サンゴ撮影 行き過ぎ取材について 朝日新聞東京本社編集局長 伊藤 邦男
四月二十日付の本紙夕刊一面「地球は何色? サンゴ汚したK・Yってだれだ」の 写真について本日、一面に「おわび」を掲載いたしました。読者、関係者はじめ、 みなさまに大変申し訳なく、心からおわびするとともに、この事件について、 本社の考えを述べさせていただき、ご理解を得たいと思います。
今回の報道には、大きく分けて二つの点で誤りがありました。
まず、報道する「事実」に人為的に手を加えた、ということです。いうまでもないこと ですが、私たち報道人の使命は、事実をありのままに読者にお伝えすることです。 取材対象に食い込み、新しいニュースを早く正確に伝えることに努力してきました。 どんな目的があろうと、新聞人として、事実に手を加えるなどは許されることでは ありません。 一市民としても、守るべき環境、天然記念物、文化財に傷をつけるといったことが 許されないことはいうまでもありません。自然を大切にしよう、という運動はますます 広く、大きくしていかねばなりません。これは新聞記者やカメラマンの問題としてでなく、 人間としての務めだと思っています。まして「自然を守ろう」という企画記事の中での このような行為は、弁解の余地のないものです。 今回のような間違いをなくすため、取材にあたっての基本的姿勢、環境や文化財の 保護について、全編集局内で再教育することをお約束いたします。 この事件がテレビで報道されて以来、「朝日新聞には環境問題を報道する資格がない」と いった、多数の厳しいご意見もいただきました。おしかりは当然であり、深刻に 受け止めております。私たちはこれまで紙面などを通じ、緑や文化財を守るために さまざまなキャンペーンを行ってきましたが、今後もその姿勢は保ち続け、いっそう 力を尽くすことをお誓いします。
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