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第088話:僕だけ絵師が違うじゃねぇか!ぎゃh (ry

作:◆xSp2cIn2/A

「来る」
「あぁ、一人…だな。」
 出夢は、唐突な、長門の短い言葉に反応して体を起こす。
「悠二ィィィィィィ!」
突然の絶叫に出夢は虚を突かれる。勢い良く窓ガラスを割り入ってきたのは、紅い髪の少女。
『炎髪灼眼の射ち手』シャナである。
あの『人類最強』かと思って身構えた出夢だったが、現れたのが10歳ほどの少女だったのを見て、いくらか気を緩める。
しかし油断は禁物である。なぜなら、少女の動きは強者のソレであったからだ。
「悠二ッ!悠二はどこ?」
 周りを見回すシャナ。
しかしそこにいるのは無表情でこちらを眺める少女のみ。
(クッ!あせったせいで階数を間違えたか)
と、シャナが思考しているとき、出夢はすでにシャナの真上の天井に跳躍し、張り付いていた。
シャナが気配を察知し、真上を見上げたときにはもう遅い。
出夢が落下しながら、体を弓のようにそらして一撃必殺の拳を放つ。
極端に細く、長い腕から繰り出されたソレは――
「ひゃっははぁッ!くっらえぇぇぇぇ!イーティングワンッ!」
喰らった――いや、喰ったモノを、まるで元からこの世に存在していなかったかのごとく、
粉々に、砕いた。

 喰われた廊下には巨大な穴が開き、『炎髪灼眼の射ち手』シャナは、
「え?ちょッ!ちょっとぉぉぉぉぉぉ!」
真っ逆さまに落下した。
それを見届けるまもなく出夢は叫ぶ。
「いまだ、おねぇさん。逃げるぜぇ!」
 出夢は未だに無表情で立ち尽くしている長門を小脇に抱えると、
(同じ、むしろ自分より大きな少女を抱えている様は、いくらか滑稽だ)
廊下に出て、叫ぶ。
「あー、名前なんだっけ?…そうそう、坂井ぃぃぃ!どこに居るかはしらねぇが敵襲だ!
 とりあえず逃げるぞ!襲われる前にここから出ろ!紅い髪の女だ!『死色』じゃぁねぇけどな。
 ぎゃははははは!」
出夢は城中に聞こえるような大声で叫ぶと、廊下の窓から飛び降りた。

「ッ!ちょっとあんた!坂井ってもしかして坂井悠二!?」
穴から這い上がったシャナは、出夢の叫びに向かって問うが、出夢はもう窓から飛び降りた後だ。
「っ!くそ!」
 出夢を追いかけようとするシャナ、しかしもう追いつけないと悟ったのか、
「悠二!今行くわよ!それまでに死んだら許さないんだから!」
 と言って、二階ほど下にいるらしい悠二のもとへと急いだ。


【チーム・ザ・いとうのいぢ+α−1】(匂宮出夢/長門有紀)
【G-4/城の廊下/03:15】
【残り98人】
【長門有紀】
[状態]:若干の疲労。
[装備]:ライター
[道具]:デイバック一式。
[思考]:シェルターの形成/情報収集/ハルヒ・キョンの安全確保

【匂宮出夢】
[状態]:健康。
[装備]:???
[道具]:デイバック一式。
[思考]:とりあえず悠二を待ってから逃走。来なかったら長門と逃走

【シャナ 】
[状態]健康。
[装備]刀(なまくら)
[道具]デイバック一式。
[思考]悠二を探す

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