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第025話:図らずも

作:◆PZxJVPJZ3g

「……ふもふも、ふもっふぅ(……厄介なことになったぞ)」
妙に可愛らしい着ぐるみの中でキノがつぶやいた。

支給された物を確認している時に、この着ぐるみを着てみようと思ったのがそもそもの間違いだった。
自分に支給されたこの着ぐるみの中には暗視スコープや無線機の様なものが有り、うまくすれば使い物になるかもしれないと思った。
だが着てみると、思いの外動きを制限されてとても動きづらいのだ。しかも中の機械は着ぐるみに内蔵してあるボイスチェンジャーと連動しているらしく、ボイスチェンジャーが使えないと他の機械も全く使えなくなってしまうのだ。
中の機械だけを取り出そうとキノは考えて着ぐるみを脱ごうとしたが、中の金具がキッチリと嵌っていて着ぐるみを脱ぐのは不可能そうだった。

中の金具と格闘する事十五分、ついにキノはこの着ぐるみを脱ぐ事を諦めてしまった。

「……ふぅも(……はぁぁ)」
ため息をつきながら、暗視スコープ越しに辺りを見渡す。そこから見えるのは、支給されたアイテムが浜辺に散乱している風景。とりあえず足下に落ちていた懐中電灯を拾おうとする。
しかし懐中電灯は中々拾えない。4回目にしてやっと拾う事が出来たが、すぐに懐中電灯を落としてしまった。
五回目に挑戦しようとしたその時。
「はい、これ」
何者かが懐中電灯を拾ってキノの前に差し出した。


「ふもっ、ふもふも、もっふる(あの、ありがとうございます)」
相手に伝わるかどうか不安だが、一応お礼を言ってキノは相手の姿を見た。
短めに切られた髪の似合う少年がそこにいた。体つきは中肉中背、背中越しに大型のパースエイダーが見えるが、バッグの中に入っているようですぐに取り出す事は出来ないように見える。
キノはこの少年を一応『安全』だと決め、慎重な動作で懐中電灯を受け取った。今度は何とか懐中電灯をちゃんと掴む事が出来た。
今度はそれをバッグに入れる為に、よたよたとした動作でキノはバッグの近付く。
しかし、バッグの数歩手前でまた落としてしまった。
再度懐中電灯を拾おうとした時、背後にいた少年が声をかけてきた。
「拾うの、手伝いましょうか?」

考える事数秒、キノは素直に手伝ってもらう事にした。


『チーム時雨沢』

【キノ (018)】
装備アイテム:ボンタ君量産型(脱衣不可能)
所持アイテム:支給品一式
基本方針:1、支給品を集める 2、ボンタ君スーツを脱ぐ


【ヴィルヘルム・シュルツ(035) 】

所持アイテム:支給品一式、ベネリM3
基本方針:キノの支給品を集める。

【備考】
ベネリM3(出典はフルメタ、フルメタではただのショットガンとして登場、ベネリM3は趣味)

【F-6/一日目・砂浜/00:23】
【残り112名】

2005/04/10 修正メール

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