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第196話:下手な嘘

作:◆I0wh6UNvl6

『さっきのあれは・・』
荷物をまとめて出発しようとしているとき、しずくの頭の中には取っ掛かりがあった。
普通の人間なら見えなくて当然の距離だったが、生憎彼女は人間ではなかった。
『さっきのあれは・・BB?』
進路を決めていたとき、遠く離れた空に微かに見えたもの、彼女から見てそれは確かにBBだった。
「どうかしたのしずく?さっきから変よ?」
かなめが声を掛ける、すぐ後ろにはオドーもいた。
「いえ・・なんでもありません。」
こんなことを話しても意味はない。
しずくは黙っておくことにした。
「あんた嘘が下手ね。話してみなさいよ、黙ってたっていいことないわよ。」
少し考えてから、しずくは話すことにした。
さっき北の空に何かが見えたこと、それが彼女の探していた人物に見えたことを。
「そう・・。」
かなめは話を聞き終えると、オドーの方向き直って言った。
「ねえオドーさん、あたし実はさっきの戦闘のとき足を挫いちゃったの、それで・・。」
「かなめ、おまえも、おまえも嘘が下手だ。」
オドーが少し笑いながら言った。


「かなめさん、オドーさん!」
自分のただの勘のために危険な道を歩かせるわけにはいかないと思い、しずくは止めようとした。
だがその言葉をかなめが遮る。
「しずく、たまには勘で動くのもいいものよ。」
にっこりと笑っていう。
「それに、いざとなったらオドーさんが守ってくれるしね。」
自分が足手まといになったときには自ら命を絶つつもりだ。
という言葉は言わなかった。
「ああ、ああ安心しろ、お嬢さん方を守るのは私の、私の役目だ。」
オドーからも頼もしい言葉が発せられた。
「かなめさん、オドーさん・・ありがとう。」
心から感謝の礼を述べた。
「さて、行きましょうか。」
かなめが出発の声を掛ける。
そして3人は北へ向かった、その先に待ち望んだ再会のあることを信じて。


【H-1神社付近一日目610】
【正義と自由の同盟】
残り94人

【しずく】
【状態】機能異常はないがセンサーが上手く働かない。
【装備】エスカリボルグ(撲殺天使ドクロちゃん)
【道具】荷物一式
【思考】オドーとかなめに感謝、BBを追う。
【行動】E1経由で中央部へ

【千鳥かなめ】
【状態】いたって健康。
【装備】鉄パイプのようなもの(バイトでウィザード、団員の特殊装備)
【道具】荷物一式
【思考】しずくの勘を信じる、宗介、テッサに会いたい。
【行動】E1経由で中央部へ。

【オドー】
【状態】健康
【装備】アンチロックドブレード(戯言シリーズ)
【道具】デイバック(支給品一式)
【思考】しずくの勘を信じる、協力者を募る、知人との合流、二人を守る。
【行動】E1経由で中央部へ。

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