3−1 日本一の山
ひたすら眠いです。
始発のバスで行って、日帰りで帰ってこようという目的です。
朝早いのが恨めしいです。
例のごとく全然疲れも取れておりません。
新事実発覚、坂道でも膝が痛むことが分かりました。
最高に富士山に登るのに向かない体になってまいりました。
ユースホステルの入り口から見渡した景色。
茶畑が手入れされているのがきれいです。
明朝にこんな風景に出くわすと気分がいいです。
なぜか分かりませんけど、セミがよく道でご臨終なさっております。
旅も三日目になりますが、これまた本当によく見ます。
自転車で走る時はパンクしないように路面に気をつけて走っておりますし、
今歩いているところは上り坂ばかりなので自然と目が行きます。
あまりにもぱたぱた倒れているので袋に入れて集めようかと思ったくらい。
お土産に持って帰ったら嫌われる事間違いなし。嫌われてどうする。
自分が死を招いているようでへんに気分が悪いです。
コンビニで朝食と登山用の食糧を買い込んで、
バスで富士宮駅までいったん行って、富士山行きのバスに乗り換えました。
ちなみに二人が登ろうとしているのは富士宮口です。
★ためにならない富士山登山講座1
富士山は事情で物価が高いので、登る前に飲み物や食べ物は買っておきましょう。
飲み物は350円しました。がめつい人は登る前に買いだめしておくのが吉。
トイレにあまり行かないためにもジュースよりはお茶や水を推奨。
バスで行けるのは五合目までです。
五合目で標高2400mあります。
くねくねとカーブを曲がっているだけのように思えるのに、
いつの間にか五合目まで到着しました。
乗客は席が全部埋まりそうなくらいはいます。
でも、自家用車で行く人を全然見かけませんでした。
そういうものなのだろうか。
五合目に着いたのが大体八時半過ぎでしょうか。
バスの外に出るとなにやら違います。
そうです、涼しいのです。
スーッとした感じがすがすがしくて、登るぞという気にさせてくれます。
空気が薄いはずですけど、それを実感するのはもう少しあとでした。
すぐには空気の違いが分かりませんでした。
高山病予防のため、写真を何枚か撮ったり、トイレに行ったり、
杖を買ったり、ベンチに座って登山者の観察をしたりして、富士山の空気に慣れました。
★ためにならない富士山登山講座2
富士山はすぐ登るのではなく、周辺を歩くなどして薄い空気に慣れましょう。
高山病にかかってしまう恐れがあります。
登山が台無しになってしまうため、いきなり登るという事はないように。
バスから出た近くで撮影したものです。下界がこう見えます。
雲が自分よりも下にあるというのはなんとも言えない感慨を与えてくれます。
自分がこんなところにいるというのが信じられない。
杖っていいですね。焼印を押してもらえるんです。
一合ごとに焼印を押してもらえるところがあるらしいです。
ただし有料です。
でもいい記念になりますし、焼印の見た目がそれぞれ違うので面白いです。
僕は押してもらいませんでしたけど、友人が押してもらってました。
僕が杖を買ったのは何を隠そう、膝が全然良くない状態だからです。
まだまだ若い者には負けんわい、とか思ってるぐらいですけど、仕方なしに買いました。
杖突いて登るのも、それはそれでいいもんです。
★ためにならない富士山登山講座3
自分の体力に自信がない場合は杖を買いましょう。
富士山って簡単に登れるほど甘くはないです。
険しい上に傾斜がきつい。
中央近くにいるのは登山者の方々です。
スキャナーの関係で画像がちょっと荒くなってます。
これまでのも含め、大抵の画像が分かりにくくなっているのが申し訳ない。
富士山って僕が思っていた以上に傾斜があります。
杖を買っておいてよかったなあと思います。
坂道では膝が痛むのを上で書きました。
なかったら膝がどうなっているのかは想像がつきません。
しかも噂どおりに地面が滑ります。
滑るのをこらえるためには膝を踏ん張らないといけません。
しかし、杖があれば安心。
膝の代わりに腕の力で踏ん張る事ができます。
富士山の地面は土というより岩や石です。
赤茶けてて、遠くから見る青いお姿との違いに驚いてしまいます。
★ためにならない富士山登山講座4
富士山は滑りやすいため、滑りにくい靴を選びましょう。
またずいぶん磨り減ります。靴底の丈夫なものを選びましょう。
そんなこんなで六合目に到着。
よく登ったなあと思って標高を調べると、2500m。
なんですとっ、たったの100m?
こいつぁ厳しいぜ。
これをあと13回繰り返すのかと思うと気が遠くなります。
考え方を間違っているのは重ね重ね承知。
100mしか登ってないのに休憩所とは。謀略だろうか?
この100mで薄い空気の厳しさを思い知りました。
同じペースが長続きしないです。
いつもと同じ気分で状態を維持できるように登っていても
摂取する酸素の量が違うので、苦しくなってきます。
ちょっと水分補給をしてさらに高みを目指します。
そういえば昨日は2リットル飲んだそうです。
0.4リットル減りましたが、それは単に晴れていた時間が減っただけです。
今日はもうちょっと少なめに頑張るぞ。
次は新七合目。
ということは、以前は七合目まで休憩所がなかったということになるのか。
なんというか気が遠くなってきます。
気付いてはいたのですが、富士山って日光が下界より熱いですね。
近いので当然といえば当然ですけど。
これまでの旅で肌が赤く焼けてしまっています。
それがさらに日に照らされて余計焼けてしまいます。
空気は涼しいのに日光が熱いというのは不思議な感覚です。
この調子なら半袖で山頂まで登っても大丈夫じゃないかと思うくらいでした。
実際は、山の天気はすぐに変わったりするため、そうもいきません。
僕らが登った時もころころ天気が変わって服装に悩まされました。
★ためにならない富士山登山講座5
100m登るごとに気温は0.5〜0.6℃下がると言われています。
単純計算で頂上は下界よりも約20℃寒いことになります。
それなりに寒さ対策はしておきましょう。
富士山はいろいろな道があります。
細かい岩がごろごろしているだけの優しい道もあれば、
大きな岩ばかりの非常にごつごつした道もあります。
そんな意味で非常に登りにくいです。
だからこそ非常に登り甲斐があるでしょう。
富士山は登られるために作られた山ではないので、登りにくいのは当たり前。
むしろ登れるようにするために誰かがある程度整地してくれたみたいです。
ロープも使って転落しないようにしてくれてありますし、
足場が崩れそうなところは木で防いでくれてあることもあります。
それらの事を考えると頭が下がる重いです。
僕らは富士山だけじゃなくて人の苦労も踏み台にして登っている事を忘れてはいけないでしょうね。
新七合目の辺りまでやってくると結構多くの人とすれ違います。
いっしょに登ってきた人もいれば、いつから登ったのか降りてくる人もいます。
初めは、こんにちは、と挨拶されて返せなかったのですが、
徐々に余裕が出てきて、こんにちは、と返せるようになってきました。
挨拶するっていいですね。特に富士山は特別です。
まず不思議な連帯感みたいなものがあります。
この場にいるみんなが同じ目的でここにやって来た、
そんな人たちが言葉を交わすわけで、見ず知らずだけれども赤の他人という感じではなく、
富士山一つでつながっているような感覚です。
奇妙な事に僕は挨拶を交し合うと元気が出ます。
しゃべると普通は余計苦しくなるものですが、富士山では違いました。
そういうわけで登るにつれて積極的に挨拶したり激励したりするようになります。
また、富士山では自然と饒舌になります。
普段は知らない人にそう話し掛けたりしませんが、
知らない人同士が話し掛けている場面を見ましたし、話し掛けてもらったりもしました。
題して、雲の襲来。
雲が自分を包んで通り過ぎていく感覚はなんともいえません。
不便な地盤にしっかりと根付いている生える草がたくましい。
新七合目に着くとたくさんの人が休んでいました。
これが富士山の厳しさを体言しているのではないでしょうか。
みんな顔が生き生きしていて、すごくいい顔してます。
膝をいたわって、十五分くらい休んでいきました。
ベンチが空いてなくて地べたに座る事になるのですけど、
起き上がるのがとてもおっくうですね。
そうも言ってられないので進むことに。
日帰りでは帰りのバスが来るまでには五合目まで戻っていないといけませんから。
現在の標高2780m。
白い楽器を背負った人が登っています。すごいの一言。
体力あるなあと思うと同時に、負けてられないと闘争心をあおられました。
富士山には様々な人が登りに来ています。
小学校に入学したくらいのお子さんもいれば老人と呼べる方もいます。
意外と女性同士とか、女性一人でというのをよく見かけました。
でもだいたいは友達同士か親子で登るというのが多いようで。僕らもそうですし。
外国人の方も結構いまして、先にこんにちはと挨拶をしてくれる人もいれば、
やや慣れない口調でこんにちはと返してくれる人もいます。
また、中には犬を連れて登っている方もいました。
犬の胴に紙か布が巻きつけてありまして、十一回目の登山、という意味のことが書かれてました。
何があの人をそうさせるのだろうと、考え込んでしまいました。
お年をそれなり召した方でしたし、登っていくのも速かったことから考えると、
富士山に魅入られたのかもしれない。
こう書く自分も実は次に登る時の事を考えています。
だいぶ富士山に慣れてきたというところで七合目到着。
この辺でだったかは不覚にも忘れましたが、
友人の買っておいたスナック菓子の袋が破裂しました。
五合目の時点ですでにパンパンでした。撮ろうかどうか迷いましたけど、
破裂してから撮っておけばよかったと後悔。
破裂した跡はばっちり写真に収めました。まさか破裂するなんて。
薄いものを一枚重ね着して、しっかりと水分補給をとってから上へ向かいます。
この時点で3010m。次の八合目は3250mとなります。
富士山には、すぐそこに見えているのになかなか行けないというもどかしさがあります。
それを特に感じたのが七合目から八合目へ行く間でした。
八合目が上に見えているので急ぐんですけども、
その急ぎがかえってペースを乱して自分を苦しめ、
結果として余分に時間がかかってしまうということになってしまいました。
これではにんじんを目の前にぶら下げられている馬と同じなんですけども、
力尽きている自分がとても悔しい。
ちょっと上に見えていても、実際登っているとすごく遠いです。
仮に50m上に登ろうとしても、歩く道のりというのは結構あります。
だいぶ登ったんじゃないかと思っても実は全然登れてなかったり。
ということで、登って下りてくると結構な距離を歩いた事になるはず。
この日どのくらい歩いたかは見当もつかない。
八合目到着。たしか八合目でお昼にしました。
おにぎりをほおばって、気分はピクニック。
昔は、友達百人できるかな、なんて歌ってたなあ。
休憩所の前のがけにフェンスがこしらえてあったので、そこで座って食べました。
そこからは七合目から登ってくる登山者の様子が分かります。
こうやって自分達も登ってきたんだなあと思う同時に、登ってくる様子を楽しみました。
あと、500mと思うと俄然やる気も出てきます。
休憩していると、八合目では寒い。
動いているとちょうど良い気候ですけど、じっとしていると肌寒いです。
汗が急速に渇いていきまして、おまけに曇ってきて風が吹き出したのです。
よって、家から持ってきたとっておき、ハイネックを着用しました。
持ってきておいて使わないのでは、ここまで持ってきたのがむなしくなってしまいます。
この辺から気温を真剣に考え始めました。無理はいかんです。
手袋の代わりに持ってきた軍手も装備しました。
一気に寒さ対策をして、いざ九合目へ。
この鳥居がどこにあったのかもうよく覚えてません。
普通の鳥居は赤いですけど、ここのはなぜか白い。
この頃、自然と友人が前に出るようになりました。
そうなると距離は離される一方でなかなか辛いです。
彼は登山は不安だとか言っておりましたが、健脚です。
膝の容態が悪化しているというしるしでもあるんですけども。
待ってくれているのが気の毒ですが、助かります。
僕は富士山を完全になめ切っていた。
下りを計算に入れても何とかなるとは思っていたものの、
この状態で下りきれるかどうかというのに不安が。
そうこうしているうちに九合目到着。
ここが標高3460mです。
3590mの地点に九合五勺が存在します。
130m上で本格的に休むことにし、さっさと出発。
小銭が亀裂の中に埋め込まれています。
どういうご利益があるのかは知りませんけど、登山者がはめ込んでいくようです。
僕らの後から来た登山者二名がはめ込んでいきました。
ご縁がありますように、という発言に親近感を覚えます。
上からやってくるのは頂上までたどりついた方々。
がんばってください、という暖かい励ましをいただきます。
うらやましい、自分もそういう立場になりたい、
というややよこしまな気持ちを胸に足を踏み出します。
下りてくる人もいい顔してます。
何かを達成したというような、すっきりした顔。
そうさせるものが上にはちゃんとあるんでしょう。
ますます頂上に登りたくなってきます。
九合目からが本番だと自分に言い聞かせております。
とうとう九合五勺までやってきました。
標高3590m。頂上は3776m。
その差、186m。
休憩所での出来事はもうほとんど覚えておりません。
ただ登る事だけを考えていました。
登る体力を回復させて、頂上へ。
冬に積もった雪がまだ残っています。
分かりづらいでしょうけど、雪のあるところへ行こうとしたら待つのは死です。
雪が残っているくらいなので、気温は推して知るべし。
でも僕は燃えているので半袖に戻りました。
その日、九合五勺から山頂までの間ほど長く感じた距離はない。
250m、300m分も歩いたのではなかろうかと思うほどの時間が頭の中で流れました。
膝が止めろ止めろと必死に抗議する中、休んでしまわぬように、
確実に一歩一歩を踏み出していきました。
痛みを伴いながら、何のために富士山の頂上を目指して登っているのか、
正直分からなくなってきました。
あるのは、登ると決めたからには登るという、自分なりの流儀です。
長かった。
そして、頂上と思しき地へ踏み入れました。
「ここはまだ頂上じゃないよー」
まじっすか。
「ここを左にずっと行ったところにあるから」
親切なおじさんは僕ら二人にそう教えてくれました。
じゃあここは標高何mなんだろうという疑問はよそに、
さらに上に登るかどうかを考えていました。
ここに着いたのが三時前。
最終のバスが本当はもっと遅いはずが、六時ということに気付いたのです。
バスで帰るためにもう戻るか、バスは諦めて本当の山頂へ登るか。
当然山頂へ行けば、バスは無理と言い切ってもいいです。
下りには四時間くらいかかるという情報もあります。
三時間で下れるかどうかというのもあやしい。
なにしろ僕が膝を悪くしているからです。
下りでは登り以上に膝に負担がかかります。
考えあぐねている中、友人が自分は山頂まで行くと言います。
留守番なんて嫌ですから、当然僕もついていきます。
当時の僕としては一種の賭けでした。
骨か関節がいかれてしまうのではないかという痛みがありましたから。
賭けに勝ったのかどうかは今でも分かりません。
ここは頂上じゃないといったおじさんはこうも言っていました。
「頂上に行ったほうが絶対いいよ」
富士山から下を眺めた景色というのは別格です。
スケールがもうまるで違います。
自分がとても小さな存在だというのが改めて分かります。
ずっと遠くのほうまで見渡せて、静岡の町が見えることもあります。
けれども、僕のやって来た三重県までは、見ることができません。
思えば遠くまで来たものだなあとつくづく思いました。
富士山の近くに宝永山というのがあります。
それが山頂近くから、かなりはっきりと見えて
一つの山をもう一つの山から見下ろすという奇妙な光景を味わいました。
たしか休火山で、火口の様子がよく分かりました。
富士山からの眺めは目のいい保養になります。
山頂へ向かう道は途中から細くなり、ロープもなく崖になっています。
さらに進むと急斜面の坂が突如登場します。
最後の難関というところ。
そして苦闘の末、ついに富士山の頂上に無事到着しました。
本当に感無量です。嬉しい事この上ないです。
何かを成し遂げるって素晴らしい。この達成感はそう味わえないでしょう。
頂上での記念撮影もばっちりしました。
三角点の撮影もしてまいりました。
三角点なのに三角じゃない、という突っ込みは無粋。
右端が切れているのは、歩きながら急いで撮ったため。
カメラの扱いが上手になりたい。
3−2 下山
非情なるかな。
今度は登ってきた坂を下らなければなりません。
特に最後の坂は滑りやすく、おまけに足に相当な負担が予想されました。
中央にはつかまるものがないため、みんな端のほうから登っている有様です。
見よ、この斜面を。って写真ではあまり伝わりませんね。
すぐ右にいる人が鉄につかまっていることでご理解いただけるはず。
この後、こけて、3mくらいうつ伏せになって滑り降りていきました。痛い。
冷静に考えると約1400m下に降りるというのはすごい事のような気がする。
下を見下してみると、恐いです。
高所恐怖症というのもあるんですけど、膝への負担が。
いわば爆弾を抱えているようなものでいつ爆発するか分からない。
少なくとも、爆発すれば自力で下山する事は不可能でしょうね。
そこで友人がナイスな下り方を伝授してくれました。
それは、後ろ向きに下るということです。
体の正面はこれまで来た方向を向いて、後ろを振り向きながら下りていくと。
首がちょっと痛くなったり、三半規管がおかしくなったりしたものの、
痛みに関しては確実に和らぐため採用させていただきました。
すんごい恥ずかしいです。
人から見たら変人だと思うでしょうね。
これが原因で、僕は登りの人にあまり声をかけられなくなりました。
階段などの大きな段では痛みは避けられませんが、
坂などのそれほど膝を曲げる必要のない場面ではあまり痛くないのが衝撃的です。
軍手でロープをしっかりとつかみ、ある時は杖を巧みに使いマイペースに下りていきます。
たまに僕らを追い抜いていく人達がいます。
負けないようにペースを上げて無理をしては元も子もないので、
自分の状態に忠実に降りていきます。
たまに足を滑らして、膝に激痛を走らせる事もありました。
五合目までが本当に遠い。
九合五勺で足をちょっと休めてみる。
本当に下山できるのだろうか、膝へのこれまでの仕打ちを考えると
到底無理なような気がしてきました。
でもやることといったら下に行く事しかないわけで。
九合目までほうほうの体でやって来、
八合目で膝に疑心暗鬼の状態で来、
七合目であと半分か、という気分。
ここまで来たら、なぜか足が大丈夫なような気がしてきました。
痛みはしっかりとあるわけなんですけど、それほど気にならなくなってきました。
この時点ではバスには間に合わないという事がほぼ確定しています。
ゆっくり下りていったらどうか、という友人の提案もありましたが、
やはり早めに下りていったほうがいいだろうと思ってどんどん下ります。
あまり休まないようになり、人が変わったように下り続けます。
その心の裏側には、抜かされたくないという気持ちが働いてました。
新七合目のあたりから暗くなってきて、懐中電灯が必要になってきました。
僕らはもっと早くに下山できる予定だったため、用意してませんでした。
偶然、近くにいっしょに下りている人がいましたので、
まとまって一団となって降りることに自然と決まりました。
光を集める事ができて、安全に降りれるようになります。
光がないと足元が分からず、滑ったり転落したりして危険です。
この方々の行いには非常に感謝しています。
進んで親切で申し出てくれました。
この方々がいなければ、どうなっていたか分かりません。
日が降りてくると下山者が相当少なくなってくるからです。
★ためにならない富士山登山講座6
たとえ日帰りでも集団で最低一つは懐中電灯を用意しておきましょう。
予定通りに事が運ぶかどうか分からないからです。
日が落ちると何も見えなくなり、身動きが取れなくなります。
なんとか死に物狂いで五合目までやってきました。
膝は何とか無事です。危険な綱渡りも終わりました。
辺りは当然真っ暗です。着いたのは九時ぐらいだったでしょうか。
結局登りと同じくらい時間がかかっています。
朝に来た時は駐車場がスカスカだったのに、
夜になってみると車でぎゅうぎゅうです。
これはほとんどがご来光を見に来た人たちの車です。
富士山から昇ってくる朝日を見ようということです。
バスはもう来ない。
どうやって帰ろうか考えると、
タクシーとヒッチハイクの二択になりました。
富士山から帰る車はいないか、タクシーは出張ってないか、
とうろうろしているとありました。
タクシーです。
お客が荷物をどうにかしているのですけど、
降ろそうとしているのか積もうとしているのかよく見えません。
じわりじわりと近付いてみると、富士山に来たお客だという事がわかりました。
助かったとしか言いようがありません。
すぐさまユースホステルに向かってもらいました。
僕は田舎者なので、タクシーに乗ったことがありません。
初めてというのはいいものです、新鮮な感じが。
運転手さんとも色々話をさせていただきました。
富士山で降ろしたお客さんは、神戸から来た人たちで
防寒具とか雨具を持たず、おまけに非常に軽装だったらしいです。
富士山はそんなに甘くないのでとても心配しました。
また、運転手さんは富士山の近くの富士宮に住んでいる方なのに、
富士山には登った事がないとおっしゃっていました。
近場に住んでいるといつでも行けるという心理が働いて、逆に行かなくなるそうです。
自分の場合に当てはめるとなるほどなという感じがしました。
他人の家の芝ほど青く見えるものですね。
なお、友人も登ったのは今回が初めてだとか。
ユースホステルに戻って入ったお風呂は格別でした。
結局、人のお世話になりっぱなしの連続だな、
というのを痛感してしまいました。
人なんて一人ではたいしたこともできないから大丈夫、と一人で納得。
人間なんてそういうものです。
色々勉強になったからいいじゃないかということで、布団に入る。
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