旅客鉄道会社及び鉄道貨物会社が経営するものに係る資本費は、これらの新事業体が負担する。

    Bその他の鉄建公団建設施設

    国鉄が施設費を負担した上で経営することを前提として建設された又は建設中の次の施設に係る資本費については、その経緯と次に掲げる事由を考膚し、「旧国鉄」において当該施設に係る債務を引き継いだ上、国鉄自体の長期債務等と併せて処理する。この場合、(b)の施設は北海道会社及び九州会社に、(d)の施設は「旧国鉄」にそれぞれ帰属させる。

    (a)青函トンネル
    現在建設中の青函トンネル(津軽海峡線)は完成後は旅客鉄道会社が鉄道として経営することにより有効活用を図ることが適当であるが、今後とも経営主体となる旅容鉄道会社に資本費の負担能カがないこと。

    (b)北海道会社及び九州会社が経営する鉄道施設
    北海道会杜及び九州会社は国鉄から引き継ぐ事業用資産に係る長期積務を引き継がせないこととの均衡を図る必要があること。

    (c)第三セクター等が資本費を負担しないで経営する鉄道施設
    他に適当な資本費の負担者を見いだし難いこと。

    (d)工事を凍結している鉄道施設
    今後新事業体が当該鉄道路線を経営することは考え雑く、かつ、ほかに適当な資本費の負担者も見いだし難いこと。

    6)本四公団建設施設に係る資本費負担
    国鉄が資本費を負担した上で経営することを前提として本四公団が建設中の本四連絡橋公団の鉄道部分に係る資本費についても、その経緯と次に掲げる事由を考慮し、「旧国鉄」において処理する。

    @ 本四連絡児島・坂出ルート
    本州四国児島・坂出ルート(本四連絡)は、完成後は旅容鉄道会社が譲渡として経営することにより有効活用を図ることが適当であるが、今後とも経営主体となる旅客鉄道会社に債務の負担能力がないこと。

    A 本四連絡橋神戸・鳴門ルート
    本四連絡橋神戸・鳴門ルートの鉄道部分に係る資本費は、今後適切な処理が見込めないこと。以上のような配分の考え方に沿ってまとめると、処理を要する長期債務等37.3兆円のうち、新事業体が引き継ぐものは11.4兆円、「旧国鉄」において処理されるものは25.9兆円となる。これに新事業体が新幹線保有主体を経由して実質的に負担するものを考慮すると、新事業体が負担するものは14.2兆日、「旧国鉄」において処理されるものは23.1兆円となる。

  4. 旧国鉄における長期債債務等の処理

    1. 「旧国鉄」の自主財源

      @非事業用地

       ア 「旧国鉄」における長期債務等の処理に当たっては、国民負担をできるだけ軽減するため、現在の国鉄所有地のうち、将来の事業の姿を見通した上て最小限必要となる事業用用地以外の用地は原則として売却対象とすることとし、これらを「旧国鉄」に帰属させた上で適正な価額で売却し、もって長期債務等の処理財務に充てることが必要である。
       このような親点に立って、当委員会は、現在未利用となっている土地を売却対余とすることはもちろん、事業用用地として区分されているものであっても、現在及び将来の業務量、周辺の状況等から見て最適利用が行われているかどうか徹底的な総点検を行い、当該用地における現行機能の廃止又は他地区への統合のほか、用地内における施設の集約、高層化などによって、売却可能用地をできる限
      り多く生み出す必要があると考えた。そこで、当委員会は国鉄に対し、将来最小限必要となる事業用用地とそれ以外の非事業用用地との仕分けを求めた。また、総務庁は昭和59年度に国鉄用地に対する行政監察を行い、国鉄が事業用用地としている中で非事業用用地として区分すべきもの、及び利用計画がある又は検討中と区分している未利用地の中で利用予定が不明確なものなど、売却対象用地として区分すぺきものを指摘した。当委員会としては、国鉄の調査結果や行政監察等の各種の資料を参考に、各方面の協力も得つつ、当委員会の独自の調査を加えて個別に売却可能用地を把握し、売却見込み額の積上げ作業を行った。当委員会のこれまでの調査によれば、国鉄用地のうち、「旧国鉄」において売却可能と考えられる用地は少なくとも面積2,600ha程度、昭和62年度価額で5.8兆円程度と推計している。国鉄用地は分割・民営化の実施に際して長期債務等を処理するための重要な財源となるものであるので、政府及び国鉄においては、今後新経営形態移行までの間に更に、国鉄用地の実態把握を行い、売却可能な用地の生み出しに努める必要がある。

      イ.非事業用用地については、これを売却するよりも、民営化に伴う新事業体の事業範囲の拡大に対応して、今後土地を利用する新規関連事業を積極的に展開し、企業収益の向上に寄与させるぺきだとの意見もある。
       関連事業については、企業としての経営基盤の強化を図るとともに企業の活力を推持する観点から、多角的弾力的に進めていくことが必要であることはそのとおりである。しかし、国鉄改革について国民の理解と協カを得るためには国鉄自身の最大限の自助努カにより国民の負担をできる限り軽減する必要がある。また、関連事業の展開に当たっては、土地を利用しない事業も種々可能であり、さらに、駅舎、線路、電車基地等の事業用用地で今後高度利用が可能と見込まれるもの及び既設の駅舎・駅ビル内、高架下等で一層効率的な活用を図り得るものがかなり見受けられ、関連事業を積極的に展開し得る余地が十分にある。
        したがって、この際、非事業用用地は原則として売却対象とすぺきであると考
      える。非事業用用地の売却に当たっては、公正を確保するとともに国民負担をできるだけ軽くするため、公開競争入札を基本とする適正な時価によるものとする。なお、公的機関から公共目的に使用するため譲渡を求められた場合であっても、適正な時価によることはもとより、「旧国鉄」における長期債務等の処理をなるべく早く行う必要があることにかんがみ、公的機関側の資金事情等から売却処分を長期にわたって保留するといった特別の取級いは避けるぺきである。
        非事業用用地のうち、その付加価値を高めた上で売却した方が有利と認められるものについては、基盤整備後に売却するものとする.この場合、基盤整備に当たっては、付加価値が「旧国鉄」に帰属する仕組みとすべきである。また、基盤整備のための都市計画決定等が必要な場合には、政府及び地方公共団体において速やかな対応が行なわれる必要がある。

      A新事業体への出資株式

        「旧国鉄」が所有する新事業体への出資株式については、民営化の趣旨に即し、それぞれの事業体の経営状況等を勘案しながら逐次売却するものとする。
        これら出資株式の売却収入額については、新事業体の収益いかんではプレミアム付きで売れるものがある反面、売却までにある程度の期間がかかるものもあると考えられるので、昭和62年度首価額で一応全体の資本金相当額0.6兆円程度の収入があると見込んだ。

      B新幹線保有主体からの収入

        以上のほか、「旧国鉄」には、新幹線保有主体が引き継いだ新幹線施設の再調達価額と簿価との差額相当分(2.8兆円程皮)について新幹線保有主体から支払われる分割払い代金収入がある。
    2. 最終的に残る長期債務等の処理

      @国民負担を求める理由

      ア.国鉄の経営は昭和39年度に単年慶赤宇に転落したが、その後数次にわたって経営再建対策が実施され、特に、昭和51年度及び55年度の二回にわたって、累積欠損額に相当する5兆3千憶円もの長期債務のいわゆる棚上げ措置が講じられたにもかかわらず、毎年赤字が発生し、かつその規模が拡大してきた。この間、毎年国鉄に対して多額の国庫助成が行われ、昭和60年度予算でも6.025憶円に上っているが、赤宇額を償うには至らず、財政投融資や鉄道債権の発行による借入金によって資金繰上げの補填が行われた結果、昭和50年度末6.8兆円であった長期債務残高が昭和60年度末には23.6兆円にも上ると見込まれている。しかし、借入金による資金繰りは、あくまでも一時しのぎの措置と言わざるを得ない。第1章で述ぺたとおり、こうした借入金に依存する経営は、借入金が利子を生み、その利子のためにまた赤宇が増大し、結果として更に借入金にたよらざるを得ないという悪循環に陥るからである。もちろん、このような借入金も、国鉄事業がその時々の経営再建対策の実施によって将来いずれ改善された暁には返済し得るという期待の下に行われているものである.しかし、国鉄の抱える膨大な長期債務は、将来の事業収益や土地等の資産処分によってすべて償われることは、実際のところ期待することはできず、その相当部分はいずれ国民の負担とならざるを得ないものである。しかも、現在の全国一元的組織の公社制度の下で従来の延長線上にある改善方策では将来の国民負担は増大する一方である。この際、抜本的な国鉄事業再建策を即刻実施し、これ以上国民の負担を増やさないように措置する必要がある。

      イ.このため、当委員会は、一方において、国鉄の経営する鉄道事業そのものについては分割・民営化に伴う経営の効率化、競争性の発揮等によって毎年の赤字の発生をストップさせ、今後は赤宇補填の借入金はもとより、財政接助をも国に求めないという健全な企業体制を作りあげ、そして他方において、新事業体にとって最大限の効率的経営を前提としても過重な負担となる長期債務等は鉄道事業の経営から切り離し、国鉄用地を最大限長期債務等の処理財源に充てるなど可能な限りの手段を尽くした上でなお残る額について国民負担によって処理していくことを提言するものである。この点については、従来のように更に借入金により処理していくことは限界に達しており、また、問題の基本的な解決にならないことを考慮のうえ、理解を得たいと考えている。
      以上のような改革を行えば、国民の将来の負担はこれ以上培加することはなくなり、長期的にみて国民にとっての負担が軽減されるだけではなく、鉄道事業そのものが活性化されることによってより良いサービスを国民に提供することが可能となる。

      A 処理方策

        新事業体の最大限効率的な経営を前提としても、「旧国鉄」において処理される長期債務等の額は、先に整理したとおり、25.9兆円程度にも上る。これから、非事業用用地の売却収入額5.8兆円、新事業体出資株式の売却収入額0.6兆円及び新幹線保有主体からの収入額2.8兆円という自主財源を充ててもなお最終的に残る長期債務等の額は16.7兆円程度となる。最終的に残る国民負担を求めざるを得ない長期債務等について、仮に25年又は30年で借換え等を行いながら処理するとした場合、各年との程度の財源補填額が必要かを試算してみると、それぞれ1.4兆円程度、1.3兆円程度という結果が得られる。財源所要額がこのように極めて大きいことから、国鉄事業再建のためには、長期債務等の処理のための新たな財源・措置を講じることが必要であり、国は、長期的視点に立った総合的かつ全国民的な処理方策を検討・確立すべきである。

      処理すべき長期債務響の配分

      (単位:兆円)

      長期債務等の種類 総額 新事業体の負担するもの(注:1) 「旧国鉄」において処理されるもの
      (1)国鉄長期債務   25.4

      8.4(注:2)

      17.0
      (2)年金債務等 4.9   4.9
       @追加費用  4.7   4.7
       A公経済負担 0.1   0.1
       B恩給負担金 0.1   0.1
      (3)3島会社金 0.9   1.9
      (4)余剰人員対策費 0.9   0.9
      (5)鉄建公団建設施設に係る資本費負担 4.6 3.0 1.6
       @上越新幹線 1.9 1.9  
       A本州の旅客鉄道会社、鉄道貨物会社の経営する鉄道施設 1.1 1.1  
       Bその他の鉄建公団建設施設 1.6   1.6
       (a)青函トンネル 1.1   1.1
       (b)北海道会社、九州会社の経営する鉄道施設 0.1   0.1
       (c)第三セクター等の経営する鉄道施設 0.2   0.2
       (d)工事凍結中の鉄道施設 0.2   0.2
      (6)本四公団建設施設に係る資本費負担 0.6   0.6
       @児島・坂出ルート 0.03   0.6
       A神戸・鳴門ルート     0.03

      37.3 11.4 25.9
      (7)新幹線資産の再調達価額と簿価の差額相当分   2.8 △2.8

      再計

      37.3 14.2 23.1
      非事業用地売却収入 △5.8
      新事業体出資株式収入 △0.6

      16.6

      (注1)新事業体の負担するもののうち、新幹線保有主体を経由して処理されるものは次のとおりである。
      (1)国鉄長期債務(東海道・山陽・東北新幹線分)  3.8兆円
      (5) 上越新幹線 1.9
      計 5.7
      (7)新幹線資産の再調達価額と簿価との差額相当分 2.8
      再計 8.5
      (注2)新事桑体に移籍する者の国鉄在籍期間分に係る退織手当は、新事業体が引き継いで支払うが、これに充てるため、新事業体の発足時に民間並みの退職給与引当金を設定することとし、当該引当金相当額を新事棄体の長期債務引緩ぎ額より控除した。


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