マンション管理士・管理業務主任者を目指す方のために、区分所有法を条文ごとに解説しました。
試験問題は、過去の問題から出されるのではありません。条文から出題されます。
条文を勉強することが、合格への道です。
第五十三条 |
1項 管理組合法人の財産をもつてその債務を完済することができないときは、区分所有者は、第十四条に定める割合と同一の割合で、その債務の弁済の責めに任ずる。ただし、第二十九条第一項ただし書に規定する負担の割合が定められているときは、その割合による。 |
過去出題 | マンション管理士 | H18年、 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★区分所有者の債務弁済の義務
第53条は管理組合法人の債務についての区分所有者の責任に関する規定です。
もともと、法人とその構成員の個人とは別個の人格ですから、法人が有している債務・責任と個人の債務・責任とは別々のものであるのが原則です。
従って、法人の債務の責任を構成員個人が負担することは原則としてないこととなっています。
このことは民法の法人では当然の前提であり、マンションの区分所有者の団体=管理組合のような法人でない「権利能力なき社団」の場合もまた同様に理解されています。
しかし、社団は一定の目的のために組織された団体であり、その目的により性格は様々ですから構成員が団体債務に対して責任をとらないということも、その団体の目的や性格によって取り扱いを別にしても問題のない事項です。
この点、合名会社ではその組合的性格からか、会社の債務に関して構成員たる社員の無限責任が認められています。
◎そこで、マンションの管理組合の場合には、管理組合の事業は組合員(区分所有者)全員のためのものですから、その債務は組合員(区分所有者)のために管理組合が負担しているという性質があり、組合員(区分所有者)が管理組合の債務につき何ら責任を負わないという結果は不当ということになります。
それに、管理組合が法人化される前には、管理組合の債務は管理組合という団体の債務であると共に全区分所有者が総有的に負担する債務という二重の性格をもっていました。(区分所有法第29条1項 参照)
<参照> 区分所有法第29条(区分所有者の責任等)
第二十九条 管理者がその職務の範囲内において第三者との間にした行為につき区分所有者がその責めに任ずべき割合は、第十四条に定める割合と同一の割合とする。ただし、規約で建物並びにその敷地及び附属施設の管理に要する経費につき負担の割合が定められているときは、その割合による。
2 前項の行為により第三者が区分所有者に対して有する債権は、その特定承継人に対しても行うことができる。
従って、本第53条は管理組合は法人化後もその本質的な性格に変化がないこと、ただし、第19条・第29条の規定同様に各自の負担は総額の不可分または連帯の債務ではなく持分に分割された民法での「分割債務」(債務自体は法人に帰属するので区分所有者は責任部分のみ負担するという考えの方が妥当かもしれませんが)を負うと軽減した規定ということになります。
★管理組合法人の財産
管理組合法人に属する財産としては、管理費、修繕積立金、駐車場使用料などの専用使用料、また第三者から受け取った金銭、管理組合法人名義の不動産、動産などが考えられます。
また、利息(法定果実)も含まれます。
★組合員(区分所有者)の負担割合 −分割債務−
各組合員の負担割合は原則として専有部分の床面積を基にした共用部分の持分割合(第14条)によりますが、債務の負担割合が規約で別に定められているときはその割合によります。
★組合員(区分所有者)の負担の条件
組合員である区分所有者の負担の条件は、
@管理組合法人の債務超過のとき(1項)、
A管理組合法人に対する個別財産への強制執行が効を奏しなかったとき(2項)です。
この点、第29条の管理者の行為の場合と異なり、管理組合法人債務の第一次責任はまず法人にあり、区分所有者個人の責任は二次的・補充的(保証人的)な責任となっています。
@「管理組合法人の債務超過のとき」は通常の法人の破産原因ですが、債務超過とは管理組合法人の総財産をもってしてもその総債務の弁済ができない状態をいい、個々の債務の弁済期がいつかとは係りのないものです。
従って、現時点で弁済期のきた債務を弁済していても総額の比較で債務の方が多い場合には債務超過となります。
管理組合法人の貸借対照表で債務の方が多い場合には債権者からの請求を受ける可能性があるということでしょう。
A「管理組合法人に対する個別財産への強制執行が効を奏しなかったとき」は一般に支払停止と見られ支払不能を推測する事由とされます。
やはりいずれも破産原因となっています。
ただし、支払停止では必ずしも支払不能とは限りませんから、いわゆる「検索の抗弁権」が認められて管理組合法人は支払不能ではないこと、即ち管理組合法人に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明すれば責任を免れることができるとされます(3項)。
◎具体的には、管理組合法人の財産は通常預金口座で管理されていますから(稀に管理組合法人が専有部分を所有していることもあるでしょう。)、その銀行口座に執行しても債権全額が満足(弁済)を受けなかった場合は、「執行が効を奏さなかったとき」に当たり、請求を受けた区分所有者は、管理組合法人が他に修繕積立金等の運用として国債等の有価証券を○○に保管している等の証明ができればいいということです。
なお、管理組合法人所有の不動産は資力の点では問題がないかもしれませんが一般に執行が容易とは理解されていません。
<参照> 区分所有法 第14条:各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。
*床面積は、内側線での面積(内法)
*別の規約があれば、それに従う。(第29条1項参照)
第五十三条 |
2項 管理組合法人の財産に対する強制執行がその効を奏しなかつたときも、前項と同様とする。 |
過去出題 | マンション管理士 | H18年、 |
管理業務主任者 | 未記入 |
*効を奏しなかったとき...管理組合法人の財産に強制執行したが結果として、満足のいく内容が得られないときは、区分所有者が負担することになる。
★具体的には、管理組合法人の財産は通常預金口座で管理されていますから(稀に管理組合法人が専有部分(不動産)を所有していることもあるでしょう。)、その銀行口座に執行しても債権全額が満足(弁済)を受けなかった場合は、執行が効を奏さなかったときに当たり、区分所有者が負担することになります。
請求を受けた区分所有者は、管理組合法人が他に修繕積立金等の運用として国債等の有価証券を○○に保管している等の証明ができれば、請求を逃れられます。
第五十三条 |
3項 前項の規定は、区分所有者が管理組合法人に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、適用しない。 |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★区分所有者が、債権者から管理組合法人の債務を弁済するように請求された時、区分所有者は、まず管理組合法人に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明できれば、弁済の責任を逃れられる。
これは、民法の保証の「検索の抗弁権」に似ている。
<参考>民法453条(検索の抗弁)
民法第四百五十三条 債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。
第五十四条 |
1項 区分所有者の特定承継人は、その承継前に生じた管理組合法人の債務についても、その区分所有者が前条の規定により負う責任と同一の責任を負う。 |
過去出題 | マンション管理士 | H18年、 |
管理業務主任者 | 未記入 |
*特定承継人...売買などの譲受人。
★どうして、特定承継人にまで責任が及ぶのか
第54条は管理組合法人の債務に対する区分所有者の特定承継人の責任に関する規定です。
またまた、特定承継人の責任が規定されています。
管理組合が法人化されていない場合の、管理者と取引をした第三者を保護する規定として、第29条2項で特定承継人に請求ができることを思い出してください。
管理組合法人と管理組合の違いは法人格が完全に認められるか不完全にしか認められないかでしかありませんから、管理組合で認められることが完全な法人の場合にも認められることは当然といえます。
<参照> 区分所有法第29条(区分所有者の責任等) ;
2項 前項の行為により第三者が区分所有者に対して有する債権は、その特定承継人に対しても行うことができる。
第29条2項と同様な、この規定が存在するのは、第47条11項で区分所有法第4節:管理者の規定(第29条2項を含む)の適用を排除したことにより、法人でも第29条2項と同様の規定をすることにすぎません。
従って、第54条の趣旨・内容は第29条の場合と同様ですから第29条の解説に譲ります。
★ただし、管理組合法人では、債務はまず、管理組合法人が負担する責任がありますから(第53条参照)、特定承継人の責任も区分所有者と同様に、補充的な立場になります。
第五十五条 |
1項 管理組合法人は、次の事由によって解散する。 一 建物(一部共用部分を共用すべき区分所有者で構成する管理組合法人にあっては、その共用部分)の全部の滅失 二 建物に専有部分がなくなったこと。 三 集会の決議 |
過去出題 | マンション管理士 | H19年、H18年、H14年、 |
管理業務主任者 | H15年、 |
*次の事由によって解散する...この三つの事由以外では、管理組合法人は解散しない。
ただし、3号の集会の決議での解散の場合は、建物は存在しているので登記上での法人は解散しても、法人でない団体(管理組合)は存在する。(区分所有法第3条参照)。
また、規約でもこれ以外の解散事由は定められない。
★「滅失」とは...災害に基づくものであるか人の行為によるものであるかを問わず、物が物としての物理的な存在自体を失うことを意味します。したがって、後でその物は発見される可能性はありません。
★管理組合法人の解散・清算
第55条は管理組合法人の解散及び清算に関する規定です。
解散とは、法人格を解消することで、一定の解散原因が発生すると法人は解散することになります。
ただ、解散が即法人の消滅というわけではなく、実際に解散して消滅するためには解散前に法人に帰属していた権利義務関係を整理して後に引き継ぎがなければなりません。
この整理の段階が「清算」で、清算が完了して初めて法人に帰属していた権利義務がなくなり法人が完全に消滅することになります。 (新第55条の2 参照)
◎このように法人の解散・消滅は一般に
解散 −-> 清算 −-> 消滅 という段階を経由することになります。
例外的に解散即消滅という現象が法人の合併の場合に発生しますが(包括承継のため清算不要の理由による)、マンションの管理組合法人ではあまり考えられません。
ただ、管理組合法人の場合その実体が管理組合という団体ですから、法人の解散といっても一般の法人と異なり元の区分所有者の団体自体の解消を意味するとは限りません。
★集会の決議での解散では、団体は残る
3号で規定されています集会の決議による場合、解散後も区分所有法第3条の規定の区分所有者の団体(管理組合)が存続し、解散は単なる法人格が無くなるだけで、この場合には、法人化前の区分所有者の団体に戻ることに過ぎません。この点は注意が必要です。
★解散事由
通常法人とは一定の目的のために結成された団体(または財産)に取引の当事者となりうる法人格が与えられたものですから、その目的が成功または不成功の確定で消滅する場合や基本となる団体の消滅、またその法人の存在が社会的に害悪を及ぼすような場合には法人格は不要となり、場合によっては法人格が剥奪されて消滅することになります。
法人の解散事由(原因)とは、このような事態が発生した場合、法人を消滅させるための項目です。
そこで、マンションの管理組合法人にも、法で解散事由を定めています。
第55条1項で列記されています3つの解散事由のうち
@ 1号の「建物(一般の管理組合の場合は専有部分と共用部分を含む1棟の建物、一部共用部分の管理組合では、管理している一部共用部分)全部の滅失」とは、
管理組合法人の管理対象物である建物が地震、火災、ガス爆発、取り壊しなどで見た目(物理的)に全部消滅し、マンション管理を目的として設立された管理組合法人の目的が、これ以上達成されないことが確定することです。
この場合には管理組合法人を存続させる意味がなくなりますから当然に法人は解散することになります。
これらは、管理組合法人と一部共用部分の管理組合法人との共通の理由ですが、管理組合法人の場合には建物が全部滅失すると、建物に対しての権利である区分所有権も同時に消滅しますから、区分所有者の団体という管理組合法人の構成員の消滅ということもその理由となるでしょう。
また、建替え決議に基づき、建物の全部が取り壊された場合も、この解散事由に該当します。
★建物の一部滅失では、管理組合法人は、当然には無くならない。
1号は、建物の全部滅失の際には、管理組合法人が当然に解散すると規定していますが、これには、建物の大部分が滅失しても一部が残っている場合は入っていませんから注意してください。
この場合には、建物の一部滅失として、第61条の復旧などの方法があります。
また、建物の全部が滅失すれば、建物の敷地や附属の施設が残っていても、区分所有者の団体が消滅するため、管理組合法人も当然に解散します。
A 2号の「専有部分がなくなったこと」とは、
建物の一部分だけ消滅した場合、残りの部分で管理組合法人は存続できますから、2号の場合、専有部分全部の消滅を意味し、また、共用部分を残して専有部分だけ滅失することがない以上、専有部分全部の物理的な消滅は1号の建物全部の滅失に該当します。
そこで2号は、建物は存在していても区分所有法で定める区分所有建物でなくなるという、法律的な消滅を意味していると解します。
そこで、復習になりますが、
「専有部分」(区分所有法第2条3項)とは、「区分所有権の目的たる建物の部分」で、
それでは、区分所有権(区分所有法第2条1項)とは、「この法律において「区分所有権」とは、前条に規定する建物の部分(第四条第二項の規定により共用部分とされたものを除く。)を目的とする所有権をいう。」であり、
区分所有法第1条「 一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。」です。
この、専有部分が全部なくなると管理組合法人も当然に解散します。
また、この場合も、1号と同様に、区分所有法第3条で定める「団体」も存在しなくなります。
★ 一人の区分所有者が全専有部分を譲り受けた後に、建物の物理的な形状には変更を加えず、登記簿上、全専有部分を合体して通常の1棟の建物にした場合(合併の登記)、または各専有部分の壁を取り除いて、構造上も1棟の建物とした場合(合棟)は、専有部分が無くなり、区分所有法第3条の団体でなくなり、管理組合法人は、解散になる。
★区分所有者の数が1名になっても当然に解散とならない。
専有部分の消滅の他に、区分所有者の団体が1名では当然に成立しないことから、区分所有者が1名になると、管理組合法人も当然に解散されると思うのが自然であるが、多くの解説書はこの部分に触れていない。
そこで、調べると、改正前の区分所有法第47条の法人の成立要件「区分所有者の数が30人以上必要」の時から、この区分所有者数の問題があったようだ。
そこでは、法人格を取得した後で、区分所有者数が30人未満となった場合でも、当然には解散しない。
この説明として、「区分所有者の数は特に制限されておらず、また、専有部分が存在する以上、途中で区分所有者数が減少しても、後で増加することも考えられるから」だとある。
この、理論が法人格成立の要件から区分所有者の数が無くなった改正後も引き続き、採用されていて、「専有部分が存在する以上、途中で区分所有者数が減少しても、後で増加することも考えられる」ので、区分所有者の数が1名になっても、法律上当然には解散とならない。
私としては、区分所有者が1名では団体で無くなり、当然に法人は解散と考える方が自然で納得がいかないけど。
B 3号の「集会の決議」は法人の自治を確認したものです。
法人格が不要となった場合、建替え等により清算が必要な場合その他理由の有無を問いません。
集会で、区分所有者及び議決権の3/4以上の特別決議(2項参照)で、解散を決議すれば、管理組合法人は解散となります。
しかし、この場合には1号や2号の場合と異なり、区分所有建物は物理的にも残っており、管理組合という団体自体が解散するとは限りませんので法人格のみの解消ということになります。
この議決は管理組合法人成立時の議決と同様に特別決議(区分所有者および議決権の各4分の3以上の賛成が必要)とされています(2項)。
★これ以外の事由では、解散しない。規約でも定められない。
建物の一部分の滅失では、管理組合法人は解散しない。(集会で3/4以上の決議があれば別)
{設問-1}次の記述は正しいか。
管理組合法人は、区分所有者が1人になった場合でも、解散する事由にはあたらない。
答え:そのとおりで、正しい。 (区分所有法第55条1項):
「管理組合法人は次の事由によって解散する。
一 建物(一部共用部分を共用すべき区分所有者で構成する管理組合法人にあっては、其の共用部分 )の全部の滅失
二 建物に専有部分がなくなったこと。
三 集会の決議 」
に該当しないため。また、専有部分が存在する以上、途中で区分所有者数が減少しても、後で増加することも考えられるため。
第五十五条 |
2項 前項第三号の決議は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数でする。 |
過去出題 | マンション管理士 | H20年、 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★管理組合法人解散の議決は法人成立時の議決と同様に「区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数」による特別決議とされています。
★特別に多数の賛成が必要で「特別決議事項」と呼ばれる。(その8の3−2)
★管理組合法人の設立も解散も4分の3以上必要。
★注意:ただし、他の特別決議事項と違って、集会の招集通知で、「会議の目的たる事項」を示すだけでよく、「議案の要領」を示す必要はありません。(参照 区分所有法第35条5項)
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★区分所有法第55条3項は、平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、民法の条文及び非訟事件手続法の条文が削除されたため、区分所有法が変更されたものです。
なお、旧3項から削除された、旧民法第73条から第76条、第78条から第82条までの規定は、区分所有法第55条の2 以降に新設されました。
また、旧非訴訟手続法第35条2項、同第36条から40条の規定は、区分所有法第56条の2 以降に新設されました。
*以下は、平成20年12月の改正以前の解説です。
★解散・清算の手続きは民法と非訟事件手続法による
管理組合法人が1項の解散原因の発生により解散すると清算に入ることになります。
3項はその清算に関する重要規定です。
通常、法人が解散する場合には、清算手続きを経て、それが完了して、消滅します。
解散−->清算−->消滅
という段階を経由することになります。清算が完了するまでは、なお存続していますので注意してください。
清算に入った法人は清算法人といわれ、その権利能力は清算目的の範囲に制限されます(民法 第73条)。
その清算業務の内部的・外部的(代表)執行機関を清算人とよびます(民法 第74条)。
清算はこれまでの取引関係の整理であり多数の一般債権者等に利害関係がある行為ですから裁判所の監督を受け(民法 第82条)、それは主に清算人に対する人事権を含めた監督権の発動によりなされます(民法 第75条、第76条、非訟事件手続法)。
清算人は法人の業務を終了して,債権を取り立て,債務については公告の上,債権者の債権の届出を受けてその優先度合いに応じて公平にこれを弁済し、残余財産を確定してこれを引き継ぐものに引き渡すことになります(民法 第78条から第80条)。
★解散すると清算手続き(法人の財産関係を整理する)に入る。この清算手続きが終わるまで、管理組合法人は存続するものとみなされる。
清算事務は、清算人がするが、裁判所の監督に服する。
<参照> 民法 第73条 〜 第76条:
民法 第七十三条:(清算法人) ;
解散した法人は、清算の目的の範囲内において、その清算の結了に至るまではなお存続するものとみなす。
民法 第七十四条 :(清算人) :
法人が解散したときは、破産手続開始の決定による解散の場合を除き、理事がその清算人となる。ただし、定款若しくは寄附行為に別段の定めがあるとき、又は総会において理事以外の者を選任したときは、この限りでない。
民法 第七十五条 :(裁判所による清算人の選任) ;
前条の規定により清算人となる者がないとき、又は清算人が欠けたため損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を選任することができる。
民法 第七十六条:(清算人の解任);
重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を解任することができる。
<参照> 民法 第78条 〜 第82条:
民法 第七十八条:(清算人の職務及び権限) ;
清算人の職務は、次のとおりとする。
一 現務の結了
二 債権の取立て及び債務の弁済
三 残余財産の引渡し
2 清算人は、前項各号に掲げる職務を行うために必要な一切の行為をすることができる。
民法 第七十九条 :(債権の申出の催告等) ;
清算人は、その就職の日から二箇月以内に、少なくとも三回の公告をもって、債権者に対し、一定の期間内にその債権の申出をすべき旨の催告をしなければならない。この場合において、その期間は、二箇月を下ることができない。
2 前項の公告には、債権者がその期間内に申出をしないときは、その債権は清算から除斥されるべき旨を付記しなければならない。ただし、清算人は、知れている債権者を除斥することができない。
3 清算人は、知れている債権者には、各別にその申出の催告をしなければならない。
4 第一項の規定による公告は、官報に掲載してする。
民法 第八十条 :(期間経過後の債権の申出) ;
前条第一項の期間の経過後に申出をした債権者は、法人の債務が完済された後まだ権利の帰属すべき者に引き渡されていない財産に対してのみ、請求をすることができる。
民法 第八十一条: (清算法人についての破産手続の開始) ;
清算中に法人の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになったときは、清算人は、直ちに破産手続開始の申立てをし、その旨を公告しなければならない。
2 清算人は、清算中の法人が破産手続開始の決定を受けた場合において、破産管財人にその事務を引き継いだときは、その任務を終了したものとする。
3 前項に規定する場合において、清算中の法人が既に債権者に支払い、又は権利の帰属すべき者に引き渡したものがあるときは、破産管財人は、これを取り戻すことができる。
4 第一項の規定による公告は、官報に掲載してする。
民法 第八十二条:(裁判所による監督) ;
法人の解散及び清算は、裁判所の監督に属する。
2 裁判所は、職権で、いつでも前項の監督に必要な検査をすることができる。
<参照> 非訟事件手続法 第35条第2項、第36条 〜 第40条:
第三十五条2項;法人ノ解散及ヒ清算ノ監督ハ其主タル事務所所在地ノ地方裁判所ノ管轄トス
第三十六条 法人ノ清算人ニ関スル事件ハ法人ノ主タル事務所所在地ノ地方裁判所ノ管轄トス
第三十七条 法人ノ清算人ノ選任ノ裁判ニ対シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ズ
第三十八条 民法第七十五条 ノ規定ニ依リ裁判所ガ法人ノ清算人ヲ選任シタル場合ニ於テハ法人ヲシテ之ニ報酬ヲ与ヘシムルコトヲ得其額ハ清算人及ビ監事ノ陳述ヲ聴キ裁判所之ヲ定ム
第三十九条 法人ノ清算人ノ解任ニ付テノ裁判及ビ前条ノ裁判ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得
第四十条 裁判所ハ特ニ選任シタル者ヲシテ法人ノ解散及ビ清算ノ監督ニ必要ナル検査ヲ為サシムルコトヲ得
○2 前三条ノ規定ハ前項ノ規定ニ依リ裁判所ガ検査ヲ為スベキ者ヲ選任シタル場合ニ之ヲ準用ス
*ここまでが、平成20年12月の改正前の解説です。
◎ 平成20年12月1日施行内容
第五十五条の次に次の八条を加える。
第五十五条の二 (平成20年12月1日施行内容) |
1項 解散した管理組合法人は、清算の目的の範囲内において、その清算の結了に至るまではなお存続するものとみなす。 |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★第55条の2 は、旧区分所有法第55条3項で準用していた、「民法第七十三条 から第七十六条 まで及び第七十八条 から第八十二条 まで並びに非訟事件手続法第三十五条第二項 及び第三十六条 から第四十条 までの規定は、管理組合法人の解散及び清算に準用する。」の規定が、平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、民法の条文及び非訟事件手続法の条文が削除されたため、区分所有法に追加されたものです。
第55条の2 は、旧民法第73条の規定に対応しています。
<参考> 旧民法 第七十三条:(清算法人) ;
解散した法人は、清算の目的の範囲内において、その清算の結了に至るまではなお存続するものとみなす。
★管理組合法人が区分所有法第55条で規定する建物の全部の滅失や建物に専有部分が無くなるなど解散原因の発生により解散すると、次の段階としての清算に入ることになります。
本第55条の2 以下はその清算に関する重要規定です。
通常、法人が解散する場合には、財産関係の後始末である「清算手続き」を経て、それが完了してから、消滅します。
なお、破産の場合には、「破産法」の手続きに従います。
解散−->清算−->消滅
という段階を経由することになります。清算が完了するまでは、なお限定ながら法人は存続していますので注意してください。
通常清算に入った法人は清算法人といわれ、その権利能力は清算目的の範囲に制限されます(新:区分所有法第55条の2、旧民法第73条)。
その清算業務の内部的・外部的(代表)執行機関を清算人とよび、通常元の管理組合法人の理事が清算人になりますが、規約や集会で元の理事以外の人が清算人になることもあります。(新:区分所有法第55条の3、旧民法第74条)。
この、清算の段階に入っても、監事は、引き続き清算人の職務を監督し、集会(総会)は依然として最高意思決定機関であることには注意してください。
また、清算人がいない場合や、清算人が欠けた場合には、裁判所が利害関係人や検察官の請求、また裁判所独自の職権で、清算人を選ぶこともあります。(新:区分所有法第55条の4、旧民法第75条)。
重要な事由がある時には、裁判所が利害関係人や検察官の請求、また裁判所独自の職権で、清算人を解任できます。(新:区分所有法第55条の5、旧民法76条)。
★清算人の職務・権限(新:区分所有法第55条の6、旧民法第78条)
<参照> 新:区分所有法第55条の6 (清算人の職務及び権限);
1項 清算人の職務は、次のとおりとする。
一 現務の結了
二 債権の取立て及び債務の弁済
三 残余財産の引渡し
2項 清算人は、前項各号に掲げる職務を行うために必要な一切の行為をすることができる。
マンションの管理組合法人としての執行機関である理事から、清算に関する事務の執行を引き継いだ清算人は、以下の職務を行います。
また、清算人は解散の前に理事が有していた、法人の財産の占有、法人の代表、法人としての権利の行使を「清算の範囲内」で行使できます。(2項)
以前理事が行っていた職務の内、清算についての部分だけ(判定が困難な場合も発生する)が、清算人の職務となります。
1.現務の結了...現に継続している法人の事務を完結させます。
2.債権の取立て・債務の弁済
ア.債権の取立て...期限が来ている債権は回収します。弁済期にまだ達していない債権があれば、譲渡や金銭に換価処分をします。
イ.債務の弁済...債務があれば、手続きも速やかに終了するようにします。
また、債務の弁済については、第三者も関係するため、詳細な手続きが定められています。
a.債権申出の催告(新:区分所有法第55条の7、旧民法第79条)
清算人は、職についたら、2ヶ月以内に少なくとも3回、一般の債権者(清算人が把握していない債権者)に対し、官報で2ヶ月以上の期間を定めて、この期間内に債権の申出をするよう公告します。
この定めた2ヶ月以上の期間内に債権の申出がないと、清算から弁済も配当も受けられない「除斥」になることも公告します。
なお、清算人が把握している債権者(知れてる債権者)に対しては、個別に申出を催告します。この場合には、除斥期間を定める必要もなく、また1回だけの催告で構いません。
b.弁済
期間内に申出のあった債権者に対して、順次弁済をしていきます。
除斥期間内に申出の無かった債権者は、申出のあった債権者に全部弁済したあとに、まだ帰属権者に引き渡さないものがあれば、この部分に対して請求できます。(新:区分所有法第55条の8)。これが「除斥公告」の効力です。
c.申出のあった債権の全部が弁済できない時 −−> 破産申請へ (新:区分所有法第55条の9、旧民法第81条)
債権の総額が法人の財産より多くて、弁済が出来ない時には、清算人は、直ちに破産手続開始の申請をし官報で公告します。
そして、破産手続開始の決定を受けると、清算人は破産管財人に事務を引き継ぎし、清算人の任務は終了します。
破産手続開始の決定があると、破産管財人は、清算中に既に弁済したものがあれば取り戻して、配当に充当できます。
なお、破産管財人の職務権限は、破産財団に関する権利義務に限られますから、それ以外の管理組合法人の代表などの権利義務は「清算人」に依然として存続すると考えられています。
3.残余財産の引渡し
債権を取立て、弁済をしてもなお管理組合法人としての財産が残っていれば、規約に別段の定めがなければ、清算人から帰属権者に、引き渡しとなります。(区分所有法第55条の6 3項、及び同56条)
★この「帰属権者へ残余財産の引渡し」規定と団体の存在について
管理組合法人の解散の事由のうち、1.建物全部の滅失、と 2.建物に専有部分がなくなった 場合には、区分所有法そのものの適用が無くなるため、清算をして残余の財産があれば、帰属権者は区分所有者となりますが、解散事由の、3.集会の決議 による場合には、残余財産は、各区分所有者には帰属せず、区分所有法第3条で規定する「団体」に帰属すると考えられています。
法律であれば、このあたりは、条文で明確にすべきだと思います。
第五十五条の三 (平成20年12月1日施行内容) |
1項 管理組合法人が解散したときは、破産手続開始の決定による解散の場合を除き、理事がその清算人となる。ただし、規約に別段の定めがあるとき、又は集会において理事以外の者を選任したときは、この限りでない。 |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★第55条の3 は、旧区分所有法第55条3項で準用していた、「民法第七十三条 から第七十六条 まで及び第七十八条 から第八十二条 まで並びに非訟事件手続法第三十五条第二項 及び第三十六条 から第四十条 までの規定は、管理組合法人の解散及び清算に準用する。」の規定が、平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、民法の条文が削除されたため、区分所有法に追加されたものです。
第55条の3 は、旧民法第74条の規定に対応しています。
<参考> 旧民法第七十四条 :(清算人) :
法人が解散したときは、破産手続開始の決定による解散の場合を除き、理事がその清算人となる。ただし、定款若しくは寄附行為に別段の定めがあるとき、又は総会において理事以外の者を選任したときは、この限りでない。
★管理組合法人が解散となり、清算の段階に入ると清算法人といわれ、その権利能力は清算目的の範囲に制限されます。(区分所有法第55条の2 参照)
★理事 −> 清算人 へ (原則)
その清算業務の内部的・外部的(代表)執行機関を「清算人」とよび、通常元の管理組合法人の理事が清算人になりますが、規約や集会で元の理事以外の人が清算人になることもあります。
今までの理事では今後の清算事務を任せておけないと考えれば、集会で他の信頼できる人を清算人に選べます。
ただし、破産となると、別途「破産管財人」が選任されます。
第五十五条の四 (平成20年12月1日施行内容) |
1項 前条の規定により清算人となる者がないとき、又は清算人が欠けたため損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を選任することができる。 |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★第55条の4 は、旧区分所有法第55条3項で準用していた、「民法第七十三条 から第七十六条 まで及び第七十八条 から第八十二条 まで並びに非訟事件手続法第三十五条第二項 及び第三十六条 から第四十条 までの規定は、管理組合法人の解散及び清算に準用する。」の規定が、平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、民法の条文及び非訟事件手続法の条文が削除されたため、区分所有法に追加されたものです。
第55条の4 は、旧民法第75条の規定に対応しています。
<参考>旧民法第七十五条 :(裁判所による清算人の選任) ;
前条の規定により清算人となる者がないとき、又は清算人が欠けたため損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を選任することができる。
★清算人がいない時 −> 裁判所が清算人を選ぶ
清算の段階に入ると、管理組合法人の理事に代わって清算人が存在します。
通常、解散時の理事が法律上当然に清算人になります(区分所有法第55条の3)が、元の理事が清算人にはならないといったり、清算人の人数が足りず、事務処理が滞って損害が生じるような場合には、裁判所が利害関係人や検察官の請求、また裁判所独自の職権で、清算人を選ぶこともあります。
誰かが、後始末をきっちりとする必要があります。清算人がその人です。
清算人は、第三者に対する影響が大きいため、裁判所の権限で選べることは注意が必要です。
★注意:ここで、仮理事の選任を思い出してください。
地方裁判所は、理事が欠けた場合には、利害関係人または検察官の請求で「仮理事」を選任します。(参照:区分所有法第49条の4 1項 )
<参照>区分所有法第49条の4 1項 (仮理事)
第四十九条の四 理事が欠けた場合において、事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、仮理事を選任しなければならない。
そう、仮理事の選任では、地方裁判所の職権は入っていませんが、「清算人の選任」は地方裁判所が職権でもできることです。
出題し易い箇所です。
第五十五条の五 (平成20年12月1日施行内容) |
1項 重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を解任することができる。 |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★第55条の5 は、旧区分所有法第55条3項で準用していた、「民法第七十三条 から第七十六条 まで及び第七十八条 から第八十二条 まで並びに非訟事件手続法第三十五条第二項 及び第三十六条 から第四十条 までの規定は、管理組合法人の解散及び清算に準用する。」の規定が、平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、民法の条文及び非訟事件手続法の条文が削除されたため、区分所有法に追加されたものです。
第55条の5 は、旧民法第76条の規定に対応しています。
<参考>旧民法第七十六条:(清算人の解任);
重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を解任することができる。
★清算人の解任 −> 裁判所が行う
清算の段階での清算人の職務は非常に重要です。
そこで、清算人が病気で入院するなどで職務を全うできないなど、重要な事由があれば、裁判所が利害関係人や検察官の請求、また裁判所独自の職権で、清算人を解任できます。
清算人の選任が、裁判所の職権でできたように、清算人の解任も、利害関係人や検察官の請求の他に裁判所の職権でできることに注意が必要です。
★解任に不満なら −> 「即時抗告」ができる (第56条の6 参照)
「重要な事由」の判断は、非常に曖昧です。
そこで、清算人としての地位を勝手に裁判所によって奪わるることに対して不満があれば、「即時抗告」ができる救済策があります。
<参照>区分所有法第56条の6 (即時抗告)
第五十六条の六 清算人の解任についての裁判及び前条の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
第五十五条の六 (平成20年12月1日施行内容) |
1項 清算人の職務は、次のとおりとする。 |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★第55条の6 は、旧区分所有法第55条3項で準用していた、「民法第七十三条 から第七十六条 まで及び第七十八条 から第八十二条 まで並びに非訟事件手続法第三十五条第二項 及び第三十六条 から第四十条 までの規定は、管理組合法人の解散及び清算に準用する。」の規定が、平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、民法の条文及び非訟事件手続法の条文が削除されたため、区分所有法に追加されたものです。
第55条の6 は、旧民法第78条の規定に対応しています。
<参考>旧民法第七十八条:(清算人の職務及び権限) ;
清算人の職務は、次のとおりとする。
一 現務の結了
二 債権の取立て及び債務の弁済
三 残余財産の引渡し
2 清算人は、前項各号に掲げる職務を行うために必要な一切の行為をすることができる。
★管理組合法人が解散すると、今までいた理事の代わりに清算人が存在します。
そこで、清算人がその職務としてできる範囲と権限を明確にしたのが、この第55条の6 です。
★ 清算人の職務には、
1.現務の結了...現に継続している法人の事務を完結させます。
2.債権の取立て・債務の弁済
ア.債権の取立て...期限が来ている債権は回収します。弁済期にまだ達していない債権があれば、譲渡や金銭に換価処分をします。
イ.債務の弁済...債務があれば、手続きも速やかに終了するようにします。
また、債務の弁済については、第三者も関係するため、詳細な手続きが定められています。
a.債権申出の催告(新:区分所有法第55条の7、旧民法第79条)
清算人は、職についたら、2ヶ月以内に少なくとも3回、一般の債権者(清算人が把握していない債権者)に対し、官報で2ヶ月以上の期間を定めて、この期間内に債権の申出をするよう公告します。
この定めた2ヶ月以上の期間内に債権の申出がないと、清算から弁済も配当も受けられない「除斥」になることも公告します。
なお、清算人が把握している債権者(知れてる債権者)に対しては、個別に申出を催告します。この場合には、除斥期間を定める必要もなく、また1回だけの催告で構いません。
b.弁済
期間内に申出のあった債権者に対して、順次弁済をしていきます。
除斥期間内に申出の無かった債権者は、申出のあった債権者に全部弁済したあとに、まだ帰属権者に引き渡さないものがあれば、この部分に対して請求できます。(新:区分所有法第55条の8)。これが「除斥公告」の効力です。
c.申出のあった債権の全部が弁済できない時 −−> 破産申請へ (新:区分所有法第55条の9、旧民法第81条)
債権の総額が法人の財産より多くて、弁済が出来ない時には、清算人は、直ちに破産手続開始の申請をし官報で公告します。
そして、破産手続開始の決定を受けると、清算人は破産管財人に事務を引き継ぎし、清算人の任務は終了します。
破産手続開始の決定があると、破産管財人は、清算中に既に弁済したものがあれば取り戻して、配当に充当できます。
なお、破産管財人の職務権限は、破産財団に関する権利義務に限られますから、それ以外の管理組合法人の代表などの権利義務は「清算人」に依然として存続すると考えられています。
3.残余財産の引渡し
債権を取立て、弁済をしてもなお管理組合法人としての財産が残っていれば、清算人から帰属権者に、引き渡しとなります。
★管理組合法人の解散の登記も清算人の職務
思い出してください。管理組合法人は、設立の登記をしています。(区分所有法第47条1項及び3項参照)(組合等登記令第2条)
<参照>区分所有法第47条 (成立等);
第四十七条 第三条に規定する団体は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることによつて法人となる。
3 この法律に規定するもののほか、管理組合法人の登記に関して必要な事項は、政令で定める。
<参照>組合等登記令第2条 (設立の登記);
第二条 組合等の設立の登記は、その主たる事務所の所在地において、設立の認可、出資の払込みその他設立に必要な手続が終了した日から二週間以内にしなければならない。
2 前項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。
一 目的及び業務
二 名称
三 事務所の所在場所
四 代表権を有する者の氏名、住所及び資格
五 存続期間又は解散の事由を定めたときは、その期間又は事由
六 別表の登記事項の欄に掲げる事項
そして、設立の登記をしたら、当然に解散の登記もすることになっています。(組合等登記令第7条)
<参照>組合等登記令第7条 (解散の登記);
第七条 組合等が解散したときは、合併及び破産手続開始の決定による解散の場合を除き、二週間以内に、その主たる事務所の所在地において、解散の登記をしなければならない。
解散により、理事はそのまま法律上当然に清算人となりますから(区分所有法第55条の3)、清算人として、解散から2週間以内に管理組合法人の解散の届出をして、解散の登記をしなければなりません。
★罰則がある。
区分所有法71条5号により、20万円以下の過料となります。
管理組合法人の解散の登記を怠ると、、区分所有法71条5号により、20万円の過料となります。
<参照>区分所有法第71条 ;
第七十一条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その行為をした管理者、理事、規約を保管する者、議長又は清算人は、二十万円以下の過料に処する。
五 第四十七条第三項(第六十六条において準用する場合を含む。)の規定に基づく政令に定める登記を怠つたとき。
★清算人は、清算中の管理組合法人の事務執行機関として、元の理事が有していた管理組合法人の財産を占有し、管理組合法人の権利を行使し、管理組合法人を代表して法律行為をするなど、職務を執行するのに必要な一切の権限をもっています。ただし、それは清算の範囲内(判断が難しいけど)に限られます。(2項)
★清算人は、複数いてもいい
清算人は理事と同じように、一人には限りません。
複数の清算人がいる場合には、多数決で事務を執行することになります。
第五十五条の七 (平成20年12月1日施行内容) |
1項 清算人は、その就職の日から二月以内に、少なくとも三回の公告をもつて、債権者に対し、一定の期間内にその債権の申出をすべき旨の催告をしなければならない。この場合において、その期間は、二月を下ることができない。 |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★第55条の7 は、旧区分所有法第55条3項で準用していた、「民法第七十三条 から第七十六条 まで及び第七十八条 から第八十二条 まで並びに非訟事件手続法第三十五条第二項 及び第三十六条 から第四十条 までの規定は、管理組合法人の解散及び清算に準用する。」の規定が、平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、民法の条文及び非訟事件手続法の条文が削除されたため、区分所有法に追加されたものです。
第55条の7 は、旧民法第79条の規定に対応しています。
<参考>旧民法第七十九条 :(債権の申出の催告等) ;
清算人は、その就職の日から二箇月以内に、少なくとも三回の公告をもって、債権者に対し、一定の期間内にその債権の申出をすべき旨の催告をしなければならない。この場合において、その期間は、二箇月を下ることができない。
2 前項の公告には、債権者がその期間内に申出をしないときは、その債権は清算から除斥されるべき旨を付記しなければならない。ただし、清算人は、知れている債権者を除斥することができない。
3 清算人は、知れている債権者には、各別にその申出の催告をしなければならない。
4 第一項の規定による公告は、官報に掲載してする。
★第55条の7 は、清算人の職務として、債権を確定することを規定しています。
★債権申出の催告 −2ヶ月以内に、官報で 3回はすること−
清算人は、職についたら、2ヶ月以内に少なくとも3回、一般の債権者(清算人が把握していない債権者)に対し、官報で2ヶ月以上の期間を定めて、この期間内に債権の申出をするよう公告します。(1項、4項)
この定めた2ヶ月以上の期間内に債権の申出がないと、清算から弁済も配当も受けられない「除斥」になることも公告します。(2項)
なお、清算人が把握している債権者(知れている債権者)に対しては、個別に申出を催告します。
この場合には、除斥期間を定める必要もなく、また1回だけの催告で構いません。(3項)
この清算人からの催告を受け、一般の債権者と知れている債権者からの債権が申出され、債権の総額が確定します。
★罰則あり。20万円以下の過料
第55条の7 1項に定める債権の申出の催告の公告をしなかったり、また内容が不正な公告をすると、区分所有法第71条8号により、20万円以下の過料となります。
<参照>区分所有法第71条 ;
第七十一条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その行為をした管理者、理事、規約を保管する者、議長又は清算人は、二十万円以下の過料に処する。
八 第五十五条の七第一項又は第五十五条の九第一項(これらの規定を第六十六条において準用する場合を含む。)の規定による公告を怠り、又は不正の公告をしたとき。
第五十五条の八 (平成20年12月1日施行内容) |
1項 前条第一項の期間の経過後に申出をした債権者は、管理組合法人の債務が完済された後まだ権利の帰属すべき者に引き渡されていない財産に対してのみ、請求をすることができる。 |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★第55条の8 は、旧区分所有法第55条3項で準用していた、「民法第七十三条 から第七十六条 まで及び第七十八条 から第八十二条 まで並びに非訟事件手続法第三十五条第二項 及び第三十六条 から第四十条 までの規定は、管理組合法人の解散及び清算に準用する。」の規定が、平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、民法の条文及び非訟事件手続法の条文が削除されたため、区分所有法に追加されたものです。
第55条の8 は、旧民法第80条の規定に対応しています。
<参考>旧民法第八十条 :(期間経過後の債権の申出) ;
前条第一項の期間の経過後に申出をした債権者は、法人の債務が完済された後まだ権利の帰属すべき者に引き渡されていない財産に対してのみ、請求をすることができる。
★指定した期間を過ぎた債権の救済
清算の段階に入り、債権を確定させるために、公告や催告をしても(区分所有法第55条の7 参照)、指定した期間内に債権があると申出をしなかった債権者に対しての救済として、この第55条の8 があります
ただし、救済といっても、管理組合法人の清算事務処理の方が優先しています。
つまり、一度確定した債務の弁済が終わってもまだ、管理組合法人に財産があり、さらにそれが帰属権利者に引き渡されていないものから弁済を受けられることになっています。
第五十五条の九 (平成20年12月1日施行内容) |
1項 清算中に管理組合法人の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになつたときは、清算人は、直ちに破産手続開始の申立てをし、その旨を公告しなければならない。 |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★第55条の9 は、旧区分所有法第55条3項で準用していた、「民法第七十三条 から第七十六条 まで及び第七十八条 から第八十二条 まで並びに非訟事件手続法第三十五条第二項 及び第三十六条 から第四十条 までの規定は、管理組合法人の解散及び清算に準用する。」の規定が、平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、民法の条文及び非訟事件手続法の条文が削除されたため、区分所有法に追加されたものです。
第55条の9 は、旧民法第81条の規定に対応しています。
<参考>旧民法第八十一条: (清算法人についての破産手続の開始) ;
清算中に法人の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになったときは、清算人は、直ちに破産手続開始の申立てをし、その旨を公告しなければならない。
2 清算人は、清算中の法人が破産手続開始の決定を受けた場合において、破産管財人にその事務を引き継いだときは、その任務を終了したものとする。
3 前項に規定する場合において、清算中の法人が既に債権者に支払い、又は権利の帰属すべき者に引き渡したものがあるときは、破産管財人は、これを取り戻すことができる。
4 第一項の規定による公告は、官報に掲載してする。
★管理組合法人の財産で弁済できないと −> 破産となる
清算の段階で、債務を集計すると、債務の総額が管理組合法人が持っている財産の額より大きくて、全額の弁済が出来ないことがわかれば、清算から「破産」の段階に変わります。
清算人は、弁済出来ないこと(支払不能=債務超過)が分かった時点で、裁判所に対して破産手続き開始の申し立てをします。(1項)
そして、官報に破産手続き開始の申し立てをしたことを公告します。(1項、4項)
★清算人から破産管財人に引き継ぐ
破産手続開始の申立てを受けた裁判所は、内容を確認して、破産手続開始の決定をし、破産管財人(一人に限らない)を選任します。(破産法第30条、同第31条参照)
<参照> 破産法第30条 (破産手続開始の決定);
第三十条 裁判所は、破産手続開始の申立てがあった場合において、破産手続開始の原因となる事実があると認めるときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、破産手続開始の決定をする。
一 破産手続の費用の予納がないとき(第二十三条第一項前段の規定によりその費用を仮に国庫から支弁する場合を除く。)。
二 不当な目的で破産手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき。
2 前項の決定は、その決定の時から、効力を生ずる。
<参照> 破産法第31条1項 (破産手続開始の決定と同時に定めるべき事項等);
第三十一条 裁判所は、破産手続開始の決定と同時に、一人又は数人の破産管財人を選任し、かつ、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 破産債権の届出をすべき期間
二 破産者の財産状況を報告するために招集する債権者集会(第四項、第百三十六条第二項及び第三項並びに第百五十八条において「財産状況報告集会」という。)の期日
三 破産債権の調査をするための期間(第百十六条第二項の場合にあっては、破産債権の調査をするための期日)
(以下略)
裁判所によって破産管財人が選任されれば、清算人はいままでの事務をその破産管財人に引き継ぎ、あとは、破産管財人が清算人に代わって破産手続きをします。
破産の段階に入れば、清算中に管理組合法人が既に債権者に支払ったものや帰属権利者に引き渡したものがあれば、破産管財人が、これらを取り戻すことができることに、注意が肝心です。(3項)
★清算人の業務は終了して、あとは破産管財人が業務を引き継ぐ − 全業務ではない −
2項に「清算人は、清算中の管理組合法人が破産手続開始の決定を受けた場合において、破産管財人にその事務を引き継いだときは、その任務を終了したものとする。
」とありますが、破産管財人の職務権限は、破産財団に関する権利義務に限られています。
そこで、依然として、清算人には、破産管財人が有していない、管理組合法人としての代表などの職務は残っています。
★罰則あり。
区分所有法第71条9号により、20万円以下の過料。
清算人が、弁済出来ないこと(支払不能=債務超過)が分かった時点で、裁判所に対して破産手続き開始の申し立てをしないと(1項)、20万円以下の過料になります。
<参照>区分所有法第71条9号 ;
第七十一条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その行為をした管理者、理事、規約を保管する者、議長又は清算人は、二十万円以下の過料に処する。
九 第五十五条の九第一項(第六十六条において準用する場合を含む。)の規定による破産手続開始の申立てを怠つたとき。
第五十六条 |
解散した管理組合法人の財産は、規約に別段の定めがある場合を除いて、第十四条に定める割合と同一の割合で各区分所有者に帰属する。 |
過去出題 | マンション管理士 | H19年、 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★残余財産は区分所有者へ帰属する
第56条は管理組合法人が解散をし、清算をした後、まだ残っている財産があれば誰のものになるのかの規定です。
破産的清算等債務者の財産の債権者への公平な満足を目的とする場合を除き、通常の清算手続きは残余財産を確定するためのものですから、清算が終了し、余った財産が確定すればこれを引き継ぐべき者に引き継ぐことになります。
そこで、第56条では、規約で別段の定めのない限り、持分割合(区分所有法の原則である内法床面積割合(第14条))で各区分所有者がこの残余財産の帰属主体となることとしています。
◎しかし、もともと、管理組合法人の財産はその法人格の存在から形式的には法人に帰属している財産ですが、実質的には全区分所有者の総有財産でしたから、形式的な帰属先が消滅すれば実質的な帰属先が顕在化するのは当然といえます。
従って、法人の残余財産も法人格が消滅すれば本来の帰属主体に帰属するようになるのであり、第56条の規定は単にこのことを確認した規定ともいえます。
★ステップアップを目指す人へ − 個人に帰属するのか、団体に帰属するのか −
★帰属方法
管理組合法人の解散は第55条1項の解散事由の
1.建物の全部の滅失
2.建物の専有部分が無くなった
この2つの場合には、区分所有法第3条で定める「団体」も存在しなくなり区分所有者が団体の拘束から外れて、残った財産は、区分所有者個人に還元される場合ですが、次の
3.集会の決議
による場合には、単に管理組合法人の法人格が無くなるだけで、区分所有法第3条で定める団体(管理組合)は依然として存続しています。
それぞれの場合に応じてこの第56条の規定の意味も同じではありません。
@通常、上の1.及び2.の団体(社団)そのものが解散する場合は、残余財産は文字通り分割されて各個人(区分所有者)に帰属することになります。
この第56条が規定しています「規約に別段の定め」がある場合とは、原則である専有部分の床面積の内法面積按分以外の定め、例えば、壁芯面積割合の場合とか、価値比の場合、その他共用持分が第14条の割合によらない場合や残余財産分配が持分とは別箇に定まっている場合がこれにあたります。
次に、
A上の3.の法人格は無くなったが団体(社団=管理組合)がまだ解消しない場合は、残余財産は依然として管理組合運営の資金となりますから、「権利能力なき社団」としての管理組合に承継され、各区分所有者には直接・現実的に分割して帰属するとは考えられません。
従って、各区分所有者への帰属とは管理組合当時の帰属状態に復帰することであり、第14条に定める潜在的持分での総有状態になります。
勿論、規約の定めも持分割合が第14条の割合によらない場合の規定であることは社団が解消する場合と同様です。
以上ですが、いずれの場合も管理組合または個々の区分所有者以外の者、例えば建替え組合等に残余財産を帰属させることができるかは問題です。
規約での変更が認められている以上、可能という考えもありえますが、個人財産となる場合にはその個人の意思によりますから多数決で処理できる問題ではなく、管理組合財産となる場合には管理組合業務範囲内なら可能ですが、範囲外なら全員の合意が必要なため規約での定めはできないと思われます。
★解散すると、残った財産は、規約で定めがなければ、専有部分の床面積の割合で各区分所有者に返される。
<参照>区分所有法 第14条:各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。
*別の規約があれば、それに従う。
<参考>標準管理規約65条:(消滅時の財産の清算)
第65条 管理組合が消滅する場合、その残余財産については、第10条に定める各区分所有者の共用部分の共有持分割合に応じて各区分所有者に帰属するものとする。
第65条関係コメント
共有持分割合と修繕積立金等の負担割合が大きく異なる場合は負担割合に応じた清算とするなど、マンションの実態に応じて衡平な清算の規定を定めることが望ましい。
{設問} 平成19年マンション管理士 試験 「問11」
管理組合法人が解散する場合の残余財産の帰属に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、規約に別段の定めはないものとする。
1 建物に専有部分がなくなったことにより解散した管理組合法人の残余財産は、区分所有法第3条の団体に帰属する。
答え:間違いである。 管理組合法人の解散事由は、区分所有法第55条1項(解散)
「 管理組合法人は、次の事由によつて解散する。
一 建物(一部共用部分を共用すべき区分所有者で構成する管理組合法人にあつては、その共用部分)の全部の滅失
二 建物に専有部分がなくなつたこと。
三 集会の決議 」 である。
1号と2号により、管理組合法人が解散したときは、区分所有法第3条で定める区分所有者の団体(管理組合)そのものも存在しなくなり、同法第56条(残余財産の帰属)
「解散した管理組合法人の財産は、規約に別段の定めがある場合を除いて、第十四条に定める割合と同一の割合で各区分所有者に帰属する。」により、団体ではなく、各区分所有者に帰属することになる。
2 建物の全部の滅失により解散した管理組合法人の残余財産は、各共有者の専有部分の床面積の割合により各区分所有者に帰属する。
答え:正しい。 選択肢1で述べたように、区分所有法第55条1項と同法第56条により、正しい。
3 集会の決議により解散する管理組合法人の残余財産は、区分所有法第3条の団体に帰属する。
答え:正しい。? 選択肢1で述べたように、区分所有法第55条1項3号の集会の決議で管理組合法人が解散しても、これは、管理組合法人格が手続き上なくなっただけで、まだ建物や専有部分は存在しているので、区分所有法第3条で規定する団体は存在している。そこで、残余財産は依然として管理組合運営の資金となり、人格なき社団としての管理組合(区分所有法第3条の団体)に承継され、各区分所有者には直接・現実的に帰属するとは考えられない。 正しい。
答え:間違いである。? 厳密に、区分所有法第56条だけを考えると、「解散した管理組合法人の財産は、規約に別段の定めがある場合を除いて、第十四条に定める割合と同一の割合で各区分所有者に帰属する。 」とあるので、間違いである。
4 建替え決議に基づき建物を取り壊すことにより解散する管理組合法人の残余財産は、各共有者の専有部分の床面積の割合により各区分所有者に帰属する。
答え:正しい。 建替え決議に基づき建物を取り壊すことにより解散する場合も、選択肢1で述べた、区分所有法第55条1項1号に該当するため、同法第56条により、残余財産は、各共有者の専有部分の床面積の割合により各区分所有者に帰属する。
正解:1 (ただし、解釈で 3 にもなり得る。難問というか、設問が中途半端で悪い!) マンション管理センターの正解:1
◎ 平成20年12月1日施行内容
第五十六条の次に次の六条を加える。
第五十六条の二 (平成20年12月1日施行内容) |
1項 管理組合法人の解散及び清算は、裁判所の監督に属する。 |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★第56条の2 は、旧区分所有法第55条3項で準用していた、「民法第七十三条 から第七十六条 まで及び第七十八条 から第八十二条 まで並びに非訟事件手続法第三十五条第二項 及び第三十六条 から第四十条 までの規定は、管理組合法人の解散及び清算に準用する。」の規定が、平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、民法の条文及び非訟事件手続法の条文が削除されたため、区分所有法に追加されたものです。
第56条の2 は、旧民法第82条の規定に対応しています。
<参考>旧民法第八十二条:(裁判所による監督) ;
法人の解散及び清算は、裁判所の監督に属する。
2 裁判所は、職権で、いつでも前項の監督に必要な検査をすることができる。
★どうして、裁判所が監督するのか
第56条の2 は、マンションの管理組合法人の解散・清算を裁判所が監督することにしています。(1項)
解散・清算では、該当のマンションの財産の整理が中心になります。これは第三者の利害にも影響があり、当事者に任せると公正でなくなるおそれもあるため、裁判所の職務としました。
その裁判所は、マンションのある「地方裁判所」が管轄します。(区分所有法第56条の3 参照)
<参照>区分所有法第56条の3 (解散及び清算の監督等に関する事件の管轄);
第五十六条の三 管理組合法人の解散及び清算の監督並びに清算人に関する事件は、その主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。
なお、地方裁判所は監督機関として、当然に内部の検査ができることも規定しています。(2項)
★罰則がある。 過料20万円以下
地方裁判所の検査を妨害する者に対しては、20万円以下の過料があります。(区分所有法第71条 10号参照)
<参照>区分所有法第71条
第七十一条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その行為をした管理者、理事、規約を保管する者、議長又は清算人は、二十万円以下の過料に処する。
十 第五十六条の二第二項(第六十六条において準用する場合を含む。)の規定による検査を妨げたとき。
★検査役が選任されることもある
裁判所は、管理組合法人の解散・清算を監督しますから、必要なら、一時的に調査をする検査役を選任することもあります。(区分所有法第56条の6 1項参照)
<参照>区分所有法第56条の7 1項 (検査役の選任);
第五十六条の七 裁判所は、管理組合法人の解散及び清算の監督に必要な調査をさせるため、検査役を選任することができる。
第五十六条の三 (平成20年12月1日施行内容) |
1項 管理組合法人の解散及び清算の監督並びに清算人に関する事件は、その主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★第56条の3 は、旧区分所有法第55条3項で準用していた、「民法第七十三条 から第七十六条 まで及び第七十八条 から第八十二条 まで並びに非訟事件手続法第三十五条第二項 及び第三十六条 から第四十条 までの規定は、管理組合法人の解散及び清算に準用する。」の規定が、平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、民法の条文、及び非訟事件手続法の条文が削除されたため、区分所有法に追加されたものです。
第56条の3 は、旧非訟事件手続法第35条2項と同第36条の規定に対応しています。
<参考> 旧非訟事件手続法 第35条第2項、及び同法第36条:
第三十五条2項;法人ノ解散及ヒ清算ノ監督ハ其主タル事務所所在地ノ地方裁判所ノ管轄トス
第三十六条 法人ノ清算人ニ関スル事件ハ法人ノ主タル事務所所在地ノ地方裁判所ノ管轄トス
★前の区分所有法第56条の2 で管理組合法人の解散・清算の監督は、公正を期すため裁判所の監督にしましたので、それでは、どこの裁判所が担当するのかを定めたのが、本第56条の3 です。
★裁判所には管轄がある
裁判所には、簡易裁判所、家庭裁判所、地方裁判所、高等裁判所、最高裁判所があり、どの裁判所が裁判権を行使するかを、その事務や事件の性質、土地などで分担しています。
これを、裁判管轄と読んでいます。
★管理組合法人として登記した事務所を管轄する「地方裁判所の管轄」となる
第56条の2 で管理組合法人の解散・清算を裁判所の監督にしましたが、裁判所には、簡易裁判所、家庭裁判所、地方裁判所などいろいろあります。
そこで、どこの裁判所の管轄にするか決めなければなりません。
管理組合法人はその設立において、事務所を定めて登記していますから(区分所有法第47条1項参照)、その事務所を管轄する「地方裁判所」の担当にしました。
また、財産の整理をする清算人が事件を起こし被告となる場合には、本来は清算人の生活本拠地を管轄とする裁判所(民事訴訟法第4条1項参照)が担当になるべきですが、マンションのある土地を管轄している地方裁判所としています。(2項)
このほうが、一貫性もあり合理的と考えたようです。
<参照>区分所有法第47条 (成立等)
第四十七条 第三条に規定する団体は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることによつて法人となる。
<参照>民事訴訟法第4条1項 (普通裁判籍による管轄)
第四条 訴えは、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所の管轄に属する。
なお、地方裁判所の管轄となるのは、仮の理事を選任する場合と同様です。(参照:区分所有法第49条の4)
★管理組合法人の解散・清算の結了の登記は、組合等登記令による。 −民法ではない−
管理組合法人の登記は、組合等登記令に従ってしたように(区分所有法第47条3項)、管理組合法人の解散(組合等登記令第7条)も、清算が終わった(結了)(組合等登記令第10条)登記もまた組合等登記令に従って行います。
<参照>区分所有法第47条3項 (成立等)
3 この法律に規定するもののほか、管理組合法人の登記に関して必要な事項は、政令で定める。
<参照>組合等登記令第7条(解散の登記)
第七条 組合等が解散したときは、合併及び破産手続開始の決定による解散の場合を除き、二週間以内に、その主たる事務所の所在地において、解散の登記をしなければならない。
<参照>組合等登記令第10条(清算結了の登記)
第十条 組合等の清算が結了したときは、清算結了の日から二週間以内に、その主たる事務所の所在地において、清算結了の登記をしなければならない。
第五十六条の四 (平成20年12月1日施行内容) |
1項 清算人の選任の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★第56条の4 は、旧区分所有法第55条3項で準用していた、「民法第七十三条 から第七十六条 まで及び第七十八条 から第八十二条 まで並びに非訟事件手続法第三十五条第二項 及び第三十六条 から第四十条 までの規定は、管理組合法人の解散及び清算に準用する。」の規定が、平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、民法の条文、及び非訟事件手続法の条文が削除されたため、区分所有法に追加されたものです。
第56条の4 は、旧非訟事件手続法第37条の規定に対応しています。
<参考> 旧非訟事件手続法第37条
第三十七条 法人ノ清算人ノ選任ノ裁判ニ対シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ズ
★裁判所は、状況に応じて管理組合法人の清算人を選任できます。(区分所有法第55条の4 参照)
<参照>区分所有法第55条の4 (裁判所による清算人の選任)
第五十五条の四 前条の規定により清算人となる者がないとき、又は清算人が欠けたため損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を選任することができる。
しかし、裁判所が行った行為も全てが正しいとか、妥当でないことはよくあることです。
そこで、通常は、不利益を受ける人は、不服の申し立てとして、再度審判を求めたり、異議の申請ができますが、裁判所が行った清算人の選任では、不服を受け付けなくしています。
職権で清算人を選べたように、裁判所の権限を大ききしています。
★清算人には、報酬がある場合もある
通常の委任関係では、無報酬が原則ですが、清算人は裁判所の判断で報酬がもらえることもあります。(区分所有法第56条の5 参照)
<参照>区分所有法第56条の5 (裁判所の選任する清算人の報酬);
第五十六条の五 裁判所は、第五十五条の四の規定により清算人を選任した場合には、管理組合法人が当該清算人に対して支払う報酬の額を定めることができる。この場合においては、裁判所は、当該清算人及び監事の陳述を聴かなければならない。
★選任では不服申し立てができないが、解任では不服申し立てはできる
清算人に、「重要な事由」あれば、裁判所により、解任されます。この場合には、救済策として、「即時抗告」が認められています。(参照:区分所有法第55条の5 、同第56条の6 )
<参照>区分所有法第55条の5 (清算人の解任);
第五十五条の五 重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を解任することができる。
<参照>区分所有法第56条の6 (即時抗告);
第五十六条の六 清算人の解任についての裁判及び前条の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
第五十六条の五 (平成20年12月1日施行内容) |
1項 裁判所は、第五十五条の四の規定により清算人を選任した場合には、管理組合法人が当該清算人に対して支払う報酬の額を定めることができる。この場合においては、裁判所は、当該清算人及び監事の陳述を聴かなければならない。 |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★第56条の5 は、旧区分所有法第55条3項で準用していた、「民法第七十三条 から第七十六条 まで及び第七十八条 から第八十二条 まで並びに非訟事件手続法第三十五条第二項 及び第三十六条 から第四十条 までの規定は、管理組合法人の解散及び清算に準用する。」の規定が、平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、民法の条文、及び非訟事件手続法の条文が削除されたため、区分所有法に追加されたものです。
第56条の5 は、旧非訟事件手続法第38条の規定に対応しています。
<参考> 旧非訟事件手続法第38条 :
第三十八条 民法第七十五条 ノ規定ニ依リ裁判所ガ法人ノ清算人ヲ選任シタル場合ニ於テハ法人ヲシテ之ニ報酬ヲ与ヘシムルコトヲ得其額ハ清算人及ビ監事ノ陳述ヲ聴キ裁判所之ヲ定ム
★裁判所が選んだ清算人は、報酬をもらえることがある
通常、管理組合法人が解散し、清算の段階に入ると、今までの理事が清算人となりますが、(区分所有法55条の3 参照)、清算人になる人がいなかったり、また清算人が欠けたりした場合には、裁判所が清算人を選ぶことがあります。それが、区分所有法55条の4 の規定です。
<参照> 区分所有法第55条の4 (裁判所による清算人の選任)
第五十五条の四 前条の規定により清算人となる者がないとき、又は清算人が欠けたため損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を選任することができる。
★裁判所が報酬決定権を持つ
通常、委任関係では報酬のないことが原則ですが、状況の特殊性を考えてか、裁判所が選任した清算人には、報酬額を裁判所が決めてもいいことになっています。
この報酬の額を決めるときには、その清算人の意見と監事の意見を聞くことになっています。(後段)
★報酬額に不満なら −> 即時抗告をする (第56条の6 参照)
清算人が裁判所に意見をいっても、希望どうりの報酬になる保証はありません。
報酬額が不満なら、次の第56条の6 により「即時抗告」ができます。
なお、決めた報酬額は、当然解散した管理組合法人が清算人に支払います。(裁判所が払うのではありませんよ。)
第五十六条の六 (平成20年12月1日施行内容) |
1項 清算人の解任についての裁判及び前条の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★第56条の6 は、旧区分所有法第55条3項で準用していた、「民法第七十三条 から第七十六条 まで及び第七十八条 から第八十二条 まで並びに非訟事件手続法第三十五条第二項 及び第三十六条 から第四十条 までの規定は、管理組合法人の解散及び清算に準用する。」の規定が、平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、民法の条文、及び非訟事件手続法の条文が削除されたため、区分所有法に追加されたものです。
第56条の6 は、旧非訟事件手続法第39条の規定に対応しています。
<参考>旧非訟事件手続法第39条;
第三十九条 法人ノ清算人ノ解任ニ付テノ裁判及ビ前条ノ裁判ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得
★第56条の6 は、
1.清算人を解任された 場合と
2.清算人としての報酬に不満がある 場合の救済策を定めています。
1.解任に対する救済策
★清算人の解任権は裁判所が持つ
清算人となっても、長期入院となり清算の職務ができないなど、「重要な事由」があれば、裁判所は清算人を解任できます。(区分所有法第55条の5 参照)
<参照>区分所有法第55条の5 (清算人の解任)
第五十五条の五 重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を解任することができる。
しかし、「重要な事由」の判定は非常に曖昧です。その曖昧な判定で裁判所が下した解任により清算人が被害をこうむることもありえます。その場合には、清算人に不服申し立てとして「即時抗告」が認められています。(参照:民事訴訟法第332条)
<参照>民事訴訟法第332条 (即時抗告期間);
第三百三十二条 即時抗告は、裁判の告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。
2.報酬に対する救済策
★清算人の報酬決定権も裁判所が持つ
また、裁判所により、清算人の報酬も決められます。(前条;区分所有法56条の5)
<参照>区分所有法第56条の5 (裁判所の選任する清算人の報酬)
第五十六条の五 裁判所は、第五十五条の四の規定により清算人を選任した場合には、管理組合法人が当該清算人に対して支払う報酬の額を定めることができる。この場合においては、裁判所は、当該清算人及び監事の陳述を聴かなければならない。
この報酬の額についても、不満のある清算人には「即時抗告」をすることが認められています。
第五十六条の七 (平成20年12月1日施行内容) |
1項 裁判所は、管理組合法人の解散及び清算の監督に必要な調査をさせるため、検査役を選任することができる。 |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★第56条の7 は、旧区分所有法第55条3項で準用していた、「民法第七十三条 から第七十六条 まで及び第七十八条 から第八十二条 まで並びに非訟事件手続法第三十五条第二項 及び第三十六条 から第四十条 までの規定は、管理組合法人の解散及び清算に準用する。」の規定が、平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、民法の条文、及び非訟事件手続法の条文が削除されたため、区分所有法に追加されたものです。
第56条の7 は、旧非訟事件手続法第40条の規定に対応しています。
<参照> 旧非訟事件手続法 第40条:
第四十条 裁判所ハ特ニ選任シタル者ヲシテ法人ノ解散及ビ清算ノ監督ニ必要ナル検査ヲ為サシムルコトヲ得
2 前三条ノ規定ハ前項ノ規定ニ依リ裁判所ガ検査ヲ為スベキ者ヲ選任シタル場合ニ之ヲ準用ス
★解散・清算調査の検査役の選任
第56条の7 は裁判所が「検査役」の選任をすることを認めた規定です。
★検査役は監事(監査役)と異なる
検査役は臨時的に、状況を調査することを職務としています。
常設なものでないのが、監事や監査役と異なっています。
★管理組合法人の解散と清算は、地方裁判所が監督する
管理組合法人の解散と清算は、地方裁判所が監督し、地方裁判所は必要に応じて検査もできます。(区分所有法第56条の2 参照)
<参照>区分所有法第56条の2 (裁判所による監督)
第五十六条の二 管理組合法人の解散及び清算は、裁判所の監督に属する。
2 裁判所は、職権で、いつでも前項の監督に必要な検査をすることができる。
そこで、裁判所の独自の判断で、必要があれば、管理組合法人の解散と清算の状況を検査する「検査役」を選任することもできます。
★検査役に準用される 前3条の規定
区分所有法 第56条の4 (不服申立ての制限)
第五十六条の四 清算人の選任の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
区分所有法 第56条の5 (裁判所の選任する清算人の報酬)
第五十六条の五 裁判所は、第五十五条の四の規定により清算人を選任した場合には、管理組合法人が当該清算人に対して支払う報酬の額を定めることができる。この場合においては、裁判所は、当該「清算人及び監事」(読み換えー> 「管理組合法人及び検査役」 )の陳述を聴かなければならない。
区分所有法 第56条の6 (即時抗告)
第五十六条の六 清算人の解任についての裁判及び前条の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
検査役も裁判所によって選任されるため、裁判所によって選任される清算人と同様に、不服の申し立てはできません。(第五十六条の四 参照)
また、裁判所が決める報酬については、意見を述べることができます。(第56条の5 参照)
検査役からの解任や報酬に不満があれば、「即時抗告」もできるのは、清算人と同様です。(第56条の6、第56条の5 参照)
ページ終わり |
謝辞:Kzさんの了解により一部転用・編集をしています。
最終更新日:
2010年6月15日:組合等登記令などを中心にかなり加筆
2009年10月29日:少し加筆(第56条)
2009年6月23日:ちょっとだけ加筆