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国鉄があった時代
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国鉄改革に関する意見

第2章 効率的な経営形態の確立

*******鉄道の未来を築くために*******

T.分割のあり方

これまで述ぺてきたように、国鉄が今日このような破局的状況に立ち至った基本的な原因は公社制度及ぴ全国一元的組織運営という現行経営形態そのものに内在する構造的なものであり鉄道事業の再生のためには、経営形態そのものにメスを入れ、根本原因を除去する必要がある。
このため、以下で述べるような方法で現行経営形態を改め、適切な事業単位に分割するとともに民営化を行う。

基本的な考え方
具体的な分割案を検討するに当たっては、適切な経営管理が行われること、地域の実情に即した運営が行われること、各地域や事業部門の間での不合理な依存関係を排除すること、競争意織が働くこと等の要請をできるだけ浦たし得るものとする必要がある。同時に、旅客及び貨物の流動実態や列車の運行実態との適合性、分割に伴う技術上の問題やコストの最小化、分割後の各事業体の安定的な経営基盤の確保といった点も絵合的に考慮すべきである。
その際、貨物部門については、貨物の流動実態や列車の連行実態、さらには業務運営のあり方等において旅客部門と事情が大きく異なづていることを十分考慮する必要がある。また、現在、客貨一体の運営体制の下で、経営責任が不明確となり、貨物部門の合理化・効率化を大きく遅らせ、桔呆として国鉄の経営全体にも悪影響を及ぼすなど様々な問題を生じていることにも留意すべきである。
このような事情にある鉄道貨物輸送が、将来にわたり相応の役割を呆たしていくためには、経営責任を明確化し、貨物輸送にふさわしい経営施策を展開できるような体制を確立することが不可欠の条件てある。このため、旅客部門を以下で述べるように分割することを前提として、貨物部門についてほ、旅客部門から経営を分離し、その事業特性に沿って全国一元的に鉄道貨物事業を運営できる独立した事業体とする。

U.旅客部門の分割

U.旅客部門の分割 画像wikipedia
  1. 考え方
    ア. 具体的な分割方法を検討するに当たっては上で述べたように種々の観点からの要請を総合的に考慮する必要がある。
    すなわちこれらの要請のうち、適切な経営管理、地域の実情に即した運営、不合理な依存関係の排除等の要請を重視する観点からは地域的になるべく小さい経営単位に分割すべきである。
    他方、旅客の流動実態や列車の運行実態との適合、分割に伴う技術上の問題やコストの最小化、安定的な経営基盤の確保等の要請を重視する観点からは、逆に相当程度の面的広がりを持たせて分割することが望ましい。
    また、新幹線についてほ、わが国の基幹的交通機関として、国土の均衡ある発展等に果たす役割から見て、新幹線利用者間の負担の均衡ができるだけ図られるよう配慮して分割することが考えられる。
    イ・当委員会ほ、これらの要請を総合的に勘案し、様々な角度から分割案を検討した。
    例えば、地域的になるべく小さい経営単位に分割する観点から、現在全国に30か所ある鉄道管理局(北海道、四国、九州及び新幹線の各総局を含む)を基礎としつつ、ある程度これを統合した形の分割案について検討した。しかしながら、鉄道管理局を基礎としたこのような分割案では、技術上の問題が大きく、収益格差が著しい上に、安定経営のための基盤となる路線を持たない事業体が相当数出してまう。
    また、安定的な経営基盤確保の観点から、従来の線区区分を単位として、事業体間の収益格差ができるだけ平準化するような形で、これらの線区を組み合せるという案を検討した。この案では、収益カの大きい路線が一部の地域に偏っているため、これらを各事業体の中核路線となるように分割すると、結果として旅客の流動実態に適合しなくなり、地域的に不自然な形の分割になってしまう。
    さらに、新幹線が高遠交通機関として果たす役割にかんがみ、その利用の一体性を確保する観点から、新幹線全体を一つの、事業体とし、在来線を地域経済ブロック単位で分割する案についても検討した。しかしながら、この案では、在来線の事業体に安定経営のための基盤となる路線を持たないものが出てしまうほか、、機能面から見ても新幹線のフィーダー機能を有する在来線については、新幹線と一体的に運営する方が望ましい場合がある点に問題を残す。
    ウ・このように、当委員会ほ、様々な角度から分割案についての検討を加えた。
    分割に際して考慮すべき多くの募護を完全に減たすことが困難であるとしても、これまで述べてきたような全国一元の巨大組織であることから生じる弊害の大きさを考えると、分割に際して考慮すべき要請の最大公的数を求めた上で分割を断行することが、鉄道事業を再生するためには不可欠の条件である。
    このため、当委員会ほ、分割に際して考慮すべき要請のうち、安定的な経営基盤の確保については、別途の収益調整措置を講じることによって担保することとし、旅客の流動実態との適合や分割に伴う技術上の問題の最小化といった観点を重視した地域的にも自然な形の分割が、実行可能性の面からも妥当であると判断して、以下に述べる全国6分割案が最も適切であるという結論に達した。


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  3. 具体的な分割の内容
    ア.現在の旅客流動の実態や鉄道輸送に課せられた今後の役割を考えると、首都圏や近畿圏などの大都市圏内交通の分野については、分割によって輸送量の多い旅客流動を分断することなくこれを一元的に運営する方が、サービスの低下を防ぐとともに分割に伴うコストを極力小さくする上で好ましい。また、新幹線に代表される都市間輸送の分野についても、サービスの向上によって航空、高速道路等との激しい競争に耐え抜くためには、できる限り旅客流動のまとまりに配慮して分割すべきである。
    イ.このよう観点から、本州についての旅客流動のまとまりを見ると
    1)東京の国電区間を中心とする首都圏の交通と、首都圏と強い結びつきを有する東北地方及び甲信越地方の都市間の流動を担う東北・上越新幹線を一体としたグループ。
    2)都市間輸送の分野では最も輸送量の多い首都圏と近畿圏の二大都市圏間の流動を担う東海道新幹線と、名古屋を中心としたまとまりを持つ中京口圏の交通を一体としたグループ
    3)京阪神の国電区間を中心とする近畿圏の交通と、近畿圏との強い結びつきを有する西日本の都市間の流動を担う山陽新幹線等及び北陸地方とを一体としたグループの3つに大きく分けることができる。この場合の旅客流動のグループ内完結度は98%にも達する高いものとなっている。
    また、北海道、四国、九州の3島については、
    旅客流動の地域内完結度が95%〜99%とこれも極めて高い。
    以上のことから考えて、本州については、上に述べた3つのグループに分けるとともに、北海道、四国、九州に分割した全国6地域に分割することが適切である。
    ウ.なお、事業体間の境界は、以下の基準を配慮して決定することが適当である。
    1)特急、急行等の運行行本数が多い線区は出張、観光旅行等の長距離の郵市間輸送を担っているので、できるだけ列事こ行のまたがりを少なくする。
    2)通勤、通学等の日常的な交通を主として担っている線区については、事業体をまたがる旅客をできるだけ少なくする。
    3)分割の円滑な実魔のため、地域との沿革的なつながりや事尊、要員の運用等を考慮して現在の鉄道管理月墳や親区区分等についても配慮する。
    以上の考え方によれば、業体間の具体的境界は次のとおりとすることが連当である。
    工。以上の協会を根拠とした全国6分割案は、次回に示すとおりである。
    オ・なお、事業体ごとの境界駅は、双方の事業体が共同で利用することとするが、その所有関係については、利用の実態等を勘案して政府において検討の上決定する。


  4. 関係事業体
    (各事業体の名称は仮称)

    境界となる線区

    境界駅選定の考え方

    関係事業体
    (各事業体の名称は仮称)

    境界となる 線区

    境界駅選定の考え方

    北海道/東日本 津軽海峡線(中小国) 青函トンネルの役割を勘案して北海道と本州の連絡区間は北海道側とする。 東海/西日本 高山線(猪谷) 旅客の輸送段差及ぴ鉄道管理局境を考慮
    東日本/東海 東海道新幹線(東京) 首都圏と近畿圏の二大都市圏間の流動を担う東海道新幹線は東京まで東海側とする。 東海道線(米原)  近畿圏と中京圏の輸送段差に位置すること、長距離列車乗務員の乗換え及び鉄道管理局境を考慮
    東海道線(熱海) 東京から伊東方面への列車運行を分断しないこと及び鉄道管理局境を考慮 関西線(亀山) 列車の折り返し運転が多いこと及び鉄道管理局境を考慮
    御殿場線(国府津) 線区全体の一体的運営及び鉄道管理局境を考慮 紀勢線(新宮) 天王寺からの長距離列車と名古屋からの長距離列車の運行形態を考慮
    身延線(甲府) 線区全体の一体的運営を考慮 東海道・山陽新幹線(新大阪)  東海道・山陽新幹線利用客の 多くが乗り換えること、列車の折り返し運転が多いこと及ぴ乗務員の乗換えを考慮
    飯田線(辰野) 線区全体の一体的運営を考慮 西日本/四国  本四備讃線(児島)  本四連絡橋の役割を勘案して四国と本州の連絡区間は四国側とする
    中央線(塩尻) 新宿から松本方面への長距離列車の運行との合流点であることを考慮。なお、この場合、篠ノ井線は東日本側とする。 西日本/九州  山陽線(下関) 

     

    関門トンネルの役割を勘案して、九州と本州の連絡区間は九州側とする。
    東日本/西日本 北陸線(直江津) 大阪から北陸への長距離列車 の運行を分断しないこと、大阪から新潟・青森方面への長距離列車乗務員の乗換え及ぴ鉄道管理局境を考慮 山陽新幹線(博多) 近畿圏と西日本の中・長距離 都市間輸送を担う山陽新幹線の役割を勘案して、山陽新幹線は博多まで西日本側とする
    大糸線(南小谷) 旅客の輸送段差及ぴ列車の折
    甫小谷) リ返し運転が多いことを考慮

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