仮面ライダーの歴史
ウルトラマン、スーパー戦隊シリーズと並んで国民的な変身ヒーローの代名詞である「仮面ライダー」。初代は71年4月に放送されましたが、それまでに「マスクマンK」、「仮面天使(マスクエンジェル)」、「クロスファイアー」、「スカルマン」といった様々な企画変更を経て誕生したヒーローだったわけですが、デザインのほうも色々な案の中からバッタをモチーフにした案を選んだのは当時幼稚園児だった石ノ森氏の息子さんである小野寺丈氏だそうです。
ただし、石ノ森氏が直接漫画を描いた「仮面ライダー」は少なく、「仮面ライダー」(ぼくらマガジン、少年マガジン連載)と「仮面ライダーBLACK」(週刊少年サンデー連載)のみ(他には*2絵コンテ漫画「仮面ライダー」がある)で他作品はデザイン等を手がけただけになっている。
初代〜ストロンガーを第1期、スカイ、スーパー1を第2期、BLACK、RXを第3期、、クウガ以降を平成シリーズと分けるのが一般的のようでクウガ以降は仮面ライダー=改造人間という図式を排除。神秘の力で変身するという設定か強化スーツを纏って変身という設定に変更されている。
作品名 | 見所など |
仮面ライダー | 城南大学きっての秀才である本郷猛は秘密結社ショッカーの手でバッタの能力を組み込まれた改造人間に改造されてしまうが、洗脳前に恩師の手引きで脱走。仮面ライダーとしてショッカーに立ち向かう。 本郷役の藤岡弘氏の事故をきっかけに路線変更、いわゆる「変身ブーム」を巻き起こした。 全ての始まり。TVは勧善懲悪ものだが*1原作はシリアスな社会派ドラマに仕上がっている。 2005年11月にリメイク版が劇場公開されました。 |
仮面ライダーV3 | 本郷の後輩である風見志郎は家族をデストロンに殺され、自らも重傷を負うが、ダブルライダーによって1号の「技」、2号の「力」を受け継いだV3に生まれ変わる。物語後半でライダーマンが登場し、ドラマを盛り上げた。 初代の人気を受けて製作された作品。役者人気等もあり、初代の次に人気が高い。風見志郎役の宮内洋氏がノースタントでアクションに挑戦したなど色々と伝説を残した。。 |
仮面ライダーX | 沖縄の水産大学に通う神敬介は父と共に秘密結社GODに襲われて瀕死の重傷を負うが、父の手で深海開発用改造人間カイゾークとなって復活。GODに立ち向かう。 メカニック系ライダー1号で、初めて武器を使った仮面ライダーでもある。前半は改造人間の苦悩、父からの自立、ヒロインの裏切りに対する葛藤などアダルトなドラマが展開した。GODの幹部・アポロガイストは名ライバル。 |
仮面ライダーアマゾン | アマゾンで起こった飛行機事故の唯一の生還者であるアマゾン(本名:山本大介)はインカの末裔である長老バゴーの秘術でマダラオオトカゲの特性を持った改造人間になり、インカの秘術を守るためゲドン、ガランダー帝国に立ち向かう。 怪奇色を押し出した作風の作品。主役ライダー・アマゾンはワイルドな戦い方が特徴的なライダー。諸事情で短命に終わっている。 |
仮面ライダーストロンガ− | 大学の親友をブラックサタンに殺された城茂は悪の組織の手で改造人間となるがそれは敵討ちのための力を手に入れるための手段だった。仮面ライダーストロンガーを名乗った城は相棒のタックルと共にブラックサタン、デルザー軍団に挑む。 主役ライダー・ストロンガーはカブトムシがモチーフで電撃技を得意とする。相棒のタックルもストーリーに華を添えていた。昭和第一期最終作。 |
仮面ライダー(新) | ネオショッカーの手で重傷を負わされた城北大学の学生・筑波洋は志度博士の手で飛行能力を持ったスカイライダーに改造され、ネオショッカーに立ち向かう。 「ストロンガー」から4年のブランクを経て製作された作品。主役ライダー・スカイライダーは飛行能力が特徴。(製作された79年は「スーパーマン」、「未知との遭遇」が公開され、それに影響されたらしい)中盤からの先輩客演も見所。 |
仮面ライダースーパー1 | NASAの青年研究員・沖一也は宇宙開発の夢のために自ら志願して惑星開発用改造人間S-1となるが世界征服を目論むドグマ帝国の襲撃により恩師を失う。日本に帰国した沖は赤心少林拳を体得して変身の極意を掴む事に成功。ドグマ王国に戦いを挑む。 拳法技とオプションハンドで戦うライダーで複数のバイクを持つのも特徴。企画時は「仮面ライダーV9」というタイトルだった。後半のジンドグマ編ではシリーズ初の女性幹部が登場した。 |
仮面ライダーZX(ゼクロス) | ブラジルの大学に通う留学生・村雨良は姉と共に謎のUFOを追っていた最中、バダン帝国によって姉を殺されパーフェクトサイボーグ「ZX」に改造され悪の手先となってしまうが、事故がきっかけで自我を取り戻しバダンを脱走。復讐のためにバダンに挑むことに・・・ 雑誌の企画から派生したライダーで「10号誕生!仮面ライダー全員集合」というタイトルで一度映像化されている(TV放送前にラジオドラマの制作、「RX」における先輩共演の際にも顔を出している)。 村枝賢一氏によるコミック「仮面ライダーSPIRITS」の中心的存在。 |
仮面ライダーBLACK | 日食の日に生まれた青年・南光太郎はゴルゴムによって世紀王に選ばれ生体改造を施されるが、記憶消去前に養父の手引きで脱走、仮面ライダーBLACKを名乗りゴルゴムに挑む。 「スーパー1」から6年のブランクを経て製作された。過去作品との関連性を断つ意味で「仮面ライダー0号」として企画され(そのためスタッフも総入れ替えで製作されている*3)、改造人間の苦悩、悪の組織や怪人の不気味さを描き切った作品。BLACKのライバル・シャドームーンは史上初の本格的な悪のライダーで特撮史上屈指の名ライバルの一人(続編の「RX」でも登場している)。作品自体も初代、V3に次ぐ人気を持っていて、平成仮面ライダー役者にもファンが多い。南光太郎役の倉田てつをさんはイケメンライダー役者の元祖らしい。 *4石ノ森氏による原作版も存在するが、設定や顛末が異なる。 |
仮面ライダーBLACK RX | ゴルゴム壊滅から半年後、南光太郎はヘリコプターのパイロットとして新たな人生を送っていたが異次元からの侵略者クライシス帝国が出現。連中の仲間になることを拒んだ光太郎は変身能力を失い宇宙空間に投げ出されるが、体内のキングストーンの力と太陽の光で仮面ライダーBLACK
RXに生まれ変わる。 「仮面ライダーBLACK」の続編(実際は「BLACK」の放送延長策として企画された裏がある)。原点回帰(怪奇色、改造人間の苦悩など)を狙った前作とは異なり明朗路線、武器によるフィニッシュ、ロボライダー、バイオライダーになる二段変身など「クウガ」以降の平成ライダーにつながる新要素を打ち出した。最終回近くで先輩ライダーとの共闘も。(これに関しては賛否両論があるようですが) 主人公が同一の続編はライダー史上唯一。 |
真・仮面ライダー序章 | オートレーサーである風祭真は「財団」が抱える研究所が進めている研究の被験者となるが、彼はバッタの遺伝子を組み込まれた改造人間にされてしまった。父や恋人の愛を失った真は異形の姿に変身。「財団」に戦いを挑む。 オリジナルビデオによる企画物で、ライダーの造型は原作版BLACKを参考にしているとか・・・原田大二郎氏、高嶋政伸氏の他にも石ノ森氏も特別出演している。 |
仮面ライダーZO | 臨床遺伝子学者・望月博士の助手をしていた麻生勝は完全な生物を作ると言う野望に取り憑かれた望月博士の手でバッタの能力を持った改造人間にされた直後落雷のショックで4年間昏睡状態に。「宏を守れ」という謎のテレパシーに導かれ目覚めた麻生はネオ生命体・ドラスと戦うことに。 劇場限定のライダーで「ゼイラム」で知られる雨宮慶太氏が監督を務めている。 改造人間の苦悩等1号編に対するオマージュも・・・ CGなどあらゆる特撮技術を駆使して製作されている。 |
仮面ライダーJ | 自然を愛するカメラマンの瀬川耕司はフォッグ一味によって命を落とすが、自然を愛する心を地空人に認められ仮面ライダーJとなって蘇り、フォッグ一味に立ち向かう。 「ZO」に続く劇場限定のライダー。巨大化できる能力が特徴。元ネタは企画ビデオの「ウルトラマン対仮面ライダー」らしい。 |
仮面ライダークウガ | 中央アルプスの九郎ヶ岳遺跡に封じられていた超古代の好戦的種族・グロンギ族が現代に復活。自称冒険家の青年・五代雄介は偶然に古代人が残した装飾品・アークルを身につけた事から戦士クウガに変身する力を手にし、「みんなの笑顔を守るため」にグロンギと戦う事になる。 「RX」から11年ぶりに復活した作品で(TVとしては)、平成ライダー第1弾。主役ライダー・クウガは改造人間ではなく現代に蘇った超古代の戦士と言う設定で11種類のフォームチェンジが特徴。リアルなドラマで人気を博した。 五代雄介役のオダギリジョー、一条刑事役の葛山信吾といったイケメン役者にも人気が集まった。 「クウガ」から仮面ライダー=改造人間と言う設定を排除している。(クウガの場合、改造人間と似たような体になっていたりするが) |
仮面ライダ−アギト | クウガの活躍で未確認生命体の脅威は去ったが、今度は謎の怪人「アンノウン」が出現。警視庁・未確認生命体対策チーム「SAUL」の隊員である氷川誠はG3でアンノウンと戦うが、そこに「アギト」と呼ばれる謎の戦士が現れて・・・ 仮面ライダー誕生30周年記念作。「クウガ」の続編(のようなもの)で正統派ライダーの「アギト」、メカニック系ライダー「G3(G3-X)」、生物系のライダー「ギルス」がそれぞれの思惑の下、アンノウン(怪人)と戦う。「サイボーグ009」よろしく神々との戦いという壮大なテーマが盛り込まれている。 アギトの力の謎など謎が謎を呼ぶ展開、コミカルな描写もあり、平均視聴率は「クウガ」よりも上。劇場版、TVスペシャルも製作され話題を作った。 |
仮面ライダー龍騎 | 「OREジャーナル」に勤務する見習い記者・城戸真司は取材先のマンションで謎のカードデッキを拾った事から仮面ライダーに変身する力を手に入れる。ライダー同士が戦う運命にあることを知った真司はライダー同士の戦いを止めようとするが・・・・ バトルにカードゲームの要素を取り入れたライダー。13人のライダーがバトルロワイヤルを繰り広げるという展開で、TV、映画、TVスペシャルとで結末が異なる。 |
仮面ライダー555(ファイズ) | 養父から受け取ったベルト状のツールを持って東京へ向う途中の園田真理はバイクで気まま旅を続けるフリーターの青年・乾巧と出会う。東京へ向う旅の最中、超人類・オルフェノクに襲われた真理と巧。巧は真理に託されたファイズギアの力でファイズに変身。オルフェノクと戦う事になる。 主役ライダー・ファイズはハイテク機器を駆使して戦うライダーで愛車がロボットになる設定は斬新。ライダーだけでなく怪人=オルフェノク側のドラマも見所。 |
仮面ライダー剣(ブレイド) | 53体のアンデットが何者かの手で現代に復活。「BORD」のメンバーである剣崎一真と先輩の橘朔也は仮面ライダーに変身。アンデットを再び封印するために戦う。 「龍騎」に続くカードライダー第二弾でトランプがモチーフ。4人のライダーがそれぞれの思惑の下、アンデットと戦う。 |
仮面ライダー響鬼(ヒビキ) | 安達明日夢は実家の法事のため屋久島へ向う最中、不思議な感じのする男性「ヒビキ」と出会う。屋久島で化け蜘蛛に襲われた明日夢は鬼の姿に変身したヒビキに助けられた事から彼に興味を持つようになり・・・ 「完全新生」を狙った異形のライダーで鬼がモチーフ。音の力で妖怪と戦う。主役を30代の細川茂樹氏が演じていることで話題に。劇場版は戦国時代が舞台。 後半からプロデューサーと脚本家の交代で路線が変わってしまった。 |
仮面ライダーThe・FIRST | 城南大学で水の結晶の研究をしている青年科学者・本郷猛はショッカーの「スパイダー」に拉致され、バッタの能力を持つ「ホッパー」に改造されてしまったがある事件をきっかけに自我を取り戻し、ショッカーと戦うことを決意する。だが、ショッカーは打倒ライダーの刺客としてもう一人の「ホッパー」=一文字隼人を送り込み・・・ 元祖「仮面ライダー」のリメイク的なもので原作コミック版を元にストーリーを再構成しているが、立花藤兵衛がバイク屋の主人という設定など実写版を意識したところがあったり、ショッカー幹部の一人として「DA PAMP」のISSA(本名の辺土名一茶名義で出演)が出演しているところは話題に。 |
仮面ライダーカブト | 渋谷に隕石が落下して7年後・・・人類は外宇宙からの侵略者・ワームの侵略を受けており、人類はワーム殲滅機関「ZECT」を創立するが、超高速で移動できる能力を持つワームには歯が立たなかった。そのためZECTはワームに対抗するため「マスクドライダーシステム」を開発するが、システムのコア・「ゼクター」に選ばれたのはZECTの人間ではない・天道総司という青年だった・・・ 仮面ライダー誕生35周年記念作だが、ライダー同士の対決など、平成でやって来たことの繰り返しにしか見えないのだが、変装ネタ、料理ネタ、コミカル回は面白かった。 |
仮面ライダー電王 | 主人公の野上良太郎はいつも不運に見舞われる上に気弱な青年。彼はひょんなことから謎の少女・ハナから変身ベルトを託され電王になる力を授かり、イマジンと戦うことに・・・今まで謎ばかり散りばめてきた作風だった平成シリーズだが今回は楽しむ事重視の展開に(一応謎や伏線はあるが)。 視聴率は良くなかったがDVDなどの関連商品は大ヒット。劇場二作作られるほどの人気を得た。 |
仮面ライダーThe・NEXT | 本郷と一文字がショッカーを裏切って2年後・・・本郷は高校の教師となっていたが教え子を助けたのが縁でショッカーの暗躍を察知。再びショッカーと戦う事になるが新たな怪人やショッカーライダー・新ライダーV3の出現で危機に陥る。 「V3」をリメイクした内容だが、風見の設定が異なっていたり敵がデストロンではなくショッカーになっているなどオリジナルとは設定が異なる。 |
仮面ライダーキバ | 主人公の紅渡はバイオリン職人。でも人付き合いが苦手で引きこもりがち。彼の夢は父が残したバイオリン”ブラッディー・ローズ”を越えるバイオリンを作ること。 そんな彼が本能に突き動かされるようにキバに変身。ファンガイア一族に立ち向かう。が、渡の父・音也も人知れずファンガイアと戦ってた・・・ 石ノ森氏誕生70周年記念作として製作された平成ライダー。現在と過去を交錯させたドラマ展開が売りだが、余計混乱するうえに、メインライターを務める井上敏樹のせいで支離滅裂な展開になっているのは残念。 |
仮面ライダーディケイド | 今までは世界観が独立していた平成ライダーの世界だったが突如各世界が融合を始め、消滅の危機に陥る。素性が謎の男・門矢士は平成ライダーの世界を回り、世界を破滅から救おうとするが・・・ 平成ライダー誕生10周年の企画モノ。歴代平成ライダーだけじゃなく昭和ライダーも登場と各作品のクロスオーバーが見所・・・なのだがライダーバトルしかしないし、ラストはライダー史上最悪の最終回に。 |
仮面ライダーW | 風とエコロジーの街「風都」。そこでは怪人・ドーパントによる犯罪が多発してた。私立探偵の左翔太郎と相棒のフィリップはガイアメモリの力で仮面ライダーWに変身。ドーパント犯罪を裏で操る闇組織に立ち向かうことに。 合体変身で生まれるライダーの設定は斬新だが王道に立ち返ったデザインと電王同様楽しむこと重視の展開はマル。 |
*1:話の途中で本郷が死んでしまう筋書きに、ライダーの敵であるショッカーが日本政府公認の秘密結社で日本国民をコンピューターで管理しようと目論むところなどTVとは違うドラマを展開していた。もっと詳しく
*2:いわゆる「スカイライダー」編の放送と前後して石ノ森氏が読み切りとして書いていた作品で絵コンテと漫画を融合した作品。古代文明、石ノ森氏が自作品で扱っていた社会に対する怒りなども書かれている。(現在「アマゾン漫画版」、BLACKの企画書的な「君は仮面ライダーを見たか?」と共に「仮面ライダーEX(双葉社刊)」で読むことが出来る)
*3:東映側プロデューサーが平山享氏、阿部征二氏に代わり、「人造人間キカイダー」やメタルヒーローのプロデューサーを務めた吉川進氏と戦隊のプロデューサー歴のある堀長文氏が東映側プロデューサーに、アクションは大野剣友会からJAC(ジャパン・アクション・クラブ)に変更など今まで仮面ライダーの製作に携わっていない人々が製作に関与し、「仮面ライダークウガ」でプロデューサーを務めた高寺成紀氏はプロデューサー補、平成ライダーで監督を務めた田崎竜太氏は助監督として活躍した。
*4:TVでは(自分の宿命に苦悩しているが)好青年だった光太郎が原作では記憶喪失だったり、変身後の姿がTV版と異なっていたり、ドラマ部分は親族や身内との確執、ハルマゲドン的なドラマを展開していた。TV版以上に生物的なライダーの描写は企画ビデオ「真・仮面ライダー」が生まれるきっかけにもなった。