2002年JTBショー紀行・その1
離れた世界の競争
今年もJTBショー(日本望遠鏡双眼鏡ショー)が 6月15・16日に開催されました。
今年の双眼鏡関係は
ニコン・ペンタックス・ビクセン・タスコ・ケンコー・鎌倉光機・コーワ・ツァイス・シュタイナーが出展していました。
去年から書いていることなのですが、フォトエクスポの方が見られる双眼鏡が多いという現実は悲しいものがあります。
キャノン・ミノルタはもちろん、ライカやスワロフスキーが見れない双眼鏡ショーというのは
気が抜けたビールのようです。
去年は、「技術の平準化」と「商品の差別化」がテーマだった と書いたのですが、今年は 何が起ころうとしているのでしょうか。
ブースを順に見ていってみましょう。
シュタイナー
今年は、入ってすぐの一等地は シュタイナーが占拠しています。
展示品は いつものようにIF防水ポロ双眼鏡がほとんどです。
似たような形をしていながら、値段によって 色々と差別化が図られているのは 某国産ブランドのようです。
見本品で並べられた「NIGHTHUNTER」シリーズは
この会社の高級品。
お値段は ツァイスやライカ以上の品もあります。
もちろん、高級品なりに「見える」双眼鏡なんですけど、この値段でIF方式で受け入れられるのか
大いに疑問が残ります。
値段からして、一般用途の品には
インナーフォーカスのCF式が望まれるでしょうに。
大型の高級ダハ機が幅を利かせる現在 この手の双眼鏡の住処はどこにあるんでしょうか?
入口奥のショーケースには
20万オーバー!!のプレミアムモデルが入っていましたが、どういう人たちを想定しているのでしょう。
私には 全く想像がつきません。
個人的には、フジノンやニコンの実用機の方が
遥かに好感が持てるのです。
シュタイナーの利点(?)は
強化樹脂製の鏡筒による軽さだけに思えてしまうのですが。
フジノン
シュタイナーのお隣は、フジノンがブースを構えておりました。
この2社は
入口から直接見える代わりに、ブースから外の景色が覗き難いのが難点です。
フジノンは去年 代表機種のFMTRシリーズをモデルチェンジしていましたから、今年は 何があるかと思っていましたが・・・
海事用の「MARINE」シリーズの新型が展示されていました。
覗いて見るとびっくり、これまでのIF方式から一転
CF方式、それも
よく見る接眼レンズを動かすタイプになっています。
この形式はキャノン8X32WPやビクセン・フォレスタで使われていましたし 去年はケンコー7X50で同様の品があったのですが、接眼レンズ筒の中でリング状の擦動部分を防水しなければいけませんから 経年変化や極限耐候性に不安を持っていました。
この辺りを
スタッフに聞いたところ、「以前と全く同程度の性能を確保している」とのお答え。
(FMTシリーズやニコンSPがCFにならないことからも)額面どおりには受け取れないのですが、レジャーでボート遊びを楽しむような層に向けて
「これで十分」ということなのでしょうか。
よく聞くと、IF方式の製品も併売になる様子。
皆さんは どちらを選びます?
そして、もうひとつの目玉・・・
テクノスタビの12X32がケースの中に入っています。
ショーケースの中身はモックアップで
可動機は見られませんでしたが、年内の発売を目指しているようです。
目標価格は「10万円を切るようにガンバる」そうですが、まだ個人が持ち歩くには辛い大きさではないでしょうか。(重さ次第ですけど・・・)
そのメカニカルな構造には購買意欲をくすぐられるのですが、使い道は限られそうです。
それにしても、電源スイッチが外からは見えませんが どこに付くんでしょう?
ほかにも目立たない存在ですが、オンラインショップ限定の「AIRDROP」ハイアイ型も並べられておりました。
ピンボケ失礼
右側の通常型と見口を見比べると、その違いが
はっきりするでしょう。
実際に
この二つを覗いて見ると、数字以上の差を感じさせられます。
今のところ、通常販売は考えていないそうですが、本来はこちらが主流になるべき品。
通常ルートで(多少なりともディスカウントされた価格で)販売されることを期待しております。
一番目立つところには、本家スタビスコープ(四十ウン万円ナリ)が鎮座されておりました。
一般向けのカタログは出していないものの、通常のルートで販売を行うとのこと。
行きつけのカメラ屋に頼んでも、取り寄せられるそうです。
去年の写真
そして、忘れていけないFMTシリーズ。
窓の外が見える位置にデモ機が据えられていましたが、今年見ても
去年の驚きを再体験させられます。
この手の双眼鏡では、少しでも軽いことが
持った印象を随分と変えてくれるものです。
最新カタログに掲載されておらず
心配していた8X30FMTRですが、係員からは
現行販売を続けるとの説明があり 一安心。
来年は
ぜひ実物を並べてほしいものです。(私は何回も見たことがありますけど・・・)
来年は テクノスタビ12X32が どのような性能を見せるのか、キヤノンの新製品に対する本家の回答が楽しみでなりません。
入り口からすぐの列には この2社に加えて、日本望遠鏡工業会の相談コーナー・星の手帖社・日本野鳥の会がブースを構えていました。
といって、次回に続く。
次回はツァイスとペンタックスを取り上げます。
他社の急追に曝されるツァイス。
去年は気を吐いていたペンタックス。
新旧の実力者は どんな未来を私たちに見せてくれるのでしょうか?
請う ご期待!