第2章 効率的な経営形態の確立
*******鉄道の未来を築くために*******
V.旅客鉄道会社の具体的内容
5.引継ぎ資産、債務の範囲
-
引継ぎ資産の範囲
ア. 各旅客鉄道会社は、新幹線保有主体に引き継がれる資産、鉄道貨物会社など別途設立される事業体に引き織がれる資産及び「旧国鉄」に残置される資産 を除く資産(鉄道旅客事業用資産、関連事業用資産等)を引き継ぐ。
また、新幹線保有主体は、車両等を除く新幹線事業用資産を引き継ぐ。
イ. 関連事業用資産については、駅ビル敷地等関連会社に現に使用させ又は使用させることが既に決定されている資産のうち売却が困難又は不適切なものは各旅客鉄道会社が引き継ぐ。また、国鉄から関連会社への出資株式については、関連会社の事業が旅客鉄道会社の業務と密接に関連する点を考慮し、原則として業務が関連する旅客鉄道会社が引き離ぐ。この場合、関連会社の事業範囲が一旅客鉄道会社の区域内にとどまるものは、その旅客鉄道会社が引継ぎ、事業範囲が複数の旅客鉄道会社にまたがるものは、各旅客鉄道会社の業務との関連度等を考慮し、国鉄、出資関連会社等の関係者と協議して、政府においてその引繊ぎ方を検討の上決定する。
なお、特別法に基づく鉄建公団や帝都高速度交通営団(以下「営団」という)ヘの出資分の取扱いについては、前者は、純民間会社に移行することとされている旅客鉄道会社がこれを引き継ぐぐことは適切でなく、また、後者は、営団の設立の趣旨、将来にわたって、その果たすべき役割等をも十分勘案する必要があるので、政府においてこれらの取扱を検討の上決定する。
ウ. 事業用資産は原則として簿価とするが、関連事業用資産、出資株式等は時価とする。また、新幹線保有主体が引き継ぐ資産は再調達価額とする。
-
引継ぎ債務の範囲
ア. 本州の旅客鉄道会社ば、引き離いだ資産の総額から資本金及び退職給与引当金の額を控除した額に相当する長期債務を引き継ぎ、3島の旅客鉄道会社は先に述ぺたとおり長期債務を引き継がないものとする。
また、新幹線保有主体は、引き継いだ資産のうち簿価に相当する長期債務を引き継ぐものとする。なお、引き継いだ資産の総額と簿価との差額相当分については、「旧国鉄」に対して30年間分割払いの債務を負うものとする。
イ. 国鉄の長期債務には、資金運用部資金借入金、簡保資金借入金、政府補償鉄道債券、非政府保証鉄道債券等様々の種類の借入金、債券があり、また鉄道債券に係る債権者も多数に上っているが、これらの長期債務のうちどれをどのような方法で旅客鉄道会社及び新幹線保有主体が引き継ぐかについては、政府において適切な方法を検討の上決定する。
以上の考え方に基づき、発足時の旅客鉄道会社ごとの資産額及ぴ債務額を推計すると以下のとおりである。
(単位:億円)
区分 | 北海道 | 東日本 | 東海 | 西日本 | 四国 | 九州 | 計 |
資産額 | 3000 | 33000 | 6000 | 14000 | 1000 | 3000 | 60000 |
債務額 | ---------- | 29000 | 3000 | 11000 | ---------- | ---------- | 43000 |