作:◆I0wh6UNvl6
遊園地の茂みをよく見て見ると男がいた、まるで背景と一体化しているようで、その姿は遠くからではまるで見えない。
いつもに比べてもムッソリ具合を増した顔は注意深く辺りを見回す。一旦は南に向かおうとしたが途中地図を見てより隠れやすいだろう遊園地にいくことにしたのだ。
先程までいた男は観覧車の上にいて、奇襲を仕掛けるのには不便だったので様子を見ていたが、少し前にどっかへ走りさっていった。
ふと視界の隅に人影が見えた、どうやら女のようだった。
だがいくつかの要素が彼をためらわせている。
1つは単純に武器のこと。
ここから見ても殺傷力に優れた剣を装備しているのが見て取れる。
さらに相手は切り札を用意しているようだった、おそらく拳銃の類だろう。
2つ目は相手の雰囲気だ。
一見優雅な立ち振る舞いをしているが・・その目には明らかな殺意が宿っていた。
3つ目、これが彼にとって最大の理由かもしれないが・・彼女の容姿は彼の知り合いに似ていた。
どうやら本人ではないようだが長く綺麗な黒髪、モデルのような長い足などはどうにも彼女を意識してしまってやりづらい。
だがしかしそのためらいを振り払い、彼は茂みから飛び出した。
相手が自分の姿に気付いた時にはもう遅い、彼の一撃は彼女の剣を弾き飛ばしていた。
そして即座に後ろに回り、コンバットナイフを首筋につきつける。
先程までの彼ならば即座にその首をかっきっていたがやはりどうにもやりづらいのでとりあえず解放すると質問してみる。
「君に似た容姿の子を知らないか?名前は千鳥かなめという。」
彼女は緊張しながらも表面上は冷静に振舞いながら答えた。
「あった記憶はありませんわ。私も人を探しています、赤い髪をツインテールにしている女の子で祐巳というのですが・・。」
「見てない。」
簡潔な答えが返ってきた。
「そうですか・・できればあなたと一緒に行動しながら祐巳を探したいと思うのですがよろしいでしょうか?このような場所に1人では不安で・・私、小笠原翔子と申しますわ。あなたのお名前は?」彼女が名乗り、相手の名を訊く。
「相良宗介、階級は軍曹だ。確かに探索任務は単独でやるよりペアを組んだ方がやりやすい、肯定する。」
少し変な答えがかえってきた。
「とりあえずは移動しませんか?このような場所では発見されやすいでしょうから。」
「肯定だ。」
と言って茂みに彼は茂みに戻ろうとする。彼の後ろには・・ソーコムピストルを構えた小笠原翔子の姿があった。
『ごめんなさい、これも祐巳のためなの・・。』
目をつぶりながらも躊躇はせずに引き金をひく、彼は凶弾に倒れた・・はずだった。
祥子が目を開けたその先に相良宗介の倒れた姿はなかった。
「え?」
と声を漏らした直後、彼女の視界は回転した、地面と口付けしてしまいそうになる。
「味方になったと見せかけ隙を作って攻撃するのはいいが・・仕掛けるのが早すぎる、さらに目も開けずに拳銃を撃つなど、テロリストとしても軍人としても三流だ。」
みしみしと彼女の骨が軋む、拳銃は既に相手の手の中だ。
「どうやって・・狙っているのが・・分かったの?」
痛みに耐えながらも問う。
「あの訓練施設にあったのを拝借してきた。」
彼が指す先にあったもの・・ミラーハウスだった。
『祐巳、ごめんなさい、あなたは頑張って生き残るのよ。』
宗介がナイフを構えた、そして・・何かに弾き飛ばされた。
「宗介、あんたまた何やってんのよ!」
彼にとっては良く聞いた声、彼女にとっては初めて聞く声。
千鳥かなめが、そこにいた。
【E1/海洋遊園地/7:30】
【赤薔薇パニック!】残り94人
【小笠原祥子】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】荷物ワンセット(毒薬のみ)
【思考】誰だろうこの女性。
【相良宗介】
【状態】健康
【装備】ソーコムピストル、コンバットナイフ、スローイングナイフ
【道具】前と変わらず
【思考】かなめ?
【千鳥かなめ】
【状態】健康
【装備】?
【道具】?
【思考】あんた何やってんのよ、宗介!
かなめが他のメンバーと離れたかどうかは次の人にお任せします。
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