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朝日新聞記者によりK・Yと落書きされた珊瑚礁
1989年(平成元年)5月16日火曜日 朝刊3面サンゴ撮影 行き過ぎ取材について

サンゴ撮影 行き過ぎ取材について
朝日新聞東京本社編集局長  伊藤 邦男

 四月二十日付の本紙夕刊一面「地球は何色? サンゴ汚したK・Yってだれだ」の
写真について本日、一面に「おわび」を掲載いたしました。読者、関係者はじめ、
みなさまに大変申し訳なく、心からおわびするとともに、この事件について、
本社の考えを述べさせていただき、ご理解を得たいと思います。

今回の報道には、大きく分けて二つの点で誤りがありました。

まず、報道する「事実」に人為的に手を加えた、ということです。いうまでもないこと
ですが、私たち報道人の使命は、事実をありのままに読者にお伝えすることです。
取材対象に食い込み、新しいニュースを早く正確に伝えることに努力してきました。
どんな目的があろうと、新聞人として、事実に手を加えるなどは許されることでは
ありません。

一市民としても、守るべき環境、天然記念物、文化財に傷をつけるといったことが
許されないことはいうまでもありません。自然を大切にしよう、という運動はますます
広く、大きくしていかねばなりません。これは新聞記者やカメラマンの問題としてでなく、
人間としての務めだと思っています。まして「自然を守ろう」という企画記事の中での
このような行為は、弁解の余地のないものです。

今回のような間違いをなくすため、取材にあたっての基本的姿勢、環境や文化財の
保護について、全編集局内で再教育することをお約束いたします。

この事件がテレビで報道されて以来、「朝日新聞には環境問題を報道する資格がない」と
いった、多数の厳しいご意見もいただきました。おしかりは当然であり、深刻に
受け止めております。私たちはこれまで紙面などを通じ、緑や文化財を守るために
さまざまなキャンペーンを行ってきましたが、今後もその姿勢は保ち続け、いっそう
力を尽くすことをお誓いします。

サンゴ撮影 行き過ぎ取材について
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