朝日新聞社は、四月二十日付の夕刊一面に掲載した写’89 「地球は何色? サンゴ汚したK・Yってだれだ」の写真について、 十九日までに、取材にあたった元東京本社写真部員・本田嘉郎(四一) から撮影時の様子などについて詳しく事情を聴いた。その結果、 落書きはもともとあったかどうか、疑わしく、本田が指でこすり、 さらにストロボの柄で傷つけたと判断せざるを得ないとの結論に達した。
これまでの調査に対して本田は、四月十一日、「サンゴにつけられた 落書き」を取材するため、西部本社写真部員・村野昇(四一)とともに、 沖縄・西表島のサンゴ礁の海に潜水。世界最大のアザミサンゴの表面に 「KY」と読める線を見つけて撮影した。しかし、はっきりと写って いるかどうか自身がなく、手袋をはめた手でこすり、さらにストロボの柄を はずしてサンゴを傷つけた――と説明していた。
しかし、傷をつける以前に落書きがあったとする確たる証拠は 現在までのところなく、本田も十九日までに「Kはあったが、Yに ついては自信がない」と、前言を翻した。また「K」についても、 他のサンゴの落書きと違い、ポリプは柔らかく生きている感触で、 えぐり取られたような感じではなかった、と述べている。
<注>問題のアザミサンゴは一九八二年に見つかった。高さ四メートル、 周囲二十メートル。表面に張り付いている直径一センチ足らずのポリプと 呼ばれる円柱状の個体が一つひとつの生命を形成している。その土台に なっているのが石灰質からなる骨格部分だ。今回、削られたのは表面の ポリプとその下の石灰質部分。ポリプは数年で再生するといわれるが、 石灰質部分の再生は極めて遅いという。 漢数字は記事に準じています。 「メートル」は記事中では「b」ですが Windows機種依存文字のため書き換えました。 |