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協栄産業・ブース
ペンタックス・ブース
ミノルタ・ブース
レンズコーティングの会社?(会社名不明)
2000年 日本望遠鏡・双眼鏡ショー を振り返る
勝手に何でもランキング
メーカーではなく小売店の出品です。
知るひとぞ知る「天文用品小売の雄」と言っても過言ではないでしょう。
ブースもニコンと同じ大きさで、双眼鏡とフィールドスコープの取扱商品を展示していました。
「日本望遠鏡・双眼鏡ショー」といいながら、国内でもキャノン・オリンパス、海外ではライカ・ツァイスの出品がない中、ライカ・ツァイスの精機輸入品全ラインナップとキャノン防振双眼鏡をデモ展示していました。
この展示がなければ、このショウ自体がもっと寂しい内容になっていたでしょう。
小売店でありながら、このブースはひときわ輝きを放っていました。
早速、とても買えない品々をひやかしで覗いてみました。
まず、キャノンの新製品「18X50IS」。
フジノンより補正は控えめで、平地でもわずかにブレるが実用上は十分な性能。
見えもかなりキている。防振機構がなくとも一流の双眼鏡であろう見え味には脱帽。
覗いていて、笑いがこみ上げてくるほどの素晴らしさ。
当日持ち帰りが出来れば、クレジットカードに働いてもらおうかとも思ったほどです。
店員の話によると少量生産の上にバードウォッチャーに大人気で、18倍だと8月以降の入荷になるそうです。
幸いなことに超高額の衝動買いだけはまぬかれました。
でも、いつかは。
絶対的な値段は高いですが、10万円台前半でこの性能は絶対に安いとおもいます。
ツァイスなんかでは中型機しか買えない値段ですから。
続いてはそのツァイスの売り場。
ここでも黒山の人だかりが出来ていました。
最初に防振機能付き単眼鏡。
作動音が国産よりうるさいですが、補正範囲はキャノンより大きい印象。
倍率が高いのに振れの止め方は自然でした。残念なのはやはり両眼視が出来ない点でしょうか
次にポケットタイプのダハ双眼鏡。確かに明るく像もシャープですが、会場内では自分で持ち込んだニコンと比べてもあまり差がない印象でした。
詳細に比べれば確かにツァイスのほうが鮮明なのでしょうが、5倍の価格差に答える内容かは疑問です。
ツァイスの本命は中型ダハ双眼鏡でしょう。
こちらは8倍から10倍までどれも素晴らしいの一言。
何処までも像はシャープで、こちらも凄さのあまり笑いが止まらなくなる。
ニコンの超高級機とは直接比べられないが、互角以上の勝負が出来そうな見え味。
ツァイスマニアの気持ちが痛いほど良く分かる。
でも、20万近く出すなら、私はキャノンを買うと思うのが悲しい。電気仕掛けに弱いもので。
ドイツのもう一方の巨頭、ライカ。こちらもカタログ全品デモ展示。店員によると小売店ながらこのショーを支えるという意気込みでやっているらしい。
まず、ポケットタイプの双眼鏡。ツァイスと比べると像がやわらかい。暗いわけでもないし、見えにくいわけでもないが、個人的にはツァイスやニコンの硬質な像が好み。
次に、これもマニアのアイテムになっているトリノビット。
こちらも小型機と同じく像がやわらかい。メーカーのポリシーなのでしょうが、十数人の諭吉さんを失うのなら私はツァイスを買います。
全く好みに合いませんでした。
ペンタックス・ブース
こちらは入り口すぐの一等地に陣取って入るが、面積はニコンの半分。また、展示品もラインナップの一部売れ筋だけのようでした。
個人的にはポロ型の最高級機「7X50PIF」を見たかったのですが展示は無し。
また、同じく7X50の「PCFV」も展示なし。
寂しい限りです。店頭では絶対に並んでいない機種なのでこんな機会に試してみたいのですが。
さて、ここでの興味は「8X42DCF・WP」(定価90000円)と「8X42DCF・HR」(定価43000円)の違い。
これもニコンと同じく結構な差がありました。
ここでも、コストパフォーマンスを考えるとポロ型の方がいいなと思ってしまいました。
90000円出すつもりなら、素のポロ双眼鏡で本物の最高級品が買えますから。
展示品の中で興味が引かれたのは、「20X60PCFV」。勿論、手持ちで使える倍率ではないのですが、両眼視できるフィールドスコープと考えるとお買い得なように思えました。
個人的には20X80が欲しいのですが、重さや値段を考えると魅力的に思えます。
また、三脚ホルダーにも螺子用キャップをなくさないように細かい工夫がされており、気に入りました。
ペンタックスのブースが他社のブースより良かったのは、たまたまかもしれませんが係員が多いことではないでしょうか。ニコンより少ないかもしれませんが、見学者も少ないので(失礼)少しお話を伺うことが出来ました。
その中で、双眼鏡の主力市場は欧米で日本では双眼鏡が売れないことが話題になりました。やはり、日本人は双眼鏡にお金を使うよりカメラを買うことを好むと社員の方も考えているようです。
ペンタックスの方はその原因として、「日本人は余暇が少なく短時間で観光地を回る傾向があるため、後で見返すことが出来る写真機を好む。たいして欧米人は滞在型の観光をする傾向にあり、カメラよりも、その時を楽しむことが出来る双眼鏡を好む。」と考察されていました。
私も全く同感です。
また、日本人がダハ型双眼鏡を好むことについても、「欧米人は体格が大きく、ポロ型でも気にしない」と述べておられました。
加えて、日本人の小さい物好き・高級品好きが今日の超高級ダハ型双眼鏡の隆盛を招いたようにも思われます。
ここでは、いろいろ興味深い話が聞かれましたが、またおいおい。
こちらはペンタックスのお隣で、大きさもペンタックスと同じ大きさ。
商品の見せ方はピカイチで、防水双眼鏡は水の中に漬けられていました。
ここに来て初めて知ったのですが、ミノルタも高級ダハ双眼鏡を発売しており、実物とカットモデルが展示されていました。
見えについては比較対象がない上に、室内だけの試用なので詳しい評価は出来ません。
私はダハプリズムの仕組みについてよく理解していないので良く見てみたのですが、肝心の構造は分かりませんでした。
が、凝った作りの接眼レンズ(エルフレ型?)だけは印象的です。
すみません。写真にも社名が写っていませんでしたが、双眼鏡のOEM製造を手がける会社のようです。
コーティングの見本が並べられていました。
流行のIRコートやレインボーコートの実物が手にとって試せました。
白い背景で試すと、視野が強めに青く着色してしまいます。
透過率も通常のマルチコートに比べかなり落ちるとのこと、あまりいいことはなさそうです。
素人ゆえに驚いたのは、最近のマルチコートは十数層でコートしていると言われたことです。
コーティングの原理を考えると、コートの厚みは光の4分の1波長分でなければならないはずです。 複数のコート層での反射をどのように計算しているのか、とても興味があります。聞いても私には理解できないでしょうが。
ここでも双眼鏡の即売がされていましたが、小型双眼鏡が中心でした。
日本望遠鏡・双眼鏡ショーと聞くと立派な名前ですが、モーターショーに比べるとやはり地味な内容ですが素人なりに勉強できました。
返す返すも、キャノン・オリンパス・ツァイスなどが正式に参加していないのは残念です。
来場者は天文家とバードウォッチャーに別れていたようです。
天文関係のほうが8割以上をしめていたように思いますが、どうだったのでしょうか。
当然ですが、女性は極めて少数でした。
1.協栄産業
小売店ながら展示品の定価の合計はニコンをしのいでいたのでは。この店の展示がなければショー自体の魅力が激減してしまいそうです。
2.ニコン
この会社の展示とサービスは、やはり日本の最大。珍しい商品まできちんと実物がデモされていたのはここだけでした。
3.鎌倉光機
日本の製造業の実力を門外漢にも分かりやすく示していました。国内では知ることも出来ない海外専用機の中にも素晴らしい機種があるのに驚きました。
このショウにふさわしい展示だったと思います。
即売品も格安で、品質にも満足しています。
特別賞.日本望遠鏡検査・技術協会
会社ではありませんが、価値のあるブースでした。双眼鏡の点検や相談をする機械はめったにない上に、専門的なお話を伺うことも普段はないので勉強になりました。
欲しくなった品ランキング
1.ニコン「ミクロン」
超小型で美しいデザイン。実物が売られていればその場で買っていたでしょう。
日本光学の海外輸出双眼鏡の魁だけあって、現在でも色あせない素晴らしい品でした。
今日にもカメラ屋に注文してしまいそうで今でも怖い一品です。
2.キャノン「15X50IS」
キャノンが出品していないのにこの品を上げるのは憚られるのですが、品物は素晴らしいので。
18倍がベストでしょうが、価格を考えると15倍でもいいかなと思います。
おいそれとは手が出ないのですが、いつかは手にしたい「双眼鏡界のNSX」といったところでしょうか。
3.ペンタックス「20X60PCFV」
ここまでの高倍率機になると口径80mmがほしくなりますが、この商品の軽さと使いやすさはとても気に入りました。値段は少し高いように思いますが、中型ダハ双眼鏡を買うつもりならこちらを買いたくなります。普通のお店でディスカウントされていそうもないのが問題でしょう。アメリカでは260ドルで売られているのにどうにかならないものでしょうか。
こちらも現実に買える値段なだけに、少し怖い品です。]
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