remove
powerd by nog twitter

財産運用の確率学投機で逝こう編
経済行為はどこまでギャンブルか?

 前回は 博打が経済的に割に合わない行為であることを見てきました。
 親にとっては「濡れ手に粟」のオイシイ商売ですが、参加する側は 直接 懐に手を突っ込まれるようなものです。
 「楽しい時間の代償」と割り切れば良いのでしょうが、利益を期待できるものではありません。

 一方、偶然性の高い事象に金銭を投じる行為でも 「賭博」ではなく 「投機」と書くと 罪悪感もグッと薄まります。
 銀行までがハイリスクの金融商品を発売する現在、市場を通した博打の損得はどのように分析されるのでしょうか。

この文章は財産運用の確率学ど博打編の続編です。
初めての方は まずそちらからお読みください。

ホームへ戻る
雑記帳入り口へ


    冬季・登記・陶器?

 立て続けにギャンブルネタを書いていると 有害サイトの仲間入りしてしまいそうなのですが、「投資」と書くと 急に知的な感じがしてきませんか。

 絵画や骨董への投機となると不純ですが、外国為替や債券取引は資本主義経済の基幹です。
 場外馬券売り場が出来るとなると 反対運動が巻き起こりますが、証券会社にデモ隊が押し寄せる光景は見たことがないでしょう。

 そのくせ、この世界でも10倍・20倍は当たり前。
 長期的に見れば 万馬券となった株も存在します。
 家族に睨まれながら「博打」にウツツを抜かすより、「財産形成」と偽って 投機行為に励む方が楽でしょう。

 「博打」と言っても 競馬・麻雀・パチンコ・宝くじと 様々なゲームがあるように、「投機」にもいろいろな種類が存在します。

 身近で低予算(?)なモノでは 株式・債券投資・外貨取引。
 最近 銀行でも売り出すようになった投資信託も 「投機」と呼べる要素が山盛りです。

 さらに 為替証拠金取引や商品先物となると かなり香ばしい匂いがしてきます。
 あっという間に元金が数倍になる世界ですが、僅かな値動きで一発即死の悪夢が付きまといます。

 ちょっとまとめてみると・・・

  ご予算 リターン リスク 危険度
外貨貯金 数千円から ぼちぼち 低い方? 元本割れは良くある
外貨証拠金取引 50万円程度から でっかい ハイリスク! 元本以上の損失も一瞬で
株式 10万円程度から 銘柄による 中程度 最低でも元本以上は失わない
株式信用取引 200万円は まだ入り口 ドカンと一発 超ハイリスク 樹海に旅立つ心構えを
投資信託 1万円から可能 普通は それなり 低い方らしい 元本が半分になることも
オプション取引 数千円の商品もある 意外とショボイ ハイリスク? 元本0は当たり前
国内債券 100万円単位 はあ? ローリスクかな 発行企業次第
海外債券 100万円単位 お相手次第 様々 格付けを調べましょう
商品先物 数十万円から 目指せ億万長者 爆裂級 全財産を失う覚悟で

 色々とご用意されていますが、あなたはどれを選びます?(別に選ばなくても良いんだけどさ)

まずはリスクが低いと思われるゲームから取り上げて見ましょう。


    外貨貯蓄

 最も馴染みが深い「投機」が 為替取引でしょう。
 海外旅行に行くときに 円相場で一喜一憂していませんか。
 一週間の旅行から帰ってきて 円高になっていると泣ける事がありますよね。
 この外国為替の動きで一儲けしようというのが 外貨投機の真髄です。(?)

 基本は円高のときに外国通貨を買って 円安で売り払い差額が利益になります。
 1ドル=100円の時に 1000ドル仕込んで、120円で売り抜ければ 2万円が丸儲け。
 その昔 1ドル=80円の時に買っておけば 4万円が転がり込みます。

 相場が動きそうな時(今もそうだけど・・・)を狙えば短時間で利益があげられるでしょう。
 皆さんも国際社会の一員として 外貨投機を考えてみましょう。

 為替相場って 毎日のように新聞やテレビでも報じられていますが、私たちは紹介されるレートで取引できるわけではありません。
 普通は銀行や証券会社で売り買いするわけですが、基準レートに 手数料が上乗せされています。
 海外旅行に行かれる方だとお分かりでしょうけど、この「寺銭」が バカに出来ません。

 

手数料の例(US$の場合)

外貨現金 往復6円
トラベラーズチェック 往復3円
外貨預金 往復2円
外貨MMF 往復1円

実際の為替レートはこちらを参照

 手数料を考えると 外貨の現生を使って取引するのが 現実的でないのが分かるでしょう。

 普通は 銀行で外貨預金口座を作るか 証券会社で外貨建てMMFを買うのですが、往復2円の手数料でも かなりの重荷になります。
 1ドル=120円で買い込んでも 利益が出るのは1ドル=122円以上になった時。
 円高を予想して、早めに売り抜けてから買い戻す方針にしても 2円以上の値下がりが必要です。
 最近のグラフを見てみましょう。

 かなり大きな波を捕まえないと 儲けが出ないでしょ。

 「往復2円」っていうと少なく聞こえますが、計算してみると「1.7%の寺銭」と同義なんですよ。
 相場に乗って10回の取引を繰り返せば どうなるでしょう。
 0.983の10乗を計算してみてください。
 関数電卓には0.842と出ているでしょう。
 100万円の元本なら 手数料だけで16万円を失うことになります。
 最近の米国金利は下がる一方で 年利2%なんて事も珍しくありませんから、寺銭の重さが分かるでしょう。

 短期で投機的なディーリングを行うのなら、何より一回の手数料にこだわらなければいけません。
 真に投機的な取引を行う連中は 外貨MMFなんかを絶対に利用しないんです。
 要するに、往復1円でも 博打としてみるには 絶対に不利なんですよ。

 まあ、我々が低予算で利殖を狙うなら 確実に円高と思われる水準を狙って目一杯 仕込んで、細かい売り買いはしないのが鉄則です。
 円・ドル相場は大体40%の値動きを繰り返しながら動いていますから、目いっぱい 外貨を仕込んだら、後は寝て待つだけ。
 利回りと差益の両方を狙うのが定石ですが、そうなると「投機」ではなく「投資」の世界ですよね。

 一方、順調に値幅を稼いだときのことを考えてみましょう。
 1ドル=110円で10万円分ドルを仕込んで 120円で売り抜けたとしましょう。
 証券会社で一般的な往復1円の手数料で取引したとすると 利益は8100円になります。
 定期預金している事を考えると すごい利回りなんですが、投機として考えると ちょっと地味でしょうか。

 え、もっと儲けを出したいって?

 方法がないわけではありません。
 外国通貨はアメリカ$だけではないでしょう。
 値動きも利回りもユーロの方が上ですし、手数料も それほど高くありません。
 他にも 手数料は高いですが オーストラリア$やイギリス£もありますよ。

 もっと欲を出すなら南アフリカ・ラント建ての債権に張ってみますか?
 インドネシア・ルピアもありますよ、銀行では売っていませんけど。
 紙くずになっても自己責任ですよ。


    株式投資

 やはり何を言っても、「投機」の王道は株でしょう。
 外国為替より値動きが大きく、銘柄の選択肢も豊富です。
 トヨタやソニーのような国際優良株もあれば、新日鉄のような低位株、マ●カ●のような○○株まで何でもあり。

 最近はネット取引が普及して 随分敷居が低くなりましたが、いまだに株取引の印象が良くありません。
 実際に 証券会社に足を踏み入れると、株価ボードの前にオジ様方がタムロして 博打場の臭いが立ち込めています。
 店にもよるのでしょうが TVのCMを信じて奥様と支店を訪ねるなんて事は避けたほうが賢明でしょう。

 まあ普通は 家族に「株」の話をしただけで 「博打」以下の扱いを受けるでしょうけど。
 これだけ「株」の印象が悪いのは 大損をするイメージが強いからでしょうか。

大金が必要で あっという間に財産を失ってしまう。

 普通に思われている印象って こんなものでしょう。間違ってはいないんだけど・・・

 株を買うのに必要な資金は、確かに、数十万円から数百万円といったところが必要です。
 新聞で報道される各社の株価は 「トヨタ 4200円」とか「ニコン 1050円」とか 安いように見えるのですが、市場では 「単位株」といわれる100株や1000株の集りで取引されています。
 トヨタなら100株単位ですから 株主になるには42万円と手数料が必要になりますし、1000株単位のニコンでは100万円を超える出費となります。

 高いほうで言えば 武田製薬なんかは600万円は必要ですが、有名企業でも10万程度で手に入れられる株も存在します。
 要するに 銘柄さえ選べば 意外と敷居が低いのが分かるでしょう。

 値動きの大きさは 銀行預金しか知らない人には驚きでしょう。
 ニュースで報道される平均株価を見ていると分かるでしょうが、大きな材料がなくても 1日に10%程度の値動きが存在しています。
 有名企業でも 1ヶ月で3割以上株価が上がることは珍しくありませんし、もっとリスクのある株だと 元本が半分になることも日常茶飯事です。
 100万円を投資していれば 1割の株価下落が10万円の損失となりますから、気になりだしたら 夜も寝られなくなりそうです。

 一流企業を選んでいても 株価の下落は避けられないのですから、危険な匂いのする企業ならなおさらです。
 値動きの大きさを期待して ヤバイ株に手を出す投機家は後を絶たないのですが、返り討ちで血祭りに上げられることが少なくありません。

極めて危険な株の一例

  過去の実例企業 値動き こんなことに!!
業績不安の例 ソーテック(6829) 229万円→13.4万円
企業存続への不安・その1 マイカル(8269) 799円→83円
企業存続への不安・その2 大和銀行(8319) 538円→130円
仕手筋が暗躍した例? 高木証券(8625) 770円→218円
実体に比して人気が加熱した例 ヤフー(4689) 4197.5万円→36万円

 有名な企業にだけ投資していればリスクが避けられるかというと、決してそんなことはありません。
 世界の名だたる一流企業でも 株価が半分になることは珍しくありません。

株価がサエない一流企業の例

  過去の実例企業 値動き こんなことに!!
ITバブルの崩壊 ソニー(6758) 10340円→5740円
半導体不況 東芝(6502) 842円→561円
政治的なリスク NTT(9432) 135万円→60.7万円
子会社のトラブル ブリヂストン(5108) 1678円→980円

 株価の動きを見ていると泣きたくなるでしょう。
 元金の2割や3割は 一瞬で溶かされてしまうのが 株の世界なんです。

 え、何でそれなのに株を買うかって?

 それは いくつか幸せの例があるからなんですよ。

幸せな株価の一例

  過去の実例企業 値動き こんなことに!!
株価が2倍になった例 タカラ(7969) 711円→1740円
株価が2.5倍になった例 日産自動車(7021) 351円→900円
株価が3.5倍になった例 兼松(8020) 149円→510円

 上にあげた例は短時間で値上がりをしたものばかりで、リスキーな会社も含まれています。
 リスクとリターンは 相反する要素ですから仕方がないのですが。


 株で儲けを出そうと考えると 値動きばかりに目が行ってしまうのですが、実は 証券会社に支払う諸手数料のほうが問題です。

 株を売る時と買う時には手数料が掛かり、証券会社に株式口座を維持していくのにも維持費が徴収されることがあります。
 最近は 安価な費用を売りにするネット証券会社が台頭してきて、大手の会社でも値下げの動きが加速していますが まだ割高感があります。

  売買手数料(もちろん片道) 口座管理料(1年あたり)
大手証券会社・電話取引 売買代金の2% 3150円
大手証券会社・ネット取引 売買代金の1% 3150円
中堅証券会社・電話取引 売買代金の0.8% 無料
中堅証券会社・ネット取引 売買代金の0.5% 無料
ネット専業証券会社 1500円(定額制) 無料

 ううん、またしても数%の手数料が徴収されています。
 前に見た「純粋賭博」に比べると 随分と良心的なように見えますが、今のような株価が下落する時代には厳しい条件です。

 仮に ノルマ證券の店頭で 取引を繰り返したことを考えてみてください。
 株を買って 手放すという1サイクルに4%の手数料が徴収されます。
 これは 先ほど「儲けを出すのは極めて困難」と書いた外貨貯金の手数料を 2倍以上も上回っています。

 トヨタ自動車を例にとって見ましょう。

 4200円で買った株で利益が出せるのは 4540円を超えた時だけです。
 チャートを見てみると 短期でこれだけの値幅をとるのが難しいのが分かるでしょう。

 さらに手数料が有害なのは 複利効果の影響を受ける時です。
 調子に乗って5回売り買いを繰り返しただけで、元本は2割も失われてしまいます。
 [0.98の5乗]を計算してみてください。
 これが10回・20回と取引を重ねると有害性はさらに大きくなっていきます。
 相場の上げ下げに一喜一憂するのが どれだけ資本を蝕むかが思い知らされるでしょう。

 もし あなたが現物株で博打を打つつもりなら できるだけコストの掛からない証券会社を選ぶのは当然です。
 1500円定額制のネット証券を利用すれば 手数料の影響を多少なりとも薄めることが出来ます。
 300万円を運用するなら 一回の寺銭は往復で0.1%に減少します。
 これなら 20回売り買いを繰り返しても 理論的な元本の減少は 2%に過ぎません。

 2%というのは株価の1日の値動きでも吸収できる金額ですから、大金を用意できるのであれば 数学的には有利な賭博を楽しむことができるでしょう。
 ただ、前に述べたとおり 安全に見える株でも あっという間に半分になりますから、余裕資金で遊ばれることをお勧めします。 300万円を余裕資金と考えられる人がどれだけいるかは分かりませんが。

 もちろん、初心者が仕手株に全財産をつぎ込むような真似は止めてくださいね。


 逆に あなたが「投資」の一環として株を手にしようとするのなら、よくリスクを考えてみてください。
 株を買えるということは 株を売る人間がいたということです。
 あなたが魅力的に見える株を 相手は何らかの理由で手放したのです。

株式投資は 麻雀と同じく「ゼロサム ゲーム」そのものなんです。
あなたの儲けは 前の株主の利益を奪うことによってのみ 実現可能です。

 みんなが良いと思う株を みんなと同じタイミングで買っては絶対に利益を出すことが出来ません。
 そして、今の日本の株式市場のプレーヤーは その大半が機関投資家によって占められています。
 私たちが手に入れられるようなデーターは まず間違いなく巨大な資本が検討を進めていることでしょう。

 それでも、あなたは株を手にしようと思いますか?
 相手がプロと 熟練した個人投資家です。
 彼らが出来ないことをしなければ まず勝ち目はないのです。

本当に勝つ自信がありますか?

 え、私ですか?

 相手が 機関投資家だからこそ勝てる可能性があると思っていますけど。
 もちろん、現物株を買っていますよ。
 ニコンの最高級双眼鏡くらいは含み損がありますけど・・・(涙)


    投資信託

 前にも書いたとおり、株を買うには まとまった額の資金が必要です。
 ひとつの企業なら個人で手にするのも無理ではありませんが、一社の業績に依存する不安定な投資になってしまいます。
 資金をまとめて 分散した投資を行えばリスクを減らすことができるのでしょうし、素人が向こう見ずに投資先を決めるより 専門家に任せるというのも合理的です。

 投資家は 投資信託会社に資金を預け 運用を委託します。
 投資信託会社は 多数の個人から集めた巨額の資金を有望と思われる株や債券に投資して利殖を狙います。
 運用が上手くいけば 投資信託の基準価格が増加し 差額が投資家の利益となる寸法です。

 個人投資家にしてみれば 少額から債券や株式に投資を行うことが出来ますし、専門知識も現物株を買う時ほどは求められません。(そこに落とし穴があったりするわけですが)
 気に入った投資信託を買うだけで 有能なはずのマネージャーが最善と思われる運用を提供してくれるのです。
 細かい相場を気にする心配もなければ、会社四季報を買ってくる必要もありません。

 おまけに、今では投資信託が 銀行でまで売られるようになっています。
 胡散臭い雰囲気を漂わせる証券会社に足を運ばなくても、馴染みの銀行で 銘柄の相談まで出来てしまいます。(それが命取りだったりするわけですが)


 実際の投資信託はどのようになっているのでしょうか。

  販売単位 申込手数料 信託報酬 投資対象
のるま・アセット
日本株ファンド「桃太郎」
1万円以上
1円単位
1.0% 1.5% 日本・株式
シュレッダー
アジア オープン
1万円以上
1円単位
3.0% 1.16% アジア・株式

 証券会社や銀行に行って パンフレットをもらうと、こんな風な表がもらえるでしょう。

 投資信託には いろいろな名前が付けられています。
 投資の裾野を広げようとしているのでしょう。
 「ダ・ヴィンチ」だの、「牛若丸」だの、「たくみ」だの 耳障りの良いだけで無意味な名前のオンパレードです。
 日本の証券会社が投資家を小学生と同じ程度にしか見ていない証拠でしょう。

 真に 重要で、財産の行方を左右するのは、そのファンドが どのように運営されるかということです。
 債券に投資するのか、株式に投資するのか、両方含めるのか。
 債券を中心に運用する信託は安全ですが、利殖は株式型に劣ります。

 投資対象になる国は何処なのか。
 日本か、アメリカか、ヨーロッパか。
 アジアや中国、中には トルコやインドネシアといった国に投資するファンドも存在しています。
 安全度は名前から想像がつくでしょう。

 投資信託は 簡単そうで 手軽なイメージを売りにしながら、実態は 専門家が言っている以上に複雑なのです。
 これだけの選択肢の中から お望みの一本を見つけるには、それなりの勉強をしないと無理ってものでしょう。
 銀行の窓口に 予備知識を持たずに行っても、販売強化中の投信を売りつけられてオシマイになりますよ。


 そして、考えているうちに 目が行くのが 購入時に課金される「申込手数料」でしょう。
 投資信託のタイプにもよるのですが、高いものでは3%、安いものでは 手数料無料の商品も存在します。
 株や外貨貯金の項でも述べたように、ハイリターンを狙う投資では 手数料の大きさが勝負を分けてしまいます。

 が、投資信託では「申込手数料」よりも 注意しなければいけない「寺銭」が存在しています。
 それが「信託報酬」と書かれている数字です。
 「申込手数料」が購入時に一回 課金されるだけなのに対して、「信託報酬」は 投資信託を保有している限り 毎年 天引きされていきます。

 「信託報酬 1.5%」というのは アクティブに投資を行うファンドでは一般的な数字ですし、それほど高い金額には見えないでしょうねえ。
 適切な投資先を探して 適切なタイミングで売買をするなら それなりに費用も掛かるでしょうから 「1.5%」も適切に思われるかもしれません。

 しかし、よく考えてみてください。
 あなたが仮に 信託報酬1.5%のファンドに100万円を10年預けることにしましょう。
 運用成績が上がらない状態で 考えてみてください。
 (0.985)の10乗を計算すればいいのです。
 関数電卓には「0.859・・・」と表示されるでしょう。
 そう、たった1.5%の信託報酬でも 10年保有すれば 14万円以上が 天引きされてしまうのです。

ここまで書いてしまうと、筆者の常識を疑う方が出てきてしまうでしょう。

 そう、1.5%が天引きされても それ以上の実績が上がるファンドに投資すれば良いのではないか、と。
 10年も 実績を上げないようなファンドが存在しえるのだろうか、と。

 まったく そのとおりで、順調にリターンを稼げる投資信託であれば全く問題がありません。
 ところが・・・。
 いろいろなファンドを良く調べてみてください。
 日本株に投資しているファンドでは そのほとんどが基準価格を下回っていることに多いことに気が付くでしょう。

 株安が続く このご時世ですから、絶対リターンがマイナスになるのは 仕方がないとあきらめたとしましょう。
 それでも、まだまだ疑問が残ります。

 これだけ多くの株式投資信託が存在して 様々な手法で 投資企業を選別しているのにもかかわらず、私が知る限り 東証株価指数やTOPIXといった株価指標に対して ここ3年間 連続して勝ち続けていたファンドは ただの一つも存在しないのです。

それでも比較的優秀と思われる投資信託の例

 

 これだけTOPIXに勝ち越しているファンドでも 投資総額の絶対値は水面下に沈んでいます。
 そして、悲惨なことに まったくTOPIXに対してでさえ 1度も勝ったことのない有名なファンドも存在しているのです。

一度もTOPIXに勝てていない投資信託の例

 

投資信託を斜めから見るリンク

今日の必ずトクをする一言
2CH株式掲示板「ノムラ日本株ファンドのスレッド」

 ね、専門家が どんなに素人に勧めようとも、銀行で販売するようになったとしても、投資信託は投資であって 投機と紙一重のところにいるのが 見えてはきませんか。
 もし堅実な投資を目指すなら、証券会社一押しの大型信託を買うよりも もっと確実で費用の安い方法があるはずです。

 私は「投機家」(「凍死家」とも言う)ですから、人任せにするより 自分で銘柄を選んで楽しみますけど。
 現物株を買っていれば 全部自己責任で諦めがつきますし、毎年 ヘボなファンドマネージャーに貢物をしなくてすみますから。
 個人に出来て 機関投資家に出来ないこと、って 結構あるんでは?


 打って変わって、もっと大きな博打を希望なら「投資信託」でも 危ない香りがする商品がそろっていますよ。(銀行では売っていないでしょうが)
 中国株はもちろん、東欧債権型やフィリピン投資型なんて商品もそろっています。

 更なる刺激をお望みでしたら「デリバティブ型」なんてのもアリでしょう。
 この類の商品は たっぷりと経済的梃子が効かせてありますから、ちょっとした値動きが何倍にもなって返ってきます。
 ま、負ける時も それはそれは派手に 負けてしまうんですが、今なら 日本株のスーパー・ベア(弱気)型を仕込んでおけば 大もうけできたりして。


警告

投資や投機には 必ずリスクが伴います。
金融商品に対する判断はご自身で行ってください。
当サイトは 一切の責任を負いません。

「投資」の多くが 他人の利益を食い合う「ゼロサム ゲーム」であることを肝に銘じてください。
ゲームに参加するなら、あなたの懐を誰かに狙われる覚悟をすることです。
ゲームに参加している人間は、あなたに 高値で買った株を安値で売り払って欲しいと願っているのです。
そして・・・、私も・・・


 今回は 比較的リスクの低い投機を取り上げてきましたが、次回は 更にハイリスク・ハイリターンな投機を考えてみましょう。
 え、「今回の内容もハイリクスだろう」って。

 いえいえ、ここで取り上げた「投機」は どれも元本以上を失うことはありません。
 生活費や短期資金をつぎ込まなければ 命を落とすことはないでしょう。

 ところが、世の中には 更にハイリスクな「元本の何倍も失うかもしれない投機」が存在しています。
 それも あなたの かなり身近に。

 次回は 気軽に手を出すと 全財産を失いかねない 市場経済の博打を考えてみましょう。

テーマは ずばり「死にいたる取引」

請う ご期待!


 

TOPへ   何でも雑記帳入り口へ   HOMEへ