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[日記]




2006.01.17


「彼は正義のロボです」

「貴方が彼と呼ぶ正義のロボとは、あちらに大勢いるロボのうちどのロボを指しますか?」

「中央に位置する青いロボです」

「なるほど。数あるロボの中でもとりわけ装飾と装備の少ない、あの青いロボですね」

「そうです」

「装飾と装備が少ない上に青いとは、正義のロボらしからぬフォルムですね」

「そうですね。いつの世も大抵の正義のロボは赤を身に纏い、何かを過度に身につけていました」

「では今後、私は彼を軽く侮ることにします」

「いえ、いくら装飾と装備が少ない上に青いとはいえ彼は正義のロボです。安易な侮蔑は到底許される事ではありません」

「なるほど。いくら装飾と装備が少ない上に青いとはいえ彼は正義のロボであり正真正銘のヒーローなのですね」

「そうです。いくら装飾と装備が少ない上に青いとはいえ彼は正義のロボであり正真正銘のヒーローであり、更に彼は悲壮な決断により生み出された過去を持つのです」

「それは興味があります。いくら装飾と装備が少ない上に青いとはいえ彼は正義のロボであり正真正銘のヒーローであり、更に彼は悲壮な決断により生み出された過去を持つとは一体どのような事柄なのでしょうか?」

「元は家庭用に造られたロボでした。ですが世界征服を企む悪の手から現世を守るために、驚異的な学習能力を備える戦闘兵器へと改造されたのです」

「家庭用……という事は、給仕用のロボットですね」

「そうなります」

「承知しました。私は以後、彼のことをメイドロボと呼びます」

「いえ、彼にはちゃんとした名前があります。『ロックマン』という名前です」

「その由来は?」

「分かりません。彼は生まれたときから『ロックマン』でした」

「納得がいきません。ですので私は彼をメイドロボと呼びます」

「ご遠慮下さい。誰が何と言おうと彼の名前は『ロックマン』なのです」

「それには及びません。私は以後、彼をメイドロボと呼んだ末に気だるい学園生活の最中に現れたキャラクターの一つとして心を癒してもらいます」

「貴方の仰る意味が当方には理解できかねますが、残念ながら彼は『Dr'ワイリー』という邪悪な巨悪と戦わねばならない宿命を背負っているのです。よってそちらの嗜好品として相手をしている場合ではないのです」

「そんな事は関係ありません。私の中で既に彼はモップを常備してリノリウムの廊下を駆け回り、スパゲティミートソースの缶詰を密閉したまま沸騰させ爆発、張り切りすぎた挙句にバッテリー切れのため図書室で充電を行うのです」

「貴方の脳内で発展している妄想こそ『ロックマン』には関係ありません。彼は『Dr'ワイリー』が従えた6人の敵と、占領された様々な施設の奥で戦闘を行いそれぞれを奪還しなければならないのです」

「その敵とはどんなメイドロボですか」

「ご期待に添えられず申し訳ございませんが敵はメイドロボではありません。世界征服を目論む『Dr'ワイリー』の野心により生み出された、悲しき殺戮マシーンなのです」

「殺戮マシーンですか、残酷ですね」

「そのうち一人は頭上に装備したハサミで攻撃します。すなわちカットの男です」

「カット男ですか、切断ですね」

「一人は冷気により相手を凍えさせます。すなわちアイスの男です」

「アイス男ですか、凍結ですね」

「一人は電撃を放出して相手を痺れさせます。すなわちエレキの男です」

「エレキ男ですか、雷光ですね」

「一人はこちらへ向けて爆弾を放ってきます。すなわちボンバーの男です」

「ボンバー男ですか、暴発ですね」

「一人は灼熱の炎を巧みに扱います。すなわちファイヤーの男です」

「ファイヤー男ですか、燃焼ですね」

「一人は地上の岩を引き剥がしてこちらへ投げつけてきます。すなわちガッツの男です」

「意味が分かりません」

「なぜ意味が分からないのですか」

「ガッツ男は何ゆえにガッツ男なのでしょう」

「岩と引き剥がす勇壮な振る舞い、イコールガッツ男という事ではないでしょうか」

「だとすると攻撃手段から名づけられた他のロボ男らと比較して、岩を引き剥がす勇壮な振る舞いをわざわざ名前にする理由に至った経緯が理解できません」

「しかし理解してもらうほかありません。ガッツの男はガッツの男なのです」

「岩の男ならばロック男ではないのですか?」

「それだと名前が重複します」

「誰とですか」

「もちろん『ロックマン』とです」

「でしたら最初から彼をメイドロボとしておけばよいではないですか。これで万事解決です」

「貴方の勝ち誇る理由が当方には理解できかねます」











「新作になり、新たな敵が出現しました」

「新作?」

「新作の力は強力です。以前は6名だった敵も8名に増加しました」

「なるほど、新作とは強力なのですね」

「そうです、新作とはあらゆる力を増すものなのです」

「承知しました。では、新作の恐るべき実力を教えてください」

「はい、それでは新作に登場する敵キャラをご紹介します」

「お願いします」

「新作のうち一人は空気を味方につけ竜巻を起こします。すなわちエアーの男ですね」

「エアー男ですか、風力ですね」

「新作のうち一人は気泡をこちらにぶつけてきます。すなわちバブルの男ですね」

「バブル男ですか、水圧ですね」

「新作のうち一人は破壊力抜群の爆弾で様々な物体を破壊します。すなわちクラッシュの男ですね」

「クラッシュ男ですか、暴力ですね」

「新作のうち一人は木の葉をばら撒きこちらを丸呑みにします。すなわちウッドの男ですね」

「ウッド男ですか、森林ですね」

「新作のうち一人は鉄製の歯車を高速で回転させ凶器とします。すなわちメタルの男ですね」

「メタル男ですか、硬質ですね」

「新作のうち一人はブーメランを高速で飛ばして凶器とします。すなわちクイックの男ですね」

「ちょっと待ってください」

「どうしました」

「鉄製の歯車を操るのがメタル男ならば、次のクイック男は本来ブーメラン男となるはずです。従ってそのネーミングには納得できません」

「その点はご心配なく。鉄という物体を指した結果がメタル男ならばクイック男の場合はそのハイスピードな仕草を示しているのです」

「だとすると「鋼鉄」の歯車を「高速」で飛ばせば、その敵はメタル男でありクイック男なのですね」

「そう言っても過言ではありません」

「ならば最大公約数的に解釈するとメタル男=クイック男となり、両者の名前を入れ替えてもさほど問題は無いのですね」

「これまでの話ですと、そういう事になります」

「承知しました。私は今後、メタル男とクイック男を適度に入れ換えて使用します」

「ご自由にどうぞ」

「新作の敵キャラは以上ですか?」

「いえいえ、新作の力を侮ってはいけません」

「これは失礼、私は新作を過小評価していたようですね」

「それでは続けます。新作のうち一人は灼熱の炎を巧みに扱います。すなわちヒートの男ですね」

「ちょっと待ってください」

「今度は何ですか」

「確か旧作にも、同程度の能力を持つ敵にファイヤー男が存在したはずです。これでは両者を区別できるほどの特徴が無く、従ってそのネーミングに納得できません」

「その点はご心配なく。ファイヤー男もヒート男も仰る通り、さほど違いはありません」

「ならば最大公約数的にはファイヤー男=ヒート男となり、両者の名前を入れ替えてもさほど問題は無いのですね」

「これまでの話ですと、そういう事になります」

「承知しました。私は今後、ファイヤー男とヒート男を適度に入れ換えて使用します」

「それを止める術はありません」

「新作の敵キャラは以上ですか?」

「いえいえ、新作は力を秘めているからこそ新作なのです」

「これは失敬、また新作を侮ってしまいました」

「それでは続けます。新作のうち一人は強烈な光を放ちその眩さによりこちらの行動を止めます。すなわちフラッシュ男ですね」

「度々話を止めてしまい申し訳無いです」

「また引っかかる点が見つかりましたか」

「先ほど、フラッシュ男の前にクラッシュ男という名前の敵が存在したはずです。どちらも似通っている上に攻撃手段を示さないアバウトな名前ですので、従ってそのネーミングに納得できません」

「その点はご心配なく。フラッシュ男もクラッシュ男も所詮はニュアンスですので、深い意味を追求するには値しません」

「ならば最大公約数的にはフラッシュ男=クラッシュ男となり、両者の名前を入れ替えてもさほど問題は無いのですね」

「これまでの話ですと、そういう事になります」

「更に言えば、「鋼鉄」の歯車を「高速」で飛ばした上で「閃光」を放ち「破壊」を行うと、メタル男やクイック男も広義のフラッシュ男でありクラッシュ男となるのですね」

「確かにそうです」

「更に同じ意見を用いる事で、ファイヤー男やヒート男も広義のフラッシュ・アンド・クラッシュに内包されるのですね」

「反論の余地が存在しません」

「ならば『ロックマン』に登場する全ての敵はフラッシュ・アンド・クラッシュと呼んで差し支えありませんね」

「勿論ですが、この期に及んでようやくメイドロボと呼ばなくなりましたね」











「実はこの他にも様々な新作が『ロックマン』の行く手を阻むのです」

「なるほど、それは楽しみです。早く紹介してください」

「拒否します」

「何故ですか」

「難易度が低いからです」

「難易度?」



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