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双眼鏡の性能比較(1) 前編
ポケットタイプ対決!!
高級機 対 激安機

 各社のカタログを見ていくと同じようなスペックの双眼鏡が数多く存在します。
 メーカー別・価格別に性能の違いがあるのか比べて見ましょう。
 まずは、最近はやりのポケットサイズのダハ双眼鏡から試してみましょう。

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  選手紹介

 各社のカタログを見ていくと同じようなスペックの双眼鏡が数多く存在します。メーカー別・価格別に性能の違いがあるのか比べて見ましょう。

 まず、比較に使います我が家にある2台の双眼鏡を御紹介いたしましょう。

 激安機の代表は ケンコーSG「8X22DH」
 性能諸元は、実視野7.2度・1000m視界 122m・アイレリーフは不明です。
 見た感じでは10mm程度ではないかと思われます。少なくともハイ・アイ仕様ではありません。
 レンズのコーティングは仕様書に記載なし、重さは220g。

 ポケットタイプのダハ双眼鏡としては、かなり視界が広いほうではないかと思います。
 一流ブランドでは小口径ゆえの暗さを嫌って全面マルチコートするのが普通なのですが、きちんと設計されていればシングルコートでも実用上は差し支えないという考えもあります。
 外観は銀色で一目見ただけでは安物とは分からないデザインです。
 定価は16000円となっていましたが、近くのカメラ店で2980円で購入しました。
 この店が特別に安いわけではなく、私が回って見た3軒では何処もこの値段で売られていました。
 果たして掛け値はいくらなのでしょうか。

 高級機に代表は、ニコン「スポーツスターU10X25DCF」
 実視野5.0度・1000m視界 84m・アイレリーフは10.1mm。
 マルチコーティングで重さは310g。
 他社製品と比べると一回り大きいですが、視野の鮮明度ではダントツの一品です。
 もちろん色々な欠点もあるのですが、コストパフォーマンスを考えると悪くない一品です。
 ケンコーの製品と比べると視野が狭く思われるかもしれませんが、これが平均的な数字です。
 この製品はニコンブランドですが、中国製の双眼鏡です。
 定価は17000円ですが、普通は12000円程度で売られています。

 これらの双眼鏡を買った経緯は「双眼鏡日記」を御参照ください。

 レンズコーティングを除けば、ケンコーの双眼鏡のほうが性能がよさそうに感じられませんか。
 ケンコーのほうが圧倒的に視界が広いので、半端にカタログを見てしますとつられてしまいそうです。
 また、定価では100円しか違いがありません。
 さらに共通なことに、両方の双眼鏡とも日本製ではなく「Made in China」。
 売値もこれだけ違うとケンコーを買ってから、「ニコンは高すぎる」と思ってしまう危険性もあります。


    軽ーく外観チェック

 このニコンとケンコーにはどれほどの差があるのか順にみていきましょう。

 さて、難しい話は置いておいといて、まずは外観から。
 ケンコーがメタリックなデザインなのに対して、ニコンは黒一色。
 パッと見るとケンコーのほうが高そうに見えるかもしれませんが、ニコンは鏡筒全体をラバーで被覆しており、手間がかかっています。
 この厚さでは耐衝撃性はほとんど期待できないでしょうが、扱いやすさは数段上です。
 個人的には双眼鏡は黒か軍事色でないと高級感がないと思うのですが(ライカやツァイスを見よ)。

 

 付属品を見ると、ニコンは説明書・双眼鏡の小冊子・保証書・接眼レンズキャップ・ソフトケースが付属します。
 対してケンコーでは説明書兼保証書とソフトケースのみで、レンズキャップはつきません。

 このサイズの双眼鏡へはレンズキャップがなくてもいいのは確かですし、使い方の小冊子も私はいらないので、付属品の数の差は気になりません。

 ところがソフトケースの品質は雲泥の差。
 ニコンのケースは黒いビニールレザー風の生地でクッションが効いています。
 ケンコーは灰色のナイロン編みの生地で縫製が雑な上に、クッションがほとんど効いていない。中にスポンジは入っているようなのですが、これでは軽い衝撃でも心配です。


     レンズを値踏み

 所詮外観や付属品が劣っていてもこれらは双眼鏡の本質ではありません。
 見え味が良くて安ければ、これらは全て積極的に評価されるのです。

 性能チェックの手始めとして、店頭でのチェックになぞって両者を比較してみましょう。


 まずはニコン。
 対物レンズ側から見ます。
 緑色のきれいなマルチコートで内部反射も少なそうです。
 もちろんダハ稜線が見えたりもしません。

 続いてケンコー。
 カタログではコーティングについて記載がありませんが、ニコンと比べると明らかに反射が多いのが分かるでしょうか。ケンコーのレンズのほうがうえの写真でも明るく写っています。
 対物レンズは淡く青色になっているのでコートはされているのでしょうが、光のロスは多そうです。
 きちんとした製品ではマゼンダコートのシングルでも、かなり反射を抑えているのが見て分かるのに。
 コーティングでは最も重要な対物レンズが、このコートでは見え味を評価するのは厳しそうです。
 鏡筒内部の反射もニコンより目立ちます。
 ただ、このクラスでもダハ稜線は確認できません。

 続いて接眼レンズ側から見てみましょう。

 ニコンは接眼レンズもマルチコートされています。
 瞳のケラレもありません。内部反射も少なく、瞳の外は真っ暗です。

 

 ケンコーは接眼レンズも対物レンズと同じコートされています。
 が、写真右のレンズを見れば一目瞭然、反射が全く抑えられていません。
 瞳はきれいですが、内部反射のためか瞳の外も明るく見えます。
 上のニコンの写真と比べると、ここまでこの双眼鏡の性能の低さが分かってしまいます。
 この様子ではコントラストの高さや明るさは期待できません。
 本気で使うつもりの双眼鏡であれば、私はこの時点で購入候補からはずします。

 ケンコーには厳しい評価しか下せません。
 続いて、実際のフィールドで両者を比較して見ましょう。

双眼鏡の性能比較(1) 後編につづく


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