マンション管理士・管理業務主任者を目指す方のために、試験にでる建築基準法を条文ごとにイラストなどを入れて解説しました。
試験問題は、過去の問題から出されるのではありません。条文から出題されます。
条文を勉強することが、合格への道です。
現在、日々更新中!
第1章 総則 | 条 | 説明 | |
第2条 | |||
13号 | 建築 | ||
14号 | 大規模の修繕 | ||
15号 | 大規模の模様替 | ||
16号 | 建築主 | ||
17号 | 設計者 | ||
18号 | 工事施工者 | ||
19号 | 都市計画 | ||
20号 | 都市計画区域又は 準都市計画区域 |
||
21号 | 第一種低層住居専用地域など | ||
22号 | 地区計画 | ||
23号 | 地区整備計画 | ||
24号 | 防災街区整備地区計画 | ||
25号 | 特定建築物地区整備計画 | ||
26号 | 防災街区整備地区整備計画 | ||
27号 | 沿道地区計画 | ||
28号 | 沿道地区整備計画 | ||
29号 | 集落地区計画 | ||
30号 | 集落地区整備計画 | ||
31号 | 地区計画等 | ||
32号 | プログラム | ||
33号 | 特定行政庁 | ||
第3条 | 適用の除外 | ||
第4条 | 建築主事 | ||
第5条 | 建築基準適合判定資格者検定 | ||
第5条の2 | 資格検定事務を行う者の指定 | ||
第5条の3 | 受検手数料 | ||
第5条の4 | 建築物の設計及び工事監理 | ||
*施行令 | 第1条 | 用語の定義 | |
第2条 | 面積、高さ等の算定方法 |
建築基準法の最終改正:平成19年3月31日
第二条 (続き) |
この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 十三 建築 建築物を新築し、増築し、改築し、又は移転することをいう。 |
★建築(13号)とは...復習になりますが、2条1号で定義された「建築物」(土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの)を、
@新築、
A増築、
B改築、又は
C移転することです。行為を指しています。
新築や増築などの定義は法令上になく、運用解釈があります。
★では、新築とは...建築物の敷地(更地)に建築物を建てることです。この場合、建築に使用する材料は新しくなくてもかまいません。
すでに建築物がある敷地の中にその建築物と用途上不可分である建築物を新たに建てる場合は、敷地単位で見た場合は増築となり、建築物の棟ごとに捉えれば新たに建てるものは新築となります。(例えば主屋に附属する離れを建てる場合、敷地としてみれば増築となるが棟単位で見れば離れは新築となる。)
★増築とは...敷地内の既存建築物の床面積を増加させることです。一棟建築物の床面積を増加させる「棟増築」と、敷地内に既存の建築物と用途上不可分の関係になる建築物を、新たに一棟以上建築する「敷地増築」とがあります。
★改築とは...火災やその他の災害で滅失した建築物又は人為的に除却した建築物の一部又は全部を、従前と同一の用途、規模、構造とそれほど異ならない建築物として新しく建て直すことです。
この場合、新築または増築とも考えられますが、既得権を認めて改築といいます。確認申請上はこの改築に当たるものはほとんどなく、増築あるいは新築となります。
★移転とは... 同一敷地内での建築物の位置の変更をいいます。別の敷地への移転(曳き屋)は、その敷地が更地であれば新築、既存建築物があれば増築として扱われます。
★注意:大規模の模様替、大規模の修繕は確認申請を要しますが、建築ではありません。
「設問」 平成20年 管理業務主任者 試験 問17 選択肢3
3 建築とは、建築物を新築し、増築し、又は改築することをいい、移転は含まれない。
答え: 誤っている。 建築の定義は、建築基準法第2条13号
「十三 建築(とは) 建築物を新築し、増築し、改築し、又は移転することをいう。」とあり移転も入っている。
第二条 (続き) |
この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 十五 大規模の模様替 建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の模様替をいう。 |
★次は、「大規模の修繕」と混同しやすい「大規模の模様替」の2つの規定をみていきましょう。
★大規模の修繕(14号)とは...「建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕をいう」と定義されています。ここでいう「主要構造部」とは「壁、柱、床、はり、屋根、または階段」であり、間仕切り壁や間柱、付け柱、最下階の床、小梁、庇、屋外階段といった部分は除かれています。
それら、主要構造部のどこかを、半分を超えて(過半)修繕することです。
たとえば、柱が30本あれば、そのうち16本以上(過半)を取り替える工事は、大規模の修繕です。
★修繕とは... 建築基準法では「修繕」については特に定義していませんが、建築の世界では一般には「修繕」とは「同じ材料を用いて元の状態に戻し、建築当初の価値に回復すること」と考えられています。ですから「大規模の修繕」として建築確認申請が必要なのは、柱やはり、壁などの主要構造部のどれかひとつについて半分以上を直して元の状態に戻す場合のみ、ということになります。
ここには「同じ材料」や「元の状態」という狭い範囲に限定する条件が付いています。
また、「大規模の修繕」は「大規模な修繕」ではありません。マンションで一般にイメージされている「大規模修繕」とは全くの別物なのです。これをマンションにおける「大規模修繕」と同じであるととらえると、とんでもなく窮屈な事態に陥ります。
★では、大規模の模様替(15号)とは...「建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の模様替をいう」と、 ここにも「主要構造部」という言葉が登場します。「修繕」と同様、「模様替」の定義は書かれていません。建築の世界では模様替えとは「建築物の材料や仕様を替えて建築当初の価値の低下を防ぐこと」といわれているので、こちらのほうが、「同じ材料」や「元の状態」といった限定がない分、「修繕」よりも応用できる範囲は広いことになります。
バリアフリー化やIT化などのいわゆるグレードアップ改修も、「模様替」ととらえることは可能でしょう。
★建築確認との関係は、
後から説明します、建築基準法6条の建築確認申請が求められる「大規模の修繕」と「大規模の模様替」は「主要構造部」に限定されています。しかも「過半」です。
例えば、外壁表面のタイルは仕上げであって、法で規定する主要構造部ではありませんから、全面的に張り替える場合などでも確認申請を行う必要はありません。
同様にエレベーターや給排水管の交換も、それだけでは「大規模の模様替」には当たらず、確認申請は必要ないことになります。
さらにいえば、1階ピロティの柱だけ周囲をアラミド繊維で巻いて耐震補強を行う工事なども、主要構造部の「過半」には至らないので建築確認申請は必要ないと解釈できるでしょう。
新築や増築と異なり、「大規模の修繕」と「大規模の模様替」をめぐる建築基準法上の取り扱いには、これまでも曖昧な部分が多々ありました。
延べ面積が増えたり、建築物の形状が大きくなったり、高さが増えたりする場合は建築確認の対象となるのははっきりしていますが、それ以外の工事の場合は、地域ごと、物件ごとで解釈が微妙に揺れているのが実情です。このような曖昧な表現の場合建築主事や自治体による見解の相違があります。
★「修繕」と「模様替」の具体的な例
例えば木造の在来工法で柱と梁を残してすべて取り払ってしまい、骨組だけがあるジャングルジム状態から再度家を作ってゆく。こんな場合は大規模の修繕に当たります。
また店舗などで、例えば洋品店が居酒屋に入れ替わった場合など。この場合、当然キッチンや水廻りが出来たりして、調理場などバックヤードの形も面積も全く変わってしまいます。こんな場合は大規模の模様替えと考えて良いでしょう。
従って一般論にはなりますが、一般住宅のリフォームにおいて、建築基準法上の延べ床面積が増えない場合、住宅に居住した状態で施工可能な程度のリフォームであれば、大規模の修繕や大規模の模様替えには当たらないと考えるのが一つの目安となるでしょう。
ただし、屋根形状の変更、建物の外形の変更がある場合には、主要構造部であるため、確認申請が必要になります。面積、建物の高さ、形状など、建築基準法での規制対象になる項目において変更があれば確認申請が必要と考えるのが適切です。
★また、一定の大規模の修繕や大規模の模様替えというのは、住宅ローン控除の対象になります。
「設問」 平成20年 管理業務主任者 試験 問17 選択肢4
4 大規模の修繕とは、建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕をいう。
答え: 正しい。 建築基準法第2条14号
「十四 大規模の修繕(とは) 建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕をいう。 」とある。(注:ここでは、「主要構造部」です。「構造耐力上主要な部分」ではありませんよ。)
★建築主(16号)とは...建築物に関する工事の請負契約の注文者又は請負契約によらないで自らその工事をする者とされています。
つまり、建築を依頼する側の呼び名です。また、請負に出さないで、自分で建築する場合も当然建築主です。通常の建築現場では、他に注文者、発注者、施主、建て主などとも呼ばれます。
建築基準法では、建築当時確認申請を提出した申請者のことで、現在の家屋所有者と同一では無い場合があります。
他に、建築工事申請、許可申請も建築主は行います。
★設計者(17号)とは...その者の責任において、設計図書を作成した者です。
具体的には、その建物を建築主から依頼を受け計画し、建築するにあたって必要な申請及び工事監理(図面の通りに現場が進行しているか)をチェックする人または事務所がなります。ここでいう監理は現場監督とは違い、設計図書に対しての監理を行う立場にあります。
主に設計事務所が設計者であり、有資格者(建築士)がそれに当たります。
有資格者が建築基準法を遵守して「設計」「監理」を行います。
また、設計者はほとんどの場合、建築主の「代理人」となりますので、建築主の意向を法的に判断し、工事施行者(現場サイド)との調整を行います。
多くの場合、建築主と工事施工者が直接話し合って変更するということはありません。
★工事施工者(18号)とは...建築物、その敷地若しくは第八十八条第一項から第三項までに規定する工作物に関する工事の請負人又は請負契約によらないで自らこれらの工事をする者です。
これも、具体的には、建築主から建築の依頼を受け、もしくは競争入札などで施工契約を結んだ建築会社の代表者が該当します。また、建築主が自分で工事をすれば、その建築主も該当します。
主として、現場の進捗・品質などの管理を行い、実際に建物を造っていく会社の代表者です。
現場監督はこの範囲にあり、そこから下請施工業者を集め建物は建っていきます。
★工事施工者の例としては、大手のゼネコンがあり、大きな建築物や特殊建築物を建てています。
ゼネコンとはゼネラル・コントラクター(英語のGeneral Contractor=契約者、請負人、土建業者)の略で、建築主(発注者)からの注文を受けて建物を作りますが、この工事請負の世界は非常に複雑で、請け負ったゼネコンの下に多くのサブ・コントラクターや下請け業者等がひしめき合っています。
やや小規模になると工務店が受注し工事する場合もあります。
更に小さくなると大工が引き受けて家を一軒作ることもあります。
★余談ですが、元請と下請けの関係
建築主が、発注者になり、ゼネコンと請負契約を結び、そのゼネコンは、下の請負業者と請負契約を結びます。
建設工事の中身には、土木・大工・とび・電気・塗装など28種もあり一社だけで全部を行うことは、殆どありません。
<参照>建築基準法88条1項から3項
(工作物への準用)
第八十八条 煙突、広告塔、高架水槽、擁壁その他これらに類する工作物で政令で指定するもの及び昇降機、ウォーターシュート、飛行塔その他これらに類する工作物で政令で指定するもの(以下この項において「昇降機等」という。)については、第三条、第六条(第三項及び第五項から第十二項までを除くものとし、第一項及び第四項は、昇降機等については第一項第一号から第三号までの建築物に係る部分、その他のものについては同項第四号の建築物に係る部分に限る。)、第六条の二(第三項から第八項までを除く。)、第六条の三(第一項第一号及び第二号の建築物に係る部分に限る。)、第七条から第七条の四まで、第七条の五(第六条の三第一項第一号及び第二号の建築物に係る部分に限る。)、第八条から第十一条まで、第十二条第五項(第四号を除く。)及び第六項から第八項まで、第十三条、第十八条(第四項から第十一項まで及び第二十二項を除く。)、第二十条、第二十八条の二(同条各号に掲げる基準のうち政令で定めるものに係る部分に限る。)、第三十二条、第三十三条、第三十四条第一項、第三十六条(避雷設備及び昇降機に係る部分に限る。)、第三十七条、第四十条、第三章の二(第六十八条の二十第二項については、同項に規定する建築物以外の認証型式部材等に係る部分に限る。)、第八十六条の七第一項(第二十八条の二(第八十六条の七第一項の政令で定める基準に係る部分に限る。)に係る部分に限る。)、第八十六条の七第二項(第二十条に係る部分に限る。)、第八十六条の七第三項(第三十二条、第三十四条第一項及び第三十六条(昇降機に係る部分に限る。)に係る部分に限る。)、前条、次条並びに第九十条の規定を、昇降機等については、第七条の六、第十二条第一項から第四項まで及び第十八条第二十二項の規定を準用する。この場合において、第二十条中「次の各号に掲げる建築物の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める基準」とあるのは、「政令で定める技術的基準」と読み替えるものとする。
2 製造施設、貯蔵施設、遊戯施設等の工作物で政令で指定するものについては、第三条、第六条(第三項及び第五項から第十二項までを除くものとし、第一項及び第四項は、第一項第一号から第三号までの建築物に係る部分に限る。)、第六条の二(第三項から第八項までを除く。)、第七条、第七条の二、第七条の六から第九条の三まで、第十一条、第十二条第五項(第四号を除く。)及び第六項から第八項まで、第十三条、第十八条(第四項から第十一項まで及び第十七項から第二十一項までを除く。)、第四十八条から第五十一条まで、第六十条の二第三項、第六十八条の二第一項及び第五項、第六十八条の三第六項から第八項まで、第八十六条の七第一項(第四十八条第一項から第十三項まで及び第五十一条に係る部分に限る。)、第八十七条第二項(第四十八条第一項から第十三項まで、第四十九条から第五十一条まで、第六十条の二第三項並びに第六十八条の二第一項及び第五項に係る部分に限る。)、第八十七条第三項(第四十八条第一項から第十三項まで、第四十九条から第五十一条まで及び第六十八条の二第一項に係る部分に限る。)、前条、次条、第九十一条、第九十二条の二並びに第九十三条の二の規定を準用する。この場合において、第六条第二項及び別表第二中「床面積の合計」とあるのは「築造面積」と、第六十八条の二第一項中「敷地、構造、建築設備又は用途」とあるのは「用途」と読み替えるものとする。
3 第三条、第八条から第十一条まで、第十二条(第五項第四号を除く。)、第十三条並びに第十八条第一項及び第二十三項の規定は、第六十六条に規定する工作物について準用する。
★19号から31号までは、「都市計画法」や他の法律との関係を定義したものです。
都市計画における規制を行う法令は、都市計画法と建築基準法です。都市計画法によって、規制対象となった地域は、建築基準法によって建築物の仕様・建築可能地域の具体的制限等を受けます。
建築基準法は都市計画法で定められた規定を補完する関係にあります。
★これらについては、説明を省きます。条文を読んでください。
★なお、都市計画法と建築基準法との関係は、第3章 41条の2 にあります。
第二条 (続き) |
この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 三十二 プログラム 電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。 |
★プログラム(32号)とは...「電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたもの」をいいます。
新しく設けられた規定です。
コンピューター(電子計算機)は、それだけでは動きません。コンピュター用の言語を使用し、加減乗除や比較など一連の指令を行い、結果がでます。その全体の作業がプログラムと呼ばれます。
この定義が新設されたのは、構造計算ツールとしてのコンピューター・プログラムの存在を追認したものと考えられます。
そして、このプログラムの規定に関し、建築確認申請の構造計算書を作成する大臣認定プログラムがあります。
★大臣認定プログラムとは...建築基準法に基づいて構造計算を行うコンピューター・ソフトで、民間のソフトウエア会社が開発したソフトのうち、改ざん防止機能など一定の要件を満たすものに対して、国土交通大臣が認定するものです。
それは、建築基準法 6 条「建築物の建築に関する申請及び確認」で使用されます。この 5項に「構造計算適合性判定」という言葉の定義があり、以下のようになっています。
5 建築主事は、前項の場合において、申請に係る建築物の計画が第二十条第二号又は第三号に定める基準(同条第二号イ又は第三号イの政令で定める基準に従つた構造計算で、同条第二号イに規定する方法若しくはプログラムによるもの又は同条第三号イに規定するプログラムによるものによつて確かめられる安全性を有することに係る部分に限る。
次条第三項及び第十八条第四項において同じ。)に適合するかどうかを審査するときは、都道府県知事の構造計算適合性判定(第二十条第二号イ又は第三号イの構造計算が同条第二号イに規定する方法若しくはプログラム又は同条第三号イに規定するプログラムにより適正に行われたものであるかどうかの判定をいう。以下同じ。)を求めなければならない。
★以前は、大型コンピューターでなければ出来なかった「構造計算」が、小型化・高性能化がすすみ、パソコンでもできるようになったことが背景にあります。
★大臣認定プログラムを使うと、一般的に審査期間が短くなるなどの効果があります。
大臣認定を受けたプログラムは、構造計算適合性判定機関にも配備されますので入力データが提出されれば、審査側で構造計算の結果が正しいかどうかを迅速に検証できます。それに比べて、一般の構造計算ソフトの場合は、入力条件と計算結果が正しいかどうか、計算過程も含めて検証するのに時間がかかります。
★しかし、「構造計算の偽造事件」も起きた。
申請者が大臣認定プログラムを使用した場合は、その原データ(何らかの媒体に収納された「データファイル」)を適合性判定機関に提出し、審査官はそれを使って判定していましたが、そこに2005年末の姉歯(元)1級建築士などの「構造計算書偽造問題=耐震偽装」があった。
★プログラムは人間が変更できる。
大臣認定プログラムは、人が作ったものです。これは、プログラム知識があれば変更可能であることは、いうまでもありません。
第二条 (続き) |
この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 三十三 特定行政庁 建築主事を置く市町村の区域については当該市町村の長をいい、その他の市町村の区域については都道府県知事をいう。ただし、第九十七条の二第一項又は第九十七条の三第一項の規定により建築主事を置く市町村の区域内の政令で定める建築物については、都道府県知事とする。 |
★長かった2条の定義の最後は、特定行政庁です。
★特定行政庁(33号)とは...その市町村に建築主事が置かれていれば、その市町村の長であるし、その市町村に建築主事が置かれていなければ、都道府県知事のこと。(分かる?)
★それでは、建築主事とは...建築の確認についての事務を行う人です。また、建築確認のほか、違反建築物への是正命令、斜線制限、絶対高さの制限などの各制限などを、建築基準法に基づいて行います。(詳細は4条を参照)
★特定行政庁が規定されるわけ
建築基準法では、建築物の構造や技術的基準は具体的に定められていて、それらを設計者や工事施工者が遵守し、建築主事などが建築確認や検査を行うことにより、内容をチェックするやり方を採用しています。
しかし、建築基準法の一部の規定は、「交通上、安全上、防火上または衛生上の立場」から裁量や判断を行う必要があります。このような行政上の裁量や判断をするのに、建築だけについての専門家である「建築主事」の職務には適していません。
そこで、この裁量や判断は、地方自治体の長でもある特定行政庁(知事または市町村長)の許可や認定にまかせています。
{例} 建築基準法43条
(敷地等と道路との関係)
第四十三条 建築物の敷地は、道路(次に掲げるものを除く。第四十四条第一項を除き、以下同じ。)に二メートル以上接しなければならない。ただし、その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したものについては、この限りでない。
{例} 建築基準法44条1項2号
二 公衆便所、巡査派出所その他これらに類する公益上必要な建築物で特定行政庁が通行上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの
過去出題 | マンション管理士 | |
管理業務主任者 | H21年、H20年、H17年、H16年、 |
建築基準法での定義は、以上で終わりですが、施行令でも定義があります。
これらの定義も重要で、試験にでます。
心して、読んでおいてください。
建築基準法 施行令
(用語の定義)
第一条 この政令において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 敷地 一の建築物又は用途上不可分の関係にある二以上の建築物のある一団の土地をいう。
二 地階 床が地盤面下にある階で、床面から地盤面までの高さがその階の天井の高さの三分の一以上のものをいう。
三 構造耐力上主要な部分 基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するものをいう。)、床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう。)で、建築物の自重若しくは積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるものをいう。
四 耐水材料 れんが、石、人造石、コンクリート、アスファルト、陶磁器、ガラスその他これらに類する耐水性の建築材料をいう。
五 準不燃材料 建築材料のうち、通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後十分間第百八条の二各号(建築物の外部の仕上げに用いるものにあつては、同条第一号及び第二号)に掲げる要件を満たしているものとして、国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。
六 難燃材料 建築材料のうち、通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後五分間第百八条の二各号(建築物の外部の仕上げに用いるものにあつては、同条第一号及び第二号)に掲げる要件を満たしているものとして、国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。
★3号の「構造耐力上主要な部分」と建築基準法第2条5号の「主要構造部」の違いは、出題の対象にされやすいので、注意のこと。
★また、施行令の2条の建築面積、高さもよく出題されます。
(面積、高さ等の算定方法)
第二条 次の各号に掲げる面積、高さ及び階数の算定方法は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 敷地面積 敷地の水平投影面積による。ただし、建築基準法 (以下「法」という。)第四十二条第二項 、第三項又は第五項の規定によつて道路の境界線とみなされる線と道との間の部分の敷地は、算入しない。
二 建築面積 建築物(地階で地盤面上一メートル以下にある部分を除く。以下この号において同じ。)の外壁又はこれに代わる柱の中心線(軒、ひさし、はね出し縁その他これらに類するもので当該中心線から水平距離一メートル以上突き出たものがある場合においては、その端から水平距離一メートル後退した線)で囲まれた部分の水平投影面積による。ただし、国土交通大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造の建築物又はその部分については、その端から水平距離一メートル以内の部分の水平投影面積は、当該建築物の建築面積に算入しない。
三 床面積 建築物の各階又はその一部で壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積による。
四 延べ面積 建築物の各階の床面積の合計による。ただし、法第五十二条第一項 に規定する延べ面積(建築物の容積率の最低限度に関する規制に係る当該容積率の算定の基礎となる延べ面積を除く。)には、自動車車庫その他の専ら自動車又は自転車の停留又は駐車のための施設(誘導車路、操車場所及び乗降場を含む。)の用途に供する部分の床面積を算入しない。
五 築造面積 工作物の水平投影面積による。ただし、国土交通大臣が別に算定方法を定めた工作物については、その算定方法による。
六 建築物の高さ 地盤面からの高さによる。ただし、次のイ、ロ又はハのいずれかに該当する場合においては、それぞれイ、ロ又はハに定めるところによる。
イ 法第五十六条第一項第一号 の規定並びに第百三十条の十二 及び第百三十五条の十八 の規定による高さの算定については、前面道路の路面の中心からの高さによる。
ロ 法第三十三条 及び法第五十六条第一項第三号 に規定する高さ並びに法第五十七条の四第一項 及び法第五十八条 に規定する高さ(北側の前面道路又は隣地との関係についての建築物の各部分の高さの最高限度が定められている場合におけるその高さに限る。)を算定する場合を除き、階段室、昇降機塔、装飾塔、物見塔、屋窓その他これらに類する建築物の屋上部分の水平投影面積の合計が当該建築物の建築面積の八分の一以内の場合においては、その部分の高さは、十二メートル(法第五十五条第一項
及び第二項 、法第五十六条の二第四項 、法第五十九条の二第一項 (法第五十五条第一項 に係る部分に限る。)並びに法別表第四(ろ)欄二の項、三の項及び四の項ロの場合には、五メートル)までは、当該建築物の高さに算入しない。
ハ 棟飾、防火壁の屋上突出部その他これらに類する屋上突出物は、当該建築物の高さに算入しない。
七 軒の高さ 地盤面(第百三十条の十二第一号イの場合には、前面道路の路面の中心)から建築物の小屋組又はこれに代わる横架材を支持する壁、敷げた又は柱の上端までの高さによる。
八 階数 昇降機塔、装飾塔、物見塔その他これらに類する建築物の屋上部分又は地階の倉庫、機械室その他これらに類する建築物の部分で、水平投影面積の合計がそれぞれ当該建築物の建築面積の八分の一以下のものは、当該建築物の階数に算入しない。また、建築物の一部が吹抜きとなつている場合、建築物の敷地が斜面又は段地である場合その他建築物の部分によつて階数を異にする場合においては、これらの階数のうち最大なものによる。
2 前項第二号、第六号又は第七号の「地盤面」とは、建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面をいい、その接する位置の高低差が三メートルを超える場合においては、その高低差三メートル以内ごとの平均の高さにおける水平面をいう。
3 第一項第四号ただし書の規定は、同項に規定する専ら自動車又は自転車の停留又は駐車のための施設の用途に供する部分の床面積については、当該敷地内の建築物の各階の床面積の合計(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、それらの建築物の各階の床面積の合計の和)の五分の一を限度として適用するものとする。
4 第一項第六号ロ又は第八号の場合における水平投影面積の算定方法は、同項第二号の建築面積の算定方法によるものとする。
★施行令2条1項8号の「階数」の数え方は、吹抜けがある場合、斜面などの注意が必要です。
また、塔屋(ペントハウスともいう)や、地階の倉庫などは、特定の場合は、階数に数えなくても、容積率の延べ面積の床面には算入されます。(52条参照)
過去出題 | マンション管理士 | |
管理業務主任者 |
★3条は建築基準法が適用されない、建築物を規定しています。
防火や災害などの観点から建築物を規制するのが、建築基準法の主旨ですが、歴史的に価値のある建物は、規制が及びません。
★建築基準法が適用されないのは、
1.国宝、重要文化財、重要有形民俗文化財、特別史跡名勝天然記念物又は史跡名勝天然記念物として指定され、又は仮指定された建築物 (1項1号)
2.重要美術品等として認定された建築物 (1項2号)
3.条例その他の条例の定めるところにより現状変更の規制及び保存のための措置が講じられている建築物 (1項3号)
4.第一号若しくは第二号に掲げる建築物又は保存建築物であつたものの原形を再現する建築物で、特定行政庁が建築審査会の同意を得てその原形の再現がやむを得ないと認めたもの(1項4号)
です。
★既存不適格建築物
また、法律には「不遡及の原則」があり、その法律の規定を、法律が規定していない以前に遡っては適用ができません。
そこで、3条2項の規定があります。
★既存不適格建築物とは...法令が新しく制定されたり、改正された場合に、それ以前から存在または着工している建築物で、新しい規定に適合しなくなった建築物です。
「既存不適格建築物」 では、現況のまま使用する限り是正命令等の対象外ですが、建替えの際に現況の建物と同規模のものが建てられないことでは 「違反建築物」
も 「既存不適格建築物」 も同じになります。
特に、一戸建住宅の中古市場には、当然のように違反が行なわれていた頃の建物が数多く出回っていますので注意が必要です。
★違反建築物と既存不適格建築物の法律での扱いは違う
違反建築物は、最初から、建築基準法やこれに基づく命令・条例などの許可に違反している建築物です。
違反にも2種類あり、ひとつは手続きに問題があるもの、2つ目は建築物そのものに違反が認められるものです。なお、建築当初は違反でなくても、その後の増築・改築・修繕などによって違反建築物になるものもあります。
具体的には、建ぺい率超過、容積率超過、各種斜線制限の違反、用途制限違反、接道義務違反などのほか、建築基準法上の手続き (建築確認申請等)
を行なわずに建築されたもの (無確認建築) も 「違反建築物」 とされます。
建築確認を受け付ける特定行政庁は、違反建築物を発見した場合には、建物の取り壊し、改築、修繕、使用禁止などの是正命令を出し、違反事実を公示できます。また緊急の場合は、特定行政庁が任命した建築監視員が工事施工の停止を求められます。
★しかし、違反建築物や適用後の場合は、不遡及も打ち切りになるのを定めたのが、3条3項です。
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★4条は、「建築主事」の規定です。
★「建築主事」とは...「第六条第一項の規定による確認に関する事務をつかさどらせるため」に置かれる自治体の機関です。
6条1項の規定は、建築に際して、建築主がその建築計画が適法であるかどうかを確認を申請するものです。
(建築物の建築等に関する申請及び確認)
第六条 建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。当該確認を受けた建築物の計画の変更(国土交通省令で定める軽微な変更を除く。)をして、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合も、同様とする。
一 別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が百平方メートルを超えるもの
二 木造の建築物で三以上の階数を有し、又は延べ面積が五百平方メートル、高さが十三メートル若しくは軒の高さが九メートルを超えるもの
三 木造以外の建築物で二以上の階数を有し、又は延べ面積が二百平方メートルを超えるもの
四 前三号に掲げる建築物を除くほか、都市計画区域若しくは準都市計画区域(いずれも都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く。)若しくは景観法
(平成十六年法律第百十号)第七十四条第一項 の準景観地区(市町村長が指定する区域を除く。)内又は都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内における建築物
★6条の解説の詳細は、6条にありますが、要約すると、
建築物を、
1.建築(新築、増築、移築、移転すること。)(2条13号参照)
2.大規模の修繕(2条14号参照)
3.大規模の模様替(2条15号参照)
4.特殊建築物への用途変更
をするときには、建築主事(または指定確認検査機関)へのその計画が適法であるかどうかの確認申請書を提出して、確認済証の交付を受けなければなりません。
★建築主事はどこにおかれるのか
1.政令で指定する人口25万以上の市では必須です。(1項)
2.市町村は任意です。(2項)
3.都道府県は、建築主事がいない区域を担当する建築主事をおきます。(5項) これは、2項で建築主事がいない市町村を補完するためです。
★どんな人が建築主事になれるのか(6項)...建築主事になるには大変
市町村又は都道府県の職員(地方公務員です)で、建築基準適合判定資格者検定(受験の要件は、1級建築士で、2年以上の建築行政に関する実務経験者)に合格し、かつ国土交通大臣の登録を受けた者です。市町村の長又は都道府県知事が命じます。
<参照>建築基準法77条の58、1項
(登録)
第七十七条の五十八 建築基準適合判定資格者検定に合格した者は、国土交通大臣の登録を受けることができる。
★建築主事の仕事は
建築主事は、新しく建てられる建物に対して計3回の審査を行います。
@初めは建築計画が完成した時点(建築確認)、Aつぎは着工後完成までの間(中間検査)、B最後は完成直後(完了検査)です。
建築主は、工事完了後4日以内に建築主事に完了届けを提出し、建築主事はその届出から7日以内に検査を行わなければなりません(7条参照)。その結果、建物が建築基準法その他の法令に合致していると認められたときは、検査済証を交付します。
建築主事は、建築技術、建築法規に関する専門家ですが、その権限の内容は、建築計画が法令に適合しているかどうかを判断するにとどまり、裁量の余地はないとされています。
★建築主事がおかれると、特定行政庁となる
2条33号でも説明しましたが、建築主事は、一級建築士であり、建築法規についての専門家ですが、地方行政の長ではありません。
建築基準法では、「交通上、安全上、防火上または衛生上の立場」から裁量や判断を行う必要があります。このような行政上の裁量や判断をするのに、建築のプロである「建築主事」は適していません。
そこで、特定行政庁(知事または市町村長)の許可や認定にまかせています。
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★完了検査後に、建物を変更する例が多い!
ビルの屋上やひどいときにはベランダに、以前はなかった物置や人が住めそうな小屋ができていることに気がつきましたか?
完了検査を受ける前は、建築基準法の容積率や建ぺい率などの規定に従った建物ですが、完了検査をパスすれば、もう建築主事も建物を検査しません。
それを知っている、建築主と施工業者が、完了検査が終わるとすぐに、増築してます。
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★5条と次の5条の2、5条の3は、以前は地方自治体の「建築主事」だけが行っていた建築確認業務が、民間の「指定確認機関」でも行えるようになったために、建築主事と同様の能力を有するかどうかを決める「建築基準適合判定資格者検定」についての規定です。
★建築主事の業務が、民間の機関でもできるようになった。
「建築基準適合判定資格者検定」に合格して、国土交通大臣の登録を受けると、建築基準適合判定資格者となり、建築確認や、中間検査、確認済証の交付ができます。(77条の5の58以下参照)
★受験資格が厳しい(3項)
1.一級建築士試験に合格した者 で
2.建築行政又は第七十七条の十八第一項の確認検査の業務その他これに類する業務で政令で定めるものに関して、二年以上の実務の経験を有するものでなければ受けることができない。
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★資格検定事務を行う者の指定
★これらは、説明を省きます。読んでおいてください。
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★受検手数料は、3万円です。
★これらは、説明を省きます。読んでおいてください。
建築基準法施行令 8条の3 (受検手数料)
第八条の三 法第五条の三第一項 の受検手数料の額は、三万円とする。
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★5条の4は、一級建築士でなければできない設計又は工事監理、または一級建築士、二級建築士でなければ、その設計又は工事監理をしてはならないことを規定しています。
★建築士の種類(建築士法1条、2条)
因みに、建築士には、一級建築士(国土交通大臣の免許)、二級建築士(都道府県知事の免許)、木造建築士(都道府県知事の免許)があります。
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最終更新日:
2010年1月24日:H21年の出題年記入
2008年10月26日