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IE 帝國 その戦略と大衆支配の構造

そこまで興味の無いウェブ作者にもできること

暴君は唯我独尊を貫く

他の章で書いた重複になりますが、まとめの意味で書いておきます。 世間には Windows 付随の InternetExplorer (以下 IE)以外にも様々なブラウザ(ウェブ上の情報を読み取るソフトウェア)があります。 普及率の高いものとして Netscape 、 Mozilla 、 Opera 、 Safari などのブラウザがあり、これらは MicroSoft 以外の組織が作成したものです。 かつては(たかだか数年前)、Netscape が最大シェアのブラウザでした。 普及率と言えば IE は '04年現在の段階で 90%以上のシェアを持ち、他のブラウザを圧倒している存在です。 しかし、これだけの普及率を持っているのだから IE をスタンダードだと認識するのはよろしくないハナシです。 なぜなら、IE はクセっけが異常に強く、他のブラウザたちとの親和性が異常に低い暴君だからです。 HTML というマークアップ言語には W3C という非営利組織が定める標準があり、 W3C の歴史は IE などよりも長いわけです (最も、世界最初のブラウザである Mosaic は W3C の正式な設立よりも早かったくらいですが)。 現在の W3C と IE の関係は国連とアメリカの関係、というと分かりやすいでしょうか? 片や理念を掲げるが力が無く、 片や強烈な力で世界を動かすという2者の関係、結構近いものがあると思うんですよ。 力の一方でアメとムチのアメが巧いのも非常にアメリカ的ですよ、IE は。

余談がすぎましたが恐ろしく簡単にまとめてしまうならば、IE は普通にウェブ閲覧マシーンとして使う分には最高であり、 HTML・CSS の確認作業に用いるのには最低だというコトです。 なぜ、最低かというと自作の HTMLファイルの出来を IE で画面確認してしまうと、 IE の持つ強烈なクセっけに飲み込まれ、客観的な視点を失ってしまうからなんです。


影ながら優しい IE

バナー このサイトでは IE のクセっけを具体的事例を挙げて説明しています。 よく巷の意見として ”IE のバグ” という言葉で括られている感がありますが、個人的には違うと思います。 (無意識のうちに)IE のクセっけを存分に活かした作りの HTMLファイルでサイトを形作ると、 他のブラウザで見たときにグチャグチャのまるで体を成していない崩壊画像を見せるハメになり、 Mozilla のバグ、Opera のバグだという印象を与えてしまうのです。 なぜなら、IE ではちゃんと見れるのに IE以外のブラウザだとまともには見れない。 これは、もう非IEブラウザのバグ(エラー)だとしか言いようが無いでしょう。 このような倒錯した意識を皮肉って、マスコットキャラクターの ”バグサイトさん” を作りました (良かったらリンク用バナーに使ってやってください)。

それでは一つ、新たに発見した IE の独自特性を紹介したいと思います。 以下のように CSS の記述をしてみてください(分かる人は)。

p { border: solid dashed 4px }

border は枠線を作るプロパティですが、「枠線のスタイル」「枠線の色」「枠線の太さ」の3つを本来なら記述しなければなりません。 しかし、上記の例では solid(実線)、dashed(破線)、4px(4px の太さで)という値を与えているので記述ミスです。 ”実線か破線かハッキリしろ! そして色の指定もしてくれ!” と、いうコトでブラウザからクレームがきそうな 具合なんですが IE6 では何と、表示されました(標準準拠モードで)。 破線で黒色で 4px というコトにしといてくれるみたいで、何とも親切というか適当というか。 ”フォローしてくれて有難う” と、思うか ”ミスを隠蔽されたら困るわ” と、思うかは人それぞれでしょう。 しかし、ダメなものはダメだと拒否してくれないと教育上よくないですよ、個人的意見としては。 まあ要するにこれが、普通にウェブ閲覧マシーンとして使う分には最高であり、 HTML・CSS の確認作業に用いるのには最低だと言い切ってしまった所以であります。


妥協のHTML 厳格なCSS

標準仕様だとかブラウザ間の互換性だとか、そういうものにあまり興味のないウェブ作者も大勢 (むしろ、圧倒的多数)いますし、誰が何にどう興味を持とうが、そんなコトは批判の対象にも賞賛の対象にもなりません。 ですが、多数派の支持を得ないことには IE帝国の暴君ぶりに釘を刺すことが叶わないわけで、要するに当サイトの目的も達成されません。 とりあえず建前を叫ぶことはせずに(聞き飽きたでしょうし)、現状を十分に踏まえた上での現実味のある話をさせてもらおうかと思います。

HTML の独自要素、非推奨にせよ規格外にせよ、ハッキリ言って通用します。 これは紛れも無い事実であり、現状流通のほとんどのブラウザが妥協の産物として(ほとんどのタグを)受け入れているのです。 ですから、純粋に HTMLタグだけで論理的意味付けから装飾・レイアウト関係までやられるのであれば、 ブラウザ間の互換性というものはそこそこ維持されるハズなんです。 このような究極的な妥協が業界全体に漂っている感は否めませんし、将来的にもこの慣習は維持されると思います。 この点は十分に把握しておく必要があると思うワケです。

一方、HTML の独自要素(による混沌ぶり)には妥協した代わりに、CSS に関しては厳密な処置が行われているのも事実です。 あの Netscape も HTML では独自要素を作りましたが、CSSプロパティでは自主規制して独自拡張を行っていないと思われます。 そして、 IE の作った CSS における独自拡張はあらゆる非IEブラウザで無視される傾向があります。 当サイトで述べている IE のクセっけに関しても全て CSS における独自特性からくる所業だと言えます。 このような意味からも CSS を導入するのは非常に難易度の高い行為となるワケです。 CSS を大々的に用いるとブラウザ間の互換性を保つのが大変になります(独創的なレイアウトだと特に)。

一つ言えるのは、HTMLファイル冒頭の DOCTYPE(文書型)宣言を標準準拠モードにするコトです。 これによって、IE のクセっけの一つを封じ込めるコトができるわけです。 また、CSS を習得していく意味でも標準準拠の方が(曖昧さが少ないので)分かりやすいかと思います。

ただし留意すべきは、標準準拠モードにするコトで IE5.5以前の旧ブラウザに対して冷遇するコトに成りかねない点です。 なぜなら、IE5.5以前には互換モード(従来方式)しかないので標準モードには対応できないからです(レイアウトが崩れるかも)。 ただし、互換モードにしか対応していないブラウザは過去の遺物となりつつあるので(毎日確実に減少していく)、 先のことを考えるのなら、やはり標準準拠モードに慣れておくのが得策だろうと思います。 このあたりの話題に興味のある方は以下のリンク先に飛んでください。


仕様書読むより...

さて、このサイトを作るに当たり W3C の仕様書はほとんど読みませんでした(多少は読みましたよ)。 Mozilla という無料配布のブラウザをダウンロードしていろいろ試してみたんですが、 Mozilla が標準化を心がけて作ったブラウザなので、Mozilla で許されるコトは W3C でも認めているコトだろうという 安直な考えです。 この考え方が正しいのかは分かりませんが、当サイトでは他のどこよりも IE の独自性を具体的に解明できたハズだと自負しております。

実際、いろいろと記述内容について裏を取らないとデマや怪情報を撒き散らすコトになりかねないので、 2つのブラウザによる動作確認、W3C の仕様書の閲覧(たまに)、いくつかのウェブサイトからの情報収集という多方面からの確認を心がけました。 その結果感じたのは、2つのブラウザによる動作確認、これが最良の方法だったというコトです。 テスト用の HTMLファイルを作り(標準準拠モードと互換モードの2バージョンずつ)、それを IE と Mozilla の Firefox で試す。 思い込みや常識を疑っていろいろ試してみた結果、新たな発見をすることができました。

人間の書いた文章よりも、機械の動作で試す方がはるかに信頼性が高いという理屈です。 例え正確無比な文章があったとしても、それを読解する過程において読み違いや錯誤を起こす可能性があるコトを忘れてはなりません。 人間の解釈はイロイロ、世に存在するブラウザもイロイロ、しかし、ある特定のブラウザが HTMLファイルに対して行う解釈は たった一つしかないワケです。 人間の発言・文章には陰に様々な意図がありますし、人間の組織が作る機械にも陰に様々な意図が内包されています。 しかし、機械は与えられた脳で愚直に同じコトを繰り返すのみです。 いったいどちらに信頼性を感じますか? そして、この文章の着地点はどこに? ......、。


悪の帝国

スターウォーズのような架空の世界ならずとも、現実世界に悪の帝国は存在します。 ただし、ライバルを蹴散らし肥大化した組織が唯我独尊的に振舞うのは人間の普遍的な所業であり、普遍的な共同体の運命です。 しかし、あまりにも強力な頂上組織が君臨するのは世の為になりませんし、 身のある競争相手を失うことは勝者にとってさえ、望ましい状況ではありません。 競い合い、せめぎ合いの渦中においてのみ大義・公正を掲げることに意味が生じるのであって、 独占体制の元で身勝手に走ってしまうのは残念ながらも仕方の無いことだと思っております。 バランスですよ、バランス。世の中なんて......。バランスを取り戻せ!


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