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投機の国のたけくらべ
パフォーマンス計算地獄編

 博打から足抜け出来ない生活を続けて20年。
 お子様麻雀からはじまったギャンブル人生も行き着くところまで逝き、資本カジノの隅っこが今の棲処になってしまいました。

 弱肉強食の掟で鳴らす それは厳しい賭場ですが、生態系の最下層でも 住み慣れてしまえば存外快適な遊戯空間でございます。
 麻雀のように 他の面子の都合に縛られることも無く、競馬のようにすし詰め武蔵野線に揺られる苦労もありません。
 ネットさえ繋がれば すぐにそこが鉄火場で、完全合法 寺銭低め。
 オマケに 毎日毎日 場が立つなんて、なんて幸せな国に生まれてきたのでしょう。

 しかも最近は 「資産形成」だの「財産運用」だの 甘ったるい言葉が流行ってきている様子です。
 給料日に福沢さんの一団が証券会社に移動しようとも、普通のバクチと違って 家の怖い人にも言い訳しやすいの。
 かなり大きく相場を張っても 「これも貯金の一種だよ」といっておけば 激しい軋轢も避けられます。
 中隊規模の遭難事件が発生しても、書類はほとんど電子交付、証拠隠滅なんて簡単簡単。

 そんな訳で 御気楽能天気な凍死家生活を送っていたのですが・・・

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    10月某日

 それは 穏やかな秋の休日のこと。
 のんびり読書の最中に、いきなり 妻が乗り込んできて言いました。

「あなた、本当はどれだけ損をしているの」

 藪から棒の一言です。
 アマゾンの一件で(?)信頼関係が破壊されている上に、マズい書類を探し出したみたいです

 福沢さんの一人や二人、この世界じゃ損害のうちにも入らないんですけどねぇ・・・・

 少しでも実現損が出てると 何でこうも感情的になってしまうんでしょ。
 本当は 毎日毎日 この何倍も含み損益が動いてますし、負けるときには 国産新車が一瞬で消滅しちゃうもん。
 なんて 正直に教えた日には絞め殺されるのは確実でしょう。

 だから 優待コーヒーや優待お米と 美味しいところしか見せないように努力していたんですよ。
 株主優待はほとんど全部(??)渡していたし、郵便局で配当を換金していたのも妻のはず。
 含み損益までは教えていないけど、去年の確定申告 一緒に検算したじゃない。

 激しく言い訳したんですが、全く耳を貸しません。
 え、「御託はいいから さっさと帳簿を見せろ」ですか?

 お願いだから フライパンは投げないで。


 もちろん、こっちも 弱小とはいえ互いに金を毟りあう市場の住民(のつもり)
 絶対 妻には教えませんが、一応 自分の浮き沈みくらいは把握してはいるんです。

 博打の収支を把握するのはギャンブラーのイロハ。
 真に最悪なのは負けることでなく、ヤラレの自覚がないまま負け続けることでしょう。
 帳面つけずにハマッていると、思っている以上に穴があいてるの。

 そうでなくても 相場博打では税金対策が必要です。
 現制度では勝っても負けても、2月には確定申告がやってきます。

 特定口座を使っていれば別ですが、銘柄ごとの平均買い付け単価売値は記録を残さなければいけません。
 配当だって 配当控除がありますから(使えないことも多いでしょうが)帳簿につけておくはずです。
 ほかにも 振込手数料から 口座管理料(!)口座移管手数料(!!)なんてモノまで、一応 書面は残ります。

 でも、これだけじゃ 何にも言えないんですよ。

 相場の毒に浸れば浸るほど、自分の投機の成否さえ 単純には考えられないカラダになってしまいます。

 そ、自分が「幾ら儲けた(損した)」は一目で分かるんですがね。
 「何%儲けた(損した)」かはすぐには計算できないんです。


 え?
 「前期末の評価額」「今期末の評価額」「今期の投入金額」が分かれば %リターンも計算できるだろうって・・・

 私も 昔は そう思っていましたよ。

 って、計算すればリターンがでるってね。

 でも、この式を実際に使って計算してみると 現実離れした良い数字が出てきてしまうでしょう。
 それもそのはず、上の式では 月々の投入資金によるリターンが計算されていないんです。

 私のようなゾウリムシ級サラリーマン投機家は月々の給料からチビリチビリと市場に資金を増派しています。
 新しく投資した資金が 1年間 何も動いていないわけがありません。
 その時々で有利と思う銘柄を買うわけですが、投入直後に福沢さんが大量死していることもありますし・・・

 で、次に思いつくのが 下の式。

 期間内のキャッシュフローを分母に入れてあるんですが、今度は かなり悪い数字になるはずです。
 この式だと 年初に資金が全部投入されたことになりますからね。

 あれこれ考えると、期間内の投入資金は 投資期間で修正して算入しなければいけないことが分かります。(当たり前!!)

 まず最初に思いつくのは、投資資金に滞在日数(?)を掛けて修正する方法でしょう。

 具体的には 2日に投入された資金には29/30を掛け、10日に投入された資金には21/30を掛け・・・・と、延々 新規投資をする度 月の残り日数を掛けていき、最後に その和を求めなければなりません。(専門的には「修正ディーツ法」ってヤツです)

 資金の投入が頻繁だと 正直 紙と電卓で計算するのは辛いモノがあります。
 表計算ソフトを使えば 一発でしょうが、EXCEL使えない人間は泣き泣き電卓を叩き続けるしかありません。
 ま、私のような弱小投機家は あんまり援軍派遣が出来てませんから、手計算でも どうにかなってしまうんですけどね。

 「どれだけ儲けた?」と気軽に聞かれても、ココまでやらないと 根拠のある数字にならんのです。

 もっと手間を省くつもりなら 月内のキャッシュフローを全て月央にあったとみなして処理する方法(ディーツ法の原法ですね)もありますが、新規投入資金が大きいとコンマ数%の誤差が出てしまいかねません。
 普通の個人投資家なら この簡便法でも十分でしょうけど、プロの世界では2005年からは認められない処理とされてます。


 本当は 日数で修正したディーツ法でも ちょっと問題含みなんですけどね。

 まず、上の式では「期間内のリターンが一定である」って仮定で計算されてます。
 期間内の価格変動が激しいと、金額投入の時期によって 結構な誤差が出るんです。

 また、上の式では期間内のリターンが単利で計算されていますから、複利計算の数字より高めの結果が出るでしょう。

 完璧を期すなら 新たな資金投入の前にポートの時価を求めて、前回の資金投入時からのリターンを計算するべきでしょう。
 その後 それぞれの期間ごとのリターンを幾何的に結合すれば、投入資金に影響されない正確なリターンがでるはずです。「完全法」ってヤツです。)

 でも、アマチュアがこの方法を使うのは 結構大変なんですよ。
 株を買う前日の資産評価額を記録しなけりゃなりませんからねぇ。

 私のように 「るいとう」を使っている上に 衝動買い癖の抜けない人間は ココまでの管理は不可能です。
 ホームページやブログを作っている個人投資家でも、完全法を使ってると思われる方って少ないんですよ。(私はそういう人いるだけでもすごいと思いますけど・・・・)

参考資料

完全法で計算している方のHP

EBIのすすめ
http://www.geocities.co.jp/WallStreet-Stock/5118/

文中の書き方は異なりますが、完全法と同じ意味。
計算する手間は結構掛かっているのでは。

ディーツ法で計算している方のHP

知的ゲームで勝つ方法
http://invest.brain-work.net/?cid=11815

日数修正を行わないディーツ法で計算されています。
月初に資金を算入するのは原法より保守的で確実でしょう。

 ズボラでEXCELが使えない私は ディーツ法でもヒーヒー言いながら電卓と闘わなければいけないんですけど。


 バキッッ!!

 ウワァ、薀蓄の途中で いきなり打たないでぇ。
 言い訳しているわけじゃないんです。

 リターンを計算するの 本当に本当に 大変なんですよぉ。

 ドォゴッ!!

 ちゃんと教えます、教えます。

 私でも一応は節目節目の計算は済ませているんですよぉ。
 ほら、このファイルに挟んであるんです。
 本棚の裏に隠してある落ちてあるだけで・・・

 ゴギッッ!!


 ああぁ、ついに隠し決算ファイルを妻に見せる羽目になってしまいました。(不祥事某社みたいに・・・)
 それでも 2005年になってからは パッと見 変な数字がないんで気が楽です。

 

収益率
(非年率換算)

2005年1月〜6月 10.17%
2005年7月 4.18%
2005年8月 −0.24%
2005年9月 5.01%
2005年1月〜9月累積 20.23%

修正ディーツ法で月次リターンを計算
幾何的に結合している

 2002年にバレてたら 血の雨が降るハメになるんでしょうねぇ。(参考文献)

 ふう。どうやら、やっと納得した様子。
 怖い人は 凶器フライパンを持って 台所に帰っていきました。

 今回はどうにか逃げ切れたみたいです。

 本当は プラスのリターンでも 今回の成績は全然良くないんですけどね。

 ま、そのあたりは 嫁が気が付くと恐ろしいので、また次回。

次回予告

投機の国のたけくらべ
レイク・ウォビゴン編

飛び交う皿、唸るフライパン
熾烈な戦いの先に その町はあるのか?

 


注意

投資・投機・賭博は大人のための娯楽です。
全て自己責任で楽しみましょう。


 

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