マンション管理士・管理業務主任者を目指す方のために、区分所有法を条文ごとに解説しました。
試験問題は、過去の問題から出されるのではありません。条文から出題されます。
条文を勉強することが、合格への道です。
第四十八条 |
1項 管理組合法人は、その名称中に管理組合法人という文字を用いなければならない。 |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | 未記入 |
*文字を用いなければならない...管理組合法人として登記したら必ず「○Xマンション管理組合法人」とか「管理組合法人コーポ○X」のように「管理組合法人」の名称を入れること。
★第48条は管理組合法人の名称に関する規定です。
我が国では様々な法人の名称を、勝手に使用することをみとめず、○○株式会社や××有限会社のように一般に法人の種類を名称中に記載させるのを通例としています。
これは法人の名称が明記されていれば、これにより取引の相手方に当該法人の概括的な権利能力の範囲(取引可能範囲)や代表者の肩書き(誰と取引すればよいか。)を予め予告することになりますから、取引の円滑に有益な手段といえるでしょう。
例えば、株式会社や有限会社のような営利法人では一般にその権利能力は広範に及びますから、代表取締役(株式会社の場合)や取締役(有限会社の場合)と取引すればその取引が否認されるおそれは余りありませんが、社団法人や財団法人のような公益法人の場合にはその権利能力の範囲は当該目的に割合強く制約されて理事と取引しても目的外取引として否認されるおそれがあります。
管理組合法人は公益でも営利でもない中間目的の法人ですが、限定された建物の管理という目的のための法人ですから、権利能力の範囲は公益法人と同様狭く判断されることになるでしょう。
従って、上の目的を達成するためには当該法人にはその法人の種類の表示を強制し(1項)、且つ他の法人や個人にはその法人の種類の表示をしてはならない(2項)ことを強制する必要があります。
第48条の1項および2項はこのような趣旨の規定です。
★法人となると事務所も登記して、使う名称も指定されている。
例:○Xマンション管理組合法人、 管理組合法人コーポ○X, とか。
「管理組合」と「法人」とを離して用いてはいけないようだ。
第四十八条 |
2項 管理組合法人でないものは、その名称中に管理組合法人という文字を用いてはならない。 |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★「管理組合法人」という名称は、登記された管理組合法人のみが使える。登記していないマンションでも「管理組合」の文字は使える。
◎「管理組合法人」でない者が、「管理組合法人」の名称を使うと、過料 ¥10万以下 がある(第72条参照)。(ここだけ過料 ¥10万。他の過料は ¥20万)
<参照> 区分所有法 第72条:
第四十八条第二項(第六十六条において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。
★過料...刑法上の罰ではない。同じ読み方の科料は刑法上の罰。
★この「管理組合法人」の名称違反だけ過料 ¥10万以下。 ほかの過料は全部 ¥20万以下。
刑法上の刑の種類...重い順に @死刑 A懲役(無期、有期。監獄で作業) B禁固(無期、有期。監獄で拘置)
C罰金(1万円以上) D拘留(拘留場に30日未満拘置) E科料(千円以上〜1万円未満)
第四十八条の2 (*注: 平成20年12月1日施行内容。第四十八条の次に次の一条を加える。) |
1項 管理組合法人は、設立の時及び毎年一月から三月までの間に財産目録を作成し、常にこれをその主たる事務所に備え置かなければならない。ただし、特に事業年度を設けるものは、設立の時及び毎事業年度の終了の時に財産目録を作成しなければならない。 |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | H21年、 |
★この第48条の2 は、平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、区分所有法第46条10項で準用していた旧民法第51条の規定が削除されたことにより、旧民法第51条の規定を区分所有法上で追加・明文化したものです。
<参考> 旧民法第51条
第五十一条: 財産目録及び社員名簿;
法人は、設立の時及び毎年一月から三月までの間に財産目録を作成し、常にこれをその主たる事務所に備え置かなければならない。ただし、特に事業年度を設けるものは、設立の時及び毎事業年度の終了の時に財産目録を作成しなければならない。
2 社団法人は、社員名簿を備え置き、社員の変更があるごとに必要な変更を加えなければならない。
★法人となると、財産目録を作成しなければならない。(1項)
*財産目録とは...管理組合法人の総財産の明細書です。
ここには、動産、不動産、債権、債務などを記載し管理組合法人の財産状況を明瞭にして、第三者に知らせるとともに、理事個人の財産と管理組合法人との財産の混同を防ぐ目的があります。
*財産目録作成の時期
管理組合法人が設立された際には、理事は基本となる財産目録を作成し、その後毎年初3ヶ月以内に、昨年度末の状態を明瞭にするため、財産目録を新しく作成する必要があります。
ただし、事業年度が定められている場合には、その事業年度の終わりの状態を明瞭にするために財産目録を新しく作成します。この場合、作成の時期は明文化されていませんが、次年度の初めから3ヶ月以内に作成すべきと考えられています。
*作成した財産目録は、常に事務所に備え付けておき、閲覧できる状況にしてあること。
*財産目録を作成しない場合、また財産目録に不正の記載をすると、理事に、過料 ¥20万以下が罰として与えられる。
区分所有法第71条6号により、過料となります。
<参照> 区分所有法第71条
6号 第四十八条の二第一項(第六十六条において準用する場合を含む。)の規定に違反して、財産目録を作成せず、又は財産目録に不正の記載若しくは記録をしたとき。
★管理組合法人となると、区分所有者名簿を作成し、事務所に備え置き、また、変更があるたびに訂正しなければならない。(2項)
管理組合が法人化されていなければ、区分所有者名簿の作成は任意ですが、法人化されると、理事は区分所有者名簿を作成し、また売買や相続で区分所有者が変更になると、その区分所有者名簿を変更することが、義務づけられます。
ただし、この場合には、罰則はありませんので、注意してください。
(法の改正があると、出題の対象になりやすい!)
★区分所有者は氏名を管理組合法人に通知することは、義務づけられていない!
管理組合法人となると、理事は区分所有者名簿を作成し、変更のたびに訂正しなければならない義務がありますが、区分所有法では、区分所有者からの氏名の通知は義務ではありません。
そのため、理事は区分所有者の変更が分かっていても、変更した区分所有者へ対して、変更に関する事項の提出依頼は出来ますが、その人からの通知がないと変更ができませんので、注意してください。
理事が登記簿などで調べて、勝手に区分所有者名簿を変更すると、集会の招集通知(区分所有法第35条2項参照)と同じように問題となります。
なお、標準管理規約では、届出を義務付けています。
<参照> 標準管理規約31条 (届出義務)
第31条 新たに組合員の資格を取得し又は喪失した者は、直ちにその旨を書面により管理組合に届け出なければならない。
第四十九条 |
1項 管理組合法人には、理事を置かなければならない。 |
第四十九条 (*注:平成20年12月1日施行内容。) 第四十九条第一項の次に次の一項を加える。 |
2項 理事が数人ある場合において、規約に別段の定めがないときは、管理組合法人の事務は、理事の過半数で決する。 |
過去出題 | マンション管理士 | H18年、H15年、 |
管理業務主任者 |
H19年、H17年、H16年、H15年、H14年、H13年 |
*理事を置かなければならない...管理組合が法人となると理事の設置は必須となる。また、監事も置くこと(第50条)。
ただし、理事・監事を置かないときの罰則はない。人数の制限もない。資格の制限もないが、管理者と違って、法人は理事になれないと解釈されている。(旧民法第52条1項参照)
ただし、任期は、管理者と違って、制限があり、原則2年、規約で3年までと決められている。
<参考>旧民法第52条(理事)
第五十二条 法人には、一人又は数人の理事を置かなければならない。
2 理事が数人ある場合において、定款又は寄附行為に別段の定めがないときは、法人の事務は、理事の過半数で決する。
★理事とは
第49条は、管理組合が法人となったときの、理事に関する規定です。
管理組合法人は社団法人という団体で、それ自体では自然人のように行動できる肉体を持たないため、団体に代って行う個人の行動が必要になります。
このような行為を団体事務の執行といい、行動を行う個人の地位を団体の「執行機関」といいいます。
★理事は管理組合法人の「執行機関」であり「代表機関」といえる
執行機関の名称は株式会社であれば、取締役会のように、法人の種類に応じて様々ですが、管理組合法人では改正前の民法の公益法人と同様の理事という名称を採用しています。
理事は管理組合法人たる社団法人の常設の執行機関(1項)であり代表機関(新3項)です。
★理事の員数・管理組合の事務(新2項)
理事の数は1名でも複数でもかまいませんが、区分所有法では、たびたび言いますが、管理組合法人においても「理事会」という組織が法定化されていません。
理事会を法定化しなかったのは、マンションでは小規模の管理組合もあり、また目的が様々なため、あまり複雑な組織を強制することを区分所有法が嫌った結果といえます。
●改正の前には旧民法第52条2項が準用されていました。
平成20年12月1日に施行された「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」により、民法の法人の規定が大幅に変更・削除され、、該当の民法第52条も削除されたことに伴い、区分所有法で、第49条2項が旧民法第52条2項の条文のまま追加されました。
この規定にあるように、理事が複数いる場合は理事の過半数で法人の事務を決定するので、事実上「理事会」のようなものを認めているともいえます。
この点、現実に、マンションでは理事会を構成して管理を行っている管理組合が殆んどですから、立法論的には管理組合を法制化するべきであったといえます。
これをうけ標準管理規約(単棟型)では、「理事会」を認め、理事を役員として、資格、業務内容などを詳細に規定しています。
<参考>標準管理規約 第5節: 理事会
(理事会)
第51条 理事会は、理事をもって構成する。
2 理事会の議長は、理事長が務める。
<参考>標準管理規約35条:(役員)
第35条 管理組合に次の役員を置く。
一 理事長
二 副理事長 ○名
三 会計担当理事 ○名
四 理事(理事長、副理事長、会計担当理事を含む。以下同じ。) ○名
五 監事 ○名
2. 理事及び監事は、○○マンションに現に居住する組合員のうちから、総会で選任する。
3. 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事の互選により選任する。
第35条関係コメント
@ 理事の員数については次のとおりとする。
1 おおむね10〜15戸につき1名選出するものとする。
2 員数の範囲は、最低3名程度、最高20名程度とし、○〜○名という枠により定めることもできる。
A 200戸を超え、役員数が20名を超えるような大規模マンションでは、理事会のみで、実質的検討を行うのが難しくなるので、理事会の中に部会を設け、各部会に理事会の業務を分担して、実質的な検討を行うような、複層的な組織構成、役員の体制を検討する必要がある。
この場合、理事会の運営方針を決めるため、理事長、副理事長(各部の部長と兼任するような組織構成が望ましい。)による幹部会を設けることも有効である。なお、理事会運営細則を別途定め、部会を設ける場合は、理事会の決議事項につき決定するのは、あくまで、理事全員による理事会であることを明確にする必要がある。
B 法人が区分所有する専有部分があるマンションにおいては、当該専有部分をどのように利用している場合に、
第2項の「現に居住する組合員」が存在するとみなして法人関係者から役員になることを認めるか、
法人関係者が役員になる場合には、管理組合役員の任務に当たることを当該法人の職務命令として受けた者に限定する等どのような資格を有する者が実際に役員業務を行うことができるかについて、
あらかじめ規約や細則に定めておくことが望ましい。
◎ところで、新しく追加された区分所有法第49条2項(元の民法第52条2項)によれば管理組合法人の事務は理事が一人なら単独で、理事が複数ならその過半数で決定し執行することができることになりますが、他方で区分所有法第52条によれば”管理組合法人の事務はすべて「集会決議」による”とされ、理事の過半数でも決定できないため一見矛盾する両条の関係が問題となります。
<参考>旧民法第52条(理事)
第五十二条 法人には、一人又は数人の理事を置かなければならない。
2 理事が数人ある場合において、定款又は寄附行為に別段の定めがないときは、法人の事務は、理事の過半数で決する。
<参考>区分所有法第52条(事務の執行)
第五十二条 管理組合法人の事務は、この法律に定めるもののほか、すべて集会の決議によつて行う。ただし、この法律に集会の決議につき特別の定数が定められている事項及び第五十七条第二項に規定する事項を除いて、規約で、理事その他の役員が決するものとすることができる。
<参考>区分所有法第57条(共同の利益に反する行為の停止等の請求)
第五十七条 区分所有者が第六条第一項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。
2 前項の規定に基づき訴訟を提起するには、集会の決議によらなければならない。
3 管理者又は集会において指定された区分所有者は、集会の決議により、第一項の他の区分所有者の全員のために、前項に規定する訴訟を提起することができる。
4 前三項の規定は、占有者が第六条第三項において準用する同条第一項に規定する行為をした場合及びその行為をするおそれがある場合に準用する。
これについては管理組合の法人化前と後で社団組織や権限が変わってしまうのは不当ですから、法人化前と同様に集会が管理組合という社団の最高かつ唯一の意思決定機関であることが原則と理解するべきでしょう。
従って、管理組合法人の場合は区分所有法第52条が原則規定と考えるべきであり、例外規定(補充規定)たる新しく追加された区分所有法第49条2項(旧民法第52条2項)が準用されるのは区分所有法第52条で事務の決定を複数の理事に委託した場合に適用されるものと考えるべきでしょう。
★理事の代表権とその制限
このように、区分所有法上は「理事会」という組織・機関はありませんから、理事会を構成するとしても管理組合法人の任意組織・機関であり、その業務範囲も法律の規定に反しない限り自由に設定することができます。
一般には、理事会は総会決議事項ほどのことではない日常的事項の決議機関と各理事の監督機関という位置付けとなりますが、法定機関でないことから理事会の理事に対する監督としての代表権の制限も善意(事情をしらない)の相手方には対抗できないということになります(新49条の2、旧民法 第54条)。
<参考>旧民法第54条(理事の代理権の制限)
第五十四条 理事の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
★また、理事は複数いても区分所有法上は各自が同等の権限を持ちますので、各自が単独で管理組合法人を代表することになります(新4項)。
ただし、通常は、理事会を組織して理事長を定め、理事長が管理組合法人を代表して、一般理事には代表権を与えないとしますから、理事長等の代表理事を定めること(この結果一般理事は代表が原則としてできなくなる。)や、2名以上の理事が共同してのみ代表権を持つこと(一般には、理事長・副理事長のように2名の共同代表が通常です)が可能です(新5項)。
理事が行った管理組合法人の業務に関して得た債権や負うことになった債務は、組合員全員に及びます。
★代表理事や共同代表を定めると、法人登記方法が変わる
法人登記では、代表理事を定めた時には、代表理事のみが登記され、共同代表を定めた時には、その旨が登記され、他の理事は登記されませんので、注意してください。(参考 区分所有法47条3項)
★理事の選任・解任
理事の選任に関しては新8項で区分所有法第25条の「管理者の選任・解任」の規定を準用していますから、管理者の場合と同様、理事は規約または集会の普通決議で選任されまたは解任されます。
理事に不正な行為があるときには、各区分所有者が、裁判所に理事の解任を請求するの場合も管理者の時と同様です。
<参考>区分所有法第25条 (選任及び解任)
第二十五条 区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によつて、管理者を選任し、又は解任することができる。
2 管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは、各区分所有者は、その解任を裁判所に請求することができる。
★.理事の任期 −原則2年間ー
理事の任期即ち管理組合法人と理事たる個人との委任契約の期間は原則2年間とされます(新6項)。
2年経過すれば委任契約は終了しますから理事は当然に退任することになります。(なお、退任は解任ではありません。)
★任期の例外@
理事の任期には例外があって、その一つは当該理事の退任により理事がいなくなってしまう場合や、理事の定数に欠員が生じる場合には後任の理事が選任されるまで退任した理事は従前どおりの権利義務をそのまま保有して理事の職務を行うということです(新7項)。
このことは執行機関がなくなったことによる委任者の損害を防止するための対策であって、他の法律での委任ついての本質的な取扱い(参照 民法 第654条、商法第258条)となっています。
<参考>民法第654条 (委任の終了後の処分)
第六百五十四条 委任が終了した場合において、急迫の事情があるときは、受任者又はその相続人若しくは法定代理人は、委任者又はその相続人若しくは法定代理人が委任事務を処理することができるに至るまで、必要な処分をしなければならない。
同様の取扱いは理事の辞任による退任の場合も同じですが、「解任」の場合には当該人に理事の職務を認めることは不適当ですから新7項の適用はありません。
従って、速やかに後任の理事を選任することになります。
この場合に、後任の理事が選任できない時点で緊急の必要があるときは、裁判所に申し立てて仮理事を選任することも可能です(新第49条の4 1項、旧民法 第56条)。
この仮理事の選任申立ては区分所有者に限らず管理組合の相手方もまた可能であり、仮理事選任の管轄裁判所は管理組合法人の事務所(所在地)を管轄する地方裁判所です(新第49条の4 2項)。
★任期の例外A −規約で3年間まで延長ー
もう一つの理事の任期の例外は、実務上理事が通常総会で選任されその開催日時が必ずしも常に365日後とは限らず、また初年度会計期間が1年間より長短の場合には、理事の任期満了までに通常総会が開催されない不都合な事態が起こりうるということです。
そのときには、新7項の取扱いとなるわけですが、新7項の例外的救済規定の適用が常に起こるというのも不適当ですから、理事の任期の法定期間を多少延長することにより正規に理事任期と選任のための通常総会の開催との整合を取るほうが望ましいことになります。
このため、法定期間は3年を最長期として規約で延長することができることとし、これにより例えば、2年と厳密に定めず、「理事の任期は2年後の通常総会終結の日までとする」、等の定めが可能です。
現実的には、理事・監事の任期は1年が多数です。
しかし、マンションの管理は様々な問題を抱えていますので、1年の任期中では内情把握で終わり、問題は殆ど解決できません。
できれば、役員としての継続性を考えると、任期は2年とし、半数は再任された方が、管理組合の運営がスムーズに行えます。
★理事(役員)のなり手がいない
名目上は、いろいろと取り決めても、現実には、無報酬でトラブルだけを持ち込まれ、時間をとられる役員になるという奇特な居住者は殆どいません。
管理会社も理事長や理事がいないと交渉や関係書類の提出先などで不便なため、多大に役員選出には力をそそぎますが、本来はそのマンションの居住者(区分所有者)が管理を自覚し解決すべき事項です。
役員のなり手がいないマンションでは、室ごとの輪番制で強制的に役員にしていますが、積極的に参加する意欲がないため管理はおろそかになります。
独身者が理事長になっても、多忙なため理事会活動が行われないこともあります。
管理は、他の人がやってくれるものと思って、自分が管理するという意識が区分所有者に欠けているのが現状です。
標準管理規約(単棟型)では、役員は半数が改選で、2年の任期を勧めています。(標準管理規約(単棟型)36条のコメント参照)
<参考>標準管理規約36条:(役員の任期)
第36条 役員の任期は○年とする。ただし、再任を妨げない。
2. 補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
3. 任期の満了又は辞任によって退任する役員は、後任の役員が就任するまでの間引き続きその職務を行う。
4. 役員が組合員でなくなった場合には、その役員はその地位を失う。
第36条関係コメント
@ 役員の任期については、組合の実情に応じて1〜2年で設定することとし、選任に当たっては、その就任日及び任期の期限を明確にする。
A 業務の継続性を重視すれば、役員は半数改選とするのもよい。この場合には、役員の任期は2年とする。
B 役員が転出、死亡その他の事情により任期途中で欠けた場合、補欠の役員を理事会の決議で選任することができると、規約に規定することもできる。
また、「マンション管理標準指針」(平成17年12月)では、理事の任期・改選方法に付き、以下のようにしています。
◎標準的な対応...理事の任期が1〜2年の間で定められており、かつ、各理事の就任日及び任期の期限が明確となっている。
◎望ましい対応...理事の改選は概ね半数ずつとし、任期は2年となっている。
総合調査: 役員任期 1年:69.0%
役員任期 2年:26.9%
理事は半数ずつ改正:18.6%
★理事の代理
ところで、理事は委任契約の受任者ですから原則として自らその業務を執行しなければならず、本人(委任者)の承諾なく委任事務を他人に処理させると本旨に添った履行とはなりません。
この点に関し、新しく設けられた区分所有法第49条の3(旧民法 第55条と同じ)では規約や総会決議で禁止されていない限り特定の行為の代理(特定の事務)を他人に委任(実質上の再委任)することができるとされています。
このことは、当該理事の監督下、責任の下であれば具体的事務を他人にさせても委任の本旨に反しないということです。現実にも理事長が他の理事に具体的な事務の一部を分担させていることがこれに該当します。
<参考>旧民法第55条(理事の代理行為の委任)
第五十五条 理事は、定款、寄附行為又は総会の決議によって禁止されていないときに限り、特定の行為の代理を他人に委任することができる。
問題は、理事の地位全般の代理が認められるかですが、法人の執行機関等の原則的な委任にあっては当然否定することになります。
しかし、管理組合の場合にはその目的の範囲が明確で一般に区分所有者であれば特に資格や資質を問わず就任できる地位であることや、区分所有者とその同居の親族ではその資質はもとより当該建物の管理に関して利害関係が共通していることから、区分所有者と一定の関係にあるものとの間で地位の互換性が肯定でき、且つこの地位の互換が実質上の本人たる他の区分所有者の信頼を裏切らない特別の事情が肯定できると思われます。
従って、一般には理事は自己の地位を包括的に他人に代理させることは禁止されますが、同居の親族(配偶者等)に委任することは可能であると考えます。
★標準管理規約(単棟型)53条のコメントは、この考えを取り入れています。
<参考>標準管理規約(単棟型) 第53条関係コメント
理事に事故があり、理事会に出席できない場合は、その配偶者又は一親等の親族に限り、代理出席を認める旨を規約に定めることもできる。
この点、規約にそのような代理の規定が明記された事例(最高裁 平成2年11月26日)で肯定的な判例があり、規約で明記することが望ましいことは確かですが、規約になくとも同様に取り扱うことができると思われます。
{判例}
*事件のあらまし
和歌山県内のあるリゾートマンションでは管理規約により、数名の理事が理事会を構成し、理事会の定めるところにより管理組合(但し、この管理組合は法人化されていました。)の業務を行うこととされていました。
しかし、リゾートマンションなので理事が多府県にわたって居住しており、他に職業を持つ人も多かったので、従来から必ずしも理事本人が出席せず、配偶者などの代理人が出席することがしばしばでした。
そこで、管理組合では臨時総会を開き、満場一致で、「理事に事故があり、理事会に出席できないときは、その配偶者又は一親等の親族に限り、これを代理出席させることができる。」という定めを管理規約に新設する決議をしました。
これに対し、区分所有者の1人が、そのような管理規約の定めは、旧民法55条(代理権の委任)に違反するから無効であるとして、総会決議無効確認の裁判を起こしたのがこの事件の始まりです。
*判決
管理組合法人(以下「管理組合」という。)が、その規約によって、代表権のある理事以外に複数の理事を定め、理事会を設けた場合において、「理事に事故があり、理事会に出席できないときは、その配偶者又は一親等の親族に限り、これを代理出席させることができる」と規定する規約の条項(以下「本件条項」という。)は、区分所有法49条7項の規定により管理組合の理事について準用される民法55条に違反するものでなく、他に本件条項を違法とすべき理由はないと解するのが相当である。
したがって、理事会における出席及び議決権の行使の代理を許容する定款又は寄付行為が、同条の規定から直ちに違法となるものではない。
理事会を設けた場合の出席の要否及び議決権の行使方法については、法は、これを自治的規範である規約に委ねているものとすると解するのが相当である。(最高裁:平成2年11月26日)
★管理組合法人に理事は必須。監事も必ず置くこと(第50条1項)。
★理事の資格:規約で制限の無い限り、原則、区分所有者以外(占有者=借りている人)でも理事になれるが、管理者と違って「法人」は理事にできないと解されている。
しかし、法人が区分所有者であることが多いマンションでは、規約で定めてもいいと思われる。
★標準管理規約(単棟型)35条では、理事と監事の資格を、区分所有法と違って、「そのマンションに居住する区分所有者」に制限している
区分所有法では、理事(監事も)の資格についての制限は、ありませんが、標準管理規約では、 「理事及び監事は、○○マンションに現に居住する組合員(区分所有者)のうちから、総会で選任する。」と明確に制限していますので注意してください。(標準管理規約(単棟型)35条2項 参照)
これは、マンション管理は、外部にいる人より内部の人にやらせた方が適切との判断です。
<参考>標準管理規約35条:(役員)
第35条 管理組合に次の役員を置く。
一 理事長
二 副理事長 ○名
三 会計担当理事 ○名
四 理事(理事長、副理事長、会計担当理事を含む。以下同じ。) ○名
五 監事 ○名
2. 理事及び監事は、○○マンションに現に居住する組合員のうちから、総会で選任する。
3. 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事の互選により選任する。
<参照>標準管理規約(単棟型)第35条関係コメントB
B 法人が区分所有する専有部分があるマンションにおいては、当該専有部分をどのように利用している場合に、
第2項の「現に居住する組合員」が存在するとみなして法人関係者から役員になることを認めるか、
法人関係者が役員になる場合には、管理組合役員の任務に当たることを当該法人の職務命令として受けた者に限定する等どのような資格を有する者が実際に役員業務を行うことができるかについて、
あらかじめ規約や細則に定めておくことが望ましい。
★理事:マンションの管理を行うので、管理者は理事と同じになる。法人になる前に管理者がいれば、法人になった時に、管理者は自動的に退任したことになる。(第47条11項参照)
★理事の選任・解任:規約がなければ、集会の普通決議(過半数)で行う。(新8項)
1.理事の職務上の権限について
管理組合法人の理事が管理者と違う点は、管理者は区分所有者の代理です(第26条2項)が、管理組合法人では、区分所有者を代理しているのは管理組合法人であり、理事は管理組合法人の代表として行う点です。(第47条6項、第49条2項)
なお、管理組合法人では、区分所有法第27条の「管理所有」は認められていない点も注意してください。
@ 共用部分、敷地、附属施設の保存行為を行う権限を有します。保存行為とは日常の軽微な修繕、施設の点検等共有財産の現状を維持するために必要な行為をいいます。
A 管理組合の集会の決議を実行し、規約で管理者(理事)の職務権限に属するとされている事項を実施しなければなりません。
B 損害保険契約に基づく保険金額並びに共有部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求および受領につき区分所有者を代理する管理組合法人の代表として権限を有します。(区分所有法第47条6項)
C 規約または集会の決議により、その職務に関し、区分所有者のために裁判の原告または被告になることができます(区分所有法第47条8項)
D 集会の招集権を有します。なお少なくとも毎年1回は集会を招集する義務があります。(区分所有法第47条12項 -> 準用 第34条第1項、2項)
2.職務上の義務について (管理者と同じである)
@ 集会において毎年1回一定時期に、その事務に関する報告をしなければなりません。(区分所有法第47条12項 -> 準用 第43条)
A 規約、議事録、書面決議の書面を保管し、利害関係人から請求があった場合は閲覧させなければなりません(区分所有法第47条12項 ->準用 第33条1項、2項、第42条3項、)
B 管理者(理事)は民法の委任の規定により、その事務を処理するにつき善良な管理者の注意義務を負い、その義務を怠って区分所有者に損害を与えたときは、これを賠償する責任を負うほか、事務の処理に当たって受け取った金銭その他の物を区分所有者に引き渡す義務等を負います。
「質問」
私どものマンションでは、役員の引き受け手がなかなかいなくて困っています。この際、区分所有者と同居している家族の方も役員に含めたらという意見が出てきました。問題はないでしょうか。
答え:管理組合は、マンションの区分所有者が自己の責任において維持管理し、その価値を保全していくことを目的としています。区分所有者以外の方が管理組合に加入することはできませんが、役員になることも望ましくないと、考えます。しかしながら、マンションの実情を考慮し、同居の配偶者や親子等を認めるケースも考えられます。その場合は必ず総会の特別決議で規約を改正してから行わなければなりません。
{例}「理事に事故があり、理事会に出席できないときは、その配偶者または一親等の親族に限り、これを代理出席させることができる」旨の規約は違法ではないとした判例がある。
{設問-1} 規約を改正すれば、理事及び監事の資格を区分所有者と同居する親族に広げることができるか。
答え:できる。理事および監事の役員資格に関して、区分所有法には特に規定がないので、規約で可能。
なお、マンション標準管理規約35条では、資格を:理事・監事は○○マンションに現に居住する組合員とされている。
{設問-2} 規約を改正しても、理事及び監事の資格を区分所有者以外の占有者に広げることはできないか。
答え:できる。これも、区分所有法には特に規定がないので、規約を改正すれば、理事・監事の資格を区分所有者以外の占有者に広げることができる。
{設問-3} 規約を改正しても、理事及び監事の資格を法人である区分所有者に広げることはできないか。
答え:できる。管理組合法人での理事・監事は自然人でなければならないと解釈されているが
法人格をもたない登記を経ていない管理組合(権利能力なき社団)にあっては、理事・監事は自然人である必要はなく、法人であってもよい。また、規約があれば
「法人である区分所有者に広げること」は、できる。
{設問-4}規約を改正すれば、理事及び監事の資格要件を広げることはできるが、理事長以外の者を区分所有法に定める管理者とすることはできないか。
答え:できる。規約を改正すれば、理事・監事の資格要件を広げることができる。
また、区分所有法では、管理者の資格要件は特に規定がないことから、規約を改正すれば、理事長以外の者を管理者とすることができる。理事長と管理者が並立してもいい。
第四十九条 (*注:平成20年12月1日施行内容。) 第四十九条第一項の次に次の一項を加える。 |
2項 理事が数人ある場合において、規約に別段の定めがないときは、管理組合法人の事務は、理事の過半数で決する。 |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 |
未記入 |
●この区分所有法第49条2項の追加は、以前は旧民法第52条2項が準用されていたのが、平成20年12月1日に施行された「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」により、民法の法人の規定が大幅に変更・削除され、、該当の民法第52条も削除されたことに伴い、区分所有法として、旧民法第52条2項の条文のまま追加されたものです。
<参考>旧民法第52条(理事)
第五十二条 法人には、一人又は数人の理事を置かなければならない。
2 理事が数人ある場合において、定款又は寄附行為に別段の定めがないときは、法人の事務は、理事の過半数で決する。
管理組合法人においては、理事の設置は必須で、また複数の理事がいてもかまいません。
複数の理事が存在して、各理事が勝手に事務を処理したのでは、団体としての統一がとれませんから、理事間で協議し、特に規約で定めていない限り、多数決に従います。
そして、各理事は連帯して責任を負い、職務を執行します。
★理事の責任
@民事責任...理事(役員)がその任務に背いて、管理組合に損害を与えた時には、その理事(役員)は、管理組合に対して損害賠償責任があります。
A刑事責任...管理組合の業務上、理事(役員)が関係する刑事責任としては、業務上横領(刑法第253条)と背任罪(刑法第247条)が考えられます。
<参照> 刑法第253条:(業務上横領)
第二百五十三条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。
<参照>刑法第247条:(背任)
第二百四十七条 他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第四十九条 |
(旧2項) 理事は、管理組合法人を代表する。 |
第四十九条 (*注:平成20年12月1日施行内容。) |
3項 理事は、管理組合法人を代表する。 第二項を第三項とする。 |
過去出題 | マンション管理士 | H21年、H15年、 |
管理業務主任者 | H19年、H17年、 |
*代表とは...甲がある行為をしたときに、法律上、乙がしたと同じ効果を生じることのできるときの甲のことを言う。
私法上、代理人と代表の明確な違いはないとされる。
★区分所有法では、理事は管理組合法人を代表(管理組合法人の仕事=業務を行う権限と責任がある)するが、マンションの区分所有者から与えられている代理権の帰属先はあくまでも管理組合法人の方にあり、理事個人ではない。
「理事が区分所有者を代理する」となっていないことに注意。
★理事の行為の効果がすべて法人に及ぶ。
★代表権の範囲:規約・集会の決議の制限範囲内。また管理組合法人と理事の利益が相反する場合を除いて、管理組合法人の一切の事務に及ぶ。
★管理組合法人には、理事が必須なので同じような職務を行う管理者は置けない。(管理者の規定:第4節が適用外になっている。11項参照)
第四十九条 |
(旧3項) 理事が数人あるときは、各自管理組合法人を代表する。 |
第四十九条 (*注:平成20年12月1日施行内容。) |
4項 理事が数人あるときは、各自管理組合法人を代表する。 第三項を第四項とする。 |
過去出題 | マンション管理士 | H18年、 |
管理業務主任者 | H20年、H17年、H14年、 |
★理事は複数いてもいい。代表権を特定の理事に与えるなら、次の新5項に規定される。
通常、各理事が管理組合法人を代表している。
★理事の人数の目安:
最低、理事長、理事、会計担当を考慮し、3名は区分所有者の数に関係なく欲しいところですが、なかなか、なり手がいないのが実情です。
監事は、業務が異なるため別に1名必要です。
<参照>標準管理規約;第35条のコメント@
理事の員数については次のとおりとする。
1 おおむね10〜15戸につき1名選出するものとする。
2 員数の範囲は、最低3名程度、最高20名程度とし、○〜○名という枠により定めることもできる。
第四十九条 |
(旧4項) 前項の規定は、規約若しくは集会の決議によって、管理組合法人を代表すべき理事を定め、若しくは数人の理事が共同して管理組合法人を代表すべきことを定め、又は規約の定めに基づき理事の互選によって管理組合法人を代表すべき理事を定めることを妨げない。 |
第四十九条 (*注:平成20年12月1日施行内容。) |
5項 前項の規定は、規約若しくは集会の決議によって、管理組合法人を代表すべき理事を定め、若しくは数人の理事が共同して管理組合法人を代表すべきことを定め、又は規約の定めに基づき理事の互選によって管理組合法人を代表すべき理事を定めることを妨げない。 第四項を第五項とする。 |
過去出題 | マンション管理士 | H15年、H14年、 |
管理業務主任者 | H20年、H17年、 |
★規約・集会の決議で、代表する理事=理事長を1人、または複数(共同代表制)決めていい。
★代表権のない理事もあり得る。
★管理組合における役員の構成と職務内容
法人化に関係なく管理組合では、通常総会において役員を選出します。この役員は標準管理規約35条では、次のような構成と職務内容になります。
<参照>標準管理規約 35条:(役員)
第35条 管理組合に次の役員を置く。
一 理事長
二 副理事長 ○名
三 会計担当理事 ○名
四 理事(理事長、副理事長、会計担当理事を含む。以下同じ。) ○名
五 監事 ○名
2. 理事及び監事は、○○マンションに現に居住する組合員のうちから、総会で選任する。
3. 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事の互選により選任する。
★理事長の職務は、標準管理規約では次のように規定しています。
<参考>標準管理規約38条(理事長)
第38条 理事長は、管理組合を代表し、その業務を統括するほか、次の各号に掲げる業務を遂行する。
一 規約、使用細則等又は総会若しくは理事会の決議により、理事長の職務として定められた事項
二 理事会の承認を得て、職員を採用し、又は解雇すること。
2. 理事長は、区分所有法に定める管理者とする。
3. 理事長は、通常総会において、組合員に対し、前会計年度における管理組合の業務の執行に関する報告をしなければならない。
4. 理事長は、理事会の承認を受けて、他の理事に、その職務の一部を委任することができる。
第38条関係コメント
例えば植栽による日照障害などの日常生活のトラブルの対応において、日照障害における植栽の伐採などの重要な問題に関しては総会の決議により決定することが望ましい。
★他の具体的な、理事長の職務は、
*管理組合規約の保管と閲覧
*管理組合理事長の公印の保管
*各契約書類、協定書等承継書類の保管
*管理委託業務契約、修繕請負工事契約、駐車場利用契約、保険契約などの契約締結と各契約書の保管
*請求書等支払に関する決裁
*理事長名による受発信文書の処理および保管
*管理費等の未納者に対する法的措置に伴う原告
*通常総会において、前会計年度における管理組合の業務の執行に関する報告と議事録の作成と保管
*総会、理事会の議長
*必要の都度理事会を招集する、なお招集について監事に通知する。
*理事会の議事録を事務所(管理組合法人の時)において保管し、組合員の請求があったときは、閲覧させる。
*会計帳簿、什器備品台帳、組合員名簿の作成と保管と利害関係人への閲覧
*領収書や請求書の保管
*理事会の決議を経て、共同生活の秩序を乱す行為者(区分所有者、同居人、占有者など)への必要な勧告、指示
*訴訟における原告、被告 (この場合には、遅滞無く区分所有者に通知のこと)
★代表の理事(理事長)を定めたときには、登記では、代表理事だけの氏名、住所及び資格が登記事項となります。
他の理事の氏名などは、登記されません。
また、共同で代表するときには、共同代表として記載されます。
<参照>組合等登記令(設立の登記)
第二条 組合等の設立の登記は、その主たる事務所の所在地において、設立の認可、出資の払込みその他設立に必要な手続が終了した日から二週間以内にしなければならない。
2 前項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。
一 目的及び業務
二 名称
三 事務所の所在場所
四 代表権を有する者の氏名、住所及び資格
五 存続期間又は解散の事由を定めたときは、その期間又は事由
六 別表の登記事項の欄に掲げる事項
*説明
1.目的及び業務...「建物並びにその敷地及び附属施設の管理」
2.名称....必ず○Xマンション「管理組合法人」または「団地管理組合法人」の名称を入れること
3.事務所の所在地...普通、マンションの建物内になる。管理事務所があればそこにしていいが、管理事務所がない時は、通常、理事長の部屋番号となり、この場合、理事長が変わると、事務所の変更届けも出さなければいけない。
4.代表権を有する者の氏名、住所及び資格...理事が数人あれば、その全員を記載するが、代表理事が選任されたときは、その代表理事についてだけ記載する。それ以外の理事については記載されない。証明の書面としては、通常、議事録が必要で、また、代表権を有する理事の承諾書も必要。
また、監事は登記事項ではない。
これが、面倒な手続きです。
5.存続期間又は解散の事由を定めたときは、その期間又は事由...これは、通常、定めませんから、記入なしです。
6.別表の登記事項の欄に掲げる事項... 別表は、以下の内容です。
<参照>組合等登記令 別表 (第一条、第二条、第六条、第十七条、第二十条関係)
名称 : 管理組合法人、団地管理組合法人
根拠法: 建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)
登記事項: 共同代表の定めがあるときは、その定め
*説明
共同代表の定めがあるときは、その定め ...役員に関する事項の最後に、たとえば、「理事 甲野太郎 及び 理事 乙野二郎 は共同して代表する」と記載する。
★理事の変更など、登記事項に変更があれば、2週間以内にその変更をすること(組合等登記令第3条1項)
<参照>組合等登記令第3条 (変更の登記)
第三条 組合等において前条第二項各号に掲げる事項に変更が生じたときは、二週間以内に、その主たる事務所の所在地において、変更の登記をしなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、出資若しくは払い込んだ出資の総額又は出資の総口数の変更の登記は、毎事業年度末日現在により、当該末日から四週間以内にすれば足りる。
3 第一項の規定にかかわらず、資産の総額の変更の登記は、毎事業年度末日現在により、当該末日から二月以内にすれば足りる。
★副理事長の職務は、標準管理規約では次のように規定しています。
<参考>標準管理規約39条:(副理事長)
第39条 副理事長は、理事長を補佐し、理事長に事故があるときは、その職務を代理し、理事長が欠けたときは、その職務を行う。
★一般の理事、会計担当の職務は、標準管理規約では次のように規定しています。
<参考>標準管理規約40条:(理事)
第40条 理事は、理事会を構成し、理事会の定めるところに従い、管理組合の業務を担当する。
2. 会計担当理事は、管理費等の収納、保管、運用、支出等の会計業務を行う。
★監事の職務は、以下のとおりです。
1.監事は、管理組合の財産の状況および組合の業務の執行状況を監査し、その結果を総会において報告しなければならない。
2.監事は管理組合の財産の状況および管理組合の業務の執行状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる。
*注意:監事は、特別に「臨時総会」を招集するだけで、「通常総会」ではありません。
3.監事は、理事会に出席して意見を述べることができる。 ただし、議決権はない。
★単に管理組合の財産の監査だけでなく、管理組合の業務の執行状況も含まれていることに注意。
第四十九条 |
(旧5項) 理事の任期は、二年とする。ただし、規約で三年以内において別段の期間を定めたときは、その期間とする。 |
第四十九条 (*注:平成20年12月1日施行内容。) |
6項 理事の任期は、二年とする。ただし、規約で三年以内において別段の期間を定めたときは、その期間とする。 第四十九条第五項を第四十九条第六項とする。 |
過去出題 | マンション管理士 | H19年、H18年、 |
管理業務主任者 | H17年、H14年、 |
★.理事の任期 −原則2年ー 規約で3年まで伸ばせる(短くすることもできる)。ただし、3年を超える期間が定められている時には、3年に短縮される。
なお、この第49条6項と次の7項の規定は、監事に準用されます。(第50条新4項参照)
管理組合法人の理事の任期即ち管理組合法人と理事たる個人との委任契約の期間は、原則、2年間とされます。
2年経過すれば委任契約は終了しますから理事は当然に退任することになります。
◎ただし、例外があって、その一つは当該理事の退任により理事がいなくなってしまう場合や理事の定数に欠員が生じる場合には後任の理事が選任されるまで退任した理事は従前どおりの権利義務をそのまま保有して理事の職務を行うということです(新7項)。
このことは執行機関不存在の空白期間による本人の損害を防止するための対策であって、他の法律の委任に本質的な取扱い(民法 第654条、商法第258条)となっています。
同様の取扱いは理事の辞任による退任の場合も同じですが、「解任」の場合には当該人に理事の職務を認めることは不適当ですから新7項の適用はありません。
従って、速やかに後任の理事を選任することになります。
この場合に、後任の理事が選任できない時点で緊急の必要があるときは、裁判所に申し立てて仮理事を選任することも可能です(新49条の4 1項、旧民法 第56条)。
この仮理事の選任申立ては区分所有者に限らず管理組合の相手方もまた可能であり、仮理事選任の管轄裁判所は管理組合法人の事務所(所在地)を管轄する地方裁判所です(新49条の4 2項)。
★規約で3年まで伸ばせる
もう一つは、実務上理事が通常総会で選任されその開催日時が必ずしも常に365日後とは限らず、また初年度会計期間が1年間より長短の場合には、理事の任期満了までに通常総会が開催されない不都合な事態が起こりうるということです。
そのときには、新7項の取扱いとなるわけですが、新7項の例外的救済規定の適用が常に起こるというのも不適当ですから、理事の任期の法定期間を多少延長することにより正規に理事任期と選任のための通常総会の開催との整合を取るほうが望ましいことになります。
このため、法定期間は3年を最長期として規約で延長することができることとし、これにより例えば「理事の任期は2年後の通常総会終結の日までとする」、等の定めが可能です。
★理事の任期:原則2年だけど、規約で最長3年まで可能。(注意:1年とか短くもできる。伸ばす方だけを覚えないように!)
現実には、規約で1年交代制が多い。理事会の継続性を保つため、任期は2年で、うち半数は再任とするのが望ましい。
<参考>標準管理規約36条:(役員の任期)
第36条 役員の任期は○年とする。ただし、再任を妨げない。
2. 補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
3. 任期の満了又は辞任によって退任する役員は、後任の役員が就任するまでの間引き続きその職務を行う。
4. 役員が組合員でなくなった場合には、その役員はその地位を失う。
第36条関係コメント
@ 役員の任期については、組合の実情に応じて1〜2年で設定することとし、選任に当たっては、その就任日及び任期の期限を明確にする。
A 業務の継続性を重視すれば、役員は半数改選とするのもよい。この場合には、役員の任期は2年とする。
B 役員が転出、死亡その他の事情により任期途中で欠けた場合、補欠の役員を理事会の決議で選任することができると、規約に規定することもできる。
★「マンション管理標準指針」での望ましい対応
国土交通省の調べでは、(平成17年)、役員の任期は 1年が 69.0%、 2年が 26.9% である。
できれば、理事の改選は概ね半数ずつとし、任期は2年としたい。
*注意:管理組合法人での理事については区分所有法で任期を定めているが、法人でないときの「管理者」には、区分所有法では任期の規定はない。
出題された文章をよく読んで法人かどうかを区別のこと。
第四十九条 (*注1:改正 下線部 挿入された。) |
(旧6項) 理事が欠けた場合又は規約で定めた理事の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した理事は、新たに選任された理事(次項において準用する民法第五十六条 の仮理事を含む。)が就任するまで、なおその職務を行う。 |
第四十九条 (*注:平成20年12月1日施行内容。) |
7項 理事が欠けた場合又は規約で定めた理事の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した理事は、新たに選任された理事(第四十九条の四第一項の仮理事を含む。)が就任するまで、なおその職務を行う。
第四十九条第六項中「次項において準用する民法第五十六条」を「第四十九条の四第一項」に改める。 第四十九条第六項を第四十九条第七項とする。 |
過去出題 | マンション管理士 | H19年、H15年、 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★理事がいなくった時:以前の理事が新しく理事の選任があるまで、職務を行う。
なお、当7項の規定は、前の6項と共に監事にも準用されます。(第50条新4項参照)
◎当該理事の退任により理事がいなくなってしまう場合や理事の定数に欠員が生じる場合には後任の理事が選任されるまで退任した理事は従前どおりの権利義務をそのまま保有して理事の職務を行う。
このことは執行機関不存在の空白期間による本人の損害を防止するための対策であって、委任に本質的な取扱い(民法第654条、商法第258条)となっています。
<参考>民法654条(委任の終了後の処分)
第六百五十四条 委任が終了した場合において、急迫の事情があるときは、受任者又はその相続人若しくは法定代理人は、委任者又はその相続人若しくは法定代理人が委任事務を処理することができるに至るまで、必要な処分をしなければならない。
同様の取扱いは理事の辞任による退任の場合も同じですが、「解任」の場合には当該人に理事の職務を認めることは不適当ですから新7項の適用はありません。
従って、速やかに後任の理事を選任することになります。
また、規約で理事の資格を定めていて(例えば、理事は区分所有者に限るとの規約がある場合、理事が専有部分を譲渡して区分所有者でなくなった場合などの)、「資格の喪失」に該当するときも新7項の適用はありません。
この場合に、後任の理事が選任できない時点で緊急の必要があるときは、裁判所に申し立てて仮理事を選任することも可能です(新第49条の4 1項、旧民法 第56条)。
<参考>旧民法56条(仮理事)
第五十六条 理事が欠けた場合において、事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、仮理事を選任しなければならない。
この仮理事の選任申立ては区分所有者に限らず、管理組合の相手方もまた可能であり、仮理事選任の管轄裁判所は管理組合法人の事務所(所在地)を管轄する地方裁判所です(新第49条の4 2項)
ここの条件は@任期の満了 と A辞任 の時にだけ、新たに選任された理事が就任するまで、その職務を行う で、解任や資格の喪失で退任したら、もうその職はない。
{設問} 管理組合法人の理事に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。
1 区分所有者である法人を理事に選任することはできない。
答え:正しい。理事の規定は、区分所有法第49条にあり、規定では、法人が理事になることは、禁止されていないが、現在の解釈上、法人の機関は自然人であることを有するから区分所有者である法人を理事に選任することはできない。(旧民法52条1項参照)。なお、法人化されていない場合の管理者には法人も可能。また、規約があれば、法人化された管理組合においても、法人でも理事は可能である。
2 区分所有法の配偶者を理事に選任することはできる。
答え:正しい。区分所有法第49条によれば、理事の資格に制限は無いから区分所有法の配偶者を理事に選任することはできる。
3 規約により、理事が事故により理事会に出席できないときは、その配偶者を理事会に代理出席させることとすることはできる。
答え:正しい。判例によれば、規約により、理事が事故により理事会に出席できないときは、その配偶者を理事会に代理出席させることとすることはできる。(最高裁 平成2年11月26日)
4 集会の決議による解任で退席をした理事は、後任者が就任するまでの間は、引き続きその職務を行う義務を負う。
答え:間違い。区分所有法第49条新7項によれば、任期の満了または辞任により退任した理事は、後任者が就任するまでの間は、引き続きその職務を行う義務を負うことが規定されているが、集会の決議による解任で退席をした理事は、後任者が就任するまでの間は、引き続きその職務を行う義務を負うことは規定されておらず、その結果は解任の趣旨に反する。
正解:4
第四十九条 |
(旧7項) 第二十五条、民法第五十二条第二項 及び第五十四条 から第五十六条 まで並びに非訟事件手続法 (明治三十一年法律第十四号)第三十五条第一項 の規定は、理事に準用する。 |
第四十九条 (*注:平成20年12月1日施行内容。) |
8項 第二十五条 の規定は、理事に準用する。 第四十九条第七項中「、民法第五十二条第二項及び第五十四条から第五十六条まで並びに非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第三十五条第一項」を削る。 第四十九条第七項を第四十九条第八項とする。 |
過去出題 | マンション管理士 | H19年、H17年、H15年、 |
管理業務主任者 | H18年、H17年、H14年、 |
★この第49条新8項は、平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、準用していた旧民法第52条2項から第56条の規定が削除されたことにより、変更されたものです。
なお、準用していた旧民法第52条2項の規定
<参考> 旧民法第52条;
2 理事が数人ある場合において、定款又は寄附行為に別段の定めがないときは、法人の事務は、理事の過半数で決する。
は、区分所有法第49条2項に挿入されています。
また、旧民法第54条から第56条、及び非訴訟事件手続法第35条1項は、新しく区分所有法第49条の2 から 同第49条の4 として追加・明文化されています。
★法人の理事は、法人化されていない場合の管理者と同じ扱いで解任・選任される。しかし、法人の場合は、原則、管理者にはなれても、管理組合法人の理事にはなれないと解される。
ただし、規約で法人も理事に認めることは可能である。
<参照> 区分所有法 第25条(管理者の選任・解任):
区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によって、管理者(準用:理事と監事にも)を選任し、又は解任することができる。
★原則:共用部分、敷地、附属施設の管理は、区分所有者が行う。規約で管理者(理事)を選任する(任意)。個人でも法人(管理者はいいが、法人化された時の理事に法人はなれないと解される)でもいい。
特に区分所有者でなくてもいい。普通決議(区分所有者および議決権の各過半数)で選び解任される。(委任契約となる。)
ただし、規約でAさん(またはB会社(理事では法人はだめ))を管理者(理事)とするとなっていると、規約の変更になるので、区分所有者および議決権の4分の3以上の多数決でないと解任できない。
管理者(理事)に不利な時期に解任すると、損害賠償の責任がでる。
<参照> 民法 第651条2項:委任の解除
当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
★逆に、管理者(理事)はいつでも、辞任できる。但し、区分所有者に不利な時期に解任すると、損害賠償の責任がでる。
管理者(理事)の死亡、破産、後見開始の審判を受けると委任契約は、自動的に終了する。
<参照> 民法 第653条: 委任の終了事由
委任は、次に掲げる事由によって終了する。
一 委任者又は受任者の死亡
二 委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。
三 受任者が後見開始の審判を受けたこと。
<参照> 後見開始の審判:精神障害などで、正常な判断力がなくなったときに、その者を保護するために家庭裁判所に申し出て、後見人という保護者をつける。民法 第7条:成年被後見人。
★他に委任として 民法 第643条〜 の規定は 第28条にもある。
<参照>区分所有法 第25条2 管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは、各区分所有者は、その解任を裁判所に請求することができる。
★集会での理事の解任決議が不成立や、集会を招集しない時には、各区分所有者が提訴できる。
*ここからは、平成20年12月以前の説明です。
参考にしてください。
<参照> 旧民法 第52条2項:理事
法人には、一人又は数人の理事を置かなければならない。
2 理事が数人ある場合において、定款又は寄附行為に別段の定めがないときは、法人の事務は、理事の過半数で決する。
★複数の理事をおいたときは、事務のやりかたは過半数できめる。(新2項)
<参照> 旧民法 第54条から第56条:
(理事の代理権の制限)
第五十四条 理事の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
(理事の代理行為の委任)
第五十五条 理事は、定款、寄附行為又は総会の決議によって禁止されていないときに限り、特定の行為の代理を他人に委任することができる。
(仮理事)
第五十六条 理事が欠けた場合において、事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、仮理事を選任しなければならない。
<参照> 旧非訟事件手続法35条:
第三十五条1項 仮理事又ハ特別代理人ノ選任ハ法人ノ主タル事務所所在地ノ地方裁判所ノ管轄トス
*ここまで、平成20年12月以前の解説です。
◎区分所有法における管理者と理事のまとめ
◎管理者と管理組合法人の理事の比較 | ||
管理者 | 理事 | |
基本的な立場 | 法人格のない管理組合の執行機関 | 管理組合法人の執行機関 |
設置の必要性 | 任意 | 必須 |
任期 | 法律に定めがない | 原則2年。規約で3年以内 |
法人がなれる | 可能 | 認められない |
その他の資格 | 制限なし | 制限なし |
人数 | 制限なし | 制限なし |
◎平成20年12月1日施行内容
第四十九条の次に次の三条を加える。
第四十九条の二 (*注:平成20年12月1日施行内容。) |
1項 理事の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。 |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★第49条の2 は平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、区分所有法第49条旧7項で準用していた旧民法第52条2項から第56条の規定が削除されたことにより、区分所有法に追加・明文化されたものです。
ここは、旧民法第54条
<参考> 旧民法第54条(理事の代理権の制限);
第五十四条 理事の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
に対応しています。
★管理組合法人として、理事の代理権を規約や集会の決議で内部的に制限することは可能です。
しかし、外部に対しては、取引の安全性から、通常理事の業務範囲と考えられる場合にはその制限内容を知らない(善意)第三者には主張できませんので注意してください。
第四十九条の三 (*注:平成20年12月1日施行内容。) |
1項 理事は、規約又は集会の決議によつて禁止されていないときに限り、特定の行為の代理を他人に委任することができる。 |
過去出題 | マンション管理士 | H21年、 |
管理業務主任者 | H21年、 |
★第49条の3 は平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、区分所有法第49条旧7項で準用していた旧民法第52条2項から第56条の規定が削除されたことにより、区分所有法に追加・明文化されたものです。
ここは、旧民法第55条
<参考> 旧民法第55条(理事の代理行為の委任);
第五十五条 理事は、定款、寄附行為又は総会の決議によって禁止されていないときに限り、特定の行為の代理を他人に委任することができる。
に対応しています。
★理事は原則として、自ら業務を行うことが求められていますが、規約または集会の決議で禁止されていない場合に限り、特定の具体的な行為を他人に委任することが許されています。
逆の解釈として、代表権の全てを包括して委任することはできません。
また、特定の行為であっても、監事には、監事の職務上委任できなと解釈されます。
★理事が委任した者の過失により、管理組合に損害を与えた場合
委任を受けた者には、過失の程度により、損害賠償責任等が発生しますが、理事にもその選任・監督に過失があれば責任を負います。
第四十九条の四 (*注:平成20年12月1日施行内容。) |
1項 理事が欠けた場合において、事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、仮理事を選任しなければならない。 |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★第49条の4 は平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、区分所有法第49条旧7項で準用していた旧民法第52条2項から第56条の規定が削除されたこと、また非訟事件手続法第三十五条第一項も削除されたことにより、区分所有法に追加・明文化されたものです。
1項は、旧民法第56条
<参考> 旧民法第56条(仮理事):
第五十六条 理事が欠けた場合において、事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、仮理事を選任しなければならない。
2項は、旧非訟事件手続法第三十五条第一項
<参考> 旧非訟事件手続法35条:
第三十五条1項 仮理事又ハ特別代理人ノ選任ハ法人ノ主タル事務所所在地ノ地方裁判所ノ管轄トス
に対応しています。
なお、本第49条の2 は1項、2項とも、監事に準用されます。(第50条新4項参照)
★仮理事とは...正式の理事が選任されるまでの、一時的なものです。
理事は管理組合法人において必須の機関ですが、理事が一時的に欠けても、管理組合法人は消滅するものではありません。
任期の満了や辞任によって理事が欠けた場合には、元の理事が次の理事が選任されるまで、もとの職務を行うことになっています(区分所有法第49条新7項参照)し、また、理事が複数存在していれば、一人の理事が欠けても他の理事が事務を行い、遅滞での損害を生ずるおそれはあまりないでしょうが、処理能力を超えるような大量の事務量があったり、理事の全員が区分所有者でなくなり、事務処理が遅滞して損害が発生する場合も考えられます。
この状態を防ぐために、裁判所は、利害関係人または検察官の請求で仮の理事を選任して、この仮理事に理事の職務を行わせることになります。(1項)
★仮理事の選任を管轄するのは、管理組合法人の事務所を管轄する地方裁判所です。(2項)
★裁判所には管轄がある
裁判所には、簡易裁判所、家庭裁判所、地方裁判所、高等裁判所、最高裁判所があり、どの裁判所が裁判権を行使するかを、その事務や事件の性質、土地などで分担しています。
これを、裁判管轄と読んでいます。
★管理組合法人として登記した事務所を管轄する「地方裁判所の管轄」となる
裁判所には、簡易裁判所、家庭裁判所、地方裁判所などいろいろあります。
そこで、どこの裁判所の管轄にするか決めなければなりません。
管理組合法人はその設立において、事務所を定めて登記していますから(区分所有法第47条1項参照)、その事務所を管轄する「地方裁判所」の担当にしました。
この地方裁判所が管轄するのは、管理組合法人が解散して、清算の段階に入った時と同様です。(参照:区分所有法第56条の3)
★注:清算人の選任の場合と異なり、仮理事を選任する場合には、地方裁判所の職権が入っていないことに注意!
*この新しい条文は、出題の対象にし易いので注意のこと。
たとえば、仮理事を選任するのは、簡易裁判所であるとか。
第五十条 |
1項 管理組合法人には、監事を置かなければならない。 |
過去出題 | マンション管理士 | H14年、 |
管理業務主任者 | H21年、H14年、H13年 |
*監事は置かなければならない...法人となった管理組合には、理事と並んで監事の設置も必須。ただし、置かないときの罰則はない。人数の制限はない。資格の制限もない。任期は理事と同じ(原則、2年、規約で最長3年まで可能)。
また、監事の氏名・住所は登記事項ではない。(第三者に影響を及ぼすおそれがないため)
★監事の制度
第50条は監事に関する規定です。
監事は管理組合法人の必要的且つ常設の監査機関です。
管理組合法人はその業務を全てその執行機関たる理事に委託することになりますが、理事の権限が多ければ多いほど、理事が職権を濫用したり、不正を働く危険も増すことになります。
これに対して各区分所有者は集会(総会)における理事の人事権・事務報告聴取権や予算・決算の審議権等を通じて理事を監督できることなっていますが、集会は常設の機関ではなく理事等の招集を待って活動する一時的なものでしかありませんから、通年にわたり理事の活動を監督するには常設の監督機関が必要となります。
そのために置かれるものが「監事」という機関です。
★監事の選任・解任
監事の選任・解任についても、理事と同じように第25条が準用されます(新4項)から、原則として集会(総会)で選任することになります。
なお、同じ第25条で「規約で選任方法を定めること」も認められていますから必ずしも集会(総会)における直接選任である必要はないでしょうが、監事の地位・性格から、規約で「理事に選任権(解任権)を与える」ような選任方法は本2項の趣旨にも反し妥当とはいえないでしょう。
★監事と理事は兼ねられない
監事の資格については2項により「理事および(理事の監督を受ける)管理組合の使用人との兼任が禁止されています」が、理事を監督する監事が同時に理事であったり、その監督下の使用人であったりしては監査の実が挙がりませんから当然の規定です。
もっとも、理事または使用人が監事に選任された場合は、理事または使用人を辞すれば兼任という事態は回避されますから、2項は就任資格ではなく在任資格の制限というべきでしょう。
従って、監事が理事または使用人に就任した場合に速やかに理事または使用人の職を辞さない場合には監事の職を辞したものと理解できます。
◎他に、監事の就任資格や員数については特に制限がありませんから、理事の場合と同様、区分所有者に限る必要もなく区分所有法上は誰でも何人でも自由に選任することができます。
★ただし、標準管理規約(単棟型)35条では、理事と監事の資格を、区分所有法と違って、「そのマンションに居住する区分所有者」に制限している
区分所有法では、理事と同様に監事の資格についての制限はありませんが、標準管理規約では、 「理事及び監事は、○○マンションに現に居住する組合員(区分所有者)のうちから、総会で選任する。」と明確に制限していますので注意してください。(標準管理規約(単棟型)35条2項 参照)
これは、マンション管理は、外部にいる人より内部の人にやらせた方が適切との判断です。
<参考>標準管理規約35条:(役員)
第35条 管理組合に次の役員を置く。
一 理事長
二 副理事長 ○名
三 会計担当理事 ○名
四 理事(理事長、副理事長、会計担当理事を含む。以下同じ。) ○名
五 監事 ○名
2. 理事及び監事は、○○マンションに現に居住する組合員のうちから、総会で選任する。
3. 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事の互選により選任する。
★監事の任期 -原則2年- 規約で3年まで
監事の任期は、理事と同じく2年ですが、規約で3年までの期間が定められます。欠員の場合の取扱い・仮監事・解任については理事の場合と同様です(4項での第49条6項、7項及び第49条の4 の準用)
★監事の権限
監事の権限は、3項により、
@管理組合法人の財産の状況を監査すること、
A理事の業務の執行の状況を監査すること、
B財産の状況又は業務の執行について、法令若しくは規約に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときは、集会に報告をすること、
C前号の報告をするため必要があるときは、集会を招集すること、です。
★監事の権限 -@管理組合法人の財産の状況を監査すること、
これは会計に関する監査権であり、日常的には管理組合法人の収入・支出や未払い・未収入金、積立金等の保管・運用方法、予算実行方法等の有無や是非を監査することで、定期の業務としては予算および決算の適否の監査を行うこととなります。
そのため、理事に対し必要な報告資料の提出を求めることができますし、更に必要があれば専門家によるチェックを依頼することも監事の善管注意義務の範囲内のものとして認められるでしょう。
理事は明らかに不当な要求でない限り監事の請求に答える義務がありますが、監事からの請求を待っているのではなく、むしろ理事には監事に対する適時の報告義務があるというべきでしょう。
監事が業務遂行に要した費用(外注専門家費用も含む)は当然償還され、必要とあれば前払いの請求も可能です(民法 第649条、第650条)。
★監事の権限 -A理事の業務の執行の状況を監査すること、
2番目は理事に対する業務監査権です。
日常的には、集会(総会)で承認された年間業務計画の実行および突発事項等の計画外事項の処理方法、工事や日常管理の状況の有無や是非を監査し、定期的には総会報告事項や各種議題の是非を監査することになります。
このための報告聴取権や費用償還権は会計監査権の場合と同様ですが、実務上組織される理事会が存在する場合には、監査権限の一環として当然に理事会への出席権が認められるものと思われます。
この場合には、理事会での理事の協議内容の監査が実施されるわけですから監事は必要な発言も当然行うことができますが、業務執行の権限および責任は理事にありますから、監事が発言して理事の職責に干渉できるのは原則として対象の適法性の有無についてであって当・不当の妥当性判断についてではありません。
★監事の報告義務 −B財産の状況又は業務の執行について、法令若しくは規約に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときは、集会に報告をすること、
3番目は監事の集会(総会)への報告義務です。
理事に対する本来の監督権限は真の委任者たる区分所有者全員がもっているものであり、理事の監督ための組織・機関が理事の人事権を持つ集会(総会)ですから、監事に集会(総会)に対する報告義務があることは当然です。
この報告義務は第43条の準用はないものの理事の監事に対する報告義務と同様に監事の監査業務全般に及び、監事は集会(総会)に対し自己の監査業務実施の経過およびその結果を集会(総会)に報告することになります。
ただし、監事常設の目的が理事の業務執行の不正防止にありますから、全般的な報告義務のうちでも不正については特に報告すべきものとして明記したのがBの趣旨です。
◎なお、監事の報告義務もその報告内容については監事の権限である会計および業務執行における適法性に関するものに限られ、妥当性には及ばないことは当然ですし、監事の不正防止目的機関性から不正のおそれのあるときは総会報告前に理事に対し注意指導する等により不正行為の回避を図るべきで、そのような手段をとらず単に集会(総会)に報告すれば監事の善管注意義務を果たしたというものではありません。
★監事の総会招集権 −C前号の報告をするため必要があるときは、集会を招集すること、
4番目は監事の集会(総会)招集権を認めた規定です。
3番目の集会(総会)報告義務を認めて集会(総会)による理事の監督権の発動を期するためには、集会(総会)が開催されなければなりませんが、集会(総会)招集権は第一次的には理事に属しますから理事の不正を追求する集会(総会)を当該理事が招集しないおそれがあり、かといって単独区分所有者権による裁判所に対する申し立ても監事という立場を考慮すると迂遠な手続きとなりますので、監事に集会(総会)の招集権を認めたのがこの規定の趣旨です。
勿論、理事が招集するのならそれでよく、集会(総会)招集に至らない段階で問題が解決すればそのほうが望ましいことは当然です。
★管理組合法人には、理事と並んで必ず監事も必ず置くこと。
管理組合法人には、行政上の監督がないから、監事の存在は大きい。
なお、旧民法上の法人には、監事の設置は任意で、必須ではなかった。
<参照>旧民法 第58条(監事)
第五十八条 法人には、定款、寄附行為又は総会の決議で、一人又は数人の監事を置くことができる。
★ 監事の職務は、次のとおりです。
1.監事は、@管理組合の財産の状況および
A管理組合の業務の執行状況を監査し、その結果を集会(総会)において報告しなければならない。
2.監事は管理組合の財産の状況および管理組合の業務の執行状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる。 (注:通常総会ではなく、臨時総会)
3.監事は、理事会に出席して意見を述べることができる。ただし、議決権はない。
★監事は、登記されない。
管理組合法人での理事と監事の設置は、必須ですが、登記においては、代表理事の記載(代表がいないときは理事全員の氏名)はありますが、監事の記載はありません。
★外部監査の検討も
監事の主な業務は、管理組合の収支決算の監査ですが、大きな団地では、修繕積立金や管理費の監査は膨大なものになります。
また、内容も会計にあまり詳しくない監事では、精査出来ないものもあります。
このような、場合は外部の公認会計士などに依頼して監査をするのも手です。
第五十条 |
2項 監事は、理事又は管理組合法人の使用人と兼ねてはならない。 |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | H17年、 |
★使用人とは...正社員、契約社員、パート・アルバイト、請負社員、派遣社員その他当該法人又は個人から対価を受け取って業務を遂行する者をいう。監事には資格の制限がある。
★監事が管理組合法人の理事や使用人では、自分の行為を自分で監査するので、意味がなくなる。
3項 監事の職務は、次のとおりとする。 |
★ここ、第50条3項が、加えられたのは、次の旧3項で準用されていた、旧民法第56条、第59条が、平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、削除されたため、区分所有法に追加・明文化されたものです。
ここは、旧民法第59条
<参考> 旧民法 第59条:監事の職務
監事の職務は、次のとおりとする。
一 法人の財産の状況を監査すること。
二 理事の業務の執行の状況を監査すること。
三 財産の状況又は業務の執行について、法令、定款若しくは寄附行為に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときは、総会又は主務官庁に報告をすること。
四 前号の報告をするため必要があるときは、総会を招集すること。
に対応している。
★ 監事の職務は、次のとおりです。
1.監事は、@管理組合の財産の状況および
A管理組合の業務の執行状況を監査し、その結果を集会(総会)において報告しなければならない。
2.監事は管理組合の財産の状況および管理組合の業務の執行状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる。 (注:通常総会ではなく、臨時総会)
3.監事は、理事会に出席して意見を述べることができる。ただし、議決権はない。
第五十条 |
(旧3項) 第二十五条並びに前条第五項及び第六項、民法第五十六条 及び第五十九条 並びに非訟事件手続法第三十五条第一項 の規定は、監事に準用する。 |
第五十条 (*注:平成20年12月1日施行内容。) |
4項 第二十五条、第四十九条第六項及び第七項並びに前条の規定は、監事に準用する。 第五十条第三項中「並びに前条第五項及び第六項、民法第五十六条及び第五十九条並びに非訟事件手続法第三十五条第一項」を「、第四十九条第六項及び第七項並びに前条」に改める。 第五十条第三項を第五十条第四項とする。 |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | H17年、 |
★ここは、平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、民法の条文が削除されたため、区分所有法が変更されたものです
なお、旧3項から削除された、旧民法第56条と旧非訴訟手続法第35条1項の規定は、区分所有法第49条の4 として新設され、それが、新4項で規定する「前条の規定」に対応しています。
★監事も理事と同じように管理者の規定が準用され、選任・解任は原則集会の決議による。(第25条)
任期も原則2年(第49条新6項、規約で3年以内可能)、人数は制限がない。
★監事の職務:
@管理組合法人の財産の状況を監査する。(旧民法 第59条)
予算に基づいて適正に行われているかどうか、目的別か、対象となる期間は、予算と実績の差、理由は など。
A理事の業務執行の状況の監査
運営計画に基づいているか、点検、清掃、改修工事などは適正か
B財産状況または業務執行で不正な事実を発見したときは、総会に報告する。
C前の3号の報告をするために必要があれば、総会を招集する。(臨時総会)
★監事が監査する帳票:
@収支報告書...会計年度(期間)の収入・支出、正味財産(収入―支出)
一般(管理費中心)、特別(修繕積立金中心)会計分。他にも収益事業があればそれも監査する。
A貸借対照表...期末時点での資産(現金・預金など。未集金も)、負債(未払金・前受金など)、正味財産。
こちらも、一般・特別会計別に監査する。
B財産目録...。年度末の資産・負債をより詳細に(銀行名・支店名・口座番号、管理会社、未払の人数など)記載。
貸借対照表よりも細かく。
C備品台帳...購入した日付、予想耐用年数などを記入。
D金融機関からの残高証明書
この他に、E正味財産増減計算書もあるが、これは省略できるので、作成されないことが多い。
*監事に準用される規定 (「管理者」とある部分を「監事」と読み替えてください。)
<参照> 区分所有法 第25条 (選任及び解任):
区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によって、管理者(準用:理事・監事も)を選任し、又は解任することができる。
★原則:共用部分、敷地、附属施設の管理は、区分所有者が行う。規約で管理者を選任する(任意)。管理者は個人でも法人でもいい。
しかし、理事に、法人はなれないと解されている。
特に区分所有者でなくてもいい。普通決議(区分所有者および議決権の各過半数)で選び解任される。(委任契約となる。)
★ただし、標準管理規約(単棟型)35条では、理事と監事の資格を、区分所有法と違って、「そのマンションに居住する区分所有者」に制限している
区分所有法では、理事(監事も)の資格についての制限は、ありませんが、標準管理規約では、 「理事及び監事は、○○マンションに現に居住する組合員(区分所有者)のうちから、総会で選任する。」と明確に制限していますので注意してください。(標準管理規約(単棟型)35条2項 参照)
これは、マンション管理は、外部にいる人より内部の人にやらせた方が適切との判断です。
<参考>標準管理規約35条:(役員)
第35条 管理組合に次の役員を置く。
一 理事長
二 副理事長 ○名
三 会計担当理事 ○名
四 理事(理事長、副理事長、会計担当理事を含む。以下同じ。) ○名
五 監事 ○名
2. 理事及び監事は、○○マンションに現に居住する組合員のうちから、総会で選任する。
3. 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事の互選により選任する。
<参照>標準管理規約(単棟型)第35条関係コメントB
B 法人が区分所有する専有部分があるマンションにおいては、当該専有部分をどのように利用している場合に、
第2項の「現に居住する組合員」が存在するとみなして法人関係者から役員になることを認めるか、
法人関係者が役員になる場合には、管理組合役員の任務に当たることを当該法人の職務命令として受けた者に限定する等どのような資格を有する者が実際に役員業務を行うことができるかについて、
あらかじめ規約や細則に定めておくことが望ましい。
管理者(理事と監事も)に不利な時期に解任すると、損害賠償の責任がでる。
<参照> 民法 第651条2項:委任の解除
当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
★逆に、管理者(理事・監事も)はいつでも、辞任できる。但し、区分所有者に不利な時期に解任すると、損害賠償の責任がでる。
受任者である、管理者(理事・監事も)の死亡、破産、後見開始の審判を受けると委任契約は、自動的に終了する。
<参照> 民法 第653条:委任の終了事由
委任は、次に掲げる事由によって終了する。
一 委任者又は受任者の死亡
二 委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。
三 受任者が後見開始の審判を受けたこと。
<参照> 後見開始の審判:精神障害などで、正常な判断力がなくなったときに、その者を保護するために家庭裁判所に申し出て、後見人という保護者をつける。民法 第7条:成年被後見人。
★ 他に委任として 民法 第643条〜 の規定は 区分所有法第28条でも準用がある。
<参照>区分所有法第25条2項
管理者(準用:理事・監事も)に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは、各区分所有者は、その解任を裁判所に請求することができる。
★集会の監事解任決議が不成立や、理事が集会を招集しない時には、各区分所有者が提訴できる。
<参照> 第49条新6項および新7項:
第49条新6項 理事(準用:監事にも)の任期は、二年とする。ただし、規約で三年以内において別段の期間を定めたときは、その期間とする。
★理事(監事も)の任期:原則2年だけど、規約で最長3年まで可能。
現実には、規約で1年交代制が多い。
第49条新7項 理事(準用:監事にも)が欠けた場合又は規約で定めた理事(準用:監事にも)の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した理事(準用:監事にも)は、新たに選任された理事(準用:監事にも)が就任するまで、なおその職務を行う。
★理事(監事も)がいなくった時:以前の理事が新しく理事の選任があるまで、職務を行う。(ここでは、理事ー>監事 と読み替える)
★仮監事の選任 −第49条の4 の準用ー
監事が欠けて、事務が遅滞し損害が発生するおそれがあれば、仮理事の選任と同じように、地方裁判所が、利害関係人または検察官の請求で仮監事を選任します。
<参照> 区分所有法第49条の4 (仮理事)
第四十九条の四 理事が欠けた場合において、事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、仮理事を選任しなければならない。
2 仮理事の選任に関する事件は、管理組合法人の主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。
*以下は、平成20年12月以前の解説です。
参考までに。
<参考> 旧民法 第56条:仮理事
理事が欠けた場合において、事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、仮理事を選任しなければならない。
旧民法 第59条:監事の職務
監事の職務は、次のとおりとする。
一 法人の財産の状況を監査すること。
二 理事の業務の執行の状況を監査すること。
三 財産の状況又は業務の執行について、法令、定款若しくは寄附行為に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときは、総会又は主務官庁に報告をすること。
四 前号の報告をするため必要があるときは、総会を招集すること。
<参照> 非訟事件手続法35条:
第三十五条1項 仮理事又ハ特別代理人ノ選任ハ法人ノ主タル事務所所在地ノ地方裁判所ノ管轄トス
*ここまで、平成20年12月以前の解説です。
<参考>標準管理規約36条:(役員の任期)
第36条 役員の任期は○年とする。ただし、再任を妨げない。
2. 補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
3. 任期の満了又は辞任によって退任する役員は、後任の役員が就任するまでの間引き続きその職務を行う。
4. 役員が組合員でなくなった場合には、その役員はその地位を失う。
第36条関係コメント
@ 役員の任期については、組合の実情に応じて1〜2年で設定することとし、選任に当たっては、その就任日及び任期の期限を明確にする。
A 業務の継続性を重視すれば、役員は半数改選とするのもよい。この場合には、役員の任期は2年とする。
B 役員が転出、死亡その他の事情により任期途中で欠けた場合、補欠の役員を理事会の決議で選任することができると、規約に規定することもできる。
第五十一条 |
1項 管理組合法人と理事との利益が相反する事項については、監事が管理組合法人を代表する。 |
過去出題 | マンション管理士 | H18年、H13年 |
管理業務主任者 |
H21年、H15年、 |
★理事と監事の利益相反の場合の取扱い
第51条は監事の代表権に関する規定です。
管理組合法人を代表するのは原則として理事ですが、管理組合法人は敷地および建物の管理という目的を達成するため管理組合外部から様々な物資やサービスを調達し、敷地と建物内の管理・運営のために区分所有者や占有者と様々なかかわりを持ちます。
この場合の管理組合との取引の相手方(業者)がたまたま理事である場合には、管理組合法人を代表してその利益のために行動すべき立場と、業者としての利益を追及する立場が同一人となり、管理組合法人の利益が十分に保障されない事態が生じます。
このように同一人に利害関係の反する立場が帰属する場合には、一方の立場の利益を図ることが、相手方の利益を害する不当な結果となるため、自己契約・双方代理として原則として禁止されています。(民法 第108条)
<参考>民法108条(自己契約及び双方代理)
第百八条 同一の法律行為については、相手方の代理人となり、又は当事者双方の代理人となることはできない。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。
このことは代表行為でも同様ですから、管理組合法人においても理事の個人的利益と管理組合法人の利益が双反する事項に関しては理事に代表権はありません。
従って、そのような場合の代表者が必要ですが(さもないと理事個人は管理組合法人との取引が困難となる)、民法に習って特別代理人を選任すること(旧民法 第57条)は面倒ですから、理事に利益相反事項に関しては代表権がないこと、およびその場合には監事に法人の代表権が認められることを定めたものがこの規定です。
<参考>旧民法57条(利益相反行為)
第五十七条 法人と理事との利益が相反する事項については、理事は、代理権を有しない。この場合においては、裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、特別代理人を選任しなければならない。
◎しかし、監事は本来理事の監査をやる立場ですから自ら業務執行を行うことはあまり望ましいことではありません。
しかも、この監事の業務執行に対する監査が存在しないことも問題です。
従って、利益相反理事以外に理事がいる場合には、その者に組合代表をさせるべきでしょう。
実務的には理事長が利益相反でその代表権の行使ができないときは、理事長に事故ある時として副理事長が代表することとなります。
◎もっとも、利益相反の禁止は本人の利益保護のためですから、本人である区分所有者達がこれを承諾していれば問題ではありません。
従って、利益相反取引でも総会で承認されれば理事が法人を代表して取引することが可能ですが、本条がある以上その場合でも監事に法人代表を認めるべきでしょう。
★利益相反行為とは
ここで利益が相反する事項とは、管理組合と理事との取引という形式的な利益相反行為ではなく、実質的且つ客観的に利益が相反する場合にこれに該当するとしなければ管理組合の保護が図れません。
たとえば、理事が管理組合を代表して、この理事(区分所有者としての立場)と共用駐車場や駐輪場の使用契約を管理組合所定の条件で所定の契約書により契約することは、形式的には確かに利益相反とは言えますが、本条に該当せず、また、理事が経営する会社が無償で修理工事をするときも、利益相反行為ではありません。
しかし、理事が自分の経営する会社やその配偶者が経営する場合は、管理組合を代表して取引を行うことは、その取引内容が仮に正当であろうと客観的には利益が相反する場合ですから本条に該当し監事が代表権を行使する場合にあたります。
★監事が管理組合法人と取引をしても、これは利益相反行為ではない。
通常、監事は、管理組合法人の代表権を有していませんから、監事が管理組合法人と取引をしても、利益相反行為にならないと解されます。
★本条違反の行為
この規定に反して理事が行った取引は、無権代表行為として原則として管理組合法人の追認(集会の決議)がなければ管理組合法人に効力が及びません(無効)。
★管理組合法人と理事との利益が相反すると、監事も管理組合法人を代表することがある。
例えば、理事が社長をする会社と管理組合法人が取引をする時などは、理事を排斥する。
第五十二条 |
1項 管理組合法人の事務は、この法律に定めるもののほか、すべて集会の決議によって行う。ただし、この法律に集会の決議につき特別の定数が定められている事項及び第五十七条第二項に規定する事項を除いて、規約で、理事その他の役員が決するものとすることができる。 |
過去出題 | マンション管理士 | H21年、 |
管理業務主任者 | 未記入 |
*管理組合法人の事務...原則、集会の決議で行う。
*規約で、理事その他の役員が決するもとのすることができる...特別の定数が定められている事項と、区分所有法第57条第2項は除かれている。理事が勝手にできない。
<参照>区分所有法第57条(共同の利益に反する行為の停止などの請求):
区分所有者が第六条第一項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。
第57条2項 前項の規定に基づき訴訟を提起するには、集会の決議によらなければならない。
★法人の事務処理の範囲
第52条は管理組合法人の事務に関する規定です。
法人の事務とは、法人としてなすべき一切の業務であり、管理組合法人は区分所有法第3条の目的で設立される法人であることから敷地および建物共用部分の管理全般に関する業務がそれに該当します。
管理組合の業務とその事務の決定方法は区分所有法第16条(一部共用部分の管理)から第21条(共用部分に関する規定の準用)に定められております。その対象として建物の共用部分等は、はっきりと対象とされていますが、債権関係の帰属がはっきりしません。
しかし、管理組合法人の場合には管理組合法人に帰属する一切の債権(財産関係)の処理もその事務に該当しています。
従って、例えば滞納管理費の請求事務は勿論その放棄も管理組合法人の事務に該当して集会議決で処理できることになります。
★規定の趣旨
ここで、「集会の決議によつて行う」との意味は、監査の事務を監事が行うことを除き、残りの事務は執行機関である理事が行うことが原則です。
そこで、1項は集会で決定された方針に従って、理事が事務を執行することを定めた規定となります。
このことは、法人前の管理組合においてもその事務たる業務執行は管理者に委託され、管理者は受託者として管理組合の委任の主旨(集会の意思)に基づきその執行を行うわけですから、業務執行者が管理者から理事に代わっても管理組合という組織・性格に変わりがない以上、その実行方法にも変わりがないこともまた当然と言えます。
すなわち、管理組合法人の目的は、法人化されていない管理組合と同様に区分所有法第3条に定める建物・敷地・附属施設など共用部分等の管理であり、管理組合が管理に関する事務を実行するのは区分所有法第18条により集会の決議に基づくのですから、登記された管理組合法人においても区分所有法第18条の原則を確認したものが第52条ということになります。
★理事その他の役員への委任とは
また、同じく区分所有法第18条2項によれば、規約で集会の決議権限を他の機関に委任することができることとなりますが、第52条では委託を認める一方、委託先を「理事その他の役員」に限定しています。
<参照> 区分所有法第18条 (共用部分の管理)
第十八条 共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
2 前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。
3 前条第二項の規定は、第一項本文の場合に準用する。
4 共用部分につき損害保険契約をすることは、共用部分の管理に関する事項とみなす。
これは各管理組合において審議内容の重要性に比例して審議決定機関の権限委譲を認めることにより円滑で柔軟な管理組合運営を決定できることを認めたもので、その点においては単なる管理組合も、登記上の管理組合法人も変りがありませんが、法人になっている場合には管理組合の場合よりも組織化が高度に進んでいることが予想されるため、委譲先の機関も法人内部での調達が可能と考えられた結果と思われます。
それは即ち、単なる管理組合でも内部機関で処理するのが所有者自治の観点から望ましいことは当然ですが、組合員数その他人的資源の関係から単なる管理組合の場合には権限委譲先を外部に求めることもやむを得ない場合があるということです。
ここで「理事その他の役員」とありますが、区分所有法が明記する役員には「理事と監事」しかなく「その他の役員」が何を指すのかは明らかではありません。
従って、委譲する権限の範囲・内容により、委譲先も理事長・副理事長・世話人・協議委員・評議委員その他規約で自由に創設できるものと考えられます。
★標準管理規約(単棟型)は、区分所有法にない「理事会」を認め、なお、「専門委員会」の設置も可能にしています。
<参考>標準管理規約55条:(専門委員会の設置)
第55条 理事会は、その責任と権限の範囲内において、専門委員会を設置し、特定の課題を調査又は検討させることができる。
2. 専門委員会は、調査又は検討した結果を理事会に具申する。
第55条関係コメント
@ 専門委員会の検討対象が理事会の責任と権限を越える事項である場合や、理事会活動に認められている経費以上の費用が専門委員会の検討に必要となる場合、運営細則の制定が必要な場合等は、専門委員会の設置に総会の決議が必要となる。
A 専門委員会は、検討対象に関心が強い組合員を中心に構成されるものである。必要に応じ検討対象に関する専門的知識を有する者(組合員以外も含む。)の参加を求めることもできる。
★理事会への委任か理事など個人への委任か
実務的には、総会(集会)-->理事会-->理事長の順で権限が縮小されてくる関係にありますから、集会が権限を委譲する先は理事個人よりも先ず理事会へということになるはずです。
区分所有法第52条は委譲先を「理事その他の役員が決するものとする」と役員個人に限るような表現ですが、「理事その他役員」という趣旨を「集会以外の機関を表現したものとする」と解し、または役員に共同委託することで(旧民法 第52条2項により理事全員に委託された事務はその過半数で決するとしますから、)事実上理事会への委託とすることが可能でしょう。
ただし、監事は区分所有法上の役員ではあってもその職責上業務執行に係るのは忌避すべきですから委譲先機関として不適当であることは当然です。
でも、理事と管理組合法人との利益が相反するときは、監事になることもあります。(第51条)
★さらに、ステップアップを目指す人へ
★委任された事務の処理が理事会で纏まらないときは、どうするのか。
複数の理事が置かれており、規約でも理事により決することができる事務行為でも、理事間でもめることが想定されます。
区分所有法は、単に「理事その他の役員が決するものとすることができる」とあるだけで、各理事が勝手に事務処理を行った場合でも、各々が有効な行為となることが想定されます。
この点を踏まえて、区分所有法の改正予定に、以下の項目があり、改正・施行されました。
新施行 第49条2項: 理事が数人ある場合において、規約に別段の定めがないときは、管理組合法人の事務は、理事の過半数で決する。
★管理組合法人の事務は、区分所有法か集会の決定に従わなければならない。しかし、それでは不便。
★集会の決議につき特別の定数が定められている事項 + 共同の利益に反する行為の差止め等の訴訟(第57条2項) 以外は、規約で理事その他の役員が決するとしていい。
区分所有法で個別的に定数が定められているものは、集会の特別決議事項(定数が4分の3以上のもの) として下の@〜Gがあります。
@共用部分の重大変更(第17条1項)...4分の3以上。ただし区分所有者数だけ過半数に減らせる。
A規約の設定・変更・廃止(第31条1項)...4分の3以上。
B管理組合の法人化およびその解散(第47条1項、第55条2項)...4分の3以上。
C義務違反者に対する使用禁止請求、競売請求、引渡し請求(第58条2項、第59条2項、第60条2項)...4分の3以上。
D大規模滅失の場合の復旧(第61条5項)...4分の3以上。
E建替(第62条1項)...5分の4以上。
F各棟の区分所有建物の団地管理組合への管理の委託(第68条1項)...4分の3以上。
G団地内の2以上の特定の区分所有建物の建替について一括して建替承認決議に付す旨の決議(第69条7項)...5分の4以上。
これに、 普通決議事項ですが
+H区分所有者の共同の利益に反する行為の差止め訴訟の提起(第57条2項)
を加えた事項以外については、集会の決議がなくても、事務の執行を規約で理事その他の役員に決定を委任できる。
注:この訴訟の第57条2項が、規約でも理事が単独でできない。(よく試験にでる!)
<参照>第57条(共同の利益に反する行為の停止などの請求):
区分所有者が第六条第一項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。
第57条2項 前項の規定に基づき訴訟を提起するには、集会の決議によらなければならない。
第五十二条 |
2項 前項の規定にかかわらず、保存行為は、理事が決することができる。 |
過去出題 | マンション管理士 | 未記入 |
管理業務主任者 | 未記入 |
★保存行為...単に現状を保持するに過ぎない保存行為については集会等にかけるまでもなく全員に利益な行為ですから理事が単独でできることとされます。
★保存行為(修理、現状維持)だけは、規約や集会の決議がなくても理事が決めて行える。
共用部分、敷地、附属施設などの管理対象物の他に、法人として有する債権その他の財産の保存行為を含むと解される。
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謝辞:Kzさんの了解により一部転用・編集をしています。
最終更新日:
2010年6月14日:理事・監事を組合等登記令を中心に追記。
2010年1月23日:H21年の出題年を記入
2009年7月4日:理事の責任等加筆
2009年7月23日:少し加筆