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★★       条 文 の 解 説        ★★

建物の区分所有等に関する法律

(この解説においては、略称:区分所有法 と言う)

第1章 建物の区分所有 第6節 管理組合法人

第四十七条 成立等
第四十八条 名称
第四十八条の二 財産目録及び区分所有者名簿
第四十九条 理事
第四十九条の二 理事の代理権
第四十九条の三 理事の代理行為の委任
第四十九条の四 仮理事
第五十条 監事
第五十一条 監事の代表権
第五十二条 事務の執行
第五十三条 区分所有者の責任
第五十四条 特定承継人の責任
第五十五条 解散
第五十五条の二 清算中の管理組合法人の能力
第五十五条の三 清算人
第五十五条の四 裁判所による清算人の選任
第五十五条の五 清算人の解任
第五十五条の六 清算人の職務及び権限
第五十五条の七 債権の申出の催告等
第五十五条の八 期間経過後の債権の申出
第五十五条の九 清算中の管理組合法人についての破産手続の開始
第五十六条 残余財産の帰属
第五十六条の二 裁判所による監督
第五十六条の三 解散及び清算の監督等に関する事件の管轄
第五十六条の四 不服申立ての制限
第五十六条の五 裁判所の選任する清算人の報酬
第五十六条の六 即時抗告
第五十六条の七 検査役の選任
 
● 税法との関係 
● 会計

Y-a.第47条(成立等)

マンション管理士・管理業務主任者を目指す方のために、区分所有法を条文ごとに解説しました。 

試験問題は、過去の問題から出されるのではありません。条文から出題されます。

条文を勉強することが、合格への道です。

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凡例:各条文は、黒字にて表示。解説は条文の下に緑字にて表示
         

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第一章 建物の区分所有
第六節 管理組合法人
 
(成立等)
第四十七条
1項 第三条に規定する団体は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることによって法人となる。
過去出題 マンション管理士 H18年、H16年、
管理業務主任者 H21年、H19年、H18年、H16年、H15年、H13年

<参照> 区分所有法 第3条(区分所有者の団体):
 区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。

★かつ、登記をすることによって法人となる...集会の決議だけでは、法人になれない。登記が必要。


★「区分所有者の団体」については、区分所有法第3条の説明に戻ってください。

★法人化の意味

 第47条は管理組合法人の設立に関する規定です。

 区分所有法第3条で規定される区分所有者の団体は、通常、管理組合と呼ばれています。
そして、管理組合は建物と敷地の管理等の目的のために一定の組織を備えた人の集合たる
民法等で定める社団といえます。

法人とは...人(自然人)以外で、法律上の権利・義務の主体となることを認められた者ですが、現実的には、団体(組織体)です。
 社会的な活動を営む団体を取引の必要上、独立の法定主体として扱うことにした法律上の技術によって創造された者です。

★法人の種類・分類
  民法や商法、また会社法などの特別法により法人としての権利能力(法人格といいます)を認められます。
 法人の種類や分類の仕方は、公法人・私法人、公益法人・中間法人・営利法人、社団法人・財団法人、内国法人・外国法人などです。


★民法で規定していた、「社団法人・財団法人」の規定が、平成20年12月施行の「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」により、大幅に改正(民法の規定はほとんど削除)された。

  この改正の背景は、公益法人が特定官庁の許可制でありながら、判断基準があいまいで、また官僚たちの天下り先になっていたことです。
  そこで、政府の行政改革の一環として、簡素で効率的な政府を実現するために公益法人の見直しがなされ、
  ・ 現行の公益法人の設立に係る許可主義を改め、法人格の取得と公益性の判断を分離することとし、公益性の有無に関わらず、準則主義(登記)により簡便に設立できる一般的な非営利法人制度を創設すること
  ・ 各官庁が裁量により公益法人の設立許可等を行う主務官庁制を抜本的に見直し、民間有識者からなる委員会の意見に基づき、一般的な非営利法人について目的、事業等の公益性を判断する仕組みを創設すること
としました。

 この基本的枠組みに基づき、制度上の枠組みを設計し、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案」、「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案」及び「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案」を平成18年3月に国会に提出しました。これらは、国会での審議を経て同年5月26日に成立し、同年6月2日に公布されました。新制度は、平成20年12月に施行されました。また、施行日から5年間は「移行期間」とされ、現行の公益法人は、この期間内に必要な手続きを行い、新制度に移行することとなります。

★具体的には、
 民法に定める公益法人に関する制度を改め、剰余金の分配を目的としない社団又は財団について、その行う事業の公益性の有無にかかわらず、準則主義(登記)により法人格を取得することができる制度を創設し、その設立、機関等について定める。


◎管理組合が法人となると何が変わるかというと → あまり変りはありません。

 法人化前でも管理組合は古くからある「権利能力なき社団」として、事実上構成員とは別個の権利主体として活動を行っていますから当然です。
管理組合として各種契約行為を行い、物品を購入する等日常的な業務については法人格がなくとも何ら支障なく実施することができます。
税務上も権利能力なき社団として法人として扱われ、裁判上もまた同様です。

 ここで、区分所有法第3条の説明の復習です。

権利能力なき社団とは

  @団体としての組織を備え
  A多数決原理が行われており、
  B構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し、
  Cその組織によって、代表の方法、総会の運営、財産の管理、その他団体としての主要な点が確定している
 要件をみたすこと。
 この場合には、構成員個人とは別に、法律関係の当事者になれる。

◎ただし、「権利能力なき社団(人格なき社団ともいう。)」は正規の法人格がないため登記上の権利の名義人にはなれず、登記ではその構成員の中から代表者(管理組合でいえば理事長)を選任し、その代表者(理事長)が自己の名で権利能力なき社団のために登記行為を行うものとされていますから、代表者(理事長)が変更される度に旧代表者から新代表者に移転登記を行わなければならずその費用や手間が大変であり、且つそれを怠ると将来的には名義人との間でその所有権の帰属に関する争いや目的物件の無断譲渡の危険があります。

 この登記を考えると管理組合が法人格を取得し、管理組合名義の登記をすることは、名義で発生するような問題を解消する上で非常に便利であるといえます。
ただし、管理組合自身が登記の必要な権利を取得するのは稀有の例ですから、現実的にはあまり実益のある話ではありません。

 更に、将来的に登記手続で権利能力なき社団の「社団名」での登記が認められればこの問題も解消するものです。

◎従って、現時点で法人化のメリットがあるとすれば、民法での「合有」の規制からの開放のようです。

 管理組合は管理を実施するに伴い様々な権利義務を有することになりますが、正規には法人格がないためその権利義務は管理組合の構成員全員に総有的(合有的)に帰属し、その管理・処分で区分所有法に規定の無い事項は民法の原則によるものとされて、例えば滞納管理費の放棄には区分所有者全員の合意が必要と説明されています。

 ところが一旦法人化がされると、滞納管理費は管理組合法人に帰属する債権で、その放棄も法人の通常事務に属し構成員(組合員)の過半数の議決でできると説明され、法人登記が管理組合組織や性格に革命的変革を有するような効果を認めています。

 しかし、団体自体(管理組合)に帰属するか、構成員(区分所有者)に帰属するかの団体における権利義務の帰属形態は人格の有無の問題であり権利能力なき社団の理論自体が社団に対し完全とはいえないまでも人格を認めるもので、法人登記は単にその人格を完成させるものに過ぎませんから本来法人化しない時点でも同様の結論が得られるはずのものです。

 また、団体の意思決定方法が実体が変わらないにもかかわらず登記の有無で変更されるというのも不可解ですが、構成員各自間の複雑多岐な権利関係を構成員と団体とのニ当事者関係に昇華させて取扱いを簡易明確化するのが社団制度のメリットですから法人化でそのメリットを享受できるのなら法人化は組合運営の簡便を図れる有効な手段といえます。

★設立の要件
  団体(管理組合=2人以上の区分所有者)ができれば、

  集会の特別決議(区分所有者及び議決権の各3/4以上)で、
   ア)法人となること、
   イ)名称、
   ウ)事務所を決定し、
   エ)事務所の所在地の管轄登記所で設立登記を行うこと がその要件です。

 区分所有者が1人では、法人化はできません。法人格は区分所有者の団体に与えられるものであり、区分所有者が1人では、団体でありませんので。

 なお、この他、代表機関たる理事等の登記も当然必要となります。
平成14年の改正で、区分所有者数30人以上の制限がなくなりましたので、2名以上の区分所有者が存在すれば、これらの要件だけで法人となれるようになりました。

★一部共用部分に関する管理組合法人も設立可能
  第3条後段で、一部共用部分を管理する区分所有者だけの団体も存在が認められていますから、その一部共用部分だけを管理するための団体もこの第47条の要件を満たせば、管理組合法人となれます。
  この場合、マンション全体を管理する団体も法人化されていれば、1つの建物の中に、全体を管理する管理組合法人と一部共用部分だけを管理する管理組合法人が存在することになります。

◎ところで、一般に社団が社団たるためにはその名称・事務所(事務をする物理的な場所ではなく社団の住所の意味です。)以外に目的・資産・代表の方法・意思決定方法等の基本事項を定めた定款の作成が必要であり、この定款をもって社団法人の設立登記がなされていますが、管理組合法人の場合には全員の合意で本来なされる定款(規約)の作成が特別決議に緩和されている点はもとより目的その他の通常の定款の必要的記載事項の定めも要求されない非常に簡便なものになっています。

◎法人登記は外部の利害関係者に法人の存在と代表機関等を登記により周知せしめその取引の安全を図る制度ですから、この議決内容の簡素化は管理組合の便宜を図ったというより管理組合という団体の性格や区分所有法の他の規定からその他の通常必要事項の定めは既に備わっているということでしょう。

 登記は法人の設立要件としてのいわゆる設立登記であり、民法 の公益法人の登記や不動産登記のように単なる対抗要件ではありません。
従って、この設立登記がなされて初めて管理組合法人が成立します。
もっとも、設立登記後の変更登記は対抗要件です。

   ★特別に多数の賛成が必要で「特別決議事項」と呼ばれる。(その8の3−1)

    ★注意:ただし、他の特別決議事項と違って、集会の招集通知で、「会議の目的たる事項」を示すだけでよく、「議案の要領」を示す必要はありません。(参照 第35条5項

   ★名称と事務所(ここに規約も保管する)を決めて、登記すること。(第47条12項)。なお、名称には「管理組合法人」を入れなければいけない。(第48条1項)

   ★法人となると理事と監事もおくこと(第49条1項、第50条1項)

   ★法人になるには、行政庁の許認可がいらない。(区分所有法があるので、公益を害さないから)。行政的な監督もない。

★管理組合法人と通常の管理組合の違い。

  一般の法人設立は、法律上全く新たに団体としての実体を形成しなくてはなりません。
 しかし、管理組合法人は、区分所有法第3条で定められた『区分所有者の団体=管理組合』が、その実質的な同一性を失わずに法人になることができます。従って、具体的な事項では、法人格の有無による大きな差異はありません。

   民事裁判では、法人格のない管理組合は、民事訴訟法第29条(法人でない社団等の当事者能力)で「法人でない社団又は財団で代表者または管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができる。」としています。
 つまり、管理規約があり、管理者や理事長が選任されている管理組合には、法人格はなくても民事訴訟法上「当事者能力」を認めています。
 ただ、法人格のない管理組合は「登記」に関する行為能力がありませんので、不動産登記や電話加入権登録等の登記行為ができません。
 また、管理費や修繕積立金など預金の口座名義人も代表者が不在では、銀行は扱ってくれず口座開設ができません。

★管理者(理事長)がいない時の、警備用電話加入、銀行口座の名義はどうするのか。

  それでは、マンションが新規に分譲された時には、まだ管理組合の代表である管理者(理事長)は当然存在していませんが、建物を管理するために、警備用の電話権の購入、管理費・修繕積立金用の銀行口座の開設・印鑑の作成など、マンションの管理組合名義で処理する項目が発生します。
 このような事態では、マンションの管理委託会社の名義で電話加入や銀行口座を開設し、管理者(理事長)が選任された後、名義変更を行います。
   最近の銀行では口座開設や名義変更は、簡単にはできません。
 通常 xxxマンション管理組合 理事長 yyyyyy と名義はなりますが、銀行の窓口で、理事長名の確認のため、管理組合の規約、理事長の名義を証明する議事録の提出を求められ、また理事長名を確認する本人の運転免許が必要で、さらに多くの場合、この名義変更の処理を管理委託業者が行うわけですが、管理委託業者が代理している証明(委任状など)も求められることがあります。

 そのために、次のような、規約の承認などを含んだ「承認書」を分譲契約締結時に交わしています。

*****************************************  

★ あるマンション販売でのサンプル

「xxxxマンション」管理に係わる承認書 

(売主)     AA 株式会社 
(管理会社)  BB 管理 株式会社  御中

 今般、土地付き区分所有建物「xxxxマンション」の売買契約締結に伴い、下記の事項を承認します。
      − 記 −
対象物件: 名称   :「xxxxマンション」
        所在地 :東京都千代田区・・・・

1. 別記 「xxxxマンション 管理規約」、 「同使用細則」、「同宅配ボックス使用細則」、「同駐輪場使用細則」、「同共用駐車場使用細則」、「同共用駐車場使用契約書(書式)」、「同共同バイク置場使用細則」、「同共同バイク置場使用契約書(書式)」案を原案の通り承認し遵守いたします。 
 なお、この規約に基づき、「xxxxマンション管理組合」に加入し、他の組合員と協議の上、規約に定める役員を選任することを承認します。 
 また、専有部分を第三者に貸与する場合は、その者にも、この規約及び使用細則等に定める事項を遵守させることを、誓います。

2. 管理規約による正規の管理者(理事長)が選任されるまでの間は、「BB 管理 株式会社」が管理組合の職務を代行することを承認します。
  また、本物件の維持管理の必要上、あらかじめ備品として清掃用具、管理組合印及び理事長印、電話加入権(名義上は、「BB 管理 株式会社」にしますが、費用の負担及び実質上の権利者は、本物件の管理組合とします。)などの購入及び管理組合の預金口座の開設を承認します。


3. 本物件の駐輪場、駐車場及びバイク置場の当初の区割りについては、「売主 AA 株式会社」 の指定の方法によることを承認します。

4. 別記 「xxxxマンション 管理費予算見積書」及び「xxxxマンション 管理委託契約書」により、管理組合が「BB 管理 株式会社」に管理を委託することを承認します。

5. 対象物件に関し、売主又はその指定する者が、建物及び共用部分を、次の販売活動のために、無償使用することを承認します。 (規約x条a項参照)
    ア.対象物件内に販売案内所及びモデルルームを設置し、それらに伴う案内板や看板等を設置すること。
    イ.対象物件の外壁面等に販売に関する垂れ幕、看板等を設置すること。

6. 管理の開始後、売主による未販売住戸がある場合には、売主による管理基金・修繕積立基金(一時払い金)の納付は要しないことを承認いたします。(規約x条b項参照)

7. 対象物件の管理開始後、部分管理(暫定管理)があることを承認します。(規約x条c項参照)

8. 管理規約ならびに管理委託契約書への署名捺印を、本書の署名捺印をもって代えることを承認します。

                                     以上

 平成  年  月   日
      xxxxマンション       号室 区分所有者
      氏名                 印
     共有者 氏名             印

***************************************** 

   ★法人の利点: @管理組合名義で不動産の登記が出来る。

              A管理組合の財産と構成員の財産区分が明確になる。

              B取引の安全の確保

★法人化すると面倒だ
 ただし、メリット(長所)ばかりではなくディメリット(短所)も当然存在します。
法人化には設立登記が必要ですが、代表者(管理組合なら理事長)も当然登記事項ですから役員の変更のつど変更登記が必要となり、当然費用もかかりますし、財産目録と組合員(区分所有者)名簿の調製が法的義務となり事務の増加は避けられません。

 また、法人としての罰則も区分所有法第71条、同第72条にあります。

★管理組合の業務:
  法人化に関係なく管理組合の業務を簡単にいいますと、建物、敷地および共用部分の維持管理にあります。
  そのため管理組合は、建物、敷地および共用部分の取扱についてのルール(管理組合規約)を区分所有者の集会(総会)によって決議し、あわせて、管理者(管理組合理事長)および役員を選任します。

<参考>標準管理規約21条:(敷地及び共用部分等の管理)
第21条 敷地及び共用部分等の管理については、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。ただし、バルコニー等の管理のうち、通常の使用に伴うものについては、専用使用権を有する者がその責任と負担においてこれを行わなければならない。
2. 専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる。

第21条関係コメント
@ 駐車場の管理は、管理組合がその責任と負担で行う。
A バルコニー等の管理のうち、管理組合がその責任と負担において行わなければならないのは、計画修繕等である。
B 本条ただし書の「通常の使用に伴う」管理とは、バルコニーの清掃や窓ガラスが割れた時の入れ替え等である。
C 第2項の対象となる設備としては、配管、配線等がある。
D 配管の清掃等に要する費用については、第27条第三号の「共用設備の保守維持費」として管理費を充当することが可能であるが、配管の取替え等に要する費用のうち専有部分に係るものについては、各区分所有者が実費に応じて負担すべきものである。

<参考>標準管理規約32条:(業務)
第32条 管理組合は、次の各号に掲げる業務を行う。
   一  管理組合が管理する敷地及び共用部分等(以下本条及び第48条において「組合管理部分」という。)の保安、保全、保守、清掃、消毒及びごみ処理
   二  組合管理部分の修繕
   三  長期修繕計画の作成又は変更に関する業務
   四  建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査に関する業務
   五  適正化法第103条に定める、宅地建物取引業者から交付を受けた設計図書の管理
   六  修繕等の履歴情報の整理及び管理等
   七  共用部分等に係る火災保険その他の損害保険に関する業務
   八  区分所有者が管理する専用使用部分について管理組合が行うことが適当であると認められる管理行為
   九  敷地及び共用部分等の変更及び運営
   十  修繕積立金の運用
   十一  官公署、町内会等との渉外業務
   十二  風紀、秩序及び安全の維持に関する業務
   十三  防災に関する業務
   十四  広報及び連絡業務
   十五  地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成
   十六  管理組合の消滅時における残余財産の清算
   十七  その他組合員の共同の利益を増進し、良好な住環境を確保するために必要な業務

第32条関係コメント
@ 建物を長期にわたって良好に維持・管理していくためには、一定の年数の経過ごとに計画的に修繕を行っていくことが必要であり、その対象となる建物の部分、修繕時期、必要となる費用等について、あらかじめ長期修繕計画として定め、区分所有者の間で合意しておくことは、円滑な修繕の実施のために重要である。
A 長期修繕計画の内容としては次のようなものが最低限必要である。
   1 計画期間が25年程度以上であること。なお、新築時においては、計画期間を30年程度にすると、修繕のために必要な工事をほぼ網羅できることとなる。
   2 計画修繕の対象となる工事として外壁補修、屋上防水、給排水管取替え、窓及び玄関扉等の開口部の改良等が掲げられ、各部位ごとに修繕周期、工事金額等が定められているものであること。
   3 全体の工事金額が定められたものであること。また、長期修繕計画の内容については定期的な(おおむね5年程度ごとに)見直しをすることが必要である。
B 長期修繕計画の作成又は変更及び修繕工事の実施の前提として、劣化診断(建物診断)を管理組合として併せて行う必要がある。
C 長期修繕計画の作成又は変更に要する経費及び長期修繕計画の作成等のための劣化診断(建物診断)に要する経費の充当については、管理組合の財産状態等に応じて管理費又は修繕積立金のどちらからでもできる。ただし、修繕工事の前提としての劣化診断(建物診断)に要する経費の充当については、修繕工事の一環としての経費であることから、原則として修繕積立金から取り崩すこととなる。
D 管理組合が管理すべき設計図書は、適正化法第103条に基づいて宅地建物取引業者から交付される竣工時の
  ・付近見取図、
  ・配置図、
  ・仕様書(仕上げ表を含む。)、
  ・各階平面図、
  ・2面以上の立面図、
  ・断面図又は矩計図、
  ・基礎伏図、
  ・小屋伏図、
  ・構造詳細図 及び
  ・構造計算書である。
ただし、同条は、適正化法の施行(平成13年8月1日)前に建設工事が完了した建物の分譲については適用されてないこととなっており、これに該当するマンションには上述の図書が交付されていない場合もある。
他方、建物の修繕に有用な書類としては、上述以外の
  ・設計関係書類(数量調書、竣工地積測量図等)、
  ・特定行政庁関係書類(建築確認通知書、日影協定書等)、
  ・消防関係書類、
  ・機械関係設備施設の関係書類、
  ・売買契約書関係書類等がある。
このような各マンションの実態に応じて、具体的な図書を規約に記載することが望ましい。
E 修繕等の履歴情報とは、大規模修繕工事、計画修繕工事及び設備改修工事等の修繕の時期、箇所、費用及び工事施工者等や、設備の保守点検、建築基準法第12条第1項及び第2項の特殊建築物等の定期調査報告及び建築設備(昇降機を含む。)の定期検査報告、消防法第8条の2の2の防火対象物定期点検報告等の法定点検など、維持管理の情報であり、整理して後に参照できるよう管理しておくことが今後の修繕等を適切に実施するために有効な情報である。
F 建替え等により消滅する管理組合は、管理費や修繕積立金等の残余財産を清算する必要がある。なお、清算の方法については、各マンションの実態に応じて規定を整備しておくことが望ましい。

 次に管理者である理事長は管理組合の執行機関として管理組合規約及び集会の決議に基づいて、必要な手だてを講じることになります。

★理事会・理事長の名称は、区分所有法にはない。
  なお、役員などで構成される執行機関の「理事会」の規定や理事の代表である「理事長」の名称は、区分所有法にはありませんが、標準管理規約では次のように定めています。

<参考>標準管理規約51条から55条:第5節 理事会
(理事会)
第51条 理事会は、理事をもって構成する。
  2. 理事会の議長は、理事長が務める。

(招集)
第52条 理事会は、理事長が招集する。
  2. 理事が○分の1以上の理事の同意を得て理事会の招集を請求した場合には、理事長は速やかに理事会を招集しなければならない。
  3. 理事会の招集手続については、第43条(建替え決議を会議の目的とする場合の第1項及び第4項から第7項までを除く。)の規定を準用する。ただし、理事会において別段の定めをすることができる。

(理事会の会議及び議事)
第53条 理事会の会議は、理事の半数以上が出席しなければ開くことができず、その議事は出席理事の過半数で決する。

〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕
(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
2. 議事録については、第49条(第4項を除く。)の規定を準用する。ただし、第49条第2項中「総会に出席した組合員」とあるのは「理事会に出席した理事」と読み替えるものとする。

(イ)電磁的方法が利用可能な場合
2. 議事録については、第49条(第6項を除く。)の規定を準用する。ただし、第49条第3項中「総会に出席した組合員」とあるのは「理事会に出席した理事」と読み替えるものとする。

第53条関係コメント
理事に事故があり、理事会に出席できない場合は、その配偶者又は一親等の親族に限り、代理出席を認める旨を規約に定めることもできる。

(議決事項)
第54条 理事会は、この規約に別に定めるもののほか、次の各号に掲げる事項を決議する。
   一  収支決算案、事業報告案、収支予算案及び事業計画案
   二  規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止に関する案
   三  長期修繕計画の作成又は変更に関する案
   四  その他の総会提出議案
   五  第17条に定める承認又は不承認
   六  第67条に定める勧告又は指示等
   七  総会から付託された事項

(専門委員会の設置)
第55条 理事会は、その責任と権限の範囲内において、専門委員会を設置し、特定の課題を調査又は検討させることができる。
2. 専門委員会は、調査又は検討した結果を理事会に具申する。

第55条関係コメント
@ 専門委員会の検討対象が理事会の責任と権限を越える事項である場合や、理事会活動に認められている経費以上の費用が専門委員会の検討に必要となる場合、運営細則の制定が必要な場合等は、専門委員会の設置に総会の決議が必要となる。
A 専門委員会は、検討対象に関心が強い組合員を中心に構成されるものである。必要に応じ検討対象に関する専門的知識を有する者(組合員以外も含む。)の参加を求めることもできる。


★法人格がないと所有者が明確でない。
  法人でないため、登記がはっきりしないので、債権の具体的な回収で困った例がありました。 平成21年3月26日:東京地裁の判例です。平成21年3月27日付け:毎日新聞より、一部引用。

 ●朝鮮総連:競売訴訟 「本部の所有者は議長」 名義書き換え命令。整理回収機構が勝訴−−東京地裁

   整理回収機構(RCC)は、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の中央本部(東京都千代田区)に約627億円の債務返済を命じた07年6月の東京地裁判決を受け、同中央本部の土地・建物の強制競売を目指したが、総連には法人格がなく登記の当事者になれないため、総連本部の所有者の名義は「
合資会社朝鮮中央会館管理会」となっていた。整理回収機構は同地裁に競売を申し立てたが、名義が管理会のため認められず、管理会名義のまま競売するため別の訴訟を起こしたが、08年11月に棄却された。
 そこで、整理回収機構が、実質的な所有者が総連であることの確認を求めた訴訟を提訴した。

 総連側は「所有権は管理会にある」と主張したが、09年3月26日の判決で、東京地裁の浜秀樹裁判長は、「当初から総連が使用し、管理会に使用料を支払った形跡がうかがわれない。管理会の役員構成上、総連の意思で不動産を処分できる。実質的な帰属主体は総連。」と退けた。そして、登記上の名義人の合資会社朝鮮中央会館管理会」に対し不動産名義を総連の徐萬述(ソマンスル)議長に書き換えるよう命じた。

 ◇朝鮮総連中央本部広報室の話

   事実を無視した不当極まりない判決であり、控訴する。

 これで、整理回収機構は強制執行が可能となります。少しは、「法人」の持つ重要性がわかりましたか?


★参考までに;
  平成21年4月10日に、国土交通省より公表された「平成20年度マンション総合調査結果」によりますと、調査報告のあった、2,167のマンションの内、法人化してあるのは、234 と 
全体の10.8% です。 なお、平成15年の調査では、全体の10.0% だったとのことです。


◎管理者・理事・理事会の区分所有法と標準管理規約での関係
  法人でない管理組合 法人とした管理組合
区分所有法 管理者を定めるが、理事会の規定はない。 理事・監事は必須、理事会の規定はない。
標準管理規約 理事・監事・理事長、理事会を定めている。 理事・監事・理事長、理事会を定めている。

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第四十七条

2項  前項の規定による法人は、管理組合法人と称する。

過去出題 マンション管理士 未記入
管理業務主任者 未記入

★名称は必ず「管理組合法人」とすること...法人となると他の名称は使ってはいけない。

 各マンションの名称は自由ですが、登記上では他の法人と区別するため名称中に「管理組合法人」という言葉を入れることが強制されます(参照:第48条1項)。

 特定の名称を使用することを義務づけることは、株式会社の名称など他の法律での法人と同様であり(民法法人は別)、その代わり管理組合法人でない者は管理組合法人の名称を使用することはできないものとされます(第48条2項。民法法人も同じ。旧民法 第34条の2)。
 xxx管理組合法人と称することにより、区分所有法で規定される法人であることが、第三者にも分かります。

    ★名称は指定されている。この名称「管理組合法人」を第三者が使用すると、過料 ¥10万以下 がある。(ここだけ過料 ¥10万。他の過料は ¥20万) 

<参照>区分所有法第72条:
 第四十八条第二項(第六十六条において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。

★過料...刑法上の罰ではない。同じ読み方の科料は刑法上の罰。

★この「管理組合法人」の名称違反だけ過料 ¥10万以下。 ほかの過料は全部 ¥20万以下。

        刑法上の刑の種類...重い順に @死刑 A懲役(無期、有期。監獄で作業) B禁固(無期、有期。監獄で拘置) 

                              C罰金(1万円以上) D拘留(拘留場に30日未満拘置) E科料(千円以上〜1万円未満)

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第四十七条

3項  この法律に規定するもののほか、管理組合法人の登記に関して必要な事項は、政令で定める。

過去出題 マンション管理士 H16年、
管理業務主任者 未記入

★組合としての必要な登記事項は政令で定める。 → 組合等登記令(改正:平成19年12月7日 に合わせて改正済み。平成22年6月12日))

 3項で規定する管理組合法人の登記に関して必要な事項を定めた政令とは「組合等登記令」というもので、関係する部分を抜粋すると次のとおりです。
ここには、あとででてきます、団地としての管理組合法人も共に規定されています。
申請に当たって必要な書面は、集会の議事録などです。

 この登記の申請は、理事として選任された者がします。(組合等登記令第16条)

<参照>組合等登記令第16条 (設立の登記の申請)
第十六条  設立の登記は、組合等を代表すべき者の申請によつてする。

2  設立の登記の申請書には、定款又は寄附行為及び組合等を代表すべき者の資格を証する書面を添付しなければならない。
3  第二条第二項第六号に掲げる事項を登記すべき組合等の設立の登記の申請書には、その事項を証する書面を添付しなければならない。

組合等登記令
第26条4項及び5項

4  
管理組合法人又は団地管理組合法人の設立の登記の申請書には、第十六条第二項の規定にかかわらず、次の書面を添付しなければならない。
   一  法人となる旨並びにその名称及び事務所を定めた
集会の議事録
   二  
第二条第二項第一号に掲げる事項を証する書面
   三  管理組合法人又は団地管理組合法人を
代表すべき者の資格を証する書面

5  建物の区分所有等に関する法律 (昭和三十七年法律第六十九号)第五十五条第一項第一号 又は第二号 の規定による管理組合法人の
解散の登記は、登記官が、職権ですることができる

 上の条文で引用されています、第2条は、次のとおりです。

<参照>組合等登記令(設立の登記)
第二条  組合等の設立の登記は、その主たる事務所の所在地において、設立の認可、出資の払込みその他設立に必要な手続が終了した日から
二週間以内にしなければならない。

2  前項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。
  一  目的及び業務
  二  名称
  三  事務所の所在場所
  四  代表権を有する者の氏名、住所及び資格

  五  存続期間又は解散の事由を定めたときは、その期間又は事由

  六  別表の登記事項の欄に掲げる事項

*説明
1.目的及び業務...「建物並びにその敷地及び附属施設の管理」
2.名称....必ず○Xマンション「管理組合法人」または「団地管理組合法人」の名称を入れること
3.事務所の所在地...普通、マンションの建物内になる。管理事務所があればそこにしていいが、管理事務所がない時は、通常、理事長の部屋番号となり、この場合、理事長が変わると、事務所の変更届けも出さなければいけない。
4.代表権を有する者の氏名、住所及び資格...理事が数人あれば、その全員を記載するが、代表理事が選任されたときは、その代表理事についてだけ記載する。それ以外の理事については記載されない。証明の書面としては、通常、議事録が必要で、また、代表権を有する理事の承諾書も必要。
 また、監事は登記事項ではない。

 これが、面倒な手続きです。
5.存続期間又は解散の事由を定めたときは、その期間又は事由...これは、通常、定めませんから、記入なしです。

6.別表の登記事項の欄に掲げる事項... 別表は、以下の内容です。

<参照>組合等登記令 別表 (第一条、第二条、第六条、第十七条、第二十条関係)
 名称 : 管理組合法人、団地管理組合法人
 根拠法:   建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)
 登記事項: 共同代表の定めがあるときは、その定め

*説明
共同代表の定めがあるときは、その定め ...役員に関する事項の最後に、たとえば、「理事 甲野太郎 及び 理事 乙野二郎 は共同して代表する」と記載する。

 以上の組合等登記令によれば、登記すべき事項はこの政令第2条2項に定める6項目(ただし、5・6号はその旨定めたときに限る。)であり、このうち2・3号の事項は区分所有法第47条1項でその旨定めるように規定していますから、別途政令に基づき議決が必要な事項はそれ以外の事項ということになりますが、1号は第3条が建物等の管理と規定していますから、結局定める必要のあるのは4号の理事の選任ということになります。

 ★理事の変更など、登記事項に変更があれば、2週間以内にその変更をすること(組合等登記令第3条1項)

<参照>組合等登記令第3条 (変更の登記)
第三条  組合等において前条第二項各号に掲げる事項に変更が生じたときは、二週間以内に、その主たる事務所の所在地において、変更の登記をしなければならない。

2  前項の規定にかかわらず、出資若しくは払い込んだ出資の総額又は出資の総口数の変更の登記は、毎事業年度末日現在により、当該末日から四週間以内にすれば足りる。
3  第一項の規定にかかわらず、資産の総額の変更の登記は、毎事業年度末日現在により、当該末日から二月以内にすれば足りる。

★理事の変更でも、証明する書面として、集会(総会)の議事録などが必要となります。

<参照>組合等登記令第17条 (変更の登記の申請)
第十七条  第二条第二項各号に掲げる事項の変更の登記の申請書には、その事項の変更を証する書面を添付しなければならない。ただし、代表権を有する者の氏、名又は住所の変更の登記については、この限りでない。

★管理組合法人の解散の登記も必要
  法人として登記したら、法人が解散するときには、「解散の登記」が必要となります。

<参照>組合等登記令第7条 (解散の登記)
第七条  組合等が解散したときは、合併及び破産手続開始の決定による解散の場合を除き、
二週間以内に、その主たる事務所の所在地において、解散の登記をしなければならない。

★登記の義務はだれにあるのか。

  登記をしないと、区分所有法第71条5号により20万円以下の罰則の適用があります。

<参照>区分所有法第71条5号:(罰則); 
第四十七条第三項(第六十六条において準用する場合を含む。)の規定に基づく政令に定める登記を怠つたとき。

  一般の解釈としては、登記の義務は組合の代表とされていますので、管理組合法人においては、理事が管理組合法人を代表しますので、理事に登記義務があります。

<参照>区分所有法第49条2項:(理事);
管理組合法人には、理事を置かなければならない。
2項  理事は、管理組合法人を代表する
3項  理事が数人あるときは、各自管理組合法人を代表する。

  ただし、管理組合法人の解散の場合の「解散の登記」においては、解散により「清算人」が理事に代わりますので、この場合「清算人」に、登記の義務があります。(実態は、理事が清算人と呼び名が変わるだけですが。)(区分所有法第55条の3 参照)


{設問} 以下の文章は、正しいか。

1.管理組合法人の登記に当たっては、目的及び業務について、管理の目的物である建物を所在及び番号等で特定した上、これらの事項を証する書面を添付しなければならない。

答え:正しい。 区分所有法第47条3項により委任された政令である「組合等登記令」第2条2項1号によれば目的及び業務は登記事項であり、令第26条4項によれば管理組合法人及び団地管理組合法人の設立の登記の申請書には、次の書面を添付しなければならない。とされ、その2号に第二条第二項第一号に掲げる事項を証する書面が規定されている。(法改正で、適用条文も変更した。:平成22年6月12日)

2. 管理組合法人の理事として5名を選任し、そのうち1名を法人を代表する理事と定めたときは、代表理事及びその他の理事の氏名、住所及び資格の登記をしなければならない。

答え:誤りである。組合等登記令第2条2項4号によれば、理事の登記は代表権を有する者の氏名、住所及び資格とされ、代表権を持たない理事は除外されている。(法改正で、適用条文も変更した。:平成22年6月12日)

3.管理組合法人の登記事項のうち代表権を有する者の住所に変更が生じたときは、主たる事務所の所在地においては、2週間以内に、変更の登記をしなければならない。

答え:正しい。組合等登記令第3条1項によれば、組合等は、第二条に掲げる事項に変更を生じたときは、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に、変更の登記をしなければならない。(法改正で、適用条文も変更した。:平成22年6月12日)

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第四十七条

4項  管理組合法人に関して登記すべき事項は、登記した後でなければ、第三者に対抗することができない。

過去出題 マンション管理士 H21年、
管理業務主任者 未記入

★法人登記しなければ、第三者に対抗できない。

 登記の目的から登記すべき事項は、登記した後でなければ、第三者に対抗する(主張)ことができないとされます。

 これは、当然であり、この規定が意味を持つのは管理組合法人としての設立後に、理事などの登記事項が変更されているにもかかわらず変更登記を怠っている場合でしょう。
 変更登記の対象項目は名称・事務所(所在地)・理事ですから、通常、名称や所在地は一度登記すれば変更は考え難く、第三者への対抗が現実に意味を持つのは退任した理事の行った行為が有効かどうかなどでしょう。

 ★マンションの住民団体は基本的に登記はなくても、団体である(第3条)。事務所を定め、これを法人化の登記をしてから始めて第三者に対抗できる。
 ★登記事項の代表者などの変更があれば、すぐに変更しないと、第三者に対抗できない。

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第四十七条

5項  管理組合法人の成立前の集会の決議、規約及び管理者の職務の範囲内の行為は、管理組合法人につき効力を生ずる。

過去出題 マンション管理士 H20年、
管理業務主任者 H14年、

★法人への承継の意味

 5項では、法人化前の管理組合の集会決議等が管理組合法人にも効力を有すると規定されています。

 例えば、債権の放棄を考えますと、法人化前では債権放棄に区分所有者全員の合意が必要で、法人化後では区分所有者の過半数の合意で債権の放棄が可能というように、法人化の前と後で管理組合という団体の法的性質が異なると考える場合にはこの規定は、本来そうでないものをそうする特別規定ということになりますが、法人化は管理組合という「権利能力なき社団」の実体そのままに単に完全な権利能力を付与するに過ぎないと考えるときは、元々管理組合という権利能力なき社団に効力があったものが管理組合法人にも効力を有するのは当然であり、その旨の確認規定でしか在りません。

     ★法人になる前の団体として決めた内容、規約・管理者の職務権限も当然、引き継ぐ。

     しかし、管理組合法人の設立前に、各区分所有者が共通に持っていた債権(滞納管理費)などは、引き継がないという判例がある。

◎「マンション管理の知識」では、法人になる前に団体的に帰属(区分所有者全員に帰属)していた、債権・債務は当然に法人に帰属する、と説明しているが?(平成20年版では、この前に、「総有的または合有的的に区分所有者全員に帰属」と注釈が入っている。P.142上段))

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第四十七条

6項  管理組合法人は、その事務に関し、区分所有者を代理する。第十八条第四項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする。

過去出題 マンション管理士 H20年、H17年、
管理業務主任者 H20年、H19年、

★管理組合が法人化されると、管理者の規定(第4節 第25条〜第29条)が適用外となっていることに注意。(第47条11項参照)

<参照> 区分所有法第18条4項:
 共用部分につき損害保険契約をすることは、共用部分の管理に関する事項とみなす。

★管理組合法人の区分所有者の代理 −区分所有者を代理しているのは、理事ではない。「管理組合法人」である ー

 管理組合法人は法人格がありますから、権利義務の主体となることができ従って代理人にも就任可能です。

 そこで、旧法では法人でない場合の管理者の地位を管理組合法人自体に認めて、これに区分所有者の代理権を与えて第26条2項の管理者の保険金請求受領権を付与していました。
 平成14年の改正新法では、第26条2項の規定をそのまま用いて、広くその事務(組合法人の目的の範囲内の行為)について区分所有者の代理権を認め、且つ新第26条と同様に、損害賠償と不当利得の場合の代理権も明記しました(6項)。

 ところで、管理組合法人の場合は法人格がありますから、管理の主体として自ら活動する過程で管理組合法人自体に組合管理費債権等の権利や委託業務料支払い債務等の義務が帰属します。
 このように権利義務の帰属先が管理組合法人の場合には、その固有の事務として集会を意思決定機関、理事を代表機関としてその請求や履行ができることは勿論です。
従って、6項の規定は、解釈上、通常の管理組合法人に帰属されないもの、つまり区分所有者に権利・義務が帰属するものについての代理権を定めたものです。

    ★法人になることで、共用部分の損害保険契約(第18条4項)や管理者の権限と同じように(第26条2項)共用部分の損害賠償金・不当利得の返還・請求を法人として行う。

    ★共用部分の管理:これにより「狭義の管理」と同じ扱いで、普通決議(過半数)で決められる。

      規約で別段を定めてもいい。(区分所有法第18条2項参照)

   ★本来、民法では損害保険金の請求権は、区分所有者全員に団体的に帰属せず、個々の区分所有者に分割的に帰属すると解されている。

     そこで、この規定を設け、管理組合法人が区分所有者を代理し、法人の代表者である理事がその代理行為を代表で行う。
     この規定は、管理組合法人では、管理者の規定を適用外としたために、規定が必要となっている。(11項参照)

★区分所有法では、理事が直接、区分所有者を代理するわけではない。
 管理組合法人が区分所有者を代理し、管理組合法人の代表者である理事がその代理行為を代表して行う。

(注:ただし、管理者は、区分所有者を代理している。区分所有法第26条2項)

<参照> 区分所有法第26条2項:
管理者は、その職務に関し、区分所有者を代理する。第十八条第四項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする。

★それでは、代理と代表はどう違うのか?

代理権...代理行為ができる権限。代理は、代理人の行った行為の効果が、直接本人(各区分所有者)に帰属する。

代表とは...甲がある行為をしたときに、法律上、乙がしたと同じ効果を生じることのできるときの甲のことを言う。
          私法上、代理人と代表の明確な違いはないとされるが、区分所有法第47条6項の文言と同法第49条2項を纏める。

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第四十七条

7項   管理組合法人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

過去出題 マンション管理士 未記入
管理業務主任者 未記入

善意の第三者...ある事実を知らない第三者には、理事に加えた代理権の制限を主張できない。

★代理権を与える場合、この法定代理権の範囲が確定していることが取引の安全には重要ですから、この代理をする場合に理事の共同代理が必要とか、一定金額以上は別途に承認が必要とか各種の制限を付することもできますが、その制限が善意の第三者(取引の相手方)に主張できないとすべきことも、管理者の場合(第26条3項)と同様ですから、この旨新法で追加されました。

<参照>区分所有法 第26条3項;
 管理者の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

★管理者の代理権(第26条3項)と同じように、代理権に制限のあることを知っている第三者(悪意)には対抗できるが、制限内容は分かりにくいので知らない人には対抗できないとしてある。

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第四十七条

8項  管理組合法人は、規約又は集会の決議により、その事務(第六項後段に規定する事項を含む。)に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。

過去出題 マンション管理士 H20年、H19年、
管理業務主任者 H15年

★訴訟担当 − 管理組合法人に認める。ここも、理事が原告、被告になるのではなく、「管理組合法人」である

★裁判には、当事者適格が必要

 裁判で問題となる訴訟要件は当事者適格といわれるもので、これは当該紛争の判決による解決にあたって、もっとも妥当な当事者が裁判に携わっているかどうかを判断して認められる原告または被告としての地位です。

 すなわち、裁判の効力は原則として当事者にしか及びませんし、当事者の裁判を受ける権利を保障して紛争解決の実効性を図るためには当該紛争の当事者が原告又は被告になっているのが最も望ましいことから、通常はこの紛争の当事者に原告又は被告となる当事者適格が認められます。

 そして、裁判は権利義務の存否を判断して判決しますから、権利や義務の主体であることを合い争う当事者に当事者適格が認められ、具体的には、民法その他の権利義務を定める法律の規定により権利者又は義務者となる者に当事者適格が認められる関係にあります。

 法人化されていない時におかれていた管理者はその職務に関して区分所有者のため訴訟担当者となりうることが認められていますが(第26条4項)、これは裁判外での代理権の行使の実態を裁判上でも貫徹させようとするものですから(法令上の訴訟代理人としてもよかったのでしょうが、その場合は本人たる区分所有者の訴訟追行権と衝突して多数の意思の実現が困難となることが予想されます。)、この点は管理組合法人に代理権を与える場合も同様といえます。

 そこで、平成14年の改正法では管理組合法人にもその事務(職務)に関して区分所有者のため訴訟担当者となりうることが明文化されました

<参照>区分所有法 第26条4項;
 管理者は、規約又は集会の決議により、その職務(第二項後段に規定する事項を含む。)に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。

     ★管理組合法人が規約・集会の決議で、区分所有者のために原告や被告になるが、訴訟行為は規約・決議が必要で、勝手に理事会の決定ではできない。

      また、理事はあくまでも、管理組合法人の代表であり、代理権の帰属先は理事個人ではなく、管理組合法人にある。

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第四十七条

9項  管理組合法人は、前項の規約により原告又は被告となったときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。この場合においては、第三十五条第二項から第四項までの規定を準用する。

過去出題 マンション管理士 未記入
管理業務主任者 未記入

遅滞なく...時間的な近接性を表す語句は、「速やかに」「遅滞なく」「直ちに」の順で 近接性が強くなります。つまり、
     1.「直ちに」...理由の如何を問わず
      2.「遅滞なく」...正当な理由による遅延は許容される
     3.「速やかに」...上の2つよりはやや緩やか

★訴訟担当者としての地位は、管理規約または個別の集会決議で付与されますが、規約で包括的に付与した場合に、個別の訴訟事件が発生したらその旨区分所有者に通知が必要なことも管理者の場合(第26条5項)と同様となっています。

<参照> 区分所有法 第26条5項
 管理者は、前項の規約により原告又は被告となつたときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。この場合には、第三十五条第二項から第四項までの規定を準用する。

  この結果、管理組合法人自体に帰属する権利義務に関する訴訟は当該法人本人として、区分所有者に帰属する権利義務(その取扱いが法人の事務の範囲にあるものに限る。)については訴訟担当者として訴訟の当事者になれることになります。管理者の場合は管理者本人の責任に関する訴訟でない限りは、全て訴訟担当または法人でない管理組合の代表者としての立場であるのと異なります。

     ★現実に原告・被告となれば、遅滞なく区分所有者に通知すること。通知の方法は集会の招集と同じ(第35条2項〜第35条4項)。

<参照> 区分所有法 第35条2項〜第35条4項(通知方法):

区分所有法 第35条2項  
専有部分が数人の共有に属するときは、前項の通知は、第四十条の規定により定められた議決権を行使すべき者(その者がないときは、共有者の一人)にすれば足りる。

<参照> 区分所有法 第40条:専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、議決権を行使すべき者一人を定めなければならない。

         ★共有:例えば名義が夫婦になっているとき。決まっていなければ、どちら宛でもいい。

              夫婦で持分が夫2/3、妻1/3でも、妻を議決権行使者にしても問題ない。

区分所有法 第35条3項 
第一項の通知は、区分所有者が管理者に対して通知を受けるべき場所を通知したときはその場所に、これを通知しなかつたときは区分所有者の所有する専有部分が所在する場所にあててすれば足りる。この場合には、同項の通知は、通常それが到達すべき時に到達したものとみなす。

         ★通知すれば、転居先不明で戻ってきても、有効。

 区分所有法 第35条4項  
建物内に住所を有する区分所有者又は前項の通知を受けるべき場所を通知しない区分所有者に対する第一項の通知は、規約に特別の定めがあるときは、建物内の見やすい場所に掲示してすることができる。この場合には、同項の通知は、その掲示をした時に到達したものとみなす。

        ★規約があれば、建物内の見やすい場所に掲示で有効だけど、規約がないと通知にならない。

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第四十七条 (*注1:準用の破産法の条文変更 第127条2項-->第16条2項 済み)

(旧10項)  民法第四十三条 、第四十四条、第五十条及び第五十一条の規定は管理組合法人に、破産法 (平成十六年法律第七十五号)第十六条第二項 の規定は存立中の管理組合法人に準用する。

第四十七条 (*注2:平成20年12月1日 :改正)          

10項  一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 (平成十八年法律第四十八号)第四条 及び第七十八条 の規定は管理組合法人に、破産法 (平成十六年法律第七十五号)第十六条第二項 の規定は存立中の管理組合法人に準用する。

第四十七条第十項中「民法第四十三条、第四十四条、第五十条及び第五十一条」を「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第四条及び第七十八条」に改める。

過去出題 マンション管理士 H16年、
管理業務主任者 H18年、

★この、第47条10項は、平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、民法で規定していた法人の規定の準用から、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 」へと準用先が変更になりました。


★一般社団法人及び一般財団法人に関する法律  の準用

  管理組合法人は社団法人の一種ですから、社団法人の原則規定である民法の法人の規定が広く準用されていましたが、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 」の制定により、準用されていた民法第43条、第44条、第50条や第51条は削除され、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」へと準用先が変更になりました。

<参照> 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第4条 (住所)

第四条  一般社団法人及び一般財団法人の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。

  準用されている、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第4条は、管理組合法人の所在地を、主たる事務所としています。
  これは、旧民法第50条と同じ規定です。

<参照> 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第78条 (代表者の行為についての損害賠償責任)

第七十八条  一般社団法人は、代表理事その他の代表者がその職務を行うについて第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。

 次に準用されている、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第78条は、管理組合法人の代表理事(理事長)や他の理事が行った職務で第三者に損害を与えた場合には、管理組合法人が責任を負うことを明記してます。
  これは、元の民法第44条1項の規定を受けたものです。

<参照> 破産法第16条 (法人の破産手続開始の原因)

第十六条  債務者が法人である場合に関する前条第一項の規定の適用については、同項中「支払不能」とあるのは、「支払不能又は債務超過(債務者が、その債務につき、その財産をもって完済することができない状態をいう。)」とする。

2  前項の規定は、存立中の合名会社及び合資会社には、適用しない。

 更に、破産手続き開始の原因(理由)である破産原因について管理組合法人には破産法(平成十六年六月二日法律第七十五号)第16条2項の規定が準用され、債務超過を管理組合法人の存続中は排除していますから、管理組合法人が存続中は他の二つの破産原因である支払不能と支払停止がなければ破産にはなりません。

 このように管理組合法人において債務超過が破産原因から除外されるのは、合名・合資会社の場合と同様、当該法人には無限責任の構成員がいるため法人会計において債務が超過してもすぐに清算しなくとも債権者保護に支障がなく、それよりも法人継続による構成員保護の方が優先されるという理由によります。

 この規定の存在から管理組合法人には破産能力自体は肯定されていることがわかります。


★以下は、平成20年12月の改正前の解説です。参考にしてください。

民法 等の準用

管理組合法人は社団法人の一種ですから、社団法人の原則規定である民法の規定が広く準用されます。

10項では、法人はその設立の目的の範囲内で権利能力を有するとする 民法第43条、法人は理事が職務を行うにつき他人に与えた損害の賠償義務を負う第44条、法人の住所はその主たる事務所の所在地にあるとする第50条及び財産目録および社員名簿に関する第51条の規定が管理組合法人に準用されることとなっていますが当然のことです。

なお、このことは当該団体が社団であることからの結論ですから、法人化前の管理組合でもそれが社団であれば当然準用される規定です。

<参照>民法 :

第四十三条:法人の能力; 
  法人は、法令の規定に従い、定款又は寄附行為で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。

第四十四条:法人の不法行為能力等;
 法人は、理事その他の代理人がその職務を行うについて他人に加えた損害を賠償する責任を負う。

  2  法人の目的の範囲を超える行為によって他人に損害を加えたときは、その行為に係る事項の決議に賛成した社員及び理事並びにその決議を履行した理事その他の代理人は、連帯してその損害を賠償する責任を負う。

第五十条:法人の住所;
 法人の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。

第五十一条: 財産目録及び社員名簿;
 
法人は、設立の時及び毎年一月から三月までの間に財産目録を作成し、常にこれをその主たる事務所に備え置かなければならない。ただし、特に事業年度を設けるものは、設立の時及び毎事業年度の終了の時に財産目録を作成しなければならない。

  2  社団法人は、社員名簿を備え置き、社員の変更があるごとに必要な変更を加えなければならない。

       ★管理組合法人となると、
         1.財産目録の作成・据え置きの義務
         2.社員名簿の据え置き、変更の義務 がある。  この場合の「社員名簿」は、「区分所有者名簿」のこと。

ここまで、旧での解説です。
なお、ここで、準用されていた、旧の民法第51条で規定されていた、財産目録と区分所有者名簿は、区分所有法第48条の2 として新しく追加されています。



{設問-1}次の文章は正しいか。(ここは、平成20年12月の改正以前の出題です。)

  *理事は、財産目録を作成しなかった場合や不正の記載をした場合には、20万円以下の過料に処される。

 答え:正しい。旧区分所有法第47条10項の旧民法第51条の準用により財産目録の作成が義務付けられており、違反の場合は、区分所有法第71条6号により過料となる。

  正しい。新:区分所有法第48条の2 1項により、管理組合法人には財産目録の作成が義務づけられており、
理事が、財産目録を作成しなかったり、不正の記載や記録をすると同法第71条6号により過料20万円以下となる。


{設問-2}次の文章は正しいか。(ここは、平成20年12月の改正以前の出題です。)

* 管理組合法人は、理事がその業務を行うに当たって他人に損害を与えた場合、法人自体にこれを賠償する責任があり、理事が直接その損害を賠償する責任を負うことはありません。

 答え:間違い。旧区分所有法第47条10項の旧民法第44条の準用により、法人は不法行為責任を負うが、その行為は同時に理事の行為でもあるので民法709条(不法行為による損害賠償)
「第七百九条  故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」 の要件を満たせば理事も法人と連帯して責任を負うことがある。

 間違い。新:区分所有法第47条10項で準用される、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第78条により理事がその職務を行うについて第三者に損害を与えると、法人が損害賠償責任を負う。その行為は同時に理事の行為でもあるので民法709条(不法行為による損害賠償)
「第七百九条  故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」 の要件を満たせば理事も法人と連帯して責任を負うことがある。

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第四十七条

11項  第四節及び第三十三条第一項ただし書(第四十二条第五項及び第四十五条第四項において準用する場合を含む。)の規定は、管理組合法人には、適用しない。

過去出題 マンション管理士 H20年、
管理業務主任者 H17年、

★管理組合法人に適用しない規定

 第4節:管理者 第25条 〜 第29条

   第25条:選任及び解任、
   第26条:権限、 
   第27条:管理所有、 
   第28条:委任の規定の準用、 
   第29条:区分所有者の責任等 

 第33条1項但し書き:
 規約は、管理者が保管しなければならない。ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又は その代理人で規約又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない。

は管理組合法人には、適用しない。

  (注:条文上は、サラット「適用しない」となっているが、内容は重要です。)

★管理者条項の不適用 管理組合法人には管理者はおけない

 管理組合法人には、その執行機関として理事が常設されます(第49条)から、法人でないときの執行機関である管理者は必要がなくなります。

 そのため、区分所有法第4節で規定してた管理者についての各条は適用の余地がなくなり、第5節の規約および集会の各条項のうち管理者という文言は理事という文言に読み替えられて管理組合法人に適用されることになります。(12項)

11項と次の12項はこのような事項の確認規定です。

    ★ 第4節 (第25条〜第29条)は管理組合が法人化されていないときの管理者の規定。管理組合が法人化されると管理者に対応しているのが、理事なので、管理組合法人には適用しない。

      だけど、法人の代表である理事には読み替えて適用されている。第47条12項参照。

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第四十七条

12項  管理組合法人について、第三十三条第一項本文(第四十二条第五項及び第四十五条第四項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定を適用する場合には第三十三条第一項本文中「管理者が」とあるのは「理事が管理組合法人の事務所において」と、第三十四条第一項から第三項まで及び第五項、第三十五条第三項、第四十一条並びに第四十三条の規定を適用する場合にはこれらの規定中「管理者」とあるのは「理事」とする。

過去出題 マンション管理士 H14年、
管理業務主任者 未記入

★管理者条項の読み替え −「管理者 -> 理事 」−

 管理組合法人には、その執行機関として理事が常設されます(第49条)から、法人でないときの執行機関である管理者は必要がなくなります。

 そのため、第4節の管理者の各条は適用の余地がなくなり、第5節の規約および集会の各条項のうち管理者という文言は理事という文言に読み替えられて管理組合法人に適用されることになります。
 前の11項と本12項はこのような事項の確認規定です。

    ★管理組合法人では理事の設置は必須であり、理事が管理者に代わる。そこで「管理者」を「理事」に読み替える。

<参照> 第33条1項 本文:(規約の保管及び閲覧)
第三十三条  規約は、管理者が保管しなければならない。ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で規約又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない。

 規約は、管理者{読み替え――>理事}が管理組合法人の事務所において保管しなければならない。

*注意:この第33条1項本文は、管理者なら特に「事務所」にて保管の指定はないが、管理組合法人の理事なら「事務所にて保管」と規定されていて、出題され易い。
     なお、管理組合法人には、理事の設置は必須のため(第49条)、「ただしがき」は、ありえないので、適用されていない。

      第34条  集会は、管理者{読み替え――>理事}が招集する。

      第34条2項 管理者{読み替え――>理事}は、少なくとも毎年一回集会を招集しなければならない。

      第34条3項 区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、管理者{読み替え――>理事}に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる

      第34条5項  管理者{読み替え――>理事}がないときは、区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、集会を招集することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる。

      第35条3項  第一項の通知は、区分所有者が管理者{読み替え――>理事}に対して通知を受けるべき場所を通知したときはその場所に、これを通知しなかつたときは区分所有者の所有する専有部分が所在する場所にあててすれば足りる。この場合には、同項の通知は、通常それが到達すべき時に到達したものとみなす。

      第41条 集会においては、規約に別段の定めがある場合及び別段の決議をした場合を除いて、管理者{読み替え――>理事}又は集会を招集した区分所有者の一人が議長となる

      第43条  管理者{読み替え――>理事}は、集会において、毎年一回一定の時期に、その事務に関する報告をしなければならない。

★注意:区分所有法では、「理事長 」の名称は規定されていません。「理事」だけが規定されています。標準管理規約(単棟型)では、「管理者=理事長」となっていて、その違いが良く出題されている。

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第四十七条

13項  管理組合法人は、法人税法 (昭和四十年法律第三十四号)その他法人税に関する法令の規定の適用については、同法第二条第六号 に規定する公益法人等とみなす。この場合において、同法第三十七条 の規定を適用する場合には同条第四項 及び第五項 中「公益法人等」とあるのは「公益法人等(管理組合法人を除く。)」と、同法第六十六条 の規定を適用する場合には同条第一項 及び第二項 中「普通法人」とあるのは「普通法人(管理組合法人を含む。)」と、同条第三項 中「公益法人等」とあるのは「公益法人等(管理組合法人を除く。)」とする。

過去出題 マンション管理士 H18年、
管理業務主任者 H21年、H18年、

★団体としての法人税との関係...原則、「公益法人等」とみなす。 
 
みなす...推定すると違って、反証を許さない。

<参照>法人税法:(定義)
第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
   一  国内 この法律の施行地をいう。
   二  国外 この法律の施行地外の地域をいう。
   三  内国法人 国内に本店又は主たる事務所を有する法人をいう。
   四  外国法人 内国法人以外の法人をいう。
   五  公共法人 別表第一に掲げる法人をいう。
   六  公益法人等 別表第二に掲げる法人をいう。
   七  協同組合等 別表第三に掲げる法人をいう。
   八  人格のない社団等 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものをいう。
   九  普通法人 第五号から第七号までに掲げる法人以外の法人をいい、人格のない社団等を含まない。
   十  同族会社 会社の株主等(その会社が自己の株式又は出資を有する場合のその会社を除く。)の三人以下並びにこれらと政令で定める特殊の関係のある個人及び法人がその会社の発行済株式又は出資(その会社が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の百分の五十を超える数又は金額の株式又は出資を有する場合その他政令で定める場合におけるその会社をいう。
(以下省略)

(寄附金の損金不算入)
第三十七条 1項 内国法人が各事業年度において支出した寄附金の額(次項の規定の適用を受ける寄附金の額を除く。)の合計額のうち、その内国法人の当該事業年度終了の時の資本金等の額又は当該事業年度の所得の金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額(第四項において「損金算入限度額」という。)を超える部分の金額は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

(2項、3項は省略)

4項  第一項の場合において、同項に規定する寄附金の額のうちに、公共法人、公益法人等(管理組合法人を除く)その他特別の法律により設立された法人のうち、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして政令で定めるものに対する当該法人の主たる目的である業務に関連する寄附金(前項各号に規定する寄附金に該当するものを除く。)の額があるときは、当該寄附金の額の合計額(当該合計額が当該事業年度に係る損金算入限度額を超える場合には、当該損金算入限度額に相当する金額)は、第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入しない。ただし、内国法人である公益法人等が支出した寄附金の額については、この限りでない。

5項  内国法人である公益法人等(管理組合法人を除く)がその収益事業に属する資産のうちからその収益事業以外の事業のために支出した金額は、その収益事業に係る寄附金の額とみなして、第一項の規定を適用する。

(各事業年度の所得に対する法人税の税率)
第六十六条  内国法人である普通法人(管理組合法人を含む)又は人格のない社団等に対して課する各事業年度の所得に対する法人税の額は、各事業年度の所得の金額に百分の三十の税率を乗じて計算した金額とする。

2項  前項の場合において、普通法人(管理組合法人を含む)のうち各事業年度終了の時において資本金の額若しくは出資金の額が一億円以下であるもの若しくは資本若しくは出資を有しないもの(保険業法 に規定する相互会社を除く。)又は人格のない社団等の各事業年度の所得の金額のうち年八百万円以下の金額については、同項の規定にかかわらず、百分の二十二の税率による。

3項  内国法人である公益法人等(管理組合法人を除く)又は協同組合等に対して課する各事業年度の所得に対する法人税の額は、各事業年度の所得の金額に百分の二十二の税率を乗じて計算した金額とする。

4項  事業年度が一年に満たない法人に対する第二項の規定の適用については、同項中「年八百万円」とあるのは、「八百万円を十二で除し、これに当該事業年度の月数を乗じて計算した金額」とする。

5 項 前項の月数は、暦に従つて計算し、一月に満たない端数を生じたときは、これを一月とする。

★ 税法の取り扱い

 管理組合法人はその目的から本来的に非営利法人ですから、法人税法および消費税法上は公益法人(法人税法第2条6号、消費税法別表第3)に該当するものとされますが、収益事業に関しては普通法人の取扱いを受けるものとされています。(13項、14項)

 この点は、管理組合も人格のない社団等(法人税法第2条8号、消費税法第2条7号)として法人の取り扱いを受け、収益事業に関しては普通法人並の取扱を受けることと同様です。

 そこで、区分所有者から徴収する管理費や修繕積立金については、収益を分配しない点から課税されないし、その預金の利息は所得税として源泉徴収はされますがそれ以外は課税されません。
 また、区分所有者や居住者が利用し収める駐車費も課税されませんが、区分所有者や居住者以外の外部の人に駐車場を貸した収入は、収益事業となり、課税されますから、別途の経理区分も必要です。

★管理組合法人と通常の管理組合の違い。

   ◎特に法人と法人格を取得していない管理組合でも、税金などでの差はないが、

   管理組合法人には、区分所有法第71条6号で規定する;

六  第四十八条の二第一項(第六十六条において準用する場合を含む。)の規定に違反して、財産目録を作成せず、又は財産目録に不正の記載若しくは記録をしたとき。

     ★管理組合法人の財産目録作成義務違反。罰金 ¥20万以下の過料。

     が法人格取得なら発生する。

◎ 一般の法人設立は、法律上全く新たに団体としての実体を形成しなくてはなりません。
  しかし、管理組合法人は、区分所有法で定められた『区分所有者の団体=管理組合』が、その実質的な同一性を失わずに法人になることができます。従って、具体的な事項では、法人格の有無による大きな差異はありません。

◎ 民事裁判では、法人格のない管理組合は、民事訴訟法第29条(法人でない社団等の当事者能力)で「法人でない社団又は財団で代表者または管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができる。」としています。つまり、管理規約があり、管理者や理事長が選任されている管理組合には、法人格はなくても民事訴訟法上「当事者能力」を認めています。
 また、法人格を取得したからといって、税金面で取扱いが変わることはありません。具体的には、次のような取り扱いになります。

***** 税務処理 ******************************

◎ 法人税
 区分所有法第47条第13項で、管理組合法人の法人税に関しては、法人税法第2条第6号の「公益法人」とみなし、収益事業から生じた所得以外には課税されません。
 非収益事業に対しては非課税です。
 しかし、寄附金の損金算入額の計算(法人税法第37条)や、事業所得に対する法人税の税率(法人税法第66条)の適用については、「公益法人」とみなされず「普通法人」の扱いとなり課税されます。
 収益事業としては、自動販売機の収益、看板料、駐車場の外部賃貸料などが上げられます。

◎地方税
 都道府県民税・市町村民税のうち、均等割は常に課税されます。(地方税法第52条第2項第3号、第312条第3項第3号)法人割りについては、非収益事業所得に対しては非課税となります。(地方税法第24条第5項、第294条第7項)
 事業税・事業所税については、収益事業を行うものについてのみ適用されます。(地方税法第72条の5第1項第9号、第701条の34第2項)

◎所得税
 所得税法第11条第1項の規定が適用されず、一般の内国法人として課税されます。「公益法人」としての扱いを受けませんので、預金利子や配当による所得に対して課税されます。

◎消費税
 次の区分所有法第47条14項により、管理組合法人は消費税法別表第三に掲げる法人とみなされます。
法人化していない場合でも、人格のない社団等として、法人とみなされます。(参考:消費税法第3条)
なお、一事業年度の課税売上が、1000万円以下なら、税が免除されます。(1千万円を超えると、申告納税義務が生じます。)

(*)収益事業を行う管理組合

    ◎法人税...法人住民税、事業税を確定申告・納付する。

       都道府県民税、市町村民税の「均等割」があり、都道府県民税 、 市町村民税 が所得の額にかかわらず課税される。

 ★法人格を取得していない管理組合も法人格と同様の扱いでいいらしい。(規定がないけど、権利能力なき社団ということか。)

<参照>(新)民法 第33条(法人の成立等);
第三十三条  法人は、この法律その他の法律の規定によらなければ、成立しない。
2  学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益を目的とする法人、営利事業を営むことを目的とする法人その他の法人の設立、組織、運営及び管理については、この法律その他の法律の定めるところによる。


{設問-1}管理組合の支出に関する次の記述のうち、消費税法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 大規模修繕を行うための借入金の支払利息は、消費税の課税対象となる。

答え:間違い。ならない。大規模修繕を行うための借入金の支払利息は、消費税の課税対象とならない。(非課税取引)

2 管理組合が支払う水道光熱費、電話料は、消費税の課税対象とはならない。

答え:間違い。なる。管理組合が支払う水道光熱費、電話料は、消費税の課税対象となる。 ( 課税取引 )

3 管理組合が雇用している従業員に支払う給与は、消費税の課税対象となる。

答え:間違い。ならない。 管理組合が雇用している従業員に支払う給与は、消費税の課税対象とならない。(不課税取引)

4 管理組合が修繕工事代金の振込みを行う際、金融機関に支払う振込手数料は、消費税の課税対象となる。

答え:正しい。なる。管理組合が修繕工事代金の振込みを行う際、金融機関に支払う振 込手数料は、消費税の課税対象となる。(課税取引)

正解: 4


{設問-2}管理組合の税務に関する次の記述のうち、税法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 消費税法上、管理組合は公益法人と同様の取扱いがなされ、管理会社に対して支払う管理委託料は消費税の課税対象外である。

答え:間違い。管理組合法人は、法人税法では、「人格のない社団として、公益法人等とみなされている(法人税法第2条6号、区分所有法第47条10項)」。また法人格がない管理組合も同様と判断されているが、消費税法では消費税法第3条「人格のない社団等は、法人とみなして、この法律(第十二条の二及び別表第三を除く。)の規定を適用する。」の規定により、管理組合は公益法人ではなく一般事業者扱いで、管理委託料は課税の対象になる。

2 所得税法上、管理組合が受け取る預金利子や配当による所得には、所得税が課税される。

答え:正しい。 所得税法第4条、第174条1号(所得利子)、2号(配当)、第175条(税額)の規定のとおり。

3 管理組合が収益事業を行う場合、事業税及び事業所税の課税対象となる。

答え:正しい。 管理組合は収益事業以外の所得(管理費・修繕積立金)は課税対象外(不課税)とされ、預金利息は非課税となるが、収益事業(物販販売業、不動産販売業、駐車場業など)を行うと事業税及び事業所得税が課せられる。

   地方税法第72条の2「1法人の行う事業に対する事業税は、法人の行う事業に対し、次の各号に掲げる事業の区分に応じ、当該各号に定める額によつて事務所又は事業所所在の道府県において、その法人に課する。
   4法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあり、かつ、収益事業を行うもの(当該社団又は財団で収益事業を廃止したものを含む。以下事業税について「人格のない社団等」という。)は、法人とみなして、この節の規定を適用する。」、
   同法第701条32「1事業所税は、事業所等において法人又は個人の行う事業に対し、当該事業所等所在の指定都市等において、当該事業を行う者に資産割額及び従業者割額の合算額によつて課する。
   3法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるもの(以下本節において「人格のない社団等」という。)は、法人とみなして、本節中法人に関する規定を適用する」の規定どおり。

4 消費税の納税義務者は事業者とされており、管理組合は、消費税法上、事業者として納税義務者となる。

答え:正しい。人格のない社団として管理組合も法人とみなされ、事業者として納税義務者となる。消費税法第3条「人格のない社団等は、法人とみなして、この法律(第十二条の二及び別表第三を除く。)の規定を適用する」の規定のとおり。

正解:1


****** 会計について ****************************  

 ★また法人としては、公益法人としての会計での計算書類が必要となる。:書類は最低10年間保存のこと。

       これらの会計情報は、内部の区分所有者だけでなく、外部の利害関係者にも提供する必要がある。(区分所有法第33条2項(規約の閲覧)、第42条5項(第33条2項の準用)、第66条(第33条2項の準用))

       @収支計算書...1事業年度の収入と支出を明確に表示すること。収支報告書とも呼ばれる。会計年度内の収支の状況を表す。

                   また予算と決算を対比して表示すること。差異の激しいものは、理由を注記する。

                   *予算...公益法人の会計原則は、「予算準拠主義」で、この予算と決算の差を分析して、

                          「マンションの管理・保全を最小の費用で、最大限の効果を得るための会計指標を明瞭に表示する。」

                   *収入科目

                     ◎管理費、修繕積立金、受取利息、駐車場使用料、雑収入 など。

                       (注:発生主義により、請求がなされた管理費の未収入金(滞納)も管理費収入に入っている)

                   *支出科目

                     ◎委託業務費、水道料、電気料、損害保険料、什器備品費、小修繕費、組合運営費、駐車場管理費、予備費 など。

     ◎収支計算書(報告書)の例  管理費会計(一般会計)の部 (平成18年4月1日〜平成19年3月31日) (金額は、サンプルです)

○Xマンション管理組合 収支計算書 管理費会計の部 (平成18年4月1日〜平成19年3月31日)  (単位:円)
項目 予算 決算 差額(決算-予算) 備考
*収入の部        
管理費 1,000,000 1,000,000 0  
駐車場使用料 50,000 50,000 0  
雑収入(受取利息など) 10,000 5,000 -5,000  
1,060,000 1,055,000 -5,000  
*支出の部        
管理委託料 800,000 800,000 0  
水道料 200,000 300,000 100,000  
電気料 10,000 9,000 -1,000  
予備費 50,000 0 -50,000  
1,060,000 1,109,000 49,000  
当期収支差額 0 -54,000 -54,000 (A)=収入-支出
前期繰越収支差額 512,000 512,000 0 (B)
次期繰越収支差額 512,000 458,000 -54,000 (C)=(A)+(B)

 

       A正味財産増減計算書...当該事業年度における正味財産=企業会計の資本に当たる。

                   正味財産=資産合計―負債合計

                   繰越金・剰余金の全ての増減を明瞭に表示すること。

                   ただし、正味財産の増減が極めて小額のとき、また相当な理由があれば、この作成は省略できる。

       B貸借対照表...事業年度末における、すべての 資産、負債、正味財産の状態を表示する。会計年度末の財産の状況を表す。

                   *資産科目

                     ◎現金、普通預金、定期預金、損害保険、預け金、未収入金(未収金)、前払金 など。

                       ★発生主義により、収支計算書には、請求と同時に収入となっている管理費の滞納分(未収入金)は、この貸借対照表に記載されている。

                   *負債科目

                     ◎未払金、借入金、前受金、預かり金、仮受け金 など。

    ◎貸借対照表の例  管理費会計(一般会計)の部 (平成19年3月31日 現在) (金額は、サンプルです。上の収支計算書とは、連動していません。)

○Xマンション管理組合 平成18年度  管理費会計の部  貸借対照表(平成19年3月31日 現在) (単位:円)
資産の部 負債及び正味財産の部
科目 金額 科目 金額
現金・預金   前受金  
  現金 30,000   管理費 50,000
  普通預金 100,000 未払金  
  定期預金 200,000   清掃費 20,000
未収入金      
  管理費 150,000 正味財産 460,000
前払金    (うち正味財産増加額) (50,000)
  次期保険料 50,000    
合計 530,000 合計 530,000


 

       C財産目録...事業年度末における、すべての 資産、負債につき、その名称、数量、価格などを詳細に記す。

                 Bの貸借対照表と似ているが、貸借対照表は金額だけの表示だけど、財産目録は、名称、数量、価格などを詳細に表示して明らかにする。

        このほかに、

       D備品台帳...。備品類を別途管理する、があった方がいい。

        

★管理組合の会計は、目的別会計で、

     @一般会計...日常の維持管理を目的とする。管理費はこちら。

     A特別会計...長期修繕のための資金を留保(修繕積み立て金)する。修繕積立金はこちら。

                駐車場使用料、専用庭使用料などもこちら(特別会計)に入れたらいい。

★発生主義ということ

   全ての費用・収益は、その支出・収入に基づいて計上し、その発生した期間
     *収入については、請求権が生じた月、
     *支出については、支出が労役などの提供又は工事などである場合は、その労役などの提供又は工事等が完了した月、物品の購入なら、その物品が納入された月
    に正しく割り当てるように処理すること。

 これにより、管理費や修繕積立金は該当月に徴収することになっているなら、未収入金(滞納)があっても、全額計上されている。

  *仕訳の例: 当月の管理費 ¥1、000、000− を銀行振り込みで 当月徴収しているが ¥100,000−が振込まれていなかった。

借方 貸方
普通預金  ¥900,000− 管理費 ¥1,000,000−
未収入金  ¥100,000− (収入の増加)
 (資産の増加)  

   管理費勘定としては、未収入金があるにも係わらず、請求金額の全額を計上することになる。 

 この未収入金(滞納)¥100,000− が銀行に入金(回収)されれば、次のような仕訳となる。

借方 貸方
普通預金  ¥100,000− 未収入金  ¥100,000−
(資産の増加) (資産の減少)
   

  入金されても、管理費勘定(科目)には、影響がないことに注意。

 この処理により、管理費や修繕積立金の滞納は、「収支報告書」には現われていません。「貸借対照表」に未収入金(未収金)として計上されています


{設問-1}管理組合の総会において、平成17年度(初年度)の管理費会計の収支決算報告が下表に基づいて行われ、引き続き、貸借対照表について、未収入金は200,000円、前払金は50,000円、前受金は100,000円、未払金はなく、残りはすべて現金預金であるという説明があった。この場合における現金預金の額は、次のうちどれか。ただし、会計処理は、発生主義の原則によるものとする。

1 200,000円
2 250,000円
3 350,000円
4 400,000円

答え:設問を貸借対照表に変更し、仕訳は以下のようになる。

平成17年度貸借対照表(平成18年3月31日 現在)
資産の部 負債及び正味財産の部
現金預金 xxxxxxx 前受金 100,000
未収入金 200,000 正味財産 400,000
前払金 50,000    
合計 500,000 合計 500,000

 

*未収入金 ¥200,000−は、資産、   前払金   ¥50,000− も資産。
  一方、
  前受金  ¥100,000−は負債 で、 繰越(正味財産)が ¥400,000− あるので、この合計 ¥500,000− と資産の部の合計が一致する。
  よって、現金預金は、 ¥250,000− となる。

正解:2


{設問-2}管理組合の活動における以下の取引に関し、平成18年3月分の仕訳として正しいものは次のうちどれか。ただし、この管理組合の会計年度は、4月1日から翌年3月31日までとし、期中の取引において、企業会計原則に基づき厳格な発生主義によって経理しているものとする。

答え:発生主義の原則により、管理費・修繕積立金のうち、平成18年3月の処理であるから、過去の平成18年2月分については未収入金の入金として扱い、平成18年3月分は当月の各々管理費・修繕積立金収入とし、平成18年4月分は発生していないので前受け金の入金となる。

*管理費入金内訳
                     借方        /       貸方 
 平成18年2月分   4万円 → 普通預金  4万円/未収入金   4万円
 平成18年3月分   6万円 → 普通預金  6万円/管理費収入 6万円
 平成18年4月分  90万円 → 普通預金 90万円/前受金   90万円   

*修繕積立金入金内訳
                    借方        /         貸方 
 平成18年2月分  2万円 → 普通預金  2万円/未収入金     2万円
 平成18年3月分  3万円 → 普通預金  3万円/修繕積立金収入 3万円
 平成18年4月分 45万円 → 普通預金 45万円/前受金      45万円

*これらをまとめた仕訳は

借方  貸方
普通預金 1,500,000 未収入金 60,000
    前受金 1,350,000
    管理費収入 60,000
    修繕積立金収入 30,000

 

正解:3

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第四十七条

14項  管理組合法人は、消費税法 (昭和六十三年法律第百八号)その他消費税に関する法令の規定の適用については、同法 別表第三に掲げる法人とみなす。

過去出題 マンション管理士 未記入
管理業務主任者 H21年、H19年、H18年、

<参照>消費税法第3条:(人格のない社団等に対するこの法律の適用)
第三条  人格のない社団等は、法人とみなして、この法律(第十二条の二及び別表第三を除く。)の規定を適用する。
(基準期間がない法人の納税義務の免除の特例)
第十二条の二  その事業年度の基準期間がない法人(社会福祉法 (昭和二十六年法律第四十五号)第二十二条 (定義)に規定する社会福祉法人その他の専ら別表第一に掲げる資産の譲渡等を行うことを目的として設立された法人で政令で定めるものを除く。)のうち、当該事業年度開始の日における資本金の額又は出資の金額が千万円以上である法人(第九条第四項の規定による届出書の提出により消費税を納める義務が免除されない法人を除く。以下この条において「新設法人」という。)については、当該新設法人の基準期間がない事業年度(第十一条第三項若しくは第四項又は前条第一項若しくは第二項の規定により消費税を納める義務が免除されないこととなる事業年度を除く。)における課税資産の譲渡等については、第九条第一項本文の規定は、適用しない。

★管理組合法人も法人格のない管理組合も消費税上では上の「別表第3」になるが、法人とみなされ、納税義務者になる。

        基準期間(前々年度)の課税売上高が1、000万円以下は、消費税の納税義務は免除される。

       ◎管理組合の収支の管理費・特別修繕費は課税の対象外、預金利息は非課税である。 (ただし、銀行預金の利息は、所得税で源泉徴収はされる。)

       ◎収益事業(駐車場を区分所有者以外の人に貸して駐車場使用料をとるなど)をやっていると、消費税の対象になる。この時は別の特別会計として会計処理すること。

ページ終わり

謝辞:Kzさんの了解により一部転用・編集をしています。

最終更新日:
2010年6月12日:第47条3項の組合等登記令の改正などを中心に追記
2010年1月23日:H21年の出題年を記入
2009年11月5日:ちょろちょろと
2009年6月23日:一部加筆

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