ローカル線概要(鉄道建設公団誕生までの経緯)
日本鉄道建設公団の誕生従来鉄道線建設は、鉄道敷設法(現在は廃止、大正11年4月11日 法律 第37号)に基づく予定路線のうち鉄道審議会の答申があったものについて、国鉄が申請し、許可を得て建設されてきました。
しかし、戦後は、戦争で疲弊しきった老朽施設の取替えや新幹線建設、大都市圏における複線・複々線化などの輸送力増強工事に対応するのが精一杯で、ローカル線建設は遅々として進みませんでした。
そこで、政府は昭和37年5月の第36回鉄道建設審議会において「鉄道新線の建設を推進するために、国鉄と別個の組織を設け、政府、国鉄等がその財源を負担してこれに対処すべきである。」との建議がありこれを受けて、国鉄の新線建設事業は別の組織を設けることとなりました。
これにより誕生したのが、鉄道建設公団で、その目的は当初は、地方ローカル線の建設に主力がおかれていました。(下記鉄道公団法第1条参照)
関連リンク
条文参照 (衆議院のHPとリンク)
日本鉄道建設公団、条文比較 | |
鉄道建設公団の設立目的(鉄道公団法 第一条抜粋 (旧) 第1条 日本鉄道建設公団は、鉄道新線の建設を推進することにより、鉄道交通網の整備を図り、もつて経済基盤の強化と地域格差の是正に寄与することを目的とする。 |
鉄道建設公団の設立目的(鉄道公団法 第一条抜粋 (新) 第1条 日本鉄道建設公団は、鉄道の建設等を推進することにより、鉄道交通網の整備を図り、もつて経済基盤の強化と地域格差の是正に寄与するとともに、大都市の機能の維持及び増進に資することを目的とする。 |
当初は、ローカル線の建設に主力がおかれ、ローカル線は地方の発展に必要なもの、と言う意見が大半を占め、赤字であっても国の事業であるので赤字はやむを得ないと言う意見が大半でした。
また、この鉄建公団の設立を受け、都道府県知事が以下のような圧力団体を結成しました。
ローカル線建設の圧力団体昭和37年12月、新線建設を陳情していた各都道府県知事が「鉄道新線建設促進全国協議会(鉄建協)」を自民党のバックアップで結成、その後の圧力団体となりました。(この辺は、現在の高速道路の建設と同じ轍を歩んでいることに注目してください。) |
建設主体が出来上がったローカル線建設は、その後国鉄の意思に関係なく建設されていきます。
特に、AB線と呼ばれた、地方開発線は無償譲渡されるのですが、運営は国鉄が行うこととされ、ローカル線の維持管理は国鉄が受け持つこととなりました。
また、収益の見込めるCD線と呼ばれる、主要連絡線や大都市交通線は、有償貸付とされ、国鉄は多額の使用料を鉄建公団に支払うこととなりました。
本来であれば、全て無償提供されれば、国鉄の中で内部補助もできたのでしょうが、おいしいところは有料で、余りうまみの無いところを無償で譲り受けても困るのは国鉄でした。
鉄道建設公団が業務をはじめてまもなく、国鉄は赤字83線という、ローカル線廃止に本格的に取り組むこととなります。
赤字ローカル線を廃止する一方で、同じような赤字ローカル線を開業させざるを得ないと言う矛盾を持ったまま、ローカル線は建設されつづけます。
なお、鉄建公団には当時国鉄からも少なからずの運営費を負担していました。
工事種別は以下のとおり | |||
A線 | B線 | C線 | D線 |
地方開発線 | 地方幹線 | 主要幹線 | 大都市交通線 |
無償貸付線 | 有償貸付線 | ||
建設後は、無償で国鉄に貸し付けられるが、その後の運営は国鉄が責任をもつ路線 |
建設後は、有償で貸付、国鉄〈当時)は鉄道建設公団に対して、年賦で買い上げる路線、当然。使用料を支払うとともに、その運営を国鉄が責任を持つ路線。 |
昭和39年、鉄建公団が工事線に昇格した路線一覧 | |
AB線 | 〈北海道〉岩内線・芦別線・北十勝線・辺富内線・名羽線・美幸線・興浜線・白糠線・根北線(1957/11/10一部開業、1970/11/30廃止) 〈東北〉久慈線・盛線・小本線・鷹角線・生橋線・気仙沼線・只見中線 〈関東〉野岩線・鹿島線・嬬恋線・北越北線 〈中部〉佐久間線・中津川線・神岡線・氷見線・越美線・能登線・下呂線・樽見線 〈近畿〉小鶴線・坂本線 〈中国〉宮守線・智頭線・南勝線・井原線・三江線・本郷線・今福線・岩日北線 〈四国〉窪江線・中村線・宿毛線・内山線・阿佐線 〈九州〉篠栗線・油須原線・呼子線・小国線・北松線・高千穂線・国分線 |
C線 | 〈北海道〉紅葉山線・追分線・狩勝線・落合線 〈東北〉丸森線 〈関東〉根岸線 〈中部〉岡多線・瀬戸線・伊勢線 〈九州〉浦上線 |
D線 | 〈関東〉武蔵野線・小金線・京葉線 〈近畿〉湖西線 |
E線 | 海峡連絡線 |
G線 | 新幹線 |
P線 | 民鉄線 |
鉄道建設公団のローカル線建設は、ごめんなはり線の開業をもって全て終了しました。
今後、ローカル線建設が行われる可能性はなく、地方ではその代替として高速道路建設要求が高まっています。
本四架橋もしかりですが、作っても利用者がいなくては結局つけは地域住民に回ってくることを肝に銘じていただきたいと思います。
ローカル線建設で結局放置されたままの路盤なども撤去工事は地方自治体の負担と聞いています、一度皆様でこの点について考えてみてはいかがでしょうか?
ここからは、資料編(興味のある方は見てね。笑)
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