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第056話:状況

作:◆CSZ6G0yP9Q

自身がどのような状況に居るか一つを除いて全くわからない。しかし、ここの空気は彼の最も知る空気だった。
 戦場。彼の育った、生きてきた場所。ならば、するべき事は限られている。
 彼はまず、現状把握に努めた。自分の所持品の確認を始める。短編に限り常備している、催涙ガスやショットガンがなくなっているのは手痛かった。拳銃すらもない。武器はコンバットナイフだけだ。 
 確認を済ませると、彼は視界が取れ、遮蔽物もある禿山の中腹、その岩陰に身を潜ませた。明るければ目立ってしまう陣代高校の制服も、ある程度カモフラージュした。
 自らの安全の確保を終えると、次にすべきは目標の設定だった。黒曜石を加工しながら、名簿を眺め、考える。
 クルツ・ウェーバー。彼なら自らでなんとかするだろう。

ガウルン。死んだはずの男。様々な疑問はあるし、注意すべきではあるが、全く知らない者達に比べれば、危険性は低いとも言える。
 テレサ・テスタロッサ、千鳥かなめ。彼女達は早急に保護するべきだ。
 そこで思考を一旦切り、出来上った黒曜石のナイフを眺める。せめて投擲用にはなるだろう。
 自身を守るべき物はできる限り揃えた。情報はここに居つづけてもこれ以上は集まらない。かと言って動き出すのは下策だろう。
 しかし、彼は迷いながらも決断し、ボタンを一個ちぎると、地面に捨てて立ち去った。
「千鳥……」呟きが残った。

【B−6/一日目00:30】

【相良宗介(フルメタル・パニック)】
状態;良好・戦士モード
装備;コンバットナイフ・スローイングナイフ数本
道具;デイパック(支給品一式)
思考;1、安全の確保 2、情報の収集 3、千鳥、テッサの保護 4、クルツとの合流 
   なお爆撃などの支援はないものとする。

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