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★★       条 文 の 解 説        ★★

建物の区分所有等に関する法律

(この解説においては、略称:区分所有法 と言う)

第1章 建物の区分所有 第8節 復旧及び建替え

第六十一条 建物の一部が滅失した場合の復旧等
第六十二条 建替え決議
第六十三条 区分所有権等の売渡し請求等
第六十四条 建替えに関する合意

[-a.第61条(建物の一部が滅失した場合の復旧等)

マンション管理士・管理業務主任者を目指す方のために、区分所有法を条文ごとに解説しました。 

試験問題は、過去の問題から出されるのではありません。条文から出題されます。

条文を勉強することが、合格への道です。

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凡例:各条文は、黒字にて表示。解説は条文の下に緑字にて表示
 

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第一章 建物の区分所有
第八節 復旧及び建替え
 
(建物の一部が滅失した場合の復旧等)
第六十一条
1項 建物の価格の二分の一以下に相当する部分が滅失したときは、各区分所有者は、滅失した共用部分及び自己の専有部分を復旧することができる。ただし、共用部分については、復旧の工事に着手するまでに第三項、次条第一項又は第七十条第一項の決議があつたときは、この限りでない。
   
過去出題 マンション管理士 H18年、H15年、H14年、
管理業務主任者 H18年、H14年、

建物価格の1/2以下の滅失...専有部分(室)は、持主が独自に復旧できるが、他人もからむ共用部分の復旧は制限がある。
    この第61条も複雑な条文で、整理が必要。
    建物価格の1/2以下か1/2超かで、共用部分の復旧をするか、建替えるかなど規定が異なる。
    また、建物価格の1/2以下であって、該当の部分での専有部分・共用部分の割合は問われていない

復旧...滅失前の状態に戻すこと。元の形を変えると、共用部分の変更となり、復旧ではなくなる。変更は別の共用部分の変更の規定(区分所有法第17条など)の適用になる。

★この条文も分かりにくいでしょう。その原因は、参照されている条文が、第3項とか次条とか、まだ読んでいない所にあるためです。
  まったく、後の条文が出てくるとは、法律の構成が悪く作る時の不手際です。

  また、今後出てきます「建替え」との関係、決議を待てない緊急時における対応方法、時価の決め方など、第61条は改正がなされても、不明な点が多い条文です。

★共用部分の復旧が多数決の制約をうける...区分所有者個人の物である専有部分は、自分で勝手に復旧していい。共用部分もすでに工事に着手していれば、費用は請求できる(2項)

<参照>区分所有法第61条3項:
 第一項本文に規定する場合には、集会において、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。

★規定されている次条第1項とは、区分所有法第62条1項で、まだ勉強していない複雑な建替え決議の場合です。

<参照>次条第1項;区分所有法第62条1項:(建替え決議)
 集会においては、区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、建物を取り壊し、
かつ、当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に
新たに建物を建築する旨の決議
(以下「建替え決議」という。)をすることができる。

★そして、区分所有法第70条1項は団地内の一括建替え決議の場合です。これも、参照条文が多くて、まったく読み難い条文。

<参照>区分所有法第70条1項 :(団地内の建物の一括建替え決議
 団地内建物の全部が専有部分のある建物であり、かつ、当該団地内建物の敷地(団地内建物が所在する土地及び第五条第一項の規定により団地内建物の敷地とされた土地をいい、これに関する権利を含む。以下この項及び次項において同じ。)が当該団地内建物の区分所有者の共有に属する場合において、

当該団地内建物について第六十八条第一項(第一号を除く。)の規定により第六十六条において準用する第三十条第一項の規約が定められているときは、
第六十二条第一項の規定にかかわらず、
当該団地内建物の敷地の共有者である当該団地内建物の区分所有者で構成される第六十五条に規定する団体又は団地管理組合法人の集会において、
当該団地内建物の区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、
当該団地内建物につき一括して、その全部を取り壊し、かつ、当該団地内建物の敷地(これに関する権利を除く。以下この項において同じ。)
若しくはその一部の土地又は当該団地内建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地(第三項第一号においてこれらの土地を「再建団地内敷地」という。)に
新たに建物を建築する旨の決議(以下この条において「一括建替え決議」という。)をすることができる。

ただし、当該集会において、当該各団地内建物ごとに、
それぞれその区分所有者の三分の二以上の者であつて第三十八条に規定する議決権の合計の三分の二以上の議決権を有するものがその一括建替え決議に賛成した場合でなければならない。

(注:後で出てくる団地関係での集会では、「一括の建替え決議」は出来ますが、一棟の「一部滅失の復旧の決議」は出来ません。団地関係には、この第61条は準用がない。) 

★第61条は「建物の一部滅失に関する規定」です。

 木造にせよ、鉄筋コンクリート造りにせよ、建物は数十年以上の利用ができる耐久消費財ですから、利用不可能な状態となり「建替え」という時期に至るまでに、火災や爆発、地震などの事故によりその建物の一部が壊れる可能性は否定できません。
そこでまれであっても起こりうる事態に備えた規定が第61条です。

 本第61条の構成は、建物の滅失に関して2つの部分からなっています。

  ア. 1項から4項までが、建物の価格が 1/2以下 の「小規模滅失による復旧」、

  イ. 5項から13項までが、建物の価格が 1/2超 の「大規模滅失による復旧」

  の規定となっており、滅失の規模の大小を判断するのは、建物価格の1/2以下の滅失かどうか、がその基準となっています(1項・5項)。

★ 金額を判断基準とした
 滅失の判断基準としては、失った面積の大小による区分もありえますが、マンションで壊れた廊下や階段を復旧するときの費用は区分所有者全員が分担しますから、この条文のように金額面での区分も合理的といえるでしょう。

 今後出てきます条文を踏まえ、纏めると下のようになります。

★建物の一部の滅失

 建物の価格」とは1棟全体の建物の価格であり、区分所有建物は、@専有部分と A共用部分 で構成されますからその価格も専有部分と共用部分の合算額で計算されます。
 換言すれば、滅失の対象は専有部分と共用部分の双方であるということです。

 この場合、滅失した建物の価格はその交換価値(価格)を近隣事例等で評価して決定することになるのでしょうが、建物は経年劣化し且つ陳腐化してゆきますから、その価格は新築時から日を経る毎に低下してゆくことは避けられません。

 そのため、滅失した建物の価格がその復旧費用に遥かに及ばないことも起こり得ます。

 小規模滅失とされる、建物価格の1/2以下は分かり易い基準ではありますが、建物の価格以上の復旧費用(修繕費)が必要という場合には、建物価格でなく復旧費用が建物価格の全体の1/2以下という基準も立法論的にはあるかもしれません。

 この点、小規模滅失(価格の1/2以下)の場合は規約で別段の定めが認められます(4項)から、復旧費用のような要件を規約で設定することも当然可能と思われます。

 なお、小規模滅失であっても、復旧するのに費用がかかり、それならもう直さずに、全部壊して「建替え」にしようと大多数の区分所有者が判断すれば本第61条の「復旧」ではなく、あとで出てきます第62条の「建替え」や、団地であれば第70条の「一括建替え」を選択できることは勿論です。

 本1項は、それらを規定しています。

そして、集会において建物を壊す「建替え」を選択した場合には、復旧しても無意味ですから、区分所有者個人の権限で共用部分を復旧することはできなくなります(1項但書、たとえ復旧しても費用の償還は得られません)。

★滅失とは
  滅失」とは、物の効用が消滅することをいい、必ずしも建物が物理的に消滅する場合に限ったものではありません。
 社会的、経済的にみて建物としての効用が失われることも含みます。
 地震、土砂崩れやクレーン車転覆、脱線列車の突入、ガス爆発等による建物の一部倒壊にかぎらず、火災等で建物の外観上は住めるようであっても、内部が使用できない状況であれば滅失したといえます。

 なお、滅失した原因に関して本第61条は何ら規定がありませんから、天災地変による場合であろうと人災であろうと手続きに変りはありません。

 また、滅失の原因によっては加害者から賠償金が受領できることや保険金が出ることがありえますがそれがこの手続きに無関係である点も同様です。

★建物全部滅失の場合 −区分所有法から外れる−
  ここで、注意しなければいけないのは、本第61条で定めているのは、小規模滅失にせよ、大規模滅失にせよ、滅失の程度の差があってもまだ区分所有建物が一部は残っている状態です。

 地震や火災により建物が全部滅失した場合には、区分所有法で定める、建物の専有部分が1つも存在しなくなったので、法的に「区分所有関係」がなくなり、区分所有法による集会を開いて「復旧」や「建替え」の決議ができません。

 そこで、建物全部滅失の場合は、民法被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法(被災マンション法)の適用で再建を行うことになります。


★マンションで、民法の共有関係を採用するのは困難
 多くのマンションが倒壊した事例としては、平成7年(1995年)1月17日に発生した震度7の「阪神・淡路大震災」があります。

 今まで勉強してきたように、マンションという共同住宅では、民法第251条で定める共有関係の「共有物の変更には全員の同意を得る」ことが不可能である現実から、区分所有法では多数決の原理を特別法として採用しました。
 しかし、地震の発生で建物が全部倒壊したため、区分所有法の建替えや復旧の手続きはとれず、また
民法に戻ったため、倒壊の程度の判定の困難さや全員の合意が得られないなどでマンションの再建がまとまりませんでした。

 そこで、敷地共有者の4/5以上の多数決で建物が再建できる、「被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法(被災マンション法)」が平成7年3月24日に急遽施行されたというわけです。


建物の価格の2分の1以下(小規模滅失)に相当する部分が無くなったときには、各持主(区分所有者)が、自分の室だけでなく、無くなった共用部分も単独で復旧していい。(自分の専有部分は、いつでも直せる。規約があるとそれに従うが。)

    (問題点はある:建物の価格は、どう見積もっているのか? 購入時の価格は影響しないのか? 現在の時価なら経年の係数はあるのか? 地価はどう反映するのか? 誰が判断するのか?)

    ◎しかし、共用部分は、勝手には直せない。復旧工事をする前に集会の決議があれば、それに従うこと。
      決議前に、既に復旧に着手していれば、そのまま復旧を完成させていい。

    ◎また、「建替の決議」があれば(第62条1項、第70条1項(団地))直せないし、規約があれば、それに従う(4項)

    みんなの共用部分を直したときは、他の持主に対して、専有部分の床面積の割合(第14条)で、費用を請求できる。(2項)

間違えないように。専有部分の復旧は、自己負担で、いつでもできる。他の人に影響する共用部分の復旧が制約を受ける。 


★自分の専有部分が全部滅失しても、依然としてそのマンションの区分所有者である。
 建物の部分である専有部分(室)が無くなれば、区分所有法で定める区分所有権も無くなり、該当の専有部分を持っていた人は、区分所有者で無くなると考えた人もいるでしょう。
 滅失では、この場合でも区分所有者として扱われます。


★どうやって復旧するのか?
 災害等により階段や廊下が欠けた時などは、復旧のイメージもできますが、上下階の部屋が崩れ落ちてなくなった場合、どのようにして復旧するのでしょか。
 下の階の人が自分の専有部分はもう復旧しないと言ったら、上の階の人は下の階の床や壁(共用部分)を復旧することになるのでしょうが、集会は復旧しないと決議したら、費用負担はどうなりますか?
 暇な時に考えてください。


★JR福知山線脱線事故とマンションの損壊

  お覚えているでしょう。
  2005年4月25日午前9時18分頃に西日本旅客鉄道(JR西日本)福知山線尼崎駅 - 塚口駅間で列車が脱線し、107名の死者と負傷者562名を出す未曾有の大惨事となった事故です。
 この事故の列車は7両編成で、列車の前5両が脱線し、そして先頭の2両が線路脇の9階建てマンションに激突しました。
 先頭車両は1階駐車場へ突入、2両目はマンション壁面へぶつかり原形をとどめない形で大破しました。線路とマンション間の距離は6mしかありませんでした。

 その被害を受けた、マンションには47世帯が居住していましたが、倒壊した場合などに備えてJRの用意したホテルなどへ避難しました。

 JR西日本は電車が激突したマンションを買い取り、慰霊碑を建てることを検討していると発表し、2006年12月20日、補償交渉がまとまり、マンションの所有権がJR西日本に移ったことが分ったとのことですが、事故調査委員のJR西日本への情報の漏えい問題の発覚もあったせいか、2010年2月現在では、まだマンションは取り壊されていないようです。


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第六十一条

2項  前項の規定により共用部分を復旧した者は、他の区分所有者に対し、復旧に要した金額を第十四条に定める割合に応じて償還すべきことを請求することができる。

過去出題 マンション管理士 H18年、
管理業務主任者 未記入

★小規模滅失で立替えた共用部分の復旧費用の清算

 1項の規定により、専有部分の復旧とそれに付随する共用部分の復旧をした場合、専有部分については当該所有者自身の物である以上その費用の全額はその者が負担しますが、共用部分についてはそれを共有する全ての者(全体共用部分か一部共用部分かでその範囲は異なる)の物である以上、他の共有者が復旧をした者から受けた利益の償還が問題となります。

 この場合は、自分の持分を超えた部分の復旧は、他人の事務管理に関することであり「義務無くして他人のために事務を処理した」のですから民法第697条の事務管理が成立し、他の人に対して民法第702条1項に基づく費用償還請求権が認められることになります。

<参考>民法第697条(事務管理)
第六百九十七条  義務なく他人のために事務の管理を始めた者(以下この章において「管理者」という。)は、その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法によって、その事務の管理(以下「事務管理」という。)をしなければならない。

<参考>民法第702条(管理者による費用の償還請求等)
第七百二条  管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる。

 第61条2項はこのことを確認した規定といえます。

◎更に、民法で規定する事務管理はいわば黙示の委任ですから委任の規定が準用され、その旨定めた民法第701条には規定がないものの委任に準じるというの趣旨からすれば民法第702条1項の解釈には民法第650条の規定を補って読むべきでしょう。

<参考>民法第650条(受任者による費用等の償還請求等)
第六百五十条  受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。
2  受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。この場合において、その債務が弁済期にないときは、委任者に対し、相当の担保を供させることができる。
3  受任者は、委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができる。

 従って、復旧費用の支出時からの利息も償還対象となります。

★規約で別段が定められる −小規模滅失なら−
 この場合の各区分所有者の償還すべき額(負担額)は持分に応じるのが当然であり(2項)、それは区分所有法では原則として第14条の割合によりますが、規約で別の持分の定めがあればそれにより、またこのような場合の費用負担割合が持分と別に規約で定まっているのなら更にそれによることになります(4項)。

 なお、この償還額(負担金)が一時で支払うには多額になるような場合には、支払の請求を受けた区分所有者は、裁判所に申し立てることで支払の猶予期間が与えられることがあります(13項)。

<参照>区分所有法 第14条: 各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。

★区分所有法の解説ももかなり後半に入ったので、前の区分所有法第14条の復習です。

    ★民法の共有では、持分は均等になる。でもマンションでは広さが違うので不公平。そこで、自己所有部分の床面積での比例配分にした。

      しかし、規約で別の定め可(第14条4項)。

<参照>共有 民法第250条: (共有持分の割合の推定) ;各共有者の持分は、相等しいものと推定する。

区分所有法:第14条2項  前項の場合において、一部共用部分(附属の建物であるものを除く。)で床面積を有するものがあるときは、その一部共用部分の床面積は、これを共用すべき各区分所有者の専有部分の床面積の割合により配分して、それぞれその区分所有者の専有部分の床面積に算入するものとする。

      ★ しかし、規約で別の定め可(第14条4項)。

区分所有法:第14条3項  前二項の床面積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積による。

        ★専有部分の床面積の算出方法には、2種類ある。

         @壁心計算...壁の中心から計算する。

         A内法(うちのり)計算...壁の内側から計算する。 <---区分所有法はこれで(原則)

           どうして、これが問題になるかというと、一般の建物は壁心計算だから。

<参考>建築基準法 施行令第2条1項3号
三  床面積 建築物の各階又はその一部で壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積による。

<参照>不動産登記規則 第115条(建物の床面積)
 建物の床面積は、各階ごとに壁その他の区画の中心線(区分建物にあっては、壁その他の区画の内側線)で囲まれた部分の水平投影面積により、平方メートルを単位として定め、一平方メートルの百分の一未満の端数は、切り捨てるものとする。

        

         しかし、規約で別の定め可(第14条4項)。

区分所有法: 第14条4項  前三項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。

           ★規約があれば特に専有部分を考えなくていいということ。内のり面積を壁心面積にもしてもいい。

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第六十一条

3項  第一項本文に規定する場合には、集会において、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。

過去出題 マンション管理士 H18年、H14年、
管理業務主任者 H19年、

小規模滅失は集会で復旧の決議をすることができる...建物の価格の2分の1以下でも、共用部分はみんなの物なので、工事に着手する前に復旧するかどうかを集会で決めてもいい。(普通決議=過半数 でいい

★また、小規模滅失なら、集会を開かずに、事前に規約で取り扱いを定めることができる。(4項)。 ただし、大規模滅失の場合は、規約での定めはできない。必ず、毎回集会を開くこと。

★本第61条1項の但し書きで引用された規定です。
  共用部分の復旧の費用は、最終的には各区分所有者が負担するため、集会の決議があれば、もう区分所有者が個別では復旧できません。
 ただし、小規模滅失という程度が軽いことを前提に、規約での別段の定めも許されています。(4項)

★この普通決議ができるのは、あくまでも復旧であり、共用部分を滅失前の状況と異なる「形状又は効用の著しい変更を伴う状態にする」場合(区分所有法第17条)には、特別決議になる。

<参照>区分所有法第17条:(共用部分の変更)
第十七条  共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。
2  前項の場合において、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。

★決議が否決になったら
  復旧決議が否決されれば、過半数の人が希望しないので、個別での復旧はできなくなり、その共用部分はそのままになります。保存行為はできます。
 保存行為でかかった費用は、他の区分所有者に請求できます。

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第六十一条

4項  前三項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。

過去出題 マンション管理士 H16年、
管理業務主任者 未記入

妨げない...建物の価格の1/2以下の滅失(小規模滅失)の場合には、共用部分の復旧については、規約で別の方法を規定すれば規約が優先する。

*前三項の規定...区分所有法第61条1項、2項、3項をさす。
             規約の設定ができるのは、小規模滅失の場合だけで、大規模滅失(建物の価格の1/2超)では、別途の規約は作れない

この、小規模滅失と大規模滅失、建替えは全体で出題されやすいので注意のこと

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第六十一条

5項  第一項本文に規定する場合を除いて、建物の一部が滅失したときは、集会において、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。

過去出題 マンション管理士 H19年、
管理業務主任者 H19年、H17年、

第一項本文に規定する場合を除いて...建物の価格の 1/2超 の滅失の場合、共用部分の復旧はこの5項の適用となる。(大規模滅失という)
                            (分かり難い第61条1項本文をよく読めといっていますよ)

★規約で別段の定めはできない...小規模滅失(建物価格の 1/2以下 の滅失)なら、規約で別段の定めを認める(3項)が、大規模滅失(建物価格の 1/2超 の滅失)では、規約での別段の定めはできない。必ず、集会を開き、復旧か建替え(第62条参照)か、するのか、しないのかを決議すること。

  他の人もからむ共用部分の復旧が決議の対象で、専有部分の復旧は、建物価格にかかわらず、小規模滅失でも、大規模滅失でも、いつでも持主(各区分所有者)が決議がなくても復旧できる。

<参照>第1項本文に規定=1項 
 建物の価格の二分の一以下に相当する部分が滅失したときは、各区分所有者は、滅失した共用部分及び自己の専有部分を復旧することができる。

 

★建物の価格の2分の1を越える部分の滅失 ー大規模滅失

 第61条1項から4項までが、小規模滅失(建物の価格の2分の1以下)の場合を規定し、この5項から建物の価格の2分の1を越える部分が滅失した場合 ー大規模滅失ー を規定します。

 大規模滅失の場合には、各区分所有者が単独で共用部分を復旧することはできず、復旧には集会の特別決議が必要とされます(5項)。
また、小規模滅失では、規約での別段の定めが可能でしたが、建物の価格の2分の1を越える部分が滅失した場合(大規模滅失)に該当する場合は、規約での別段の定めはできず、すべて集会の開催が必要となります。

 集会を開かせる理由は相当多額の費用が見込まれる大規模滅失の場合には、とりあえず復旧し、あとで全員で費用を分担するとなると、各区分所有者もそんなに費用がかかるなら、復旧でなくて、建替えの方法もあるのではと、検討をさせるものです。


建物の全部滅失の場合 はどうなるのか −大規模滅失ではなくなるー

 なお、建物の一部の滅失は、大規模滅失や小規模滅失であっても建物の価格により、この第61条に規定されますが、大規模滅失が大きくなり、100%完全に建物が滅失した場合は、この第61条の規定では対応できません。

 それは、建物が全部滅失すると、建物にあった専有部分を目的とした区分所有権は当然に消滅し(物の支配を目的とする所有権は物がなくなったら存続させる意味がなくなって消滅します。)、区分所有法で定める団体(管理組合)も消滅し、残るのは敷地利用権(土地)と、もとは建物であった残骸を共同で有する人です。

 単なる土地の共有者の集合では、当然には団体は構成されません。
 区分所有法で定める、建物の専有部分が存在しなくなり、「区分所有関係」がなくなるので、民法被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法(被災マンション法)の適用で再建を行うことになります。
ただし、100%の滅失と99%の滅失を区別するのは現実的には不可能で結局、社会通念(常識の法律用語)によるしかありません。


★小規模滅失(建物価格の2分の1以下)と違って、建物価格の2分の1を超える(大規模滅失)ときは、他の人に対しても影響が大きいので、個人で勝手な共用部分の復旧は許さない。

  ★特別に4分の3以上多数の賛成が必要で「特別決議事項」と呼ばれる。(その8の5)

★復旧が否決されたら、どうなるのか
  この大規模滅失も、小規模滅失と同じように、集会で復旧が否決されたら、その共用部分はもうそのままです。ただし、保存行為は行えます。(壊れた物の保存行為は限度があるでしょうが)
  また、復旧の決議とは別に、建替えの決議(第62条)は可能ですので、マンションの住民は建替えを検討することになるのか、ほったらかしにするのか選ぶことになります。


{設問}大規模減失(建物の価格の2分の1以下に相当する部分の減失以外の減失をいう。)が生じた場合の共用部分の復旧については、規約で定めれば、集会の決議を経ることなく管理組合が復旧するものとすることができるか。

答え:出来ない。区分所有法第61条4項によれば小規模滅失(建物の価格の2分の1以下に相当する部分の減失)の場合については規約の定めが出来るが大規模滅失では定めがなく、規約で別段の定めは出来ない。

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第六十一条

6項  前項の決議をした集会の議事録には、その決議についての各区分所有者の賛否をも記載し、又は記録しなければならない。

過去出題 マンション管理士 未記入
管理業務主任者 未記入

賛否を記載・記録しなければならない...大規模滅失での共用部分の復旧に「賛成・反対」は非常に重要で、金銭負担と、あとで出てくる(7項)買取請求などで使用するので、必ず議事録に記載または記録が必要。

★復旧の決議に賛成したか反対したかで、今後その者の権利義務に次の7項以降に規定されるように差が発生します。

 そのため誰が賛成し、誰が賛成しなかったかを明確にしておく必要がありますから、この大規模滅失の総会の議事録には各区分所有者の賛否を明記することとされます。

 なお、改正法で集会議事録に従前の書面の他電磁的記録も追加されましたから(第42条)、この決議の議事録でも当然に電磁的記録が含まれます。
 「記載又は記録」となっているのは、その意味です。

<参照>区分所有法第42条1項(議事録)
第四十二条  集会の議事については、議長は、書面又は電磁的記録により、議事録を作成しなければならない。

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第六十一条

7項  第五項の決議があつた場合において、その決議の日から二週間を経過したときは、次項の場合を除き、その決議に賛成した区分所有者(その承継人を含む。以下この条において「決議賛成者」という。)以外の区分所有者は、決議賛成者の全部又は一部に対し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。この場合において、その請求を受けた決議賛成者は、その請求の日から二月以内に、他の決議賛成者の全部又は一部に対し、決議賛成者以外の区分所有者を除いて算定した第十四条に定める割合に応じて当該建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。

過去出題 マンション管理士 H20年、H19年、H14年、
管理業務主任者 未記入

★決議賛成者の全部とか一部など、分かり難い。注意して読むこと。また、前段・後段で8項以下の適用があるので、これも注意のこと。

★決議に賛成した区分所有者以外の区分所有者...大規模滅失の集会での反対・棄権・欠席者

★買取請求...形成権である。これは、単独の意思表示のみによって法律効果を生じさせることのできる権利のこと。
  法文に形成権という概念が示されているわけではないが、講学上、法律行為の分類として用いられる。 具体的には、解除権・予約完結権・取消権・相殺権などがある。

  債権のように明文ではないため、時効期間が問題となるが、判例は債権に準じて10年としている。 もっとも、形成権の中には独自の時効・除斥期間が規定されているものもあり(例:取消権)、その場合には規定による。
  前に説明した、区分所有法第10条での区分所有権売渡請求や、後で出てくる、建替え(第63条)での区分所有権などの売渡請求も、形成権です。

  請求権者の一方的な意思表示で、相手方との売買契約が成立します。
 具体的には、相手方は、売買代金を時価で支払う義務を負い、その建物及び敷地に関する権利を取得し、請求者は、その引渡し・移転登記の義務を負います。

★少数の保護 −反対者等はマンションから出ていく−
 第61条5項の規定により、復旧決議が成立した場合は、復旧をすることになります。

 区分所有法では復旧決議に限らず、すべての集会での決議された内容は、反対者や集会の欠席者も含めて区分所有者全員を拘束します。
しかし、小規模滅失の復旧とは異なり、費用が大きいことが想定される大規模滅失の復旧の場合には、負担費用の額や復旧しても必ずしも元の状態に価値が復元されるわけではないこと等から復旧に反対する人の利益擁護のため、決議の日の2週間後(初日不算入)から、賛成者の全部または一部の者に対して、反対者等は自己の建物の権利及び敷地に対する権利を「時価での買取を請求する」ことにより、マンションから出ていく、つまり、区分所有関係・管理組合からの離脱ができることとしています(7項)。

「買取請求ができるのは決議に賛成しなかった者」ですから、反対者・棄権者・欠席者がこれに該当し、集会に出席しなくても、書面決議や委任状で賛成した者は当然に賛成者となります。

 買取請求を受けるのは、決議賛成者及びその承継人(包括承継人は勿論、特定承継人も含む:区分所有法第46条1項参照。)です。
決議賛成者が買取指定者を決めた場合には、決議賛成者に代わって、その買取指定者が買取請求を受けます。(8項)

 反対者・棄権者・欠席者の承継人は、包括承継の場合には被承継人の地位を全人格的に承継するので買取り請求権も承継しますが、特定承継の場合は復旧決議のある区分所有者関係に入った点において賛成者の特定承継人と変りはありませんから賛成者の承継人に準じて買取請求権はないものというべきでしょう(第46条)。

◎反対の人も復旧決議に拘束されていますから、必ずしも参加できないというわけではなく、買取請求権を行使せずに参加することもできます。

 しかし、復旧の決議はなされたが買取請求の支払いで復旧資金が捻出困難となる場合もありえますから、集会を開催するにあたっては、非賛成者は一応買取請求をすることを前提に復旧計画を立案すべきでしょう。

★大規模滅失の復旧決議に反対した人や議決権を行使しなかった人は、決議に賛成した人(全員でも特定の一人でもいい)に対して、決議の2週間後から建物と敷地利用権を「買い取れ」と請求できる。
 なお、復旧決議の賛成・不賛成者などは、その集会の議事録に記載・記録されています。(6項)

    ◎この2週間の間に復旧に賛成した人たちは、自分たちで買い取るか、また他に「買取できる人(買取指定者=ディベロッパーなど)」を指定するか検討する。(参照:8項)

★買い取れと請求できる相手は、賛成した人なら誰に対してもいい。

     賛成した全員でもいいし、その一部(管理組合の理事長一人または理事数名)でもいいし、隣人とかの個人に対して請求できる。
     買取請求が特定の人に集中したら、かなりの資金が必要となる。すごい話だけど。

     そこで、買取請求を他の区分所有者に移したり(7項後段)、買取指定者を決めること(8項)ができるようになっています。

★この買取請求があると、請求された人の承諾がなくても売買契約は、直ちに成立しているので注意。(一方の単独行為で成立する。形成権という

     買取請求により、相手方は請求した人の建物(専有部分と共用部分の持分)の権利とその敷地に関する権利(敷地利用権)を取得し、時価で売買代金の支払義務を負う。

     売買代金が直ちに支払えないときは、裁判所に訴えて「相当の期間」待ってもらえる(13項)

     *買取請求権が形成権ということは、
       請求の意思表示だけで、同時に当事者間に売買契約が成立し、売主には移転登記義務が生じ、買主には時価による代金支払い義務が生じています。

★買い取れと指定された人が買い取れないときは、2ヶ月以内に賛成した他の人たちに、買取請求を移すこともできる。(7項後段)(再買取請求制度
  買取請求者は、特定の決議賛成者だけに買取請求権を行使できますから、その特定の決議賛成者が全ての買い取りに応じられればいいのですが、そうでない場合もあります。
 そのような場合には、裁判所により、代金の支払いを延ばしてもらい(13項参照)、請求を受けた日から2ヶ月以内なら、他の決議賛成者に共用部分の持分割合に応じて(第14条参照)時価で建物とその敷地に関する権利を再び買取請求ができるという、複雑な仕組みになっています。

     負担金額の割合は、第14条による。

 <参照> 区分所有法第14条 共用部分の持分の割合:
各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。

★共有では、持分は均等になる。でもマンションで広さが違うのに不公平。そこで、自己所有部分の床面積での比例配分にした。

  しかし、規約で別の定め可(第14条4項)。

<参照>共有 民法 第250条: 
各共有者の持分は相均しきものと推定す。

 <参照>区分所有法  第14条2項
 2  前項の場合において、一部共用部分(附属の建物であるものを除く。)で床面積を有するものがあるときは、その一部共用部分の床面積は、これを共用すべき各区分所有者の専有部分の床面積の割合により配分して、それぞれその区分所有者の専有部分の床面積に算入するものとする。

 ★ しかし、規約で別の定め可(第14条4項)。

★「建物及びその敷地に関する権利」と「区分所有権及び敷地利用権」の違い
  買取請求の対象になっているのは、建物及びその敷地に関する権利です。
  具体的には、専有部分、共用部分の共有持分、専有部分を所有するための敷地に関する権利などで、これは売渡請求権を定めた規定(第63条4項など)では「区分所有権及び敷地利用権」となっていて、殆ど内容は同じですが、滅失により、その区分所有者の専有部分が無くなっている場合を想定したとのことです。

★時価とは −決めるのが難しいー
  買取請求権の時価を算定する基準は、買取請求権が行使された時でいいのですが、価格の決定には、災害にあったマンションでは特に争点になっています。

  1.無被災説
    時価=被災のないことを前提とした建物価格 − 復旧工事費

  2.被災前提説
    時価=被災があったことを前提とした建物価格 − 復旧工事費

   無被災説の方が、時価は高くなり、買取請求者と決議賛成者(買取請求を受ける者)での争いです。判例は 1.無被災説 をとっているようです。

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第六十一条

8項  第五項の決議の日から二週間以内に、決議賛成者がその全員の合意により建物及びその敷地に関する権利を買い取ることができる者を指定し、かつ、その指定された者(以下この条において「買取指定者」という。)がその旨を決議賛成者以外の区分所有者に対して書面で通知したときは、その通知を受けた区分所有者は、買取指定者に対してのみ、前項前段に規定する請求をすることができる。

過去出題 マンション管理士 H20年、H14年、
管理業務主任者 未記入

★建物と敷地に関する権利を買い取れといわれても、賛成者にお金が無ければ、決議から2週間以内に賛成者は全員で合意して、「買取指定者(ディベロッパーなど)」を指定する。この買取指定者(複数でも可)が、反対者などに、決議から2週間以内に反対者などに書面で、私が「買います」と通知すれば、反対者などは、買取指定者に買取の請求をする。これで、他の賛成者の方に買い取れとはいえなくなる。

前項(復旧)の決議後2週間以内に、買取人を指定する。この2週間があるから、7項では反対者などは決議後2週間を経過しないと「買取請求」が出来なくなっている。

★買取指定者は、賛成者が全員の合意で選任し、これを受諾した買取指定者は就任の旨を書面で決議に賛成しなかった区分所有者に通知する必要があります(8項)。
 この買取指定者の通知がなされると、通知を受けた区分所有者は、もうその買取指定者に対してだけ、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取れとの請求(前項前段=7項前段)ができます。

 なお、決議賛成者の全員の合意で、買取指定者に指定されても当然には買取指定者になりません。この場合、指定された者の承諾が必要なのは云うまでもありません。

 買取指定者の指定・通知期間は決議から2週間以内と短い期間ですから、現実には復旧決議の賛成者は、あらかじめ買取指定者の決議(賛成者の全員一致が必要)を行うことになるでしょう。

 この買取指定者の資格には特に制限がありませんから、だれでもよく、また人数の制約もありません。
全部の室の買取を希望する区分所有者がいればその人でもいいし、区分所有者である必要もありませんから外部のディベロッパーや建設会社など資力のある第三者や開発に興味を示す法人でもかまいません。

 もっとも、買取指定者に就任したという通知は個別通知ですから、通知漏れや通知が遅れたりすると、反対者などからは、「買取指定者に請求すべき者」と「賛成者に請求すべき者」が混在する危険もありますので漏れがないようにすることです。

 なお、複数の者が買取指定者に指定された場合には、これら複数の買取人が共同買主となります。その売買代金の支払いは、当事者間で特別に連帯債務とするなどの取り決めがなければ、民法の規定により、売買代金を人数で均等に分割した金額で支払う義務を負います。(民法第427条参照)

<参照>民法第427条 (分割債権及び分割債務)
第四百二十七条  数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う。

    (*注):ここ復旧では「買取(かいとり)指定者」であとの建替決議(第63条4項)では「買受(かいうけ)指定者」になっているので注意のこと。

★現実には、買受指定者は、復旧集会の前に決めておかないと、指定や通知など日にちが少ないので注意のこと。


★買取指定者は、決議賛成者の全員の合意を必要とする −多数決でもいいのでは?
  法改正時に、全員の合意でなく、ここも多数決で、買取指定者を指定できるようにしたらという話もあったようですが、保証責任を持たせるには、全員の合意が必要と考えたとのことです。


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第六十一条

9項  買取指定者が第七項前段に規定する請求に基づく売買の代金に係る債務の全部又は一部の弁済をしないときは、決議賛成者(買取指定者となったものを除く。以下この項及び第十三項において同じ。)は、連帯してその債務の全部又は一部の弁済の責めに任ずる。ただし、決議賛成者が買取指定者に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、この限りでない。

過去出題 マンション管理士 未記入
管理業務主任者 未記入

★指定した買取者に資力が充分にない(買い取り金を払えない)と困るので、そのときは、決議の賛成者の連帯責任となる。民法第432条以下の適用となる。

    勿論、買取指定者がお金を持っていることを、証明すれば、連帯責任は逃れられる。

★買取指定者の資力増強策として、選任した決議賛成者の選任責任として買取資力の保証責任が認められています(9項)。

 即ち、買取指定者が代金を支払わない時は決議賛成者は連帯してその支払い(遅延損害金も含む)の責めを負うこととされています。

ただし、この責任は二次的な保証人(補充性)ですから、検索の抗弁権(主たる債務者である買取指定者に執行の容易な資力が認められることを証明して請求を拒絶する権利。民法 第453条)が認められています(但書)。

<参照>民法第453条(検索の抗弁)
第四百五十三条  債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。

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第六十一条

10項  第五項の集会を招集した者(買取指定者の指定がされているときは、当該買取指定者)は、決議賛成者以外の区分所有者に対し、四月以上の期間を定めて、第七項前段に規定する請求をするか否かを確答すべき旨を書面で催告することができる。

過去出題 マンション管理士 未記入
管理業務主任者 未記入

★復旧決議(5項)があっても、反対者・棄権者・欠席者が「買い取り請求」をいつまでもしないと、権利関係が確定しないので、4ヶ月以上の期間を定めて、買取請求をするかどうかの回答を要求できる。必ず「書面」で催告すること。

★この期間内(4ヶ月以上の期間)に、買取請求をしなかった反対者などは、もう買取請求が出来なくなる。(11項)



★催告できるのは
  @5項で定める「復旧の集会」を招集した者です。
  A8項で「買取指定者」として、指定された者がいる時には、その人が、集会の招集者に代わって催告できます。

★具体的な書面の文章は?
  4ヶ月以上の期間となっていますから、「本催告を受けた日の翌日から4ヶ月以内に、買取請求をするのか、しないのか、xxxまで、ご回答ください。」のようになります。

  そして、回答は、必ずしも書面でなくても、発信した時に効力を生じる(契約の発信主義、民法第526条1項参照)と解されますが、意思表示をした日付を入れて書面で行うべきです。

<参照>民法第526条 (隔地者間の契約の成立時期)
第五百二十六条  隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する。

2  申込者の意思表示又は取引上の慣習により承諾の通知を必要としない場合には、契約は、承諾の意思表示と認めるべき事実があった時に成立する。


★何故、催告期間は「4か月以上」と定めたのか?

 法案作成者は、次のように説明しています。

 1.区分所有権を保持するのか、買い取らせるのか検討に必要な期間が必要
   復旧決議があれば、工事費を負担してマンション内にとどまることになりますが、マンションの外にでることを選んだ場合(買取請求を行う)には、引っ越し先を確保する必要があるため、猶予期間は必要。

 2.4ヶ月でいいのか?
   建替え決議での売渡請求権の行使期間が最長で、催告の日から(2ヶ月+2ヶ月の)4ヶ月であることから、これとの均衡で4ヶ月とした。(第63条2項、4項参照)

 期間にしろ法律は案外簡単な理由で定まるものですね。

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第六十一条

11項  前項に規定する催告を受けた区分所有者は、前項の規定により定められた期間を経過したときは、第七項前段に規定する請求をすることができない。

過去出題 マンション管理士 未記入
管理業務主任者 未記入

★買取請求をするのか、しないのかの催告を受けた後、この期間内(4ヶ月以上の期間)に、意思表示をしなかった反対者などは、もう買取請求(7項前段の規定)が出来なくなる。

 これにより、請求者・支払者などの権利関係が確定する。

★「買取請求」ができなくなった人の、権利はどうなるのか
  区分所有法では、この後の規定がないため、催告を受けて4ヶ月以上を過ぎても、態度を明確にしなかった、反対者・棄権者・欠席者は、決議賛成者と同様な立場になる。

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第六十一条

12項  第五項に規定する場合において、建物の一部が滅失した日から六月以内に同項、次条第一項又は第七十条第一項の決議がないときは、各区分所有者は、他の区分所有者に対し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。

過去出題 マンション管理士 H20年、
管理業務主任者 H19年、

★大規模滅失があっても、6ヶ月の間に「復旧の決議」(同項=第61条1項)もまた、「建替の決議」(次条1項=第62条1項、第70条1項(団地))もなされないときは、賛成・反対に関係なく、各区分所有者は他の区分所有者に、「買取請求」ができる。

<参照> 同項とは=第61条5項:
 第一項本文に規定する場合(注:建物の価格の1/2以下に相当する部分が滅失したとき)を除いて、建物の一部が滅失したときは、集会において、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。(注:大規模滅失となる)

 次条第1項とは=第62条1項:(建替え決議);
 集会においては、区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができる。

 第70条1項: (団地内の建物の一括建替え決議);
 団地内建物の全部が専有部分のある建物であり、かつ、当該団地内建物の敷地(団地内建物が所在する土地及び第五条第一項の規定により団地内建物の敷地とされた土地をいい、これに関する権利を含む。以下この項及び次項において同じ。)が当該団地内建物の区分所有者の共有に属する場合において、当該団地内建物について第六十八条第一項(第一号を除く。)の規定により第六十六条において準用する第三十条第一項の規約が定められているときは、第六十二条第一項の規定にかかわらず、当該団地内建物の敷地の共有者である当該団地内建物の区分所有者で構成される第六十五条に規定する団体又は団地管理組合法人の集会において、当該団地内建物の区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、当該団地内建物につき一括して、その全部を取り壊し、かつ、当該団地内建物の敷地(これに関する権利を除く。以下この項において同じ。)若しくはその一部の土地又は当該団地内建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地(第三項第一号においてこれらの土地を「再建団地内敷地」という。)に新たに建物を建築する旨の決議(以下この条において「一括建替え決議」という。)をすることができる。ただし、当該集会において、当該各団地内建物ごとに、それぞれその区分所有者の三分の二以上の者であつて第三十八条に規定する議決権の合計の三分の二以上の議決権を有するものがその一括建替え決議に賛成した場合でなければならない。


 

★決議がないときにはどうするか −復旧が否決の場合もー

  第61条5項により、復旧決議が特別決議で可決されれば、第61条6項以下の手続きを経て復旧工事に至るわけです。
 また、復旧でなく、次第62条で規定される「建替え決議」または第70条の「団地内建物の一括建替え決議」がなされた場合は、それらに従って建替えがなされます。

 しかし、建物が大規模に滅失しても、だれも集会を開かず、また集会での復旧の議案が否決された場合には、その建物は、壊れたまま放置されることになります。
いつまでも壊れたままの建物に住むことは、雨漏りや倒壊などの危険性もあるでしょう。

 そこで、滅失のあった日から6ヶ月を経過すると復旧の見込みがないものとして区分所有者は、他の区分所有者に自己の建物の権利(区分所有権)及び敷地の権利(敷地利用権)を時価で買取を請求することにより、区分所有関係・管理組合からの離脱(マンションから出ていく)ができるようになります(12項)。

 この「買取請求権」もいわゆる形成権(一方的に権利を形成する権利)で通常の契約のように申込みと承諾という意思表示の合致により契約が成立するものではありませんから、請求権を行使した相手方との間でその意思表示の到達と同時に、移転登記の義務と代金を時価とした支払義務がある売買契約が成立することになります。

 そこで、急に買い取れといわれても、資力がない区分所有者は困ってしまいます。その場合には、裁判所が支払について、相当の期限を認めてくれます。(13項)

★他の区分所有者とは?
  復旧の決議があった場合には、賛成者と反対者等はその議事録に記載・記録されています(6項)が、決議がない時には誰が賛成か反対かが明確ではありません。
  本12項での買取請求の対象となる「他の区分所有者」には、賛成した区分所有者だけでなく、反対した区分所有者も含まれます。
 また、決議が否決されれば、賛成者であっても、この買取請求をおこなって、区分所有関係から離脱できます。

★買取請求では区分所有者の整理や登記が面倒。
  他の区分所有者に買取請求ができることになっていますので、ある区分所有者Aが他の区分所有者Bに買取請求をしたところ、すでにBも買取請求を他の区分所有者Cにしている場合や、Bがもう区分所有者でなくなっていることも考えられます。
 所有権者であることは、不動産登記簿で確認できますが、数が多いと処理も大変です。

 このような事態が起こりえますので、集会では、誰が買取請求に応じることができるのか、請求金額の総額はいくらになるのかなどを把握し、その後の処理を進める方法もきめておくことが必要です。

★買取価格(時価)の決め方

何が時価=売買代金かは当事者の協議で決定され、協議が整わない場合は裁判となり結局裁判所が不動産鑑定を下に決定しますが、建物の現状は大規模滅失している状況ですからそれ自体を直接評価するのは困難であり、経済的には復旧完了後の建物・敷地利用権の評価額から当該専有部分の復旧費及び共用部分の復旧費の当該専有部分の持分分を控除した額が妥当でしょう。

★時価とは
  買取請求権の時価を算定する基準は、買取請求権が行使された時でいいのですが、価格の決定には、災害にあったマンションでは特に争点になっています。

  1.無被災説
    時価=被災のないことを前提とした建物価格 − 復旧工事費
  2.被災前提説
    時価=被災があったことを前提とした建物価格 − 復旧工事費

   無被災説の方が、時価は高くなり、買取請求者と決議賛成者(買取請求を受ける者)での争いです。判例は 1.無被災説 をとっているようです。

★例え滅失の日から6ヶ月を経過しても、復旧や建替の決議はできるが、誰かがこの「買取請求権」を行使したら、この後での、復旧の決議や建替の決議はできなくなる。

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第六十一条

13項  第二項、第七項、第八項及び前項の場合には、裁判所は、償還若しくは買取りの請求を受けた区分所有者、買取りの請求を受けた買取指定者又は第九項本文に規定する債務について履行の請求を受けた決議賛成者の請求により、償還金又は代金の支払につき相当の期限を許与することができる。

過去出題 マンション管理士 H18年、H16年、
管理業務主任者 未記入

★償還(支払)しろとか買い取れといわれても、金の無い人に対しては、裁判所が相当の期限を与えてくれる。

<参照>第2項とは、=第61条2項:
 前項の規定により共用部分を復旧した者は、他の区分所有者に対し、復旧に要した金額を第十四条に定める割合に応じて償還すべきことを請求することができる。

<参照>第7項とは、=第61条7項:
 第五項の決議があつた場合において、その決議の日から二週間を経過したときは、次項の場合を除き、その決議に賛成した区分所有者(その承継人を含む。以下この条において「決議賛成者」という。)以外の区分所有者は、決議賛成者の全部又は一部に対し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。この場合において、その請求を受けた決議賛成者は、その請求の日から二月以内に、他の決議賛成者の全部又は一部に対し、決議賛成者以外の区分所有者を除いて算定した第十四条に定める割合に応じて当該建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。

<参照>第8項とは、=第61条8項:
 第五項の決議の日から二週間以内に、決議賛成者がその全員の合意により建物及びその敷地に関する権利を買い取ることができる者を指定し、かつ、その指定された者(以下この条において「買取指定者」という。)がその旨を決議賛成者以外の区分所有者に対して書面で通知したときは、その通知を受けた区分所有者は、買取指定者に対してのみ、前項前段に規定する請求をすることができる

<参照>前項とは=第61条12項:
  第五項に規定する場合において、建物の一部が滅失した日から六月以内に同項、次条第一項又は第七十条第一項の決議がないときは、各区分所有者は、他の区分所有者に対し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。

<参照>第9項本文とは=第61条9項:
 買取指定者が第七項前段に規定する請求に基づく売買の代金に係る債務の全部又は一部の弁済をしないときは、決議賛成者(買取指定者となったものを除く。以下この項及び第十三項において同じ。)は、連帯してその債務の全部又は一部の弁済の責めに任ずる。

★裁判所により、支払につき相当の期間の猶予が与えられる立場の者

 支払ができない以下に該当する場合には、裁判所に訴えて、期限の猶予を貰う事ができます。
  @建物価格の1/2以下(小規模滅失)で、共用部分を復旧した区分所有者から、直した費用の請求をうけた区分所有者(区分所有法第61条2項参照)
  A復旧の決議で買取請求を受けた、決議賛成の区分所有者(区分所有法第61条7項 参照)
  B買取指定者になった者(区分所有法第61条8項 参照)
  C復旧等の決議がないときに、買取請求を受けた区分所有者(区分所有法第61条12項 参照)
  D買取指定者が支払えない時に、連帯責任を負うことになった決議に賛成した区分所有者(区分所有法第61条9条 参照)

★相当の期間は?
  相当の期間は、裁判所がその時の状況で判断することになります。
  また、相当の期間が裁判所から許与されると、請求者の「建物およびその敷地に関する権利の引渡し義務が、被請求者の代金支払い義務より先行することになります。通常の同時履行関係が解消されます。


{設問-1}建物の価格の1/2に相当する部分が滅失した場合における当該部分の復旧に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、規約に別段の定めはないものとする。

1 区分所有者は、滅失した自己の専有部分の復旧の工事に着手するまでに、集会において、滅失した共用部分を復旧する旨の決議があった場合は、その専有部分の復旧の工事を行うことはできない。

答え: 間違いである。できる。区分所有法第61条1項「建物の価格の二分の一以下に相当する部分が滅失したときは、各区分所有者は、滅失した共用部分及び自己の専有部分を復旧することができる。ただし、共用部分については、復旧の工事に着手するまでに第三項、次条第一項又は第七十条第一項の決議があつたときは、この限りでない」の但書の規定により、自主復旧が制限されるのは共用部分のみであり、専有部分の復旧費用は各区分所有者の負担であるため、できる

2 集会において滅失した共用部分を復旧する旨の決議をする場合は、区分所有者及び議決権の各3/4以上の多数により決議しなければならない。

答え:間違いである。 過半数の決議でいい。区分所有法第61条3項「第一項本文に規定する場合には、集会において、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる」 の規定により、集会で決議していいが、建物の価格の1/2以下に相当する部分の滅失は、個人でも復旧ができる(区分所有法第61条1項参照)小規模滅失であり、普通決議(区分所有法第39条参照)の過半数の決議で復旧可能。
 
  *ここは、建物価格の1/2を越えた時の区分所有法第61条5項「第一項本文に規定する場合を除いて、建物の一部が滅失したときは、集会において、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる」との混同を狙った設問。*

3 区分所有者は、建物の一部が滅失した日から6ヵ月以内に単独で滅失した共用部分の復旧を行った場合に限り、他の区分所有者に対して、その復旧に要した金額を、共用部分の共有持分の割合に応じて償還すべきことを請求することができる。

答え間違いである。このような規定がない。区分所有法第61条2項「前項の規定により共用部分を復旧した者は、他の区分所有者に対し、復旧に要した金額を第十四条に定める割合に応じて償還すべきことを請求することができる」とあり、償還請求に期限は付されていないため時効にならない限り請求可能。

4 集会において減失した共用部分を復旧する旨の決議があった場合には、区分所有者は、その復旧に要する費用の支払について、裁判所に相当の期限の許与を請求することはできない。

答え:正しい。区分所有法第61条13項「第二項、第七項、第八項及び前項の場合には、裁判所は、償還若しくは買取りの請求を受けた区分所有者、買取りの請求を受けた買取指定者又は第九項本文に規定する債務について履行の請求を受けた決議賛成者の請求により、償還金又は代金の支払につき相当の期限を許与することができる」 の規定では、集会による決議(区分所有法第61条3項)は入っていない。

正解:4


{設問-2} 平成14年 マンション管理士 第10問

〔問10〕 マンションの一部が滅失した場合の復旧等に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、規約に別段の定めはないものとする。

1 小規模滅失(建物の価格の2分の1以下に相当する部分の滅失をいう。以下この問いにおいて同じ。)が生じた場合において、復旧及び建替えのいずれの決議も集会においてなされないときは、各区分所有者は、単独で、滅失した共用部分を復旧することができる。

答え:正しい。建物の区分所有等に関する法律(以下。区分所有法という。)第61条第1項によると、小規模滅失の場合、共用部分については、復旧の工事に着手するまでに、復旧決議及び建替え決議がなければ、各区分所有者は、単独で、滅失した共用部分を復旧することができる。よって、本肢は正しい。

2 小規模滅失が生じた場合における復旧の決議は、区分所有者及び議決権の各過半数で成立する。

答え:正しい。区分所有法第61条第3項によると、小規模滅失の場合の共用部分の復旧は、集会の普通決議(区分所有者及び議決権の各過半数による集会の決議)で決することができることになる。よって、本肢は正しい。

3 大規模滅失(小規模滅失以外の滅失をいう。以下この問いにおいて同じ。)が生じた場合において、復旧の決議が成立したときは、これに反対した区分所有者は、決議に賛成した区分所有者に対し、その有する建物及び敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。

答え:正しい。区分所有法第61条第7項によると、大規模滅失の場合、決議賛成者以外の区分所有者は、決議賛成者である区分所有者に対して、その有する建物及び敷地に関する権利を時価で買い取るべきことの請求、すなわち「買取請求」をすることができる。よって、本肢は正しい。 (注:建替えは「売渡請求」となっていて、賛成者からおこなう。)

4 大規模滅失が生じた場合において、復旧及び建替えのいずれの決議も集会においてなされないまま滅失から6ヵ月が経過したときは、各区分所有者は、他の区分所有者に対し、その有する建物及び敷地に関する権利を時価で売り渡すべきことを請求することができる。

答え:間違いである。区分所有法第61条第8項によると、大規模滅失の場合、復旧及び建替えのいずれの決議も集会においてなされないまま滅失から6ヵ月が経過したときは、各区分所有者は、他の区分所有者に対し、その有する建物及び敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求できる。買取の請求は認められているが、他の区分所有者に対する「売渡請求」は、認められていない。よって、本肢は誤りであり、本問の正解肢となる。

正解:4

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ページ終わり

謝辞:Kzさんの了解により一部転用・編集をしています。

最終更新日:
2010年6月27日:第61条の追記終わり
2010年6月26日;第61条を大幅に追記中
2009年11月6日:買取請求で加筆
2009年10月29日:JR西日本の福知山線脱線事故を追加
2009年3月25日

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