平成19年 マンション管理士 試験問題 及び 解説
ページ1(問1より問25まで)
※ 出題当時以後の法令等の改正には、一部は対応していません。
*試験に臨んで、お節介なアドバイス
1.設問にあわせて、問題用紙に ○(まる)、X(ばつ)をつける。
殆どの設問が、「正しい」か「間違い」かを訊いてきますので、設問により、問題の頭に、○かXをつけます。
そして、各選択肢を読み、○かXをつけます。
問題の○なりXと、選択肢の○かXが一致したものを、マークシートに記入してください。
2.疑問な問題は、飛ばす。
回答の時間は限られています。
そこで、回答として、○かXかはっきりしないものがでたら、「?」マークをつけて、次の問題に移ります。
全部の回答が終わってから、再度戻って決定してください。
3.複雑な問は、図を描く。
甲、乙、A、B、Cなど対象が多い問題もでます。
この場合、問題用紙の空いているところに、図を描いてください。
重要な点が分かってきます。
問1 |
〔問 1〕専有部分及び共用部分に関する次の記述のうち、建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)及び民法の規定によれば、正しいものはどれか。 1 区分所有権とは、専有部分及び共用部分の共有持分を目的とする所有権である。 →X 誤 区分所有権とは、区分所有法第2条1項(定義) によると「この法第律において「区分所有権」とは、前条に規定する建物の部分(第四条第二項の規定により共用部分とされたものを除く。)を目的とする所有権をいう。」とあり、カッコ書きによれば、共用部分は除かれる。また、同法第2条3項「この法律において「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。 」とあり、専有部分だけが、区分所有権の目的になる。 2 専有部分を共用部分にすることはできるが、共用部分を専有部分にすることはできない。 →X 誤 区分所有法第4条2項によると、「第一条に規定する建物の部分及び附属の建物は、規約により共用部分とすることができる。この場合には、その旨の登記をしなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。」とあり、専有部分であっても、規約により、共用部分にできる。(これは規約共用部分と呼ばれる)。また、 廊下などの法定共用部分であっても、民法の共有(民法第251条)「各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。 」により、全員の同意があれば、専有部分にできる。そして、一度規約共用部分としても、規約を変更すれば専有部分に変更できる。 3 共用部分について規約を定めることができるが、専有部分について規約を定めることはできない。 →X 誤 区分所有法第30条1項(規約事項) 「建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。」とあり、同条3項 4 一棟の建物の各部分は、専有部分か共用部分かのいずれか一方に属し、それ以外のものはない。 →○ 正 区分所有法第2条4項「この法律において「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう。」とあり、一棟の建物は、専有部分に属さなければ、共用部分となる。つまり、どちらかに属する。通常、共用部分というと、法定共用部分と規約共用部分が含まれた表現であることに注意。 答え:4 |
問2 |
〔問 2〕ア〜エの記述のうち、管理組合(区分所有法第3条に規定する区分所有者の団体をいう。以下同じ。)の管理者と管理組合法人の理事の両者について当てはまるものの組合せは、区分所有法の規定によれば、次のうちどれか。 (平成20年12月、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」の施行に伴い、区分所有法の法人関係の条文も改正があったので、変更済)ア 職務又は事務に関し、区分所有者を代理する。 →X 誤 管理者のみ当てはまる。 イ 任期は2年であるが、規約で3年以内において別段の期間を定めたときは、その任期とする。 →X 誤 理事のみ当てはまる。 ウ 区分所有者は、規約に別段の定めがない限り、集会の決議によって解任することができる。 →○ 正 管理者と理事に当てはまる。 エ 不正な行為その他の職務を行うに適しない事情があるときは、各区分所有者は、その解任を裁判所に請求することができる。 →○ 正 管理者と理事に当てはまる。 1 アとイ 2 イとウ 3 ウとエ 4 エとア 答え:3 (ウとエ) |
問3 |
〔問 3〕区分所有法第6条の区分所有者の共同の利益に反する行為に該当しないものは、区分所有法の規定によれば、次のうちどれか。 1 自己の専有部分への危険物持ち込み → 該当する。 この設問は、後で出てくる「問10」とも関係しているので、「問10」も参考のこと。 2 管理者の人格を中傷するビラの配布 → 該当しない。 区分所有法第6条で規定する「共同の利益に反する行為」は、複数の人に影響を及ぼす行為であり、管理者の人格を中傷するビラの配布は、特定の個人に関する行為であるため、該当しない。ただし、管理者に対する不法行為(民法第709条)に該当する場合はある。 3 規約で禁止された動物の飼育 → 該当する。 他の区分所有者が被る不利益(鳴き声による騒音、悪臭など)が大きい。規約で禁止されているにもかかわらず、動物を飼うことはできない。 4 ベランダへの無許可の看板の設置 → 該当する。 選択肢1で述べたように、ベランダに、看板を設置すると、落下の危険性、美観の侵害など、他の区分所有者が被る不利益が大きいため、ベランダには、勝手に看板は設置できない。 答え:2 |
〔問 4〕区分所有法第7条の先取特権に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、正しいものはどれか。 1 この先取特権を有する者は、管理者又は管理組合法人に限られ、区分所有者は含まれない。 →X 誤 誤りである。 「先取特権」については、管理業務主任者試験(平成19年 問4)でも似たような出題がある。参考のこと。 2 この先取特権は、債務者が専有部分を賃貸しているときは、物上代位により賃料に行使することができる。 →○ 正 民法第304条(物上代位) 「先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。 」とあり、賃貸の賃料にも行使できる。この規定は区分所有法で定める先取特権にも適用される。 3 この先取特権の目的物は、債務者である区分所有者の区分所有権に限られる。 →X 誤 誤りである。 選択肢1でも述べたように、「債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する」とあり、区分所有権だけでなく、共用部分に関する権利や敷地利用権、建物に備え付けた動産なども含む。 4 この先取特権の優先権の順位は、不動産保存の先取特権と同順位である。 →X 誤 誤りである。 区分所有法第7条2項「前項の先取特権は、優先権の順位及び効力については、共益費用の先取特権とみなす。 」とあり、共益費用は雇用関係、葬式の費用、日用品の供給などと同じように、債務者の全財産から優先的に弁済をうけることのできる一般の先取特権と呼ばれる。(民法第306条) 答え:2 |
問5 |
〔問 5〕規約で定めることも集会の決議で決することもできる事項は、区分所有法の規定によれば、次のうちどれか。 1 管理者又は管理組合法人が、その職務又は事務に関し、区分所有者のために訴訟の当事者となること。 →○ 正 規約で定めることも集会の決議で決することもできる。規約で定めることと、集会の決議でも定めることが認められている事項を整理すること。 2 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)の決議について、区分所有者の定数を3/4以上から過半数に減ずること。 →X 誤 規約でしかできない。 区分所有法第17条1項「共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。」とあり、これは規約でなければできない。 3 集会の招集の通知を各区分所有者に発する期間について、会日よりもすくなくとも1週間前とする区分所有法の定めよりも伸縮すること。 →X 誤 規約でしかできない。 区分所有法第35条1項「集会の招集の通知は、会日より少なくとも一週間前に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければならない。ただし、この期間は、規約で伸縮することができる。」とあり、これも規約でなければできない。 4 区分所有者の共同の利益に反する行為をしている区分所有者に対して、管理者が、その行為の停止を請求する訴訟を提起すること。 →X 誤 集会の決議でしかできない。 まず、共同の利益に反する行為に対する訴訟の提起は、区分所有法第57条1項「区分所有者が第六条第一項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。
」とあり、その訴訟の提起は、同条2項 答え:1 (なかなか、良い設問です。規約で設定できる事項、必ず集会の決議が必要な事項を纏めておきましょう。参考:平成16年 マンション管理士試験 「問4」) |
問6 |
〔問 6〕敷地利用権が数人で有する所有権である場合において、区分所有者が死亡したときの専有部分及び当該専有部分に係わる敷地利用権の帰属等に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定並びに判例によれば、誤っているのはどれか。ただし、受遺者はいないものとし、また、規約に別段の定めはないものとする。 1 相続人も特別縁故者もいない場合においては、国に帰属する。 →○ 正 設問の「敷地利用権が数人で有する所有権である場合」とは、区分所有法第22条1項に該当する規定であり、これは、区分所有法第24条「第二十二条第一項本文の場合には、民法第二百五十五条 (同法第二百六十四条 において準用する場合を含む。)の規定は、敷地利用権には適用しない。」とあり、敷地利用権となると、民法第255条の適用がない。 2 特別縁故者がいる場合においては、相続人が確定し、相続財産の清算手続きが終了したときに、当該特別縁故者への財産分与の対象となる。 →○ 正 民法第958条の3(特別縁故者に対する相続財産の分与) 3 特別縁故者がいないが相続人がいる場合において、相続人の全員が相続を放棄したときは、国に帰属する。 →○ 正 まず、相続の放棄は、民法第939条(相続の放棄の効力) →X 誤 選択肢2でも述べたように、民法第958条の3により、相続人がいないときは、特別縁故者には、相続財産の一部又は全部が与えられることがある。これは専有部分が共有であっても影響されない。特別縁故者は、専有部分と敷地利用権の双方の分与を受けることができる。(最高裁 H元・11・24) 答え:4 (ここは、平成20年 マンション管理士 試験 「問3」 も参照) |
〔問 7〕マンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律第2条第1号イのマンションをいう。以下同じ。)の住戸と駐車場をそれぞれ専有部分として所有していたAが死亡し、住戸は妻が相続し、駐車場は子Bが相続した。駐車場部分の区分所有者の修繕積立金(以下この問において「修繕積立金」という。)及び議決権については、規約に何らの定めがされておらず、Aは修繕積立金を負担していなかった。この場合における、修繕積立金を負担させる規約の改正を決議する集会での管理者の説明について、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。 1 駐車場部分の区分所有者の議決権については、規約には何も規定されていないので、Bには集会の開催通知をしていません。 →X 誤 長い文章が出てきたときは、問題集の余白に図を書いてみましょう。設問には相続が出てきますが、解答には関係していません。 この設問では、駐車場は専有部分となっています。そこで、区分所有法で定める議決権は、同法第38条(議決権)「 各区分所有者の議決権は、規約に別段の定めがない限り、第十四条に定める割合による。」とあり、同法第14条では、「各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。 」とある。これにより、規約で定めがなくても、専有部分である駐車場の区分所有者となった子Bには議決権がある。よって、同法第35条1項「集会の招集の通知は、会日より少なくとも一週間前に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければならない。ただし、この期間は、規約で伸縮することができる。」により、Bには集会の通知をしなければいけない。 2 修繕積立金を負担させる規約の改正を決議するに当たって、Bの承諾は必要ありません。 →○ 正 これは、区分所有法第31条1項「規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によつてする。この場合において、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。 」で定める、今回の修繕積立金の負担が、一部の権利者に特別の影響を及ぼすかどうかを訊いている。 この「特別の影響受ける区分所有者」については、「平成19年管理業務主任者試験 問33」の選択肢1とあわせて、検討すると、悩む。 3 Bは、議決権を行使することはできませんが、集会で意見を述べることはできるので、その旨掲示しました。 →X 誤 選択肢1でも述べたように、Bには駐車場(専有部分)の区分所有者としての議決権があるし、集会で意見も述べることができる。なお、集会で意見を述べる旨の掲示は、占有者のためです。 4 今後も、駐車場部分の区分所有者の議決権については、規約で定めないこととし、当該議決権は認めません。 →X 誤 選択肢1でも述べたように、Bには区分所有者としての議決権がある。規約で定めがなくても認めなくてはいけない。 答え:2 (難しい! 関係のない相続で時間を取らされる。最初の議決権とは、何かが分かれば問題ないが、3も候補に上がる。) |
〔問 8〕会議の目的たる事項について利害関係を有するとして、区分所有法第44条第1項の規定により、集会に出席して意見を述べることができる者に該当するものは、次のうちどれか。 1 管理費を増額する規約の変更に係わる集会の決議を行う場合における専有部分の賃借人 →X 誤 できない。 ここは、すごい引っ掛け問題だ。区分所有法第44条1項は(占有者の意見陳述権) 2 駐車場の専用使用料を値上げする集会の決議を行う場合における駐車場の専用使用権者 →X 誤 できない。 選択肢1で述べたように、集会に出席して意見を述べることができる者は、専有部分を占有する者であり、駐車場の専用使用権者は占有者ではない。外部の第三者がマンションの駐車場を借りていることもある。 3 ペットの飼育を禁止する規約を定める集会の決議を行う場合におけるペットを飼育している専有部分の賃借人 →○ 正 できる。 専有部分の賃借人は占有者に該当し、ペットの飼育が禁止されると直接影響を受けるので、利害関係を有している。(参考:平成17年管理業務主任者試験 問29) 4 店舗の営業時間を制限する集会の決議を行う場合における営業者から専有部分である店舗について担保権の設定を受けている抵当権者 →X 誤 できない。 担保権の設定を受けている抵当権者は、目的物を占有しないので、占有者に該当しない。 答え:3 (設問が悪い。) |
問9 |
〔問 9〕甲マンションの建物価格の1/2を超える部分が滅失したために、滅失した共用部分を復旧する旨の決議がなされた。その決議において、区分所有者全員10名のうち、A、Bら8名は決議に賛成し、C及びDの2名は決議に賛成しなかった。この場合におけるC及びDが買取請求権を行使する場合に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、その決議の日から、2週間以内に買取指定者の指定がなされなかったものとする。 1 C及びDは、決議賛成者全員に対し、買取請求権を行使することができる。 →○ 正 まず、建物価格の一部が滅失したときは、その建物価格が、@1/2以下(小規模滅失という)と、A1/2超(大規模滅失という)では、規約で別段の定めができる(小規模滅失だけ)など扱いが異なるので、注意のこと。 2 CがAに対し買取請求権を行使したときは、DはA以外の決議賛成者に対し買取請求権を行使しなければならない。 →X 誤 選択肢1でも述べたように、区分所有法第61条7項は「その決議に賛成した区分所有者(その承継人を含む。以下この条において「決議賛成者」という。)以外の区分所有者は、決議賛成者の全部又は一部に対し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。」とあり、反対者Cが賛成者Aに対して買取請求権を行使しても、同じく反対者Dも同一のAに対して買取請求権を行使できない規定ではない。反対者DはAに対して買取請求権を行使できる。 3 CがAに対し買取請求権を行使したときに、Aは、Cの建物等の権利の全部をBに対して買い取るべきことを請求することができる。 →X 誤 選択肢1でも述べたように、区分所有法第61条7項後半「その請求を受けた決議賛成者は、その請求の日から二月以内に、他の決議賛成者の全部又は一部に対し、決議賛成者以外の区分所有者を除いて算定した第十四条に定める割合に応じて当該建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。」とあり、請求を受けたAは、同じ賛成者Bに対して請求ができるのは、「決議賛成者以外の区分所有者を除いて算定した第十四条に定める割合に応じて当該建物及びその敷地に関する権利」だけでであり、「Cの建物等の権利の全部」ではない。 4 DがBに対し買取請求権を行使したときに、Bは,他の決議賛成者全員に対し、Dの建物等の権利を共有持分の割合で買い取るべきことを請求することはできない。 →X 誤 選択肢3で述べたように、区分所有法第61条7項後半「「その請求を受けた決議賛成者は、その請求の日から二月以内に、他の決議賛成者の全部又は一部に対し、決議賛成者以外の区分所有者を除いて算定した第十四条に定める割合に応じて当該建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。」とあり、反対者Dが賛成者Bに対して買取請求をしたときは、Bは「第十四条に定める割合:(共用部分の持分の割合) 第十四条 各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。」で他の決議賛成者全員に対し、Dの建物等の権利を共有持分の割合で買い取るべきことを請求するができる。 答え:1 (少し、難しいかも。 選択肢1で確信があれば、あとは X にできるが。) |
〔問 10〕甲マンションには、下図のとおり区分所有者A〜Dが居住している。この 場合におけるA〜D等の行為が区分所有者の共同の利益に反する行為であるとして、 区分所有法第57条の規定に基づき、管理者が集会の決議により行為の停止等の請 求を行うことができるものは、次のうちどれか。 l Aの妻の行為-----Aの妻が101号室でPTAの集会を開く際に、参加者が階段付近へ数台の自転車を乱雑に置いている場合 →X 誤 「共同の利益に反する行為」については、判例もよく出題されるので注意のこと。また、この設問は、「問3」とも関係しているので、「問3」も参照のこと。 ★共同の利益に反する行為としては、 設問の場合、自室でPTAの集会を開くことは、参加者も区分所有者以外が想定され、自転車が乱雑に置かれていても、それは、一時的であり、集会が終われば、解決するため管理者が集会の決議により行為の停止等の請求を行うまでの行為ではない。また、区分所有法の第57条の「行為の停止等の請求」が対象としているのは、区分所有者と専有部分の占有者であり外部の人は入らない。 2 Bの子供の行為-----Bの3人の幼い子供達が一日中ドタバタと走りまわる床 (フローリング)騒音にAが悩まされている場合 →X 誤 これは、過去にも出題されている。(平成16年 マンション管理士試験 問31) 3 Cの行為-----Cが301号室のベランダを温室に改造し、直接大量の土 を盛り草花を植え付けてガーデニングを行っている場合 →○ 正 ベランダは、一般に共用部分であり、専用使用権が認められているだけである。勝手に改造をしてはいけない。災害時には、避難経路ともなっていることがある。そこを改造し、なお直接大量の土 を盛り草花を植え付けてガーデニングを行っている場合には、共用部分の通常の使用行為から反していて「共同の利益に反する行為」に該当する。(参考:京都地裁:昭和63.6.16) 4 Dの行為-----夜間勤務に従事しているDが早朝に帰宅しシャワーを使 うため、排水の流水音でCがうるさいと感じている場合 →X 誤 これも、選択肢2で述べたように、CとDの二者間での問題であり、「共同の利益に反する行為」に該当しない。 答え: 3 |
問11 |
〔問 11〕 管理組合法人が解散する場合の残余財産の帰属に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、規約に別段の定めはないものとする。 1 建物に専有部分がなくなったことにより解散した管理組合法人の残余財産は、区分所有法第3条の団体に帰属する。 →X 誤 まず、管理組合法人の解散事由は、区分所有法第55条1項(解散) 2 建物の全部の滅失により解散した管理組合法人の残余財産は、各共有者の専有部分の床面積の割合により各区分所有者に帰属する。 →○ 正 選択肢1で述べたように、区分所有法第55条1項と同法第56条により、正しい。 3 集会の決議により解散する管理組合法人の残余財産は、区分所有法第3条の団体に帰属する。 →○ 正 ? 選択肢1で述べたように、区分所有法第55条1項3号の集会の決議で管理組合法人が解散しても、これは、管理組合法人格が手続き上なくなっただけで、まだ建物や専有部分は存在しているので、区分所有法第3条で規定する団体は存在している。そこで、残余財産は依然として管理組合運営の資金となり、人格なき社団としての管理組合(区分所有法第3条の団体)に承継され、各区分所有者には直接・現実的に帰属するとは考えられない。 正しい。 →X 誤 ? 厳密に、区分所有法第56条だけを考えると、「解散した管理組合法人の財産は、規約に別段の定めがある場合を除いて、第十四条に定める割合と同一の割合で各区分所有者に帰属する。 」とあるので、規約がない以上間違いである。 4 建替え決議に基づき建物を取り壊すことにより解散する管理組合法人の残余財産は、各共有者の専有部分の床面積の割合により各区分所有者に帰属する。 →○ 正 建替え決議に基づき建物を取り壊すことにより解散する場合も、選択肢1で述べた、区分所有法第55条1項1号に該当するため、同法第56条により、残余財産は、各共有者の専有部分の床面積の割合により各区分所有者に帰属する。 答え:1 (ただし、解釈で 3 にもなり得る。難問というか、設問が悪い!) マンション管理センターの正解:1 |
問12 |
〔問 12〕下図のとおり、専有部分のあるA〜Dの建物がある。この場合においてA、B、C及びDの区分所有者で構成される団地管理組合(区分所有法第65条に規定する団体をいう。以下この問いにおいて同じ。)の成立に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。 1 甲地をAとBの、乙地をCとDの区分所有者が共有する場合は、それぞれ団地管理組合が成立する。 →○ 正 まず、区分所有法第65条(団地建物所有者の団体) 2 駐車場をA〜Dの区分所有者で共有している場合は、A〜Dの団地管理組合が成立する。 →○ 正 選択肢1で述べたように、「土地または附属施設」である駐車場をABCDの区分所有者で共有している場合は、ABCD全体の団地管理組合が成立する。 3 甲地をAとBの、乙地をCとDの区分所有者が共有していても、それだけでは、A〜D全体の団地管理組合が成立することはない。 →○ 正 選択肢1で述べたように、団地管理組合が成立するためには、団地内の土地又は附属施設が、ABCD全体の共有関係になければならない。設問では、甲地・乙地が別の共有関係にあるため、それだけでは、ABCD全体の団地組合は成立しない。 4 甲地をAとBの、乙地をCとDの、駐車場をA〜Dの、それぞれの区分所有者が共有している場合、A〜Dにおいて、複数の団地管理組合が重層的に成立することはない。 →X 誤 選択肢1で述べたように、団地管理組合の成立には、土地又は附属施設が共有関係であることが条件であり、甲地をAとBの、乙地をCとDの、駐車場をA〜Dの、それぞれの区分所有者が共有している場合には、ABだけの甲団地管理組合、CDだけの乙団地管理組合、さらにABCD全体での駐車場管理組合が重層的に成立する。 答え: 4 |
問13 |
〔問 13〕甲マンションの管理組合(管理者A)に対し、管理費を滞納したまま不在者となった区分所有者Bの財産に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。 l Bが、財産の管理人(以下この問いにおいて「財産管理人」という。)を置かなかったとき、Aは、家庭裁判所に対し、Bの財産管理人の選任を請求することができる。 →○ 正 不在者が財産の管理人を置かないときには、民法第25条の規定がある。(不在者の財産の管理) 2 家庭裁判所が選任したBの財産管理人は、家庭裁判所の許可を得なければ、滞納管理費をAに支払うことができない。 →X 誤 民法第28条(管理人の権限) 3 Bが住所地に戻ってきた場合は、Bの財産管理人が選任されているときでも、Aは、Bに対し、滞納管理費を請求することができる。 →○ 正 滞納管理費の支払義務は、元々本人であるBにあるため、たとえ代理人である財産管理人が選任されていても、管理者Aは、戻ってきたBに対して滞納管理費を請求することができる。 4 Bが失踪宣告を受けた場合は、Aは、Bの包括承継人に対し、滞納管理費を請求することができる。 →○ 正 先ず、承継人には、@包括承継人と、A特定承継人があり、 そして、失踪宣告は、民法第30条(失踪の宣告) 答え:2? (何という設問。ついに、民法の「失踪」まで、出題範囲が広がってきたとは。とほほ、難しい。ここまで、勉強していない。) マンション管理センターの正解:2 |
問14 |
〔問 14〕Aは、甲マンションのA所有の301号室の改装工事を内装業者Bに発注し、改装工事の終了後同室をCに売却したところ、当該改装工事に瑕疵があることが判明したため、当該瑕疵についてCからAに苦情があった。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、AB間及びAC間には、特約はないものとする。 l AのBに対する当該暇疵の修補請求権は、AC間の売買契約による301号室の所有権の移転に伴ってはCに移転しない。 →○ 正 まず、請負契約による、内装工事で瑕疵があれば、民法第634条(請負人の担保責任) 2 AのBに対する当該瑕疵の損害賠償請求権は、Bの承諾を得なければ、Aは、Cに譲渡することができない。 →X 誤 ? 債務者Bの承諾なしに、譲渡できる? ここは、かなり難しい。瑕疵の損害賠償請求権が指名債権となるなら、民法第467条1項(指名債権の譲渡の対抗要件)
3 AがBに対して請負代金を支払っていない場合は、Aは、AのBに対する当該瑕疵の損害賠償請求権をもって当該請負代金債権と相殺することができない。 →X 誤 相殺は、民法第505条(相殺の要件等) 4 当該瑕疵がAの指示によって生じたものである場合において、Bは、Aの指示が不適当なことを知っていたときでも、瑕疵担保責任を負うことはない。 →X 誤 民法第636条 (請負人の担保責任に関する規定の不適用) 答え:1 ? (判例で、何かあるのか?) マンション管理センターの正解:1 |
問15 |
〔問 15〕甲マンションのA所有の201号室で火災が発生し、当該火災により、同室及びその直下のB所有の101号室にそれぞれ損害が生じた。この場合に関する次の記述のうち、民法及び失火ノ責任二関スル法律の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。 1 当該火災がAの子(9歳)の火遊びによる場合において、Aに当該子の監督について軽過失があるとき、Bは、Aに対し、損害賠償を請求することができる。 →X 誤 問15は、全体で民法での「不法行為」における監督者の責任と、失火における軽過失、重過失での責任を問ている。 2 当該火災が事業執行中におけるAの従業員の重過失による場合において、Aに当該従業員の監督について重過失がないとき、Bは、Aに対し、損害賠償を請求することができない。 →X 誤 設問は、今度は、使用者の監督責任をきいている。 3 当該火災が201号室をAから賃借している者の軽過失による場合、当該賃借人に対し、Bは損害賠償を請求することができないが、Aは債務不履行による損害賠償を請求することができる。 →○ 正 選択肢1で述べたように、失火での不法行為責任が問われるのは「重過失」があった場合のみであるため、出火者の軽過失では、被害を受けた直下のBは損害賠償を請求できない。これにより前半は正しい。 4 当該火災がAの行為による場合、Bは、Aの過失の程度のいかんを問わず、Aに対し、損害賠償を請求することができない。 →X 誤 選択肢1で述べたように、失火者Aに重過失があるときだけに、被害者Bは、Aに対して損害賠償請求ができる。過失のいかんを問わずは間違い。 答え:3 (なんと、難解な設問! 「失火ノ責任二関スル法律」も絡められるとは。 他に、判例もあるようだ。マンション管理士になるのは大変だ。参照:「マンション管理の知識 平成20年版 ページ356〜) |
問16 |
〔問 16〕甲マンションの区分所有者Aが「理事長Bが修繕積立金の不正流用により管理組合に損害を与えたので、その損害の弁償と理事長の辞任を要求する」旨の文書を各戸に配付した。これに対してBは、事実無根の名誉毀損であるとして、Aに対して不法行為に基づく損害賠償と謝罪を請求した。この場合において、ア〜エについてAが立証すれば名誉毀損が成立しないものとされる組合せは、民法の規定及び判例によれば、次のうちどれか。 ア 配付した行為が違法行為の摘発という社会全体の利益に係るものであること。 → 立証すれば成立しない。 まず、名誉毀損というと、刑法第230条(名誉毀損) これを踏まえて、設問を検討すると、この選択肢1は、要件のア(事実の公共性)に該当するので、Aが立証すれば、名誉毀損にはならない。 イ 配付の目的がもっぱら修繕積立金の適正な管理を図るためのものであること。 → 立証すれば成立しない。 これも、選択肢アで述べたように、要件のイ(目的の公益性) に該当するので、Aが立証すれば、名誉毀損にはならない。 ウ 文書に記載された事実が真実であると信じるについて相当の理由があること。 → 立証すれば成立しない。 これも、選択肢アで述べたように、要件のウ(事実の真実性)に該当するので、Aが立証すれば、名誉毀損にはならない。 工 文書の各戸への配付によらなければBの行為を阻止できないものであること。 → これは、要件にはない。 選択肢アで述べたように、名誉毀損が成立しない要件は、アからウまでの、3要件だけである。配布方法は該当しない。 1 アとイとウ 答え: 1 (アとイとウ) (本当に難しい! 答えの方からア〜エまでの内、どれか3つが正解とはわかるが、正確にエが該当しないとは、分からない。ここまでマンション管理士の勉強範囲が広がるとは。刑法まで勉強した。参照:「マンション管理の知識 平成20年版 ページ357) |
〔問 17〕区分所有者Aは、甲マンション管理組合(管理者B)に対し、管理費(20万円)を滞納したまま死亡した。Aに、妻C並びにAC間の子D及びEがいる場合の滞納管理費の請求等に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。ただし、C、D及びEはいずれも単純承認をし、また、相続人間における20万円の負担の合意についてBの同意はなかったものとする。 1 Bは、遺産分割前の場合、C、D又はEのいずれかに対し、20万円を請求することができる。 →X 誤 この出題と似たようなのが、平成17年マンション管理士試験 問18 にあった。また、平成21年マンション管理士試験 「問14」。 これを踏まえ、設問の遺産分割前での遺産については、各共同相続人は、個々の財産の上の各自の持分を処分できない、と解釈されている。民法第898条で明確に「共有」であると規定するが、債権も相続人全員の合有関係にあり、相続人各自が自分の持分を処分できないため、各自には支払を請求することはできない。 →X 誤 (2) 単純に、民法第899条により、区分所有者Aが債務を残して死亡した場合には、単純承認をした相続人は、相続の開始時期から債務を各相続分に応じて分割相続している(つまり妻は10万円、子供たちは5万円づつ)ので、いずれかに対し、全体の20万円を請求することはできない、という説明がいいようだ。(参考:大審院 S5・12・4) 2 Bは、相続人間で20万円をCが負担するとの合意がなされた場合でも、Cに対し10万円、D及びEに対し各5万円を請求することができる。 →○ 正 債務者である相続人の間で、滞納管理費の合計20万円をCが負担すると合意しても、債権者であるBが同意していなければ、それは無効である。Bは、相続分に従って、妻Cに対し10万円、子供D及びEに対し各5万円を請求することができる。金銭債務は相続人に、当然に分割される。債務者間の同意は、債権者が納得しなければ、無効である。(参考:最高裁 S30・9・29) 3 Bは、相続人間で20万円を法定相続分どおり負担するとの合意がなされた場合でも、C、D又はEのいずれかに対し、20万円を請求することができる。 →X 誤 これは、選択肢2の逆を問いている。選択肢1で述べたように、相続の単純承認をすれば、管理者Bが請求できるのは、金銭債権は分割できるので、妻Cへは滞納管理費の負担分の10万円、子供D、Eへは負担額の各々5万円を請求することになる。合計の20万円を、いずれかには請求できない。 4 20万円に係る債権の消滅時効は、遺産分割が行われた時から進行する。 →X 誤 消滅時効は同法第166条1項(消滅時効の進行等) 答え:2 |
〔問 18〕区分建物の敷地権の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法によれば、正しいものはどれか。 1 一棟の建物の表題部の敷地権の目的たる土地の表示には、敷地権の種類、敷地権の割合、原因及びその日付、登記の日付が記載される。 →X 誤 似たような出題は、平成21年マンション管理士試験 「問18」 にある。 これを、踏まえ、不動産登記法第44条1項(建物の表示に関する登記の登記事項) そして、不動産登記規則4条3項
とあり、実例としては、
一棟の建物の表題部の敷地権の目的たる土地の表示には、土地の表示として、所在地、地目、地積、登記の日付が記載されるだけで、敷地権の種類、敷地権の割合、原因及びその日付、は記載されない。この設問は、選択肢2の、区分建物(専有部分)の表題部に記載される内容である。 2 区分建物の表題部の敷地権の表示には、所在地及び地番、地目、地積、登記の日付が記載される。 →X 誤 敷地権があるときは、区分建物の表題部(専有部分の表題部)の建物の表示に続いて、敷地権の表示として、敷地権の種類、敷地権の割合、原因及びその日付、登記の日付が記載される。この設問は、選択肢1の、一棟の建物の表題部の方に記載される内容である。 3 区分建物の敷地権の表示を登記する場合の敷地権の種類は、土地所有権又は登記された地上権に限られる。 →X 誤 敷地権の種類には、所有権、地上権、賃借権もあり、 不動産登記法第3条(登記することができる権利等) 4 申請により区分建物の登記記録に敷地権の表示登記がなされると、敷地権の目的である土地の登記記録には、職権で敷地権である旨の登記がなされる。 →○ 正 不動産登記法第46条(敷地権である旨の登記) 答え: 4 (選択肢1と2が混同していても、4を知っていれば解答できる。) |
問19 |
〔問 19〕マンション建替事業の権利変換に関する次の記述のうち、マンションの建替えの円滑化等に関する法律の規定によれば、正しいものはどれか。 1 施行者は、保留敷地の所有権又は借地権を、自己に帰属するよう権利変換計画で定めることはできない。 →X 誤 「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」は必ず1問は出題されるので、眼を通しておくこと。 2 施行者は、権利変換期目後マンション建替事業に係る工事のため必要があるときは、施行マンション又はその敷地を占有している者に対し、期限を定めて、その明渡しを求めることができる。 →○ 正 マンションの建替えの円滑化等に関する法律第80条(施行マンション等の明渡し) 3 施行者は、施行マンションの区分所有権の上に存する登記された担保権等について、権利変換計画に基づき、補償金を支払って、これらの権利を消滅させることになる。 →X 誤 マンションの建替えの円滑化等に関する法律において、ここが重要な点である。 4 施行者は、権利変換計画に基づき補償金を支払う必要がある者に対して、施行再建マンションの建築工事完了の公告の日までに、当該補償金を支払わなければならない。 →X 誤 マンションの建替えの円滑化等に関する法律第75条(補償金) 答え:2 |
〔問 20〕共同住宅の共用のエレベーターの検査及び報告に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、誤っているものはどれか。 1 エレベーターの所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。以下この間いにおいて同じ。)は、一級建築士、二級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する者(以下一級建築士等」という。)におおむね2年ごとに検査をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。 →X 誤 エレベーターに関しては出題傾向が高い。ここは、過去も出題されている。 定期検査と報告は、平成21年マンション管理士試験 「問37」 で出た。 2 特定行政庁は、所有者が提出した定期検査報告概要書について閲覧の請求があった場合には、これを閲覧させなければならない。 →○ 正 建築基準法施行規則11条の4(書類の閲覧等) 3 特定行政庁は、エレベーターを検査した一級建築士等に対して、当該エレベーターに関する報告を求めることができる。 →○ 正 建築基準法第12条5項「 特定行政庁、建築主事又は建築監視員は、次に掲げる者に対して、建築物の敷地、構造、建築設備若しくは用途又は建築物に関する工事の計画若しくは施工の状況に関する報告を求めることができる。
4 建築主事は、使用制限その他保安上必要な措置の勧告等のため、必要な限度において、共同住宅に立ち入り、エレベーターを検査することができる。 →○ 正 建築基準法第12条6項「建築主事又は特定行政庁の命令若しくは建築主事の委任を受けた当該市町村若しくは都道府県の職員にあつては第六条第四項、第六条の二第十一項、第七条第四項、第七条の三第四項、第九条第一項、第十項若しくは第十三項、第十条第一項から第三項まで、前条第一項又は第九十条の二第一項の規定の施行に必要な限度において、建築監視員にあつては第九条第十項の規定の施行に必要な限度において、当該建築物、建築物の敷地又は建築工事場に立ち入り、建築物、建築物の敷地、建築設備、建築材料、設計図書その他建築物に関する工事に関係がある物件を検査し、若しくは試験し、又は建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、工事監理者若しくは工事施工者に対し必要な事項について質問することができる。ただし、住居に立ち入る場合においては、あらかじめ、その居住者の承諾を得なければならない。 」とあり、可能。 答え:1 (ここは、1がXと分かれば、後は知らなくてもOKか。) |
問21 |
〔問 21〕耐火建築物としなくてもよい共同住宅は、建築基準法の規定によれば、次のうちどれか。ただし、地階はないものとする。 1 防火地域内にあって、階数が2で延べ面積が400uの共同住宅 →X 誤 この耐火建築物も過去に出題されている。耐火建築物とか準耐火建築物は、「建築基準法」の解説を参照。 2 準防火地域内にあって、階数が3で延べ面積が1,800uの共同住宅 →X 誤 建築基準法第62条(準防火地域内の建築物) 3 準防火地域内にあって、階数が3で延べ面積が900uの一定の技術的基準に適合している共同住宅 →○ 正 選択肢2で述べたように、建築基準法第62条により、耐火建築物としなくてもよい。 4 階数が4で延べ面積が1,200uの共同住宅 →X 誤 選択肢1及び2で述べたように、建築基準法第61条と同法第62条により、階数が4以上となると延べ面積に関係なく、耐火建築物としなければならない。 答え:3 |
〔問 22〕建築物の容積率の最高限度及び最低限度を都市計画に定めるものとされている地域地区は、都市計画法の規定によれば、次のうちどれか。 1 高度地区 →X 誤 容積率とは、建築物の延べ面積(各階の床面積の合計)の敷地面積に対する割合です。建物の大きさを表すことになります。そして、容積率の制限は、良好な環境の確保と道路などの公共施設の整備とのバランスを保つために、都市計画の地域地区内に定められます。 2 高層住居誘導地区 →X 誤 高層住居誘導地区とは、同法第9条16項「 高層住居誘導地区は、住居と住居以外の用途とを適正に配分し、利便性の高い高層住宅の建設を誘導するため、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域又は準工業地域でこれらの地域に関する都市計画において建築基準法第五十二条第一項第二号
に規定する建築物の容積率が十分の四十又は十分の五十と定められたものの内において、建築物の容積率の最高限度、建築物の建ぺい率の最高限度及び建築物の敷地面積の最低限度を定める地区とする。」
3 特例容積率適用地区 →X 誤 特例容積率適用地区とは、同法第9条15項「特例容積率適用地区は、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域又は工業地域内の適正な配置及び規模の公共施設を備えた土地の区域において、建築基準法第五十二条第一項
から第九項 までの規定による建築物の容積率の限度からみて未利用となつている建築物の容積の活用を促進して土地の高度利用を図るため定める地区とする。」 4 高度利用地区 →○ 正 高度利用地区は、同法第9条18項「高度利用地区は、用途地域内の市街地における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図るため、建築物の容積率の最高限度及び最低限度、建築物の建ぺい率の最高限度、建築物の建築面積の最低限度並びに壁面の位置の制限を定める地区とする。 答え:4 |
〔問 23〕警備業に関する次の記述のうち、警備業法の規定によれば、誤っているものはどれか。 1 警備業者は、警備業務の依頼者と警備業務を行う契約を締結しようとするときは、当該契約をするまでに、当該契約の概要について記載した書面をその者に交付しなければならない。 →○ 正 久し振りに「警備業法」からの出題。「警備業法」も改正があったが、平成14年のマンション管理士試験 {問 25}で出題されている。また、平成20年 管理業務主任者 試験 「問45」 選択肢2 でも出た。 2 警備業者は、警備業務を行う契約を締結したときは、遅滞なく、当該契約の内容を明らかにする書面を当該警備業務の依頼者に交付しなければならない。 →○ 正 選択肢1で述べたように警備業法第19条2項により、正しい。 3 警備業者は、常に、その行う警備業務について、依頼者からの苦情の適切な解決に努めなければならない。 →○ 正 警備業法第20条(苦情の解決) 4 警備業を営もうとする者は、一定の要件に該当しないことについて都道府県知事の認定を受けなければならない。 →X 誤 警備業法第4条(認定) 答え:4 (ここは、警備業法の詳細を知らなくても、ガードマン会社に天下りしているのは警察=公安委員会の推定ができれば、4になる。) |
問24 |
〔問 24〕高さ31mを超えるマンション(以下この問いにおいて「高層マンション」という。)における防炎対象物品の防炎性能に関する次の記述のうち、消防法の規定によれば、誤っているものはどれか。 1 高層マンションで使用するカーテン等は、一定基準以上の防炎性能を有するものでなければならない。 →○ 正 消防法第8条の3「高層建築物若しくは地下街又は劇場、キャバレー、旅館、病院その他の政令で定める防火対象物において使用する防炎対象物品(どん帳、カーテン、展示用合板その他これらに類する物品で政令で定めるものをいう。以下同じ。)は、政令で定める基準以上の防炎性能を有するものでなければならない。
2 寝具は、高層マンションで使用する防炎性能が必要な対象物品の一つである。 →X 誤 選択肢1で述べたように、カーテン等に寝具は入っていない。 3 使用する防炎対象物品は、一定基準以上の防炎性能を有するものである旨の表示を附することができる。 →○ 正 選択肢1で述べたように、消防法第8条の3 2項により可能。 4 高層マンションの関係者は、防炎性能を有していないカーテン等を購入し、業者等に委託して一定基準以上の防炎性能を与えるための処理をさせたときは、その旨を明らかにしておかなければならない。 →○ 正 消防法施行規則4条の4 9項「法第八条の三第一項の防火対象物の関係者は、同条第五項に規定する防炎性能を与えるための処理又は防炎対象物品の作製を行なわせたときは、防炎物品ごとに、見やすい箇所に、次の各号に掲げる事項を明らかにし、又は当該防炎性能を与えるための処理をし、若しくは防炎対象物品を作製した者をして防炎表示を付させるようにしなければならない。 答え:2 (ここまでやるか! 本当にマンション管理士試験は範囲が広い! 消防法は過去には防火管理者が中心だったが、出題を変えてきた。「マンション管理の知識 平成20年版 ページ436参照) |
〔問 25〕管理組合の総会における議決権の行使に関する次の記述のうち、マンション標準管理規約(単棟型)(以下「標準管理規約」という。)によれば、適切なものはどれか。 1 署名押印のみで各議案について賛否の記載がない議決権行使書が提出されたが、各議案のいずれについても賛成票とした。 →X 誤 ここは、平成20年 管理業務主任者 試験 「問30」 でも出ている。 2 複数住戸を所有する組合員から、1住戸分のみを反対票とし残りの住戸分は賛成票として欲しいと要求されたので、そのように賛否を分けて取り扱った。 →X 誤 この設問に対する該当の規定も、標準管理規約には無いが、複数の議決権を一人で有する場合は、その全部の議決権は、賛成か反対かどちらかに統一して行使すべきであり、別々に行使することは、個人の意思表示として適切でない。 3 提出された委任状が隣接組合員の住戸の賃借人を代理人とするものだったの で、「委任状による出席」にも数えなかった。 →○ 正? 標準管理規約(単棟型)46条5項「組合員が代理人により議決権を行使しようとする場合において、その代理人は、その組合員と同居する者若しくはその組合員の住戸を借り受けた者、又は他の組合員若しくはその組合員と同居する者でなければならない。」とあり、隣接組合員の住戸の賃借人は代理人になれないため、「委任状による出席」にも数えなくてよい。(注:これは、一応標準管理規約46条5項があるから、正しいことにするが、この規定は代理人の範囲を規約で限定していいのか、どうかの問題を含んでいる。) 4 総会の招集通知に添付した委任状及び議決権行使書を使用せず、組合員から「すべての議案に反対する」と記載した書面が提出されたが、これを無効票として取り扱った。 →X 誤 委任状や議決権行使書は特に総会の招集通知に添付した様式によらなくても、有効である。無効とすることは適切でない。反対票として取り扱う。 答え:3 (ここを単純に回答して、{問 27}の委任状をやると、疑問点が増す。) |
ここまで、問25 |
最終更新日:2009年2月26日