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第039話:絶対零度の微笑を

作:◆qEUaErayeY

 風が、凪ぐ。潮の香りを乗せて・・・。

「ここはとっても素敵な世界だね。とっても興味深いよ。
 ・・・でもね、私はもとの世界に帰らなくちゃいけないんだ。」

 ポケットから、息を引き取った少女の髪と同じ色のハンカチを取り出し、こびり付いた血をふき取る。

「まだ夜会(サバト)も終わってないし、私の世界には導いてあげなきゃいけない子が、
 まだまだたくさんいるんだよ。
 私のお仕事・・・。たっくさんの子を魔女にしてあげるの。“できそこない”にならないようにね。」

 今は動く事を止めた少女。その少女の首は、ぱっくりと裂け、
 おびただしい程の血が少女の白い頬を髪を、紅く、紅く染めていた。
 少女のディパックを開き、今度は武器となるもの探る。めぼしい物を見つけ、自分のバッグにしまった。

 一連の動作に無駄は無い。そして楽しそうに終始笑みも絶やさない。
 別に今の状況を楽しんでるわけでは無いのに・・・。
 
「もし・・・今度また会えたら、その時はお友達になろうね。私は貴女をけして忘れないよ。
 貴女の顔も、その綺麗な真っ白い髪も、魂のカタチも・・・」

 魔女、十叶詠子は別れを告げ、その場を後にした。
 寒気がするほどの無邪気な微笑みを浮かべて。

「・・・“影”君は無事かなぁ?」

【残り105人】
【死亡 ティファナ(021)】
 
【H-7/海岸/1日目 02:13】
 十叶詠子(005)

状態:健康 
装備:メス
所持:支給品一式、閃光手榴弾1個(ティファナから拝借)
思考:元の世界に戻るための行動を優先。しかし参加者を殺すかは時と場合による。
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