タイ語の前にハナモゲラ語?
タモリのハナモゲラ語ってご存知ですが? フランス語ならフランス語で、中国語なら中国語の調子で、でたらめに喋るだけなのですが、ローカルな人が聞いても、確かに母国語ぽいっけど何話しているか判らないってことになるらし一芸です。実はこれが外国語を話す時に一番重要な事のような気がします。つまり、その国の言葉のリズムで喋らないと、音が正確でもその国の言葉を話していると気が付いてくれないこともあるからです。逆に言うと、リズムやテンポが合っていれば、多少発音が間違っていようが、結構聞き取ってくれて通じてしまう場合もあります。
●はじめに
言語学習をはじめるにあたり、まず最初にしなければならないのは、その言語の発音に、口と耳を慣れさせる事だと思います。
耳で音を聞き取れないと、相手の話の内容がわからないし、発音が異なれば全く会話が出来ません。また、タイ語は表音文字を使用していますので、ある程度発音が出来ないと、読むことは至難を極めます。
自分の場合、テレビや実際の会話の中で、耳に残った音をひたすら口真似して、音を記憶させる練習に重点を置いているのですが、かれこれ1年、24時間タイ語環境の中にいても、半分も聞き取れません。ある本によれば「1日最低1時間、毎日外国語を聞いたとしても、3年くらいしなければ、よく聞き取れない。」らしいので、気長に構えるしかないみたいです。
なお、言語の進歩は、どれだけその外国語を喋ったかに比例するそうです。また、単語を覚えるにしても、日本語とはニュアンスや言い回しが異なるので、実際の会話の中で覚えた方がずっと効率的です。
「己を知り、敵を知らば、百戦危うからず」で、日本語の発音の癖と、タイ語の発音のコツを知れば発声しやすいと思います。以下のものは、吉田さんから頂いたメールからです。
日本語発音については、基本的に日本語発音は口中の中心で発声し、マ行、パ行、バ行は唇の開閉を伴います。
タイ語では唇、歯の後ろ、喉近くと使用場所が大きく3箇所に分けられるということさえ解れば案外発音しやすいと思います。
●タイ語のリズム
- タイ語のリズムは、短母音(「あっ」位の長さ)・長母音(「あー」位の長さ)で、
短母音/促音節は短く・長母音は長く メリハリをつける事でリズムを刻んでいきます。
全体的に短い音が多く、早口でタッタッタッタッターンというリズムで喋るので最初は聞き取るのに苦労しますし、
リズムが早いので、タイ人の多い所でタイ語を長く聞いていると頭が痛くなります。
- さらに、声調という調子を母音につけることで、語に抑揚をつけます。
- とどめに、有声音の子音(鼻に抜けたり掛かったりする音)の音色で、艶をつけます。
特に女性の場合、とても色っぽく聞こえます。また、[r]の音を巻き舌で振動させながら発音するのもいい艶が出ます。
そのためかどうなのか判らないのですが、おかま関係の人もこの音色が好きなようで、非常に強調して喋ってます。
- 自分が思うに、リズム的には多分日本語のリズムを早くしただけ、タイ語特有の声調も音の高低なので、
日本語の抑揚の付け方に近い気がします。ただし、よく口がまわるなと感心するほど早いテンポで喋るし、
口も日本語より活発に動かし、鼻に掛かる音を多用するなどの違いがあります。
タイ語のリズム・テンポで喋っているかどうかの一番判りやすい判定方法は、
タイ人の売り子に、「いくら?[thâurài]」
とタイ語で聞いて見るのが一番かもしれません。
[u(口を丸く尖らせての「ウ」む・ぐ・ずを言う時の「う」の口の形)]が多少言いにくいのですが、
英語で返事が返ってきたら、多分、日本語のテンポで喋っているからだと思います。
早口で言えば、タイ語で返事が返ってきます。
ただ、生来の癖っというか、早口言葉でもすぐに舌が絡まる口のせいか、
どうしても短い音(「あっ」位の長さ)を、
タイ人みたいに短く言えなくて、日本語の「あ」の長さで言ってしまいます。
地元の人には、間延びして聞こえるみたいで、子供みたいとからかわれるけど、しょうがないよね。
●声調について一考
声調が一番面倒だと思います。ただ日本語にも声調に当たる音の抑揚があります。
日本語の場合、「言い方」というもっと広い意味の言葉を当てていますが、
それぞれの場面で無意識に使い分けしています。だから聞き取れないという事もなければ、
話せないという事もなく、タイ語の声調に対して苦手意識を持つことの方が問題なのかもしれません。
例えば日本語の場合、同じ単語でも、言い方の違いで、聞いている方の反応は変わってきます。
言い方
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反応
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1. |
重い調子で「眠い」
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寝た方がいいよ。
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2. |
「眠い?」
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(その時の状況によるけど)まだ、眠くない。
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3. |
元気な調子で「眠い」
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本当かよ?
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つまり、反応が違うということは、同じ「眠い」でも意味が違ってきているって事だと思います。
日本語の場合、特に感情を乗せるのに、この言い方の違いを使い、
ドラマ等で語の抑揚を付けていないと、感情が入っていない下手糞な演技になってしまうように、
日本語を話す場合、とても重要な位置を占めます。漫画や小説でも、この言い方を連想させるのに、
吹き出しを工夫したりあの手この手を使って苦労してませんか?
また、日本語の方言にも独特の抑揚の付け方があり、
地元でない人が真似しても変に聞こえたりするのと、タイ語の声調は同じなのかもしれません。
それに、英語が音の強弱の抑揚なのに比べれば、タイ語は日本語と似た音の高低での抑揚です。
感覚的にも英語より入りやすいと思います。
結局は、文字(カタカナやタイ文字)から、タイ語を学習する場合、
この声調についての苦手意識が強くなるのではないでしょうか?
自分が思うに、1つ1つの語感を聞き取って、
音のイメージを頭の中に入れていくのが一番手っ取り早く、
それから声調の変化やルールについて、文字を読む為に覚えていくのが正しいと思います。
●コミュニケーションするための学習法
- 一番最初は、音から入っていくのが正しい学習方法だと思います。タイのテレビや映画を見ながら、
耳に残った音を、ひたすら口まね音真似してタイ語のリズムや発音に口と耳を慣らす事から始め、
慣れてきたら音が持つイメージを、その音が発せられた状況で理解します。
例えば、[chaiyoo!]と言って妙にはしゃいでいたり、切迫した場面で[ch

i-d
i!!]
と叫んでいたりする場面を繰り返し見ていれば、どういう時に言うのか?ということが自然に掴めてきますし、
ドラマ等の会話シーンで相手がどういう反応をしているかで、その音がもつ意味がある程度掴めます。
- 次の段階では、簡単な会話を繰り返しながら、さらに一つ一つの音の持っているイメージを固めていくのですが、
適当な相手がいない場合は、ここは、辞書(
発音から引く辞書がありますのでそれが一番だと思います。カタカナで書いてあるものは買わない方が無難です。
)で、音のイメージを固めます。
ただ、辞書もあまり当てにならないので、参考程度に引く位が一番です。
- また、タイ語の文法は、会話と共に学び、会話能力の進歩は、文法学習の進み具合と一致べきだと思います。
まずは基本的な構造から、簡単な相手に質問したりする文法を覚えていきます。なお、何故か文法の本は、
英語との対応で説明しているものが多いのですが、日本語の「何」や「誰」にあたる単語など、
英語のWhatやWhoより、日本語の方に用法的(同じ単語が主語や目的語になる)に近かったりします。
- 最後の段階で、文字だと思います。
この学習法により、タイ語を聞いた時、直接、反応することが出来ます。
そう日本語を聞いて喋っている時と全く同じようにタイ語を聞いて話すことが可能になります。
また、タイ語を聞いて、頭の中で日本語に訳して、考えて、タイ語で喋る。
という無駄なプロセスを踏まないし、微妙なニュアンスの違いに悩まされる事もなくなります。
しかも、日本語に訳す場合も、頭に浮かんだイメージをそのまま日本語にすれば良いだけなので、非常に楽です。
そして、この学習法の正しさは、あなた自身も経験済みな事からも証明することが出来ます。
自分自身も、3歳〜5歳位の時、この方法で日本語を覚える事ができました[辞書は引かなかったけど...]。