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IE 帝國 その戦略と大衆支配の構造

テキスト本(解説文書)は信用できない

立場を明らかにしないというスタンス

HTMLファイルの冒頭にて行われる DOCTYPE宣言は、その HTMLファイルのスタンス・方向性を明示するものです。 このように己の立場を明らかにすることは日本人にとって苦手なことに属します。 アメリカ人などは民主党、共和党のどちらの政党を支持するかについて有名人(映画監督、ミュージシャンに至るまで)が 自らの活動にからめて明示する傾向があるほどです。 まあ、とにかく HTML や CSS の解説を行っている市販本にしても、 著者がどのようなスタンスで本を書いているのかは明らかにしてほしいものです。 これらの解説テキスト本において、2つの方向性が考えられるコトは明白だからです。

実際にはどちらかに完全に傾倒するというコトでは無く、両側の中間を採択するようです。 ただし中間といっても、どちらか寄りなのは間違いないでしょう。 卑怯なのは心情的には確実にどちらかを選んでいるくせに、それを明示しないという(著者の)姿勢にあります。 ”現状で圧倒的に流通しているのは IE なので、本書では W3C の標準仕様についてはほとんど考慮せずに IE で確実に表示されるコトを目指します”  と、でも書いていてくれたらどれ程気持ちがいいか。 後から、IE でしか通用しない内容だったと読者が嘆いても、その読者はそれほど怒り心頭というワケにはならないでしょう。

きちんと調査したわけでは無いので、断言することはできませんが、 ”本書掲載の内容の一部は IE や Netscape の独自仕様であり、W3C の仕様とは必ずしも一致しませんので...” という類の文章を紛れ込ませるコトで、内容に対する責任を回避する免罪符にしているような気がします。 とにかく本の著者および版元会社にお金を払って読まねばならない一読者としては、 著者のスタンスというものを理解した上で購入すべきだと思います。


潜入調査(安上がりな方法で...)

少し市井の声を聞いてみた方が現実的かもしれません。 通販の amazon では、一般人(?)の批評が載っているのでそれを見てみようかと思います。 ”HTML CSS” のキーワードでヒットした解説文書のブックレビューを紹介させていただきます。

「 HTML&CSSマスターブック」 えいじ氏レビュー

(前略)本書は、タイトルのまま、「スタンダード(平凡で面白味がないが理解しやすい)」デザインのWebページ作成を、W3C標準規格に沿ってHTMLとCSSを記述し、WAI(ウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン)や、SEO(検索エンジン最適化)も考慮し、Webページを作成していくプロセスを、理解しやすく記述しています。 残念な点は、XHTMLでなく、「HTML 4.01〜〜 Strict」で記述されている点と、P.186の「Windows版のInternet Explorerを使用しているユーザーがほとんどである。・・・」と記述し、他のブラウザでレイアウトが崩れることを容認するかの記述が、日頃、Internet ExplorerのCSSに関するバグに腹立ちしている制作者の神経を逆撫でしている点です。(笑)(後略)

「HTML+CSS Webデザイン・スタイルガイド」 ペポタ氏レビュー

ホームページを作成するタグであるHTMLは、WWW標準化団体(W3C)により策定されましたが、もともとHTMLは論理構造を記述するものであって、色や装飾といった見た目のデザインは出来ませんでした。 しかし、WEBページが増えるにしたがって、デザイン面での要求が高まり、ブラウザの圧倒的なシェアを占めていたIEとNNが個別に、独自拡張タグを大量に追加しました。 この殆どが装飾目的のタグであり、今まで論理構造で記述されていたHTMLが、文章と装飾とを混同にされたものへとなりました。 しかし、同じHTMLでも、ブラウザによって見え方が異なるという問題を解決するために、W3Cは「HTMLは文章の意味を定義するものであって、 見た目を定義するものではない」という本来の思想から、HTML4.0を勧告しました。 HTMLは、「文章の定義」で、cssは「装飾専用」といった勧告です。 この本は、俗な『HTML』本と違い、真のHTML+cssを教えてくれます。

「HTML+CSS Handbook 2nd Edition」 徳保隆夫氏レビュー

(前略)ただし、本書の解説には疑問符がつきます。仕様書にない内容(ブラウザ依存の Tips や各社の独自拡張など)を多く扱っていることから容易に想像がつくように、本書は現場で役立つことに傾注し、標準技術の仕様に違反する説明・サンプルを多く含んでいます。なるほど、現実問題としては著者の理解で問題ないのでしょう。しかし、著者が仕様書を全く読んでいない可能性さえ疑わせる記述が存在することには、留意すべきです。 本書の HTML の解説において決定的に問題なのは、要素の入れ子について、ほとんど配慮がないことです。blockquote 要素直下にテキストを入れたサンプルなどが平気で登場します。「どの要素がどの要素を子要素に持ってよいのか」は、HTML の最も基本的なルールのひとつです。CSS についてきちんと考える際にも、本来ならば避けては通れない部分なのですが。(後略)

「HTMLタグ辞典」 hiyokoya6氏レビュー

備忘録として、すぐ手の届くところにおいてます。

(1)W3C的なHTMLの使い方の「正しさ」の普及を目指す人々からすれば「HTMLは構造記述言語なのであって、文字装飾はCSSで行うべし」ということらしいので、本書のHTMLによる文字装飾の解説とか、W3C的に推奨できない記述は、我慢しがたいところなのでしょう。

(2)そうでない人々にとっては、まあ、そんなに細かいことを気にせずに色々できるのが、HTMLのよいところだし、ブラウザの側でどう実装されてるのか、のほうが実際には重要じゃん?ってノリ。

 で、まあ、私は、圧倒的に後者に属するので、本書の解釈が多少間違ってようが、ま、いいんじゃないスカ? という感じで本書を支持。


帯に短し、たすきに長し

amazon のブックレビューでは、標準仕様に忠実な内容の本が良書であるという傾向が見られました (もちろん、反対意見もありましたしが)。 まあ、それはいいとして右も左も分からない入門者にとって標準仕様を厳守した内容の本は難しすぎるのでは? とも思います。 分かりやすさも重要なファクターであるのは言わずもがな、というヤツですよ。 本の売り文句として、”初心者から上級者まで” というコピーがよくありますが、そんなもの実際には有り得ないわけです。

だから、テキスト本を買うとしたら徹底的に安易な内容のものにするか、 徹底的に標準仕様にこだわるものにするか、どちらかを選べばいいワケです。 中途半端に中級者向けなんて書いている本は、作者も中途半端なスタンスで書いている可能性が高いので良くないです(多分)。 極端に初心者向けをアピールしている本は批判の対象になりがちですが、 ある意味、購入者も初心者向けの本だと納得の上で買っているのですから問題ないのかもしれません。 今まで、初心者向けの本は腹立つ、という内容のことも書いたりしましたがそれは間違いでした。 少なくとも今はそう思います。 スタンスを明確にしない中途半端な本こそが(そしてオレって何となく中級者? と、思う心こそが)、混乱のもとなんですよ。


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