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第085話:本で戦う暗殺者

作:◆E1UswHhuQc

「あなた、マージョリー・ドーの居場所は分かるの?」
「ああ。我が麗しのゴブレットは……こっから北だな」
 ミズーは星を見て方角を判断し、マルコシアスの言葉通りの方向へ進んでいく。
 彼を全面的に信じているわけではないが――現状、信じるしかない。
 闇雲に歩き回ってフリウ・ハリスコーを探すよりは、マージョリー・ドーという人物と接触して、協力したほうがいい。なにしろ支給された武器がこの巨大な本だけなのだから、戦いはなるべく避けたい。
 ミズーはなるべく足音を隠しながら進む。ウルペンがこちらを狙って動き回っている可能性は高い。
 と――
「……石段?」
「ヒッヒッヒ。天国への階段かもなー」
「黙りなさい」
 マルコシアスに告げ、しばし思案する――目の前にある石段を、登るか登らないか。
 考えているうちに。


 上の方から、爆音が響いた。
「何が――!?」
 逡巡したその時、マルコシアスが言った。
「今の爆発は、我が騒がしい飲んだくれ、マージョリー・ドーだな。こんな夜中にでっかい音立てやがって」
「……戦闘中、ということ?」
「多分なー。何しろ我がぶっちぎりの牙、マージョリー・ドーは怒りっぽくてな」
 ヒッヒッヒ、と笑う、マルコシアス。
「誰かと会ったが、話し合いがこじれて自在法ぶっ放したんだろーよ。ヒャーッハッハッハ!」
「静かにしなさい。……私も行くわよ」
「おお? なかなか好戦的だな、我が麗しき運搬人、ミズー・ビアンカ!」
「……剣より使いにくいけれど、あなたで戦えないこともないわ」
「ヘっ! ……イカしてるぜ、アンタ」
「ありがとう」
 言って、ミズーは石段を駆け上った。

【C-5/長い石段/1日目・1:25】

 【ミズー・ビアンカ】
 [状態]:焦り
 [装備]:神器『グリモア』
 [道具]:デイバッグ(支給品入り)
 [思考]:B-5へ移動。

【残り99人】

2005/05/23 修正メール

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