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財産運用の確率学ど博打編
ギャンブルはどこまで投資になりえるか?

 このホームページを作り始めて 早1年。
 未だに どんどん双眼鏡が増えていく管理人です。
 もちろん双眼鏡の数に比例して、銀行の残高は見る見る少なくなっていきます。
 衝動的な欲求に駆られ定期預金にまで 手を付けてしまうことも珍しくありません。

 毎年 政府が発表する貯蓄動向調査によると 一世帯あたりの平均貯蓄額は1356万円もあるそうです。
 我が家の預貯金・証券をかき集めても、その10分の1にも届きそうにありません。
 双眼鏡なら普通の家庭の10倍以上持っているんですが、全部売り払っても 何の助けにもなりません。(参考文献

 皆さんは、本当に、こんな貯金を持っているんでしょうか。
 つい最近までは 日本政府 お得意の「大本営発表」かと思っていました。

貯蓄を煽れば 財政赤字のツケを個人の預金で吸収することができますからねえ。

 って、新聞記事にも完全無視で 浪費に勤しんでいたわけですが、同い年の同僚が一戸建てを買うと聞きショックを受けてしまいました。
 なんとJR駅前の一等地、土地だけでX000万と言うのです。
 漏れ聞くところによると、結婚以来 堅実に貯金を続けて 自己資金が¥8桁あったとか。

 彼が私よりデキる人間であることは認めましょう。
 仕事は手早くこなし、論文もきちんと書き、教養にあふれ、自己研鑽を怠らない立派な人間であることも否定しません。
 いつも上司の目を盗んでは 実験をサボっている誰かさんとは大違いです。

 が、手取りの収入はそんなに違わないはず。
 実家も大金持ちではないはず。
 それなのに、それなのに、何で こんなに貧富の差が拡大してしまったのでしょうか。
 私だって色々と無駄遣いしているけど、1000万も双眼鏡を買ってしまったわけではないぞ。


 書いてきて気が付いたんですが、双眼鏡にハマる前から 何かに無駄遣いを繰り返す生活をしていたんですよね。

 学生時代は スキーに凝っていて、御茶ノ水界隈に行くたびに板が一本づつ増えるような状態。
 おまけに、授業サボって雪山通って 奨学金もパー。

 就職してすぐは車に熱中して、パーツだあ、走行会だあ、ガソリン代だあ と無軌道に出費を重ねた挙句、事故をやっては車がパー。
 新しく車を買っては、ローンにローンが重なる禁治産一歩手前な状態。
 結婚してからは 双眼鏡を集めはじめて、もう後はご承知のとおり。

 ううん、お金が残らないはずですねえ。

 私の浪費の特徴は、「あれば あるだけ使う」タイプ。
 手元にお金があると、必要性は高くなくても 何か欲しくなってしまいます。
 給料日が過ぎて 銀行残高が増えていると、双眼鏡のカタログが手放せなくなります。
 双眼鏡が駄目なら、デジカメやパソコン。
 それも妻にたしなめられると 服や靴が買いたくなるような・・・。

 要するに使えるお金がある限り 消費の喜びを求めて浪費を繰り返しているのです。

 一時 我慢して貯金をしても絶対に無駄

 私のような「買い物依存人間」にとって、貯蓄というのは かなり不愉快な行為です。
 貯蓄は直接的な快楽を生まないのですから、プラスかマイナスかの違いはあっても 税金の支払いや借金の返済と同種の物でしかありません。

 浪費できないストレスが溜まってしまえば、定期だろうが積立だろうが 解約できない預金は存在しません。
 今のようにテレフォンバンキングが発達してきたら なおさらです。

 今までだって 定期積立だったり 生命保険だったりと それなりに貯蓄の真似事はしてきたんですけど・・・
 さすがに生活予備分の蓄えにまでは 手をつけていませんが、このままでは住宅資金が貯まらないのはもちろん、息子の幼稚園資金まで食いつぶしてしまいそうです。

 お金を増やす必要があるにしても、快楽が得られる手段でなければ「お病気」が納得しません。
 おとなしく平和に 銀行のお得意さまでいるだけでは 絶対に浪費衝動を抑えられないのです。

 ね、だんだん危ないほうに話が進んできましたね。


 「楽しんでお金を増やす」というなら、博打が一番でしょう。

 発売中のサマージャンボを買っておけば、とりあえず2等でも1億円です。
 億のためなら 真夏の銀座チャンスセンターでだって行列しましょう。
 これだけあれば家だって教育資金だって どうにでもなるぞ。(完全に前回の計算結果を忘れている)

 でも、ジャンボ宝くじが良くないのは 年に4回しか発売されていない点です。
 仮に1億円を手にしても 気前よく使っていては底を尽く可能性がなくはありません。(筆者の浪費癖ですよ)
 宝くじなんて そう当たりそうにありませんから もう少し開催回数の多い博打の方が安心かもしれません。

 その点、競馬・競輪は大当たりは少ないものの いつでもどこかで開催されているのが魅力です。
 万馬券を当てるのは難しいでしょうが、逆に 鉄板レースで枠連 買っても 4〜6倍程度の配当です。
 保険をかけて 一番人気から3点流しても、5倍の配当がくれば1.7倍の利益となります。
 おまけに競馬は1日十数レースが行われますから、確実性の高いレースを選んでも三つや四つは取ることができるでしょう。
 勝ち金を3レースで再投資を繰り返せば、最終的には元金の5倍に成長します。

 中央競馬だけでも毎週末 開催していますから、一ヶ月府中に通いつめれば 1.7の24乗の利益となるはずです。
 1万円の原資で始めても、なんと30億円突破!!
 将来のことなんて、何も心配が要らなくなりますね。


 え、「そんなに うまくいく訳がないだろう」って?

 実はおっしゃるとおりなんです。
 私は宝くじを買いつづけて早5年。
 競馬場は中山・船橋とマメに通って12年。(学生の勝馬投票券の購入は法律で禁止されています)
 投資レースは200や300じゃないのに、いまだに大金持ちになっていません。

 もう読者の方はわかりかと思いますが、世の中の博打は 仲間だけのマージャンでもない限り 「寺銭」が存在します。
 私たちが払ったお金は全てが当選金の原資になるわけではなくて、「親(開催者)」の取り分が天引きされた後の残りだけが払い戻される仕組みです。

 公営ギャンブルや宝くじは会計内容が明らかになっていますし、他の賭博でも期待値が計算できるものも存在します。
 一例をあげてみると・・・・

表(1) 当選金の還元率
宝くじ 約48%
競馬・競輪・競艇 約75%
ノミ馬券(もちろん非合法) 82%前後?
カジノのルーレット 約95%


 半分も還元されない宝くじは論外だと分かりますが、他の数字は高いものから低いものまで様々です。
 数字だけを見ていても必勝法は分かりませんから、それぞれのゲームの特徴を見ていって見ましょう。


    「宝くじ」の確率学  詳しくは別項を参照のこと

 宝くじは 最も身近で 最も普及しているギャンブルでしょう。
 ジャンボ宝くじの発売時期になると 有名タレントを使ったCMが作られ、一等賞金の大きさを訴えながら 簡単に当てられるような錯覚を垂れ流しつづけます。
 1等・2等は 普通の世帯では稼ぎ出せない金額ですから、金銭が大きく動く 正月・年度明け・夏休みに合わせて売り出されると ついつい売り場に足を運んでしまうことでしょう。
 実際に計算してみると とんでもない博打なんですが、お上が 宝くじだけ極めて高額な寺銭を許しているのはなぜでしょうか。

 「益金が社会のために使われるから」という声が聞こえてきましたが、奇麗事を受け売りにした つまらない答えです。
 「関連事業で天下り先を確保できるから」というのも、社会学系のホームページならともかく、理系のサイトとしては0点です。
 益金が「社会のため」に使われているのも 天下り先を作っているのも、総ての公営ギャンブルに当てはまることで 宝くじだけの問題ではありません。

 宝くじが他のギャンブルと異なる最大の点は、開催回数の少なさにあります。

 ほとんどの場合、くじ購入者は大半の出資金を失うことになるのですが、開催数は年4回ですから 単位期間あたりの損失には限界があります。
 公営ギャンブルやパチンコで生計を立てようとするギャンブラーの話はよく聞きますが、宝くじで生計を立てているばくとのはなしをきいたことはあrのは販売業者だけです。
 開催間隔が開けばその間の収入があるわけで、「寺銭」の相乗的な影響を避けられますから 生活を破壊してしまうリスクも避けられます。

 宝くじの主催者にとって 宝くじの参加者は「美味しい鴨」ですから、「生かさず殺さず」長くお得意様でいてくれることこそが 最大の利得となるのです。


    「公営ギャンブル」の確率学

 次に競馬を見てみましょう。
 半分以下しか還元されない宝くじを見た後では 75%の寺銭も安く感じられるかもしれません。
 ところが、注意しなければいけないのは「75%の寺銭」というのが、1レースごとの数字だという点です。

 10万円を原資に馬券を買い続ければ、10レース後にはどうなっているのでしょう。
 手元に電卓を用意して、「0.75X0.75X・・・」を繰り返してみてください。
 2レース目に参加した時点で 期待値は(0.75X0.75)となりますから配当率は50%を割り込みます。
 3レース目には配当率42%で あの宝くじを下回ってしまいます。
 この計算を10回繰り返すと、電卓には「0.0563」と表示されていることでしょう。

 つまり、一日のレースが終わる頃には 5600円しか残っていないことになります。
 競馬場の帰りに ほとんどお金が残らないのは、数学的にも当然の結論なのです。

こんなことを書いていると、きっと反感を覚える方も多いでしょうねぇ。

 ほぼ完全に偶然性に依存する宝くじはともかく、競馬や競輪には 予想が生きる余地があります。
 自身に馬を見る眼があり、4分の1の寺銭にも負けない予想が出来ると思われるかもしれません。
 競馬評論家はいろいろな理屈をつけてくれますし、予想サークルや専門誌まで存在します。
 理論的に考えていくと 当たりそうな気がするんですけど、確率的にはどうなのでしょうか。

 仮に、1レースで4点に流して 10倍前後の堅い馬券を倍率を狙う場合を考えてみましょう。
 競馬をやらない方にはなじみがないでしょうが、人気馬を選べる馬券を取りやすい条件だと思います。
 元を取るためには どのくらいの確立で勝たなければいけないのでしょうか。

 ちょっと複雑ですが 高校生レベルの数学で計算することができます。

 1/{0.75X(10/4)}=0.533

 つまり、53%の確率で予想を当てて初めて元が取れる計算です。
 これだけ甘い条件だと 2回に一回当てるだけでは 儲けることが出来ません。

 逆にいえば、あなたが千里の馬を見当てる名伯楽なら、10回に6回づつ 「堅い」レースを当てていくだけで結構な利益になるはずですですが、この確率をどう考えますか。
 馬券で家が立った話はあまり聞いたことがありませんが。


    「ルーレット」の確率学

 純粋に確率論からいけば カジノのルーレットは間違いなく賭手に有利な博打です。
 ルーレットの目は38個ありますが、親の取り分となるのは「0」と「00」の二つの目だけに過ぎません。
 ディーラーがランダムに玉を投げていれば、還元率は94.7%と きわめて高い数字になります。

 が、たった5%とナメてはいけません。
 あなたが勢い勇んで勝負を挑んだとしても、親が圧倒的に有利であることには変わりがありません。
 賭け方はどうでもかまいませんが、もし 20回賭けたとすれば 持ち金はいくらになっているのでしょうか。

 手元の電卓だとちょっと大変でしょうが (36/38)の20乗を計算してみてください。
 ボタンを間違えなければ「0.339」となっているはずです。
 たった5%でも回を重ねると 元手が3分の1になってしまうのです。
 ルーレットは 短時間で終わるゲームですから、小一時間でケツの毛までむしられてしまうでしょう。

 寺銭の恐ろしさは、どんなに小額でも相乗的に負荷される点にあります。

 ましてや、ちゃんとしたディーラーならある程度の狙いを定めることが可能です。
 この事実は解説書にも書かれていますし 公然の秘密となった感があるのですが、未だに 勘違いも目立ちます。
 多くの人は ディーラーが玉を放った後にビットすれば安全だと思っていますし、ある入門書には「ディーラーも特定の目を狙うことは困難なので、盤上に散らばって張るようにすれば安全である」なんて書かれています。
 数学的に考えれば どちらも全くの噴飯モノです。

 ディーラーが勝つことだけを考えるなら 特定の目に玉を放つ技術は必要ありません。
 親の総取りとなる「0」と「00」の目に入れる確率を ほんの少し上げることができるだけで儲けは飛躍的に増大します。

 たとえば 8%の確率で「親の総取り」をさせるディーラーを考えてみましょう。
 20回プレーすると、完全にランダムなら平均1.05回、8%のディーラーの卓では 平均1.6回 親の総取りになる計算です。
 たったこれだけの差で、出目を狙えるディーラーの卓に参加したプレーヤーは、20回プレーした後に残る金額は 通常の半分になってしまうのです。

(表2)

総取りとなる確率 親の総取り回数
(20回あたり)
20回ゲーム後の期待値
ランダムな卓 5.26% 1.05回 0.339
8%で狙えるディーラーの卓 8% 1.6回 0.188

 普段はランダムに振る舞うディーラーも 勝負どころで僅かに「総取り」の確率を上げるだけで、我々の勝つチャンスは ほぼ失われてしまうでしょう。
 これは 張る数字をどんなに分散させても避けられないですし、ディーラーが球を投げた後に賭けても 全く変化がありません。
 そして、ここで上げた程度の数字は プロにとっては非常に簡単な技術なのです。


 要するに、「賭博」で確実に儲ける事ができるのは 開催者だけに限られます。

「親」のリスクは 実に皆無。
何もせずとも 寺銭がジャラジャラ転がり込んで来ます。
そして、そのお金は私たちの懐から吸い上げられたものなのです。

 砂漠の中に豪華なカジノが建ち並び、街中を「宝くじ号」が走り回るはずです。

 冷静に考えれば考えるほど、賭博が賭手に利益をもたらさないのが 浮き彫りになってしまいます。
 私が無駄遣いをやめて、宝くじや競馬に資金を注ぎ込んでも 絶対に子供の教育資金は貯まらないのです。

 やはり私は浪費癖を抑えて、大人しく銀行預金をしていくしかないのでしょうか。


 次回は、良識ある方から軽蔑される「賭博」を離れて、PTAの教育ママも納得 純粋な経済行為で一攫千金の夢を追ってみましょう。

テーマは ずばり「投機」

はたして、筆者は息子を幼稚園に通わせることができるのでしょうか。
そして、我が家は 「中流家庭」の仲間入りすることができるのでしょうか。

請う ご期待!


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