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[日記]




2006.05.21


将来、ある程度まとまったお金を手にすることができたら、どこか寂れた田舎に土地を買って、そこそこ広さのあるプレハブ小屋を建てたい。




建てたプレハブ小屋の中、両側の壁に沿うようにしてショウケースを陳列して、その中には端から端まで敷き詰めるように並べられるファミコンカセット。そして小屋の中央にはファミコンを一台、鎮座させたい。理想は四角ボタンだけど、別にNEWファミコンでも構わない。とにかく一台、テレビと一緒に置いておきたい。




そのファミコンに、ソフトは何も差さっていない。来場者が選べるようになってるから。そもそも、ここは選ばれた人間しか辿り着けない。凄腕ゲーマーがしのぎを削るゲームセンターの屋上で日がな一日ぼうっとしている浮浪者との『迷宮組曲』早解き競争に勝った者だけが、ここの地図を渡される。

それはファミコンを愛するゲーマーの間だけに伝わる都市伝説。ごく普通の田舎町の片隅に眠るファミコンの館。そこで大量に並べられたコレクションと、そして……。




もちろん、浮浪者との闘いだけでプレハブ小屋に来れるわけじゃない。勝負を済ませたゲーマーがそのままゲームセンターを飛び出して、すぐ側の道路で地図を片手にタクシーを停める。すると、その運転手が助手席の窓を三分の二くらい開けて、おもむろに助手席の鞄からファミコン本体と、小型のモニターを取り出す。彼が挑むのは『バルーンファイト』のハイスコア勝負。もちろん、ゲーマーはその試練も乗り越えないといけない。






そのとき、プレハブ小屋を目指すゲーマーはタクシー以外の交通手段を選んではいけない。






闘いに負けた運転手は、黙ってプレハブ小屋まで案内してくれる。
 目的地まで、一言も喋らない。『バルーンファイト』中はずっと「ふははははっ、見える! 星の切れ間が手に取るように見えるぞ!!」とか「貴様……、なぜ両方のボタンに手をかける?」とか「こ……、これが……、ファミコン戦士(ソルジャー)の……、力……」とか絶叫してたのに。

そして着く。入り口は南京錠がいくつもかけられている。ダイヤル式で、0から9までの番号が環状に三つ並んでいる。数えてみると、それが5個。正解は『コナミワイワイワールド』の最強パスワードを語呂合わせ。正しい答えは各自考えよう。




プレハブ小屋に入る。中にはやっぱり、カセットが整然と並べられてるから、そこから一つ選ぶ。
 だけど、選ぶのはもう決まってる。きっと『忍者ハットリ君』か『スターソルジャー』だ。これ見よがしに『ヒットラーの復活』や『百の世界の物語』や『スノーブラザーズ』や『熱血!すとりーとバスケット』や『メタルスレイダーグローリー』や『悪魔城ドラキュラ(ロムカセット版)』や『マイティファイナルファイト』や『ゲバラ』が置かれてるのには目もくれず、『忍者ハットリ君』か『スターソルジャー』だ。

それを本体に差し込むと、そのタイミングを見計らったかのように、プレハブ小屋の奥から、男が一人出てくる。




「遂に来たようだね、任天君」
 「……あ、あなたは……、毛利名人!?」






そのとき、プレハブ小屋に来るゲーマーはあらかじめ毛利名人の顔を覚えておかないといけない。



2006.05.12


「世界観」「ゲームバランス」と並んで意味が不確定なゲーム用語と言えば「難易度」ですね(いや別に「世界観」「難易度」はゲーム限定じゃないですけど)。




「世界観」。ゲームデザインを手掛けた開発側の公式設定は主に「世界設定」と呼ぶようですが、ならばこの言葉はプレイヤー側から見た主観的な世界を指すのか、それとも「世界設定」をも包括しているのか。あまりにも広域で定義がアバウトなその言葉はそれゆえに利便性が高く、レビュー等で安易に使用してしまうと言及する矛先がブレてしまい、内容が薄れてしまいます。いや便利な言葉なんで私も頻繁に使ってますけど。
 同じく「ゲームバランス」も、その語義は限定されたものでありません。ゲーム自体の難しさか、操作体系の出来不出来か、そもそも何と比較しての「バランス」なのか。場合によっては「難易度」と同義で用いられやすい言葉ですが、これも簡単に用いてしまうと解説に厚みが出ません。いや便利なんで頻繁に使いますけど。




「世界観」と「ゲームバランス」。この二つは指し示す先にある内容があやふやであるのが問題です。しかし「難易度」は語意自体の曖昧さこそが問題なのです。

例えば「高低度が高い」とは言いません。「高い」の対義語が「低い」であるのは明白だからです。わざわざ二つの相対する基準を示す必要はありません。

「難易度」。「難度」ではありません。「難易度」です。
 「難易度が高い」。「難」なのか「易」なのか。どちらのことなんでしょう。




このままでは大変です。解釈しましょう。




以下、幼少時代に使ってた国語の教科書首っ引きで話を進めます。間違いがあったらごめんなさい。

単語を構成する種類のひとつに複合語というのがありまして、これは文字通り複数の単語を組み合わせた言葉を指します。「難易度」の場合は「難」と「易」の対立により成立し、さらに「度」がその「難易」を修飾している複合語となります。

「難易」はそれぞれ(今回はゲームの)難しさ・易しさを対極の関係でもって示している複合語です。そして、その二極を基準として修飾の意味を持つ「度合い」。つまり「難易度」とは「難しい」と「易しい」、二つの相対する関係を敢えて示し、その度合いを範疇とする事を強調した単語なのです。

ここまでを簡潔にまとめるために図示すると、こうなります。











即ち「難」と「易」の「度」。
 「易」は低い値としての意味を持ち「難」は高い値として代替されます。「難」がヒートマンステージの露悪的な構成を示すとき、「易」はグラビティマンの見た目だけ派手で単調な攻撃パターンを端的に表しているのです。
 これで上に記した「難易度が高い」という単語の不明瞭さは、ひとまず解き明かされました。

しかし、これだと「難易度」が「難度」ではいけない理由が存在しません。同義として使用できる上にむしろ意味としては「難度」のほうがしっくりくるような気がします。何故「難度」の他に「難易度」と、まどろっこしく読み書きされるようになったのでしょうか。
 憶測の一例。たとえば「高度」「温度」「湿度」と違い、物理的に作用した状態として具現化されない部分からくる分かりにくさを緩和するため、とか。全くの勘である上に書いてる自分自身が胡散臭く感じてますけど。

まあ、さしずめ「難易度」は「間違いじゃないけどちょっと変」な位置づけの単語なのでしょう。

ともかく「難易度」の構成は理解できました。さあ、これで何の疑問も無く、安心して「難易度」が使えますね。






あと「世界観」「ゲームバランス」は理由無く今後も使っていきます。便利だし。



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