作:◆ozOtJW9BFA
「本当に言いたいこと」は、言った後に「その言葉では掴みきれない」という否定形で現れる、奇妙な消失点である。それはすべての事象の先に存在する。
物事が終わった後の否定形でしか、人は生きられない。
コズ・グランデン 「幻想の非線形」 皇暦三七七年
E―4に入りD―4に行こうとする途中で放送が流れ出した。
放送が流れ、名前に線を引いてゆく。ガユス・レウ゛ィナ・ソレル━━━━━━相棒にも。24人の中にアイツは入っていた。
悲しみは無い。なのに、何故、こんなにも空虚なのだろう……。
仲間が死ぬことは馴れるものではないとギギナは思った。
放送は終わった。
それと同時に自分の『何か』の終わりを感じた。
そしてまた歩き出す。
頼みごとを済ませねばならない。
真に強き者との死合いもまだまだ足りない。
自分が感じていたほど精神的ダメージはないみたいだ。眼鏡は立派に戦い、そして気高く逝ったのであろう。悲しみは一切、無い。
剣を握る力が入りすぎだとかは気のせいであろう。唇から血がでているのもまた………
悲しみなど、悲しみなど……
あるのは、苛立ち。何故、死んだのかッ………!!
胸の中に怒りが静かに湧いてくる。
ここでギギナは自分でも驚く程の冷静な思考を始める。普通の者ならギギナを異常な思考を持つ戦闘狂だと思いがちだが、実際には違う。咒式師、最高の13階梯を持つということは正常な判断力をもつ戦闘狂だということなのだ。
ガユスを殺したのはクエロ・ラディーン!?いや、違う。クエロはこんな状況下でガユスを殺しはしない。不思議な感覚だがそれだけは確信できた。では、誰が!?
「少し情報を集める必要があるようだな。丁度いい、日が落ちる。…………………ガユスを………弔ってやるか………」
自分で口にするとしっかり感じられた。相棒がもういないことを。
数分後、E―4北西に位置する倉庫を目指していた。
先程、眩い光りが倉庫から発していたのを目撃したからだ。森の中を枝から枝へと疾走している内に倉庫から出ようとしている二人組を発見。眼前に降り立つ。そして、自分には一生、縁の無い言葉を。相棒が得意とした交渉の言葉で問掛けた。
「我が名はギギナ・ジャーディ・ドルク・メレイオス・アシュレイ・ブフ。情報交換を所望するッ!」
自分でも似合わないと苦笑した
【E―4/倉庫入口前/1日目・18:33】
【ギギナ】
[状態]:冷静・静かなる怒り
[装備]:屠竜刀ネレトー、魂砕き
[道具]:デイパック1(支給品一式・パン4食分・水1000ml)
デイパック2(ヒルルカ、咒弾(生体強化系5発分、生体変化系5発分))
[思考]:クエロとガユスとクリーオウの情報収集。ガユスを弔ってやるか。ガユスの仇を………!?。強き者と戦うのを少し控える(望まればする)。クエロを警戒。
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