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あなたの双眼鏡はいくらで売れますか?
我が家の資産を現金化したら

 新聞で世帯当りの平均貯蓄額が発表されると愕然とすることはありませんか。
 筆者は、もちろん、その一人です。

 稼いでいるはずのお金と生活費を比べると貯金額が求められるはずなのですが、多くの福沢先生はどこかへ家出している様子。
 何に行ったかといえば、多くの双眼鏡とパソコン関係に投資されては我が家の物置に不良資産(妻の意見)の山を築いています。
 何が起こるか分からない現在日本において これでは心もとない!
 新しい双眼鏡を買い続けるためにも、我が家の双眼鏡にどれだけの金銭的価値があるのか知っておきたいものです。

 自動車・カメラ・時計では「買取り」や「下取り」が広く行われていますが、双眼鏡のような品では専門のお店は存在しません。
 それでも、リサイクルショップはもちろん天体用品を専門にした買取店など双眼鏡を買い取ってくれそうな店は存在します。

 専門買取店は近くに無いため電話見積もりで、リサイクルショップへは実際に品物を持ち込んで見積もってもらいました。
 さて、どんな結果が出たのでしょうか。

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 警告って程度でもないのですが

 車のように安定した市場を形成している物品でさえ、一部の人気車種を除けば買取価格は実際に入手に要した費用に比べて それはそれは割安です。
 カメラや時計も最近の品はもうお話になりません。
 さらに古本にいたっては数千円・数万円の専門書が20円なんて当たり前、人気コミックの5分の1以下です。

 このような中古品市場経済下で「双眼鏡」を売ろうというのでしたら、半端な心構えではいけません。
 筆者は実際に売ろうとしていたわけではありませんが、一部では眩暈がしたほどです。

 以下の駄文はそのことを踏まえた上でお読みください。


    選手紹介

 今回は我が家で活躍中の双眼鏡に加え、友人より拝借したニコン「7X50SP」についても見積もりを取ることにしました。
 各双眼鏡の状態を見ておきましょう。

   ニコン 7X50SP


写真撮り忘れ

 友人より この企画のためだけに借り出した双眼鏡。
 泣く子も黙るニコンの最高級双眼鏡で、天文関係では知らぬ者はない名機。
 現物は99年4月に購入され、星見に使用されていた品。
 頻繁に使用されていたが、もちろん綺麗でレンズ・本体とも傷はありません。
 付属品はケースやキャップは勿論、説明書・保証書・外箱も完品です。
 定価は85000円、購入価格は68000円。近くの写真店で注文し購入したそうです。
 預けた人間は40K円程度を希望していました。

   キャノン 10X30IS


こちらも写真撮影未

 キャノンの防振双眼鏡の入門機。
 専門店だけでなく家電用品店やホームセンターでも売られています。
 現物は2000年10月に購入、野外での使用は数回です。
 レンズ・本体とも無傷で、ケースやキャップの他に外箱・説明書・保証書完備。
 定価は65000円、購入価格は39500円、普通の店では約5万円で売られています。
 最新現行機種で購入後間もないだけに20K円は期待したいものです。

   ビクセン アルティマ 10X44ED

 ビクセン双眼鏡の最高級品。
 現物はネットオークションで中古品を購入、傷はなく程度は良い品です。
 保証書は97年9月の日付で、外箱はありませんが他の付属品はついています。
 定価は39500円、中古品での入手価格は17000円。
 性能は折り紙付なだけに福沢先生級の買取がいけるでしょうか。
 ビクセンブランドがどのように評価されるのかと、外箱なしという点がどのように価格に反映されるかが楽しみです。

   ニコン スポーツスターII 10X25D

 ニコンのポケットサイズダハ双眼鏡。
 写真店でもよく見かける双眼鏡の一つです。
 購入は2000年6月、あちらこちらに持ち運んで使ってきましたが本体・レンズとも目に付く傷はありません。
 キャップ・ケース・保証書・使用手引・保証書など付属品は完備。
 定価は17000円、購入価格は9800円です。
 ありふれた品だけに高値は期待できそうにありませんが、ニコンのブランドがどこまで生きるのかが焦点です。

    ペンタックス タンクローV 8X24

 最も売れているコンパクト双眼鏡で もう御存知の方も多いでしょう。
 入門用双眼鏡の定番です。
 購入は2000年10月、型落ち在庫処分で安売りされていた品です。
 大型双眼鏡に比べて出番が少なく、程度は問題なく極上品でしょう。
 付属品は値札まで完備しています。
 定価は15000円位だったでしょうか、購入価格は5980円です。
 良く安売りされている双眼鏡だけに どれだけの値段が出るのか心配です。

    鎌倉光機 7X50 BIF

 今年のJTBショーの会場で即売されていた双眼鏡でカタログなどには出ていない品です。
 傷はなく程度は問題ないはずで、購入時の付属品・書類完備です。
 購入価格は15000円ですが、定価は不明。
 物を思えばアルティマと同じ程度の価格を期待したいのですが、出所が出所だけに普通の店では買い取ってくれるのかすら不安が残る一品です。


    電話見積もりを取る

 現物と書類を揃えたところで、専門店に電話で見積もりを依頼。
 最初は天文ガイド誌の前のほうに広告を出しているT店。
 何回か電話したものの話し中。

 諦めて天文ガイド誌の後ろのほうに広告を出しているC店へ電話。
 こちらは一発でつながりました。
 対応は中年男性のようです。
 何点か双眼鏡の見積もりが欲しい旨を伝えると、折り返しで連絡を入れるとのこと。
 調べるのに時間がかかるらしいので面倒そうな鎌倉光機の双眼鏡は見積もりからはずしてもらう。
 とりあえずニコン7X50SPは23000円くらいとのこと、高いか安いのか分からないが所有者の希望には達していないようです。
 上に書いたような品物の概略を説明し、夕方に電話をいただくことに。

 ここで再度T店に電話するも再度話し中。
 空き時間を利用して街のリサイクルショップに出かけることにしました。


    リサイクルショップに持ち込む

 最近では全国チェーンのリサイクルショップも登場して 品物を売ることに抵抗が少なくなってきましたが、ドキドキしながら店内へ。

 買い取りカウンターの女性店員に双眼鏡を渡すと「10分ほどお待ちください」と言われました。
 実際の値付けは奥から出てきた店長が行う様子。

 品物は書類や付属品はほとんどノーチェックで、本体の可動部分とレンズを念入りに調べています。
 コンピューターに何か打ち込んでは計算機で色々計算しています。

 本当に10分ほどで店内放送。
 カウンターに行ってみると、それぞれに金額が書かれた付箋がつけられています。

 「これ全部お客さんの品なんですか。」と店長に聞かれます。
 「ええ(ウソ)。好きで集めているうちにこんなになってしまって。」
 「いろいろな双眼鏡を倍率を変えて集めたんですね。他にもあるんですか。」
 「5台ありますよ(ジャンクだけど)」

 なんて会話をしながら見せてもらうと、びっくり価格。

ニコン
7X50SP
キャノン
10X30IS
ビクセン
アルティマ
ニコン
スポーツスターII
ペンタックス
タンクローV
鎌倉光機
7X50BIF
12000円 4500円 2500円 2000円 2100円 2500円

 この値段では涙も出ません。
 本気で売るつもりなら気を失いそうです。
 全部売っても30000円にもなりません。

 特に高級品の値段が低い傾向が目立ちます。
 筆者自慢の10X30ISが4500円って驚きの値段。
 アルティマとタンクローがほとんど同じでは困ってしまいますが、付属品の関係でしょうか。

 店長にその値段では売る気がないことを伝え 値段の理由を聞いてみました。
 返事はこの店のような一般的リサイクルショップでは高額で専門性の高い品はなかなか売れないので、在庫日数を考えて安い値段でしか買い取れないとの返事。

 リサイクルショップへ高い双眼鏡を買いに来る人はいないでしょうから、理論的な説明ではあります。
 そういう目で見ると、手軽に売れそうな小型双眼鏡は相対的に高値になっているのでしょう。

 「どの程度の値段なら普通の人が双眼鏡を買うのか」を考えているようです。
 品物本来の価値はあまり関係ない市場のようでした。


    電話見積の回答

 帰宅後、昼には電話がつながらなかったT店に電話。
 今度はきちんとつながりました。

 対応は若い男性。
 要件を告げると、その場で買い取り価格を出せるとのこと。
 時間がかかりそうな鎌倉光機を除いた5台の双眼鏡の概略を説明。

 すると1分もおかずに回答。

ニコン
7X50SP
キャノン
10X30IS
ビクセン
アルティマ
ニコン
スポーツスターII
ペンタックス
タンクローV
20000円〜25000円 15000円 4000円 3000円 1000円

 話し振りからすると小型双眼鏡はあまり買い取りしたくない様子です。
 特にタンクローについては「良く安売りされていますから」とのコメントで、「どうしても買い取るのであれば」の価格のようです。
 このくらいの値段であれば少しは慰められそうです。
 売値を考えれば文句の言えないところでしょうか。

 夕方、約束どおりの時間に今度はC店から回答のお電話。

ニコン
7X50SP
キャノン
10X30IS
ビクセン
アルティマ
ニコン
スポーツスターII
ペンタックス
タンクローV
23000円 15000円 9000円 3000円 3000円

 T店と同じ傾向の値段になっています。
 アルティマの値段が上がったのは嬉しいところですし、小型双眼鏡もまずまずです。
 タンクローの値段はこちらが高取りではないかと心配になりそうです。


    まとめてみると

  ニコン
7X50SP
キャノン
10X30IS
ビクセン
アルティマ
ニコン
スポーツスターII
ペンタックス
タンクローV
鎌倉光機
7X50BIF
定価 85000円 65000円 39500円 17000円 15000円 不明
大手リサイクルショップ 12000円 4500円 2500円 2000円 2100円 2500円
望遠鏡専門買取店T 20K円〜25K円 15000円 4000円 3000円 1000円
望遠鏡専門買取店C 23000円 15000円 9000円 3000円 3000円

 一般のリサイクルショップよりも専門買取店のほうが高価格での買取が期待できそうです。
 特に高級機になればなるほど価格差が拡大していきます。

 一般リサイクルショップが「普通の人の価値観」を基準に判断するのに対して、専門買取店では「マニアの価値基準」が反映されているようです。
 専門店では購入価格の3分の1が相場になっているのに対して、一般リサイクルショップでは高額商品ほど買取価格が圧縮されています。

 もし双眼鏡を手放さなければならなくなったら、どちらに売るべきかは一目瞭然です。
 自慢の一品なら専門店に見積もりを依頼すべきで、巷のリサイクル店に持っていくのは時間の無駄でしょう。
 逆に、小型の双眼鏡であれば送料をかけて専門店に送るより、近場で換金するほうが良さそうです。

 もっとも意地悪な見方をすれば、この程度の価格ならネットオークションなどに出品することで上積みが期待できそうです。
 急ぐのでなければ、倍近い価格になると思うのですが。


    筆者の結論

 やはり双眼鏡は買ったらとことん使い倒すのが正しいようです。
 換金的な価値はないと諦め、納得のいく双眼鏡選んで壊れるまで付き合うことにいたしましょう。

 ところで、我が家の双眼鏡は全部最高値で売り払っても32500円なんですね。


 

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