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第059話:ぴぴるぴるぴぶへぇ!!

作:◆h8QB1rxvpA

気が付くと、そこは家の中。

彼女の名はドクロちゃん。撲殺天使☆だそうだ。
それ以上の説明はないし、それ以下の説明は無い。
…………納得して頂けただろうか。些か不安ではあるが。

で、何故彼女が動かないのかと言うと……。

「悪いな、明らかに怪しかったもんでよ。拘束させてもらった」

というわけである。


こういった由々しき事態になるまでに、こんなことがあった。

氷太が一服していると、突然玄関に人影が現れたのだ。
急な出来事だったので少々焦って立ち上がる。煙草は勿論落とさないように。

そして玄関に走るとそこには、鉄パイプを持った少女が立っているではないか。
更にその少女がこちらを見ると、笑顔で鉄パイプを振りかざした。

まずい、まずいマズイMAZUI!!
ならば仕方が無い。やるか。

そして彼は少女にボディーを一発決め、床に沈めたのだ。
大丈夫、気絶させただけだ。だが敵意を向いているもの相手にしてはやけに容易かった様な……。
だがそんな事はどうでもいい……危険すぎる。いざという時の為に拘束しておこうか。
確かここにロープがあったはず……。

で、こうなった。

「ん〜〜!!むぐぅ〜〜〜〜〜!!」
「あー、煩い……」

丁寧にもそこら辺にあったタオルを猿轡にしている。
騒がれては不利になると考えての結果だろう。
だがそんな事は関係なしに、彼女は呻き続ける。

「ぅぅ!!ん――――っ!!」
「………あー…わかったわかった!!何が言いたい!?」

あまりにも煩いので、氷太は少女の猿轡だけを解く。
するとマシンガンのように、ドクロちゃんは話し出す。

「どういう事!?なんでこんな女の子にイタズラするのぉ!?」
「危険だからだ。つーか俺に攻撃しようとした奴が言うな」
「こうげき?そんな事しようとしてないよ!」
「……はぁ?」
「私、挨拶したかっただけだもん」

挨拶……氷太が固まる。
そういえば、妙に爽やかな笑顔だった。それにあの時何の抵抗もしようとしていなかった。
それに振りかざすのならもう少し機敏になるべきだ。のろのろと片腕を上げては話にならない。
以上を振り返って、自分がどれほど見誤ったのか確信した。

「あの時私、やっと人に会えたって安心したんだから」
「……あの片腕を上げたのは、会釈のつもりだったのか」
「そう」
「………あったま痛ぇ…撲殺された気分だ」


まぁそうとわかれば仕方が無い。相手も本気の目だ。
彼女を信じた氷太が彼女の拘束を解くと、彼女はうんと背伸びをした。

「まぁさっきのは悪かった…結構ピリピリしてたからな」
「ふぅん。んじゃ、これからどうしよっか?」
「おいおい、唐突過ぎないか?」
「そんな事無いよ、こんな状況だもん」

確かにそうだ。
しかしながら相手の事を知らない以上それは早すぎる。
ならばこうしよう。氷太は彼女を居間に案内し、そこに座った。

「まぁ座れ。で、自己紹介といこう」
「うん、わかった。えっと、私は三塚井 ドクロ。ドクロちゃんって呼んでね!」
「俺は甲斐 氷太……煙草好きなただの男だ。こんな状況じゃ、な」

氷太の煙草は、2本目に突入した。


【D-3/民家内/一日目・1:38】
【第一印象最悪組(甲斐氷太/三塚井ドクロ】

【甲斐氷太】
[状態]:正常
[装備]:無し
[道具]:デイパック(支給品入り) タバコ(残り15本)
[思考]:自己紹介

【三塚井ドクロ】
[状態]:正常
[装備]:無し
[道具]:デイパック(支給品入り) 鉄パイプ
[思考]:自己紹介

【残り104名】

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