[日記]
■ 2006.06.06 アイツは今日も教室へ入るなりボクを見つけるのに必死で、まるで風見鶏みたいに全力で首をあちこちに振り回している。そのくせ観察力はサル以下。だから、ようやくボクを探し当てたときにはもう息切れを起こしていた。まったく、みっともないったらありゃしない。 なのにアイツは平静を装って、朝のおはよう、よりも早く「オレ、今28」と言ってくる。そんなの嘘だ。だって、昨日まで26だったはずなのに。 もちろん、そんなミエミエのハッタリに騙されるボクじゃないので「じゃあ、今どこまで行ったか教えて」と冷静に聞き返す。 すると自称28のクラスメイトは「……んーとな。アレだ。アレ。ほら、アレだよ。そうだ思い出した。ネクロゴンドの洞窟、って所だ」と、さんざん言葉に詰まりながらも言うではないか。これにはボクもさすがに呆れた。 「そんな訳ないじゃん。だってボク、35なのにネクロゴンドの洞窟、越えられないんだぜ」 「……ごめん」 こうして、今日もボクの勝利はあっさり確定。そして、26は今日も26のままだと判明する。 そうこうしているうち、45である先生が教室に入ってきて朝のホームルームを始めた。 「えーと、今日は五時間目に体育がある。なのでみんな、昼休みの間に体操服へ着替えておくように」 「はーい」 ボクらは声を揃えて返事をした。でも、ボクと26が先生の言う事を聞くのは、先生が先生だからじゃない。45だって知ってるからだ。 前に、45の家へ遊びに行ったことがある。そのとき、45はギガデインとかイオナズンとか、隣のクラスにいる42からしか聞いたことの無い、すごいじゅもんをたくさん使っていた。だから、ボクと26は45のことをとっても尊敬しているんだ。 さて、ホームルームが終わって、隣のクラスにいる42が、さっそく教室へ飛び込んできた。 ボクと26は、まだ先のほうにあるバラモスの話を聞かせてもらおうとしたんだけど、42の奴、今日はなんだか浮かない顔をしていた。 「……すごい奴、見つけた」 普段はどちらかといえば陽気な42は、今日はその雰囲気を一切見せずに、息を呑みながら静かに、ぽつりと言った。 それを前にして、ボクと26は、思わず顔を見合わせてしまった。 ボクらから見てもじゅうぶんすごい奴な42が言うすごい奴って、いったいどのくらいすごい奴なんだろう。 「すごい奴」は、42に手を引かれて教室の中へやってきた。 メガネを掛けていて、体はやせっぽちに見える。どちらかというと、このクラスの学級委員長にちょっと似ていた。あんまりゲームとか得意そうには見えない。 「で、こいつのどこがすごいの?」 26が、ちょっと乱暴に聞いてみる。 「ああ。こいつ、22なんだよ」 なんだよ、と思ってしまった。 「そんなの、全然すごくないじゃん」 ボクらは拍子抜けした。そりゃ、確かに学校全体から見れば22はすごいかもしれないけれど、そのくらいならボク達みんなやってるって。 でも、42は「いや、違うんだ」と言って話を続ける。 「こいつ、22でゾーマ倒したんだって」 「すげー!!」ボクと26は、声を揃えて絶叫した。 こうして、ボクである35と26、そして42は、22からいろんな話をいっぱい聞き出したんだ。それこそ、45ですら知らないような話を22から、いっぱいね。 |
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