マンション管理士・管理業務主任者を目指す方のために、試験にでる建築基準法を条文ごとにイラストなどを入れて解説しました。
試験問題は、過去の問題から出されるのではありません。条文から出題されます。
条文を勉強することが、合格への道です。
現在、日々更新中!
第3章 都市計画区域等における建築物の敷地、構造、建築設備及び用途 |
第4節 建築物の敷地及び構造 |
条 | 説明 |
第55条 | 第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域内における建築物の高さの限度 | ||
第56条 | 建築物の各部分の高さ | ||
第56条の2 | 日影による中高層の建築物の高さの制限 | ||
第57条 | 高架の工作物内に設ける建築物等に対する高さの制限の緩和 | ||
第57条の2 | 特例容積率適用地区内における建築物の容積率の特例 | ||
第57条の3 | 指定の取消し | ||
第57条の4 | 特例容積率適用地区内における建築物の高さの限度 | ||
第57条の5 | 高層住居誘導地区 | ||
第58条 | 高度地区 | ||
第59条 | 度利用地区 | ||
第59条の2 | 敷地内に広い空地を有する建築物の容積率等の特例 | ||
第60条 | 特定街区 | ||
第4節の2 都市再生特別地区 |
第60条の2 | 都市再生特別地区 |
建築基準法の最終改正:平成19年3月31日
過去出題 | マンション管理士 | |
管理業務主任者 |
★55条も、前の54条に引き続き、第一種低層住居専用地域(高級住宅地)又は第二種低層住居専用地域内(コンビニ程度は可能な住宅地)における、今度は高さの制限を、10mか12mにするように規定しています。
これにより、だいたい3階建てまでの高さになります。
★第一種低層住居専用地域や第二種低層住居専用地域内は、外壁の後退(54条)や絶対高さ(55条)など、規制が多い!
過去出題 | マンション管理士 | |
管理業務主任者 |
★容積率を52条で定め、建ぺい率を53条で定め、面積的な規制に続き、56条は、建築物の各部分の高さを規制します。
★56条は、読んでもピンとこないでしょう。これらの規定は「斜線制限」と呼ばれています。
敷地の接する前面道路の反対側の境界線や隣地境界線からの水平距離に一定の数値を乗じて得られた数値以下にする規制です。
★別表第3 前面道路との関係についての建築物の各部分の高さの制限 (第五十六条、第九十一条関係)
(い) | (ろ) | (は) | (に) | |
建築物がある地域、地区又は区域 | 第五十二条第一項、第二項、第七項及び第九項の規定による容積率の限度 | 距離 | 数値 | |
一 | 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域若しくは第二種中高層住居専用地域内の建築物又は第一種住居地域、第二種住居地域若しくは準住居地域内の建築物(四の項に掲げる建築物を除く。) | 十分の二十以下の場合 | 二十メートル | 一・二五 |
十分の二十を超え、十分の三十以下の場合 | 二十五メートル | |||
十分の三十を超え、十分の四十以下の場合 | 三十メートル | |||
十分の四十を超える場合 | 三十五メートル | |||
二 | 近隣商業地域又は商業地域内の建築物 | 十分の四十以下の場合 | 二十メートル | 一・五 |
十分の四十を超え、十分の六十以下の場合 | 二十五メートル | |||
十分の六十を超え、十分の八十以下の場合 | 三十メートル | |||
十分の八十を超え、十分の百以下の場合 | 三十五メートル | |||
十分の百を超え、十分の百十以下の場合 | 四十メートル | |||
十分の百十を超え、十分の百二十以下の場合 | 四十五メートル | |||
十分の百二十を超える場合 | 五十メートル | |||
三 | 準工業地域内の建築物(四の項に掲げる建築物を除く。)又は工業地域若しくは工業専用地域内の建築物 | 十分の二十以下の場合 | 二十メートル | 一・五 |
十分の二十を超え、十分の三十以下の場合 | 二十五メートル | |||
十分の三十を超え、十分の四十以下の場合 | 三十メートル | |||
十分の四十を超える場合 | 三十五メートル | |||
四 | 第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域又は準工業地域内について定められた高層住居誘導地区内の建築物であつて、その住宅の用途に供する部分の床面積の合計がその延べ面積の三分の二以上であるもの | 三十五メートル | 一・五 | |
五 | 用途地域の指定のない区域内の建築物 | 十分の二十以下の場合 | 二十メートル | 一・二五又は一・五のうち、特定行政庁が土地利用の状況等を考慮し当該区域を区分して都道府県都市計画審議会の議を経て定めるもの |
十分の二十を超え、十分の三十以下の場合 | 二十五メートル | |||
十分の三十を超える場合 | 三十メートル | |||
備考 一 建築物がこの表(い)欄に掲げる地域、地区又は区域の二以上にわたる場合においては、同欄中「建築物」とあるのは、「建築物の部分」とする。 二 建築物の敷地がこの表(い)欄に掲げる地域、地区又は区域の二以上にわたる場合における同表(は)欄に掲げる距離の適用に関し必要な事項は、政令で定める。 三 この表(い)欄一の項に掲げる第一種中高層住居専用地域若しくは第二種中高層住居専用地域(第五十二条第一項第二号の規定により、容積率の限度が十分の四十以上とされている地域に限る。)又は第一種住居地域、第二種住居地域若しくは準住居地域のうち、特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内の建築物については、(は)欄一の項中「二十五メートル」とあるのは「二十メートル」と、「三十メートル」とあるのは「二十五メートル」と、「三十五メートル」とあるのは「三十メートル」と、(に)欄一の項中「一・二五」とあるのは「一・五」とする。 |
★規制の概要
都市計画区域内では、道路面の日照などを確保するため、建築物の高さを、前面道路の反対側境界線を起点とする一定こう配の斜線の範囲内に収めなくてはなりません。この規制を「道路斜線制限」と呼びます。こう配の数値には2種類あり、住居系地域かそれ以外かで異なっています。さらに、その地域の容積率の制限に応じて、前面道路から一定以上離れた部分については斜線制限から除外される規定や、2本以上の前面道路がある場合の緩和規定があります。
非常に分かり難い規定です。多くの解説書もお手上げの記載内容でした。
★でも、一応読んでおきましょう。
★道路斜線制限(1項1号)
用途地域区内、また用途地域の指定のない区域においては、建築物の各部分の高さは、前面道路の反対側の境界線からの水平距離に1.25または1.5を乗じて得たもの以下にする必要があります。
市街地の通風・採光などに配慮したものです。
★隣地斜線制限(1項2号)
第一種中高層住居専用地域若しくは第二種中高層住居専用地域内の建築物又は第一種住居地域、第二種住居地域若しくは準住居地域内の建築物(ハ)に掲げる建築物を除いて、建築物の各部分の高さは、隣地境界線までの水平距離に1.25または2.5を乗じて得たものに20mまたは31mを加えた数値以下といなければなりません。ただし、、20mまたは31mを超える部分が隣地境界線から後退している場合は、後退分だけ外側の線を隣地境界線とみなします。
★北側斜線制限(1項3号)
第一種低層住居専用地域若しくは第二種低層住居専用地域内又は第一種中高層住居専用地域若しくは第二種中高層住居専用地域内において、建築物の各部分の高さは、前面道路の反対側の境界線又は隣地境界線までの真北方向の水平距離に一・二五を乗じて得たものに、第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域内の建築物にあつては五メートルを、第一種中高層住居専用地域又は第二種中高層住居専用地域内の建築物にあつては十メートルを加えたもの以下にする必要があります。
北側の日照や採光に考慮したものです。
地域 | 第1種 | 第2種 | 第1種 | 第2種 | 第1種 | 第2種 | 準住居 地域 |
近隣商業 地域 |
商業地域 | 準工業 地域 |
工業地域 | 工業専用 地域 |
用途地域 指定の ない地域 その他 |
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中高層住居専用地域 | 住居地域 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
高さの制限 | 道路斜線制限 |
道路 敷地 高さの10M又は12Mは都市計画で決めらた数値。 |
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隣地斜線制限 |
無し
斜線制限はありませんが高さの制限(10M又は12M)があります。 |
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北側斜線制限 | 無し |
★何と難解な条文だろうか! 建築士になるには大変だ。
★制限の緩和として、セットバック(後退)があります。(2項、4項)これについては、施行令130条の12、また、6項については、135条の3、135条の4 もあるので、知りたい人はみてください。
★2つ以上の前面道路がある場合
これは、もう難解すぎて分かりません。施行令132条 参照。
過去出題 | マンション管理士 | |
管理業務主任者 |
★56条の2 は、日影にならないように定めています。これは、逆にみると「日照権」の表れです。
昭和51年の改正で設けられました。
★日影制限を満たすためには、建物の高さの抑制と、隣地境界線との距離を充分にとる必要があります。
★日影規制は、全国一律の適用ではありません。地方公共団体が、その地方の気候及び風土などを勘案して条例で定めます。
★別表第4 日影による中高層の建築物の制限(第五十六条、第五十六条の二関係)
(い) | (ろ) | (は) | (に) | ||||
地域又は区域 | 制限を受ける建築物 | 平均地盤面からの高さ | 敷地境界線からの水平距離が十メートル以内の範囲における日影時間 | 敷地境界線からの水平距離が十メートルを超える範囲における日影時間 | |||
一 | 第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域 | 軒の高さが七メートルを超える建築物又は地階を除く階数が三以上の建築物 | 一・五メートル | (一) | 三時間(道の区域内にあつては、二時間) | 二時間(道の区域内にあつては、一・五時間) | |
(二) | 四時間(道の区域内にあつては、三時間) | 二・五時間(道の区域内にあつては、二時間) | |||||
(三) | 五時間(道の区域内にあつては、四時間) | 三時間(道の区域内にあつては、二・五時間) | |||||
二 | 第一種中高層住居専用地域又は第二種中高層住居専用地域 | 高さが十メートルを超える建築物 | 四メートル又は六・五メートル | (一) | 三時間(道の区域内にあつては、二時間) | 二時間(道の区域内にあつては、一・五時間) | |
(二) | 四時間(道の区域内にあつては、三時間) | 二・五時間(道の区域内にあつては、二時間) | |||||
(三) | 五時間(道の区域内にあつては、四時間) | 三時間(道の区域内にあつては、二・五時間) | |||||
三 | 第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域又は準工業地域 | 高さが十メートルを超える建築物 | 四メートル又は六・五メートル | (一) | 四時間(道の区域内にあつては、三時間) | 二・五時間(道の区域内にあつては、二時間) | |
(二) | 五時間(道の区域内にあつては、四時間) | 三時間(道の区域内にあつては、二・五時間) | |||||
四 | 用途地域の指定のない区域 | イ | 軒の高さが七メートルを超える建築物又は地階を除く階数が三以上の建築物 | 一・五メートル | (一) | 三時間(道の区域内にあつては、二時間) | 二時間(道の区域内にあつては、一・五時間) |
(二) | 四時間(道の区域内にあつては、三時間) | 二・五時間(道の区域内にあつては、二時間) | |||||
(三) | 五時間(道の区域内にあつては、四時間) | 三時間(道の区域内にあつては、二・五時間) | |||||
ロ | 高さが十メートルを超える建築物 | 四メートル | (一) | 三時間(道の区域内にあつては、二時間) | 二時間(道の区域内にあつては、一・五時間) | ||
(二) | 四時間(道の区域内にあつては、三時間) | 二・五時間(道の区域内にあつては、二時間) | |||||
(三) | 五時間(道の区域内にあつては、四時間) | 三時間(道の区域内にあつては、二・五時間) | |||||
この表において、平均地盤面からの高さとは、当該建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面からの高さをいうものとする。 |
★制限をするのは、地方公共団体の条例である。
日影による中高層の建築物の高さの制限は、どこでも適用されるわけではありません。条例があるときだけ、適用されます。
★全区域、全地域で指定できるわけではない。
よく読むと、用途地域の内、商業地域、工業地域、工業専用地域では指定されない。
★地域によって、高さや日影の時間が違う。
★いつが基準時か?
冬至(とうじ)日の真太陽時による午前八時から午後四時まで(北海道の区域内にあつては、午前九時から午後三時まで)の間
★同一の敷地内に二以上の建築物がある場合においては、これらの建築物を一の建築物とみなされます。(2項)
★建築物の敷地が道路、川又は海その他これらに類するものに接する場合、建築物の敷地とこれに接する隣地との高低差が著しい場合その他これらに類する特別の事情がある場合における適用の緩和に関する措置は政令(施行令135条の12、 参照)(3項)
★対象区域外にある高さが十メートルを超える建築物で、冬至日において、対象区域内の土地に日影を生じさせるものは、当該対象区域内にある建築物とみなされて、この規定が適用されます。(4項)
★建築物が日影時間の制限の異なる区域の内外にわたる場合又は建築物が、冬至日において、対象区域のうち当該建築物がある区域外の土地に日影を生じさせる場合における同項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定めます。(施行令13条の13 参照)(5項)
(高架の工作物内に設ける建築物等に対する高さの制限の緩和) |
第五十七条 |
高架の工作物内に設ける建築物で特定行政庁が周囲の状況により交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるものについては、前三条の規定は、適用しない。
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過去出題 | マンション管理士 | |
管理業務主任者 |
★特定行政庁が認めた場合、高架の工作物内に設ける建築物には、55条((第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域内における建築物の高さの限度) 、56条(建築物の各部分の高さ) 、56条の2(日影による中高層の建築物の高さの制限) は適用されません。(1項)
★道路内にある建築物(高架の道路の路面下に設けるものを除く。)は、特定行政庁の指定がなくても、56条1項1号(道路斜線制限)、56条2項から4項まで(前面道路の境界線から後退した建築物関係)の適用はありません。(2項)
過去出題 | マンション管理士 | H19年、 |
管理業務主任者 |
★57条の2 は、特例容積率適用地区内における建築物の容積率の特例を定めています。
★特例容積率適用地区とは...都市計画で定められる地区の1つです。平成13年に創設された「特例容積率適用 “区域” 」が、拡充されて平成17年度から創設された地区です。
建築物の高さの最高限度が定められ(都市計画法8条1項ホ)、建築基準法52条で規定される「容積率」の利用が充分でない区域の容積率を活用するものです。
(都市計画法9条15号)
都市計画法8条1項ホ号
ホ 特例容積率適用地区 建築物の高さの最高限度(当該地区における市街地の環境を確保するために必要な場合に限る。)
都市計画法9条15号
15 特例容積率適用地区は、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域又は工業地域内の適正な配置及び規模の公共施設を備えた土地の区域において、建築基準法第五十二条第一項
から第九項 までの規定による建築物の容積率の限度からみて未利用となつている建築物の容積の活用を促進して土地の高度利用を図るため定める地区とする。
市街地の防災機能確保等のため、特例容積率の限度の指定の申請に基づき、要件に該当する場合は、特例敷地のそれぞれに適用される特例容積率の限度を指定されます。
都市計画区域内の一部の許容容積率を放棄し、放棄した分の容積率を区域内の別の場所に加算することができる制度です。一体地特例や空中権取引とも呼ばれ、都市計画法と建築基準法の改正により実現しました。
★これもまた、分かり難い。
★設定の背景をみると理解が深まる?
都心部など、もともと指定された容積率が比較的大きなエリアでも、歴史的建造物があったり、火災のときの延焼防止に役立つ屋敷林があったりして、容積率があまり消化されていない敷地が少なくありません。 このような敷地で使われずに残っている未利用容積
(将来的にも使う予定がない部分) を他の敷地に上乗せし、土地の有効利用を図ろうとするのが 「特例容積率適用地区」 です。
たとえば、都市計画により指定された容積率が500%で、同じ面積の2つの敷地があったとき、一方が200%までしか容積率を使っていなければ、他方の容積率を800%まで認める
(両方の合計は同じ) わけです。
ただし、周囲の状況などに応じて建築物の高さの最高限度や、対象敷地面積の最低限度が定められる場合があります。
★特例容積率適用地区は都市計画のなかでその範囲などが定められるだけであり、容積移転の適用は土地所有者など権利者からの申請に基づいて特定行政庁が指定します。このときに該当する2以上の敷地のことを 「特例敷地」 といいますが、いくら容積率を使用していないといっても、道路や線路敷、公共公園などは特例敷地になりません。
★ 「特例容積率適用地区」 では第一種・第二種低層住居専用地域および工業専用地域を除く、9つの用途地域内で定めることができるようになりました。
★特例容積率適用地区の例
東京駅の丸の内側にある、東京ビルディングは、日本で初めて特例容積率適用区域制度が適用されて、JR東京駅丸の内駅舎の容積率の移転を受けているビルです。三菱地所・JR東日本・東京三菱銀行を主体に行われた東京駅周辺再開発で、東京駅上空の余っている容積率を売却して得た資金をもとに、戦災で被害をうけた赤レンガ駅舎を建設当初の姿に復元するという事業により適用されました。
過去出題 | マンション管理士 | |
管理業務主任者 |
★57条の3 は、57条の2 で指定された特例敷地について所有権又は借地権を有する者の指定を取り消す規定です。
過去出題 | マンション管理士 | |
管理業務主任者 |
★57条の4 は、特例容積率適用地区内においては、原則、建築物の高さは、特例容積率適用地区に関する都市計画において建築物の高さの最高限度が定められたときは、当該最高限度以下でなければならないと規定します。
容積率だけでなく、高さでも規制はあります。
過去出題 | マンション管理士 | H19年、 |
管理業務主任者 |
★57条の5 は、都市計画法で緩和した、高層住居誘導地区内の建築物の容積率に対して、建築基準法での建ぺい率の規制を規定しています。
★高層住居誘導地区が設定されたわけ
この規定は、平成9年の改正で創設されました。
バブルで土地価格が暴騰し、都心に人が住めなくなったため、郊外居住者の都心への呼び戻し、都心における居住機能の確保、職住近接で利便性が高く良好な都市環境の実現などを目的として、都市計画法および建築基準法の改正
で導入されました。高層住宅の建築を誘導することにより、居住人口の都心回帰を促そうとしたものです。
★高層住居誘導地区とは...都市計画で定められる地区の1つです。
この地区では、容積率、建ぺい率の最高限度が決められ、また敷地の最低限度も決められます。(都市計画法8条1項ヘ)
高層住居誘導地区に指定されるのは、第1・2種住居地域、準住居地域、近隣商業地域または準工業地域の5つの用途地域の中で、もともと400〜500%の容積率が指定されている地域です。(都市計画法9条16号)
高層住居誘導地区は,第一種中高層住居専用地域や第二種中高層住居専用地域の中では定められません。なぜなら中高層住居専用地域は,もともとが高層住居のための所ですから,わざわざ高層住居誘導地区を定める必要性がないためです。
高層住居誘導地区に指定されると、600%まで容積率が認められるうえ、斜線制限、日影規制の適用を除外されます。一般規制では、400%の容積率を認められているところでも、斜線制限、日影規制が適用されるので実質の使用可能容積率は280%程度ですが、高層住居誘導地区の場合、600%が丸ごと使用可能容積率になります。
都市計画法9条16号
ヘ 高層住居誘導地区 建築基準法第五十二条第一項第五号 に規定する建築物の容積率、建築物の建ぺい率の最高限度(当該地区における市街地の環境を確保するため必要な場合に限る。次条第十六項において同じ。)及び建築物の敷地面積の最低限度(当該地区における市街地の環境を確保するため必要な場合に限る。次条第十六項において同じ。)
ただし、高層住居誘導地区でも「住宅」でなければ適用されない。(建築基準法52条1項5号)
建築基準法52条1項5号
五 高層住居誘導地区内の建築物であつて、その住宅の用途に供する部分の床面積の合計がその延べ面積の三分の二以上であるもの(当該高層住居誘導地区に関する都市計画において建築物の敷地面積の最低限度が定められたときは、その敷地面積が当該最低限度以上のものに限る。第五十六条第一項第二号ハ及び別表第三の四の項において同じ。)
当該建築物がある第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域又は準工業地域に関する都市計画において定められた第二号に定める数値から、その一・五倍以下で当該建築物の住宅の用途に供する部分の床面積の合計のその延べ面積に対する割合に応じて政令で定める方法により算出した数値までの範囲内で、当該高層住居誘導地区に関する都市計画において定められたもの
都市計画法9条16号
16 高層住居誘導地区は、住居と住居以外の用途とを適正に配分し、利便性の高い高層住宅の建設を誘導するため、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域又は準工業地域でこれらの地域に関する都市計画において建築基準法第五十二条第一項第二号
に規定する建築物の容積率が十分の四十又は十分の五十と定められたものの内において、建築物の容積率の最高限度、建築物の建ぺい率の最高限度及び建築物の敷地面積の最低限度を定める地区とする。
★道路斜線制限(56条の2,1項)と日影規制(56条の2、4項)を受けなくなります。(4項)
★高層住居誘導地区の例
総戸数4,000戸の高層住居誘導地区第1号――芝浦アイランド
東京都と港区、UR都市機構、三井不動産を中心とする民間事業者が一体となり、運河で囲まれた約6haのエリアの再生を手がける。総戸数は約4000戸、計画人口は約1万人。4棟の超高層住宅を建設する。A1街区は分譲、A2街区と南地区は賃貸とし、地区全体での分譲賃貸比率が半々となるように計画。
(高度地区) |
第五十八条 |
高度地区内においては、建築物の高さは、高度地区に関する都市計画において定められた内容に適合するものでなければならない。 |
過去出題 | マンション管理士 | H19年、 |
管理業務主任者 |
★58条は、高度地区内における建築物の高さを規制します。
★紛らわしい、「高度利用地区」(59条)もありますので、「高度地区」と「高度利用地区」を明確にしておくこと。
★高度地区とは...都市計画で定められる地区の1つです。建築物の高さの最高限度又は最低限度を定めます。(都市計画法8条1項ト)
そして、用途地域内に設けられます。(都市計画法9条17号)
都市計画法8条1項ト
ト 高度地区 建築物の高さの最高限度又は最低限度(準都市計画区域内にあつては、建築物の高さの最高限度。次条第十七項において同じ。)
都市計画法9条17号
17 高度地区は、用途地域内において市街地の環境を維持し、又は土地利用の増進を図るため、建築物の高さの最高限度又は最低限度を定める地区とする。
★高度地区には、2つの種類がある
@最高限度高度地区...この限度以上に高い建築物を建築してはいけない。
A最低限度高度地区...この限度以下に低い建築物を建築してはいけない。(高度で最低を決めるとは、おかしな表現ではあるが)
★法文だけ読むとずいぶんと曖昧に思えますが、実際の制限規定はそれぞれの地方公共団体により定められており、その内容は一律ではありません。
過去出題 | マンション管理士 | H19年、 |
管理業務主任者 |
★まったく、高度地区だとか、高度利用地区だとか紛らわしい。
★紛らわしいついでに、用途地域、特別用途地区、特定用途制限地域も復習のこと。
★高度利用地区とは...都市計画で定められる地区の1つです。(都市計画法8条1項3号、同3項2号チ)
これも、高度地区と同じように、用途地域内に設けられます。(都市計画法9条18項)
★高度利用地区に指定される地区は、都市全体からみて高度に土地利用を図るべき地区であるにも関わらず、現況の低容積率、土地利用の細分化、道路等の公共施設の整備不十分等によって、市街地再開発事業により整備されることが期待される地区であることから、その都市計画は建築物についての適正な形態を定めて、民間の旺盛な建築活動を計画的に誘導することにより、良好な市街地環境へ変えていこうとするものです。
具体的には以下に示す4つの項目において制限を定めることで、敷地の統合を促進し、かつ小規模建築物(エンピツビルなど)の建築を抑制して建築物の大規模化、共同化を図り、さらに建築物の周囲にオープンスペースを確保して市街地環境の向上を図ることができることとなっています。
規定の内容は、建築物の
@ 容積率の、@.最高限度
A.最低限度 土地の合理的かつ健全な高度利用を図ります。
A建ぺい率は、@.最高限度 だけ。建築物の周辺にオープンスペースを確保します。
B建築面積は、@.最低限度だけ。土地利用の細分化を防ぎます。
C壁面の位置、@.制限する。必要な場合は道路に面して有効な空間を確保し、市街地の環境の向上を図ります。
★この高度利用地区に指定されると、中途半端な大きさのビルの所有者などは、建て替えを迫られることもあります。その場合、都市計画法によって、固定資産税の軽減や資金のあっせんその他の援助を受けることができるようになっています。
都市計画法8条1項3号
都市計画区域については、都市計画に、次に掲げる地域、地区又は街区で必要なものを定めるものとする。
三 高度地区又は高度利用地区
都市計画法8条3項2号チ
チ 高度利用地区 建築物の容積率の最高限度及び最低限度、建築物の建ぺい率の最高限度、建築物の建築面積の最低限度並びに壁面の位置の制限(壁面の位置の制限にあつては、敷地内に道路(都市計画において定められた計画道路を含む。以下この号において同じ。)に接して有効な空間を確保して市街地の環境の向上を図るため必要な場合における当該道路に面する壁面の位置に限る。次条第十八項において同じ。)
都市計画法9条18項
18 高度利用地区は、用途地域内の市街地における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図るため、建築物の容積率の最高限度及び最低限度、建築物の建ぺい率の最高限度、建築物の建築面積の最低限度並びに壁面の位置の制限を定める地区とする。
★高度地区と高度利用地区の違い
高度地区も高度利用地区も、共に用途地域内に設けられますが、
高度地区は、高さの @最高限度 と、 A最低限度 を規制していましたが、
高度利用地区は、@容積率の @最高限度 と A最低限度、 A建ぺい率の @最高限度、B建築面積の最低限度、さらに、C壁面の位置の制限をします。
★東京都の指定例
大崎駅東口、西大井町駅南など、大崎と大井町の7ヶ所が指定されています。(平成20年3月現在)
過去出題 | マンション管理士 | |
管理業務主任者 |
★59条の2 は、特別の空地や広い敷地には、容積率と高さなどに限度を緩和できる規定です。
★総合設計制度ともよばれ、昭和46年に創設された制度です。
敷地内に公開空地(オープンスペース)を設ければ、容積率の割り増しや斜線の緩和ができる、街づくり誘導型の制度です。
★政令で定める空地を有する、政令で定める規模以上の敷地面積は建築基準法施行令136条です。
建築基準法施行令136条 (敷地内の空地及び敷地面積の規模)
法第五十九条の二第一項 の規定により政令で定める空地は、法第五十三条 の規定により建ぺい率の最高限度が定められている場合においては、当該最高限度に応じて、当該空地の面積の敷地面積に対する割合が次の表に定める数値以上であるものとし、同条
の規定により建ぺい率の最高限度が定められていない場合においては、当該空地の面積の敷地面積に対する割合が十分の二以上であるものとする。
法第五十三条の規定による建ぺい率の最高限度 | 空地の面積の敷地面積に対する割合 | |
(一) | 十分の五以下の場合 | 一から法第五十三条の規定による建ぺい率の最高限度を減じた数値に十分の一・五を加えた数値 |
(二) | 十分の五を超え、十分の五・五以下の場合 | 十分の六・五 |
(三) | 十分の五・五を超える場合 | 一から法第五十三条の規定による建ぺい率の最高限度を減じた数値に十分の二を加えた数値 |
2 法第五十九条の二第一項 の規定によりその各部分の高さのみを法第五十五条第一項 又は法第五十六条 の規定による限度を超えるものとする建築物に対する前項の規定の適用については、同項中「十分の二」とあるのは「十分の一・五」と、「十分の一・五」とあるのは「十分の一」と、「十分の六・五」とあるのは「十分の六」とする。
3 法第五十九条の二第一項 の規定により政令で定める規模は、次の表の(い)欄に掲げる区分に応じて、同表(ろ)欄に掲げる数値とする。ただし、特定行政庁は、街区の形状、宅地の規模その他土地の状況により同欄に掲げる数値によることが不適当であると認める場合においては、規則で、同表(は)欄に掲げる数値の範囲内で、その規模を別に定めることができる。
(い) | (ろ) | (は) | |
地域又は区域 | 敷地面積の規模(単位 平方メートル) | 規則で定めることができる敷地面積の規模(単位 平方メートル) | |
(一) | 第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域 | 三、〇〇〇 | 一、〇〇〇以上 三、〇〇〇未満 |
(二) | 第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、準工業地域、工業地域又は工業専用地域 | 二、〇〇〇 | 五〇〇以上 二、〇〇〇未満 |
(三) | 近隣商業地域又は商業地域 | 一、〇〇〇 | 五〇〇以上 一、〇〇〇未満 |
(四) | 用途地域の指定のない区域 | 二、〇〇〇 | 一、〇〇〇以上 二、〇〇〇未満 |
過去出題 | マンション管理士 | |
管理業務主任者 |
★60条は、特定街区では、容積率(52条)、建ぺい率(53条)などを含めた、規定が適用されません。
★特定街区とは...街区ですが、都市計画で定められる地域・地区の1つです。(都市計画法8条1項4号)
この特定街区の指定があると、@容積率、A高さの最高限度、B壁面の位置の制限が、別途規定されます。(都市計画法8条3項リ、同法9条19項)
都市計画法8条1項4号
第八条 都市計画区域については、都市計画に、次に掲げる地域、地区又は街区で必要なものを定めるものとする。
四 特定街区
都市計画法8条3項リ
リ 特定街区 建築物の容積率並びに建築物の高さの最高限度及び壁面の位置の制限
都市計画法9条19項
19 特定街区は、市街地の整備改善を図るため街区の整備又は造成が行われる地区について、その街区内における建築物の容積率並びに建築物の高さの最高限度及び壁面の位置の制限を定める街区とする。
個々の敷地単位ではなく、纏まった街区を単位として、有効な空地を備えた市街地の整備改善をはかるため、建築物の計画を都市計画に定め、建築形態の一般的規制を適用せずこれに置き換えます。
有効な空地の規模等に応じ、容積率を割増します。
隣接する複数の街区を一体的に計画する場合には、街区間の容積率移転が可能です。
★容積率の割り増しや設計の自由度が高まるなど、総合設計制度に似ているが、都市計画決定が必要など手続きに手間と時間がかかるため、件数はあまり多くありません。
★特定街区の例
東京の霞ヶ関ビル、浜松町の貿易センタービル、新宿副都心の高層ビルなどが特定街区によるものです。
過去出題 | マンション管理士 | |
管理業務主任者 |
★60条の2 は、新しい規定です。(平成14年の都市再生特別措置法による)
★創設の背景...近年における急速な情報化、国際化、少子高齢化等の社会経済情勢の変化に我が国の都市が十分対応できたものとなっていないことにかんがみ、これらの情勢の変化に対応した都市機能の高度化及び都市の居住環境の向上(以下「都市の再生」という。)を図るため、都市の再生の推進に関する基本方針等について定めるとともに、都市再生緊急整備地域における市街地の整備を推進するための民間都市再生事業計画の認定及び都市計画の特例並びに都市再生整備計画に基づく事業等に充てるための交付金の交付等の特別の措置を講じ、もって社会経済構造の転換を円滑化し、国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に寄与することを目的とする。
★都市再生特別地区とは...都市計画法で定められる、都市計画の地域・地区の1つ。(都市計画法8条1項4の2号)
都市再生特別地区については、別の法律:都市再生特別措置法の36条が規定されています。(都市計画法8条4項)
都市再生緊急整備地域において、国が定める地域整備方針の方向に沿った都市開発事業等を迅速に実現するため、土地の合理的かつ健全な高度利用を図る特別の用途・容積・高さ・配列等の建築物の建築を誘導することを目指した地域地区であり、都市の再生に貢献しています。
都市計画法8条1項4の2号
第八条 都市計画区域については、都市計画に、次に掲げる地域、地区又は街区で必要なものを定めるものとする。
四の二 都市再生特別措置法(平成十四年法律第二十二号)第三十六条第一項の規定による都市再生特別地区
都市計画法8条4項
4 都市再生特別地区、特定防災街区整備地区、景観地区及び緑化地域について都市計画に定めるべき事項は、前項第一号及び第三号に掲げるもののほか、別に法律で定める。
★都市再生特別措置法36条
都市再生特別措置法36条
第三十六条 都市再生緊急整備地域のうち、都市の再生に貢献し、土地の合理的かつ健全な高度利用を図る特別の用途、容積、高さ、配列等の建築物の建築を誘導する必要があると認められる区域については、都市計画に、都市再生特別地区を定めることができる。
2 都市再生特別地区に関する都市計画には、都市計画法第八条第三項第一号及び第三号に掲げる事項のほか、建築物その他の工作物の誘導すべき用途(当該地区の指定の目的のために必要な場合に限る。)、建築物の容積率(延べ面積の敷地面積に対する割合をいう。)の最高限度(十分の四十以上の数値を定めるものに限る。)及び最低限度、建築物の建ぺい率(建築面積の敷地面積に対する割合をいう。)の最高限度、建築物の建築面積の最低限度、建築物の高さの最高限度並びに壁面の位置の制限を定めるものとする。
3 前項の建築物の高さの最高限度及び壁面の位置の制限は、当該地区にふさわしい高さ、配列等を備えた建築物の建築が誘導されること、建築物の敷地内に道路(都市計画において定められた計画道路を含む。)に接する有効な空地が確保されること等により、当該都市再生特別地区における防災、交通、衛生等に関する機能が確保されるように定めなければならない。
★制度の趣旨
都市再生緊急整備地域内において、既存の用途地域等に基づく用途、容積率等の規制を適用除外とした上で、自由度の高い計画を定めることができる都市計画制度を創設しました。
特定行政庁の許可等によらず建築確認のみで都市再生特別地区の内容を実現できるものとされます。
★決定方法: 都道府県が都市計画の手続を経て決定
提案制度により都市開発事業者による提案が可能です
★ 計画事項
以下の事項を従前の用途地域等に基づく規制にとらわれずに定めることができます。
1.誘導すべき用途(用途規制の特例が必要な場合のみ)
2.容積率の最高限度(400%以上)及び最低限度
3.建ぺい率の最高限度
4.建築面積の最低限度
5.高さの最高限度
6.壁面の位置の制限
これにより、以下の用途地域等による規制を適用除外。
1.用途地域及び特別用途地域による用途制限
2.用途地域による容積率制限
3.斜線制限
4.高度地区による高さ制限
5.日影規制
★東京都の例
品川区大崎二丁目及び三丁目各地内(平成16年1月指定)
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最終更新日:2008年10月14日