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第055話:妄想の男

作:◆Wy5jmZAtv6

浜風に吹かれながら自称、天軍きっての美少年ルーキー呉星秀は使命感に燃えていた。
ここの所ポカが多く、慧惑様に折檻されまくりの彼だったが、
とんだ所でチャンスが巡ってきた、きっと鳳月や双子たちは今頃何もできずに
右往左往してるだけに違いない、ここで自分の出番だ。
「そうすれば麗芳ちゃんだってあんなちんくしゃより僕の方が頼もしいって認めるはずさ!」

それに…彼はホールでの出来事を思い出す、正直彼はあそこで起こった惨劇も、そして
生き残るために何をすべきかも聞いてなかった。
何故なら…
「二列目の左側にいたバンダナ姿の女の子、実にかわいかったなぁ…右後ろにいたセーラー服の子もなかなか」
そう彼は説明そっちのけで女の子の品定めに夢中だったのだ。
「いかんいかん使命を忘れてはいけないな」
そう自分の使命はいたいけな少女たちをこの絶望の島から救い出すこと、そして少女らを天界に招き
ハーレムを作ること…もうすでに鳳月らのことは忘却の彼方だった。
ちなみに彼はこれでもれっきとした天界の神将である。
さて、とそういえば荷物を確認してなかったな…星秀はがさごそとディバックの中に手を突っ込むが
その手がわなわなと震えだす。

「こっ…これはまごうことなき美少女の匂い!…この匂いは僕の4列右に立っていた子の物だ!」
偏執的なまでの正確さで匂いを嗅ぎわける星秀、慌てて中身を見てみると、
それは紺色のやけに面積の少ない布地だった、そう…これは…。
「スクール水着!?」
ちなみに胸のところには「藤堂」とゼッケンが貼られている。
震える手で名簿をめくる星秀、すぐにその名前は見つかった。
「藤堂志摩子、なんて素晴らしい名前なんだ」
星秀の脳裏には恐ろしいまでの正確なタッチで描かれたスクール水着姿の藤堂志摩子の姿があった。
たかが水着の残り香だけで、ここまで妄想するとは見習いとはいえ流石天界の神将だった。

「この僕が必ず救い出してあげるよマイハニー!!」
彼の脳はすでに妄想を通り越してスパークしまくりだった。
重ね重ね言うが彼はれっきとした天界の神将である…申し訳ないが。

【呉星秀】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:デイパック(支給品一式)藤堂志摩子のスクール水着
[思考]:藤堂志摩子を探す、その他美少女はすべて保護
【残り105名】
【A-4一日目130】

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