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*マンション管理士/管理業務主任者を目指す人のために、「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」の概要を纏めました。

★★      マンションの建替えの円滑化等に関する法律 の 概要        ★★


(この解説においては、略称:マンション建替え法 と言う)

目指せ!マンション管理士へ目指せ! マンション管理士・管理業務主任者業務へ

区分所有法解説へ区分所有法 解説へ

凡例:各条文は、黒字にて表示。解説は緑字にて表示

◎「マンションの建替えの円滑化等に関する法律  (マンション建替え法)」制定の背景

 マンションの建替えについては、区分所有法では62条の建替え決議までは、規定していますが、建替え決議をしたあとの規定がありません。
そのため、
  @建替えを行う団体の法律的な位置づけや、運営のやり方がはっきりしていない
  A建替え前のマンションにある区分所有権や抵当権、賃貸借権などの権利関係が、建替え後のマンションにスムーズに移行できる方法がない
  などの理由により、なかなか建替えの合意ができませんでした。

 そこで、「マンションの建替えの円滑化等に関する法律 (略称:マンション建替え法)」が制定され、平成14年12月から施行されました。

 また、平成15年6月施行の改正 区分所有法により、建替え要件や、団地での建替え承認決議(68条)、一括建替え制度(69条)が導入されたことをうけ、マンション建替え法も同じく平成15年6月に一部改正がありました。

◎「マンションの建替えの円滑化等に関する法律  (マンション建替え法)」の概要
過去出題 マンション管理士 H21年、H20年、H19年、H18年、H17年、H16年、H15年、
管理業務主任者 H19年、H17年、H16年、H15年、

マンション建替え法の目的

(目的)
第一条  この法律は、マンション建替組合の設立、権利変換手続による関係権利の変換、危険又は有害な状況にあるマンションの建替えの促進のための特別の措置等マンションの建替えの円滑化等に関する措置を講ずることにより、マンションにおける良好な居住環境の確保を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

*単に区分所有法62条1項の建替え決議の後を行うだけでなく、危険な状況にあるマンションであれば、該当する。

マンション建替え法により、
 @建替事業の主体、運営ルールおよび意思決定の手続きの明確化、
 A区分所有権および抵当権、賃借権などの権利関係が再建マンションに円滑に移行されるための手続き
 が定められています。

この法律の概要は以下のとおりです。

★マンション建替え法の適用がある「マンション」 とは、

<参照> マンション建替え法
 第2条1項1号;定義等;マンション 二以上の区分所有者が存する建物で人の居住の用に供する専有部分のあるものをいう。

    2以上の区分所有者がいる建物で、かつ人の居住に用いられる専有部分があるマンションです。あらゆる区分所有建物が、この法の対象になるわけではありません。

    建物が一人の所有者に属する賃貸マンションは該当しません。区分所有法の規定と異なり、住居専用と限定されていますので注意してください。

    なお、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」で規定する「マンション」とは、同じです。

<参考> 区分所有法第1条:(建物の区分所有) 一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。

(注意:区分所有法では、マンションという言葉は使用されていません。また、区分所有法では、@構造上の独立性と A利用上の独立性 があれば、住居以外の店舗、事務所があってもかまいません。)

 

<参考>マンションの管理の適正化の推進に関する法律 2条 :
  一  マンション 次に掲げるものをいう。
   イ 二以上の区分所有者(建物の区分所有等に関する法律 (昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第二項 に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)が存する建物で人の居住の用に供する専有部分(区分所有法第二条第三項 に規定する専有部分をいう。以下同じ。)のあるもの並びにその敷地及び附属施設
   ロ 一団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)が当該団地内にあるイに掲げる建物を含む数棟の建物の所有者(専有部分のある建物にあっては、区分所有者)の共有に 属する場合における当該土地及び附属施設

 

★また、団地内に住戸マンション以外の商業棟やオフイス棟などの建物が混在する場合も、区分所有法70条1項の規定による「一括建替え決議」があれば、この法律が適用されます。

<参照> マンション建替え法
2条 2項  区分所有法第七十条第一項 に規定する一括建替え決議(以下単に「一括建替え決議」という。)の内容により、区分所有法第六十九条第一項 に規定する団地内建物(その全部又は一部がマンションであるものに限る。以下「団地内建物」という。)の全部を除却するとともに、区分所有法第七十条第一項 に規定する再建団地内敷地に同条第三項第二号 に規定する再建団地内建物(その全部又は一部がマンションであるものに限る。以下この項において「再建団地内建物」という。)を新たに建築する場合には、現に存する団地内建物(マンションを除く。)及び新たに建築された再建団地内建物(マンションを除く。)については、マンションとみなして、この法律を適用する。

★建替となる敷地と建物の関係は以下のとおりです。

★マンション建替え事業の主体

1.マンション建替組合

  区分所有法第64条の「建替え決議」がなされた場合には、建替え合意者は、建替え合意者の4分の3以上の同意により、5人以上の参加者があれば、定款・事業計画を定めて、都道府県知事の認可により建替組合を設立できます。

 認可するのは、都道府県知事ですが、申請は、該当の市町村長を経由して行います。これは、地元の市町村が、建替の動きを把握し、また市町村長は組合に対して円滑な施行などを図るために必要な勧告、助言などができるためです。

<参照>マンション建替え法: 第9条1項: 区分所有法第六十四条 の規定により区分所有法第六十二条第一項 に規定する建替え決議(以下単に「建替え決議」という。)の内容によりマンションの建替えを行う旨の合意をしたものとみなされた者(マンションの区分所有権又は敷地利用権を有する者であってその後に当該建替え決議の内容により当該マンションの建替えを行う旨の同意をしたものを含む。以下「建替え合意者」という。)は、五人以上共同して、定款及び事業計画を定め、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事の認可を受けて組合を設立することができる。

また、大都市においては、都道府県知事の替りに、指定都市の長が認可します。

<参照>マンション建替え法: 第128条;(大都市等の特例); この法律中都道府県知事の権限に属する事務は、地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項 の指定都市(以下この条において「指定都市」という。)、同法第二百五十二条の二十二第一項 の中核市(以下この条において「中核市」という。)及び同法第二百五十二条の二十六の三第一項 の特例市(以下この条において「特例市」という。)においては、政令で定めるところにより、指定都市、中核市又は特例市(以下この条において「指定都市等」という。)の長が行うものとする。この場合においては、この法律中都道府県知事に関する規定は、指定都市等の長に関する規定として指定都市等の長に適用があるものとする。

★法人格を持つ
  これにより、法人格を持った建替組合ができますので、金融機関からの融資や工事請負契約などの締結がスムーズにできます。
組合としての、組合員名簿の作成(法18条)、役員(理事3名以上、監事2名以上、理事長の選任)の設置(法20条)や、総会(法26条〜)、経費の賦課徴収(法35条〜)、解散(法38条〜)が適用されます。

 なお、組合の設立が認可されれば、その認可書の到着をもって、法人格を取得します。そして、都道府県知事により、公告がなされ、これにより「登記」がなくても、「登記」と同様な機能を持ちます。組合は別に登記はいりません。公告があるまでは、組合の成立などを第三者に対抗できないとされています。(法13条、14条)

建替事業は、法律上の権利関係の調整や資金の調達など、複雑で専門知識を必要としています。

そこで、外部の民間業者(金融機関、建設業者、ディベロッバーなど)も、事業に参加する組合員となれます。(これらは、参加組合員と呼ばれます。法17条。)

<参照>マンション建替え法:第17条:参加組合員;前条(16条)に規定する者のほか、組合が施行するマンション建替事業に参加することを希望し、かつ、それに必要な資力及び信用を有する者であって、定款で定められたものは、参加組合員として、組合の組合員となる。

 

★マンション建替え事業の主体

2.個人施行者

しかし、建替組合の設立は、必ずしも義務付けられたものではありません。

マンションの区分所有者またはその同意を得た人も、一人または数人が共同で、マンションの建替事業を施行できます。
組合設立には、5人以上が必要ですが、4人以下の場合でも、建替事業ができます。これは、個人施行者制度と呼ばれます。

この方法は、マンションの区分所有者や抵当権者、借家人などの権利関係が少ない場合など、わざわざ組合を設立するまでもない時には便利です。 

また、区分所有者の同意を得れば、ディベロッパーが委任を受けて、建替事業を行うことができますので、ディベロッパーが資金の調達から最終の権利関係の調整(分譲後の所有権など)までをおこなうことも可能です。

<参照>マンション建替え法:第5条2項;マンションの区分所有者又はその同意を得た者は、一人で、又は数人共同して、当該マンションについてマンション建替事業を施行することができる。

個人施行者になる場合でも、施行マンションの名称や建替事業の範囲などを記載した規準(共同の場合は規約と事業計画)を作成して、都道府県知事の認可が必要です。

<参照>マンション建替え法:第46条;前条(第45条)第一項の規準又は規約には、次の各号(規準にあっては、第四号から第六号までを除く。)に掲げる事項を記載しなければならない。
   一  施行マンションの名称及びその所在地
   二  マンション建替事業の範囲
   三  事務所の所在地

   四  事業に要する経費の分担に関する事項
   五  業務を代表して行う者を定めるときは、その職名、定数、任期、職務の分担及び選任の方法に関する事項
   六  会議に関する事項
   七  事業年度
   八  公告の方法
   九  その他国土交通省令で定める事項

施行マンション...建替前のマンション

再建建物...建替え後のマンションなど。(建替え後の建物は建替え前の建物と、使用目的が異なってもいい。)

 

★権利変換手続きの必要性

建替前のマンションの専有部分には、購入時の金融機関による抵当権の設定や、賃借人が入居しているのは一般的なことです。

いままでは、これらの権利について、個別に交渉し、また契約上の権利行使で、清算していましたが、例えばどこかの金融機関が抵当権の抹消を拒否すると、そこのマンションは取り壊しができませんでした。
また、賃借人の立ち退きを求めることも、大変なことです。

そこで、マンション建替え法は、従来の権利関係を再建建物に一気に移し変えるやり方を採用しました。
これが、「権利変換手続き」です。

★権利変換手続きの方法

 @権利変換開始の登記

  建替え事業施行者は、まず施行マンションの区分所有権などについて、登記所へ「権利変換手続きの開始の登記」をします。
この登記がなされた後に、該当のマンションの区分所有権などを変更する人は、施行者の承認が必要となり勝手に変更ができなくなります。

また、施行者の承認を得ないで、権利を処分しても、施行者に対抗できません。

<参照>マンション建替え法:第55条1項;施行者は、次に掲げる公告があったときは、遅滞なく、登記所に、施行マンションの区分所有権及び敷地利用権(既登記のものに限る。)並びに隣接施行敷地の所有権及び借地権(既登記のものに限る。)について、権利変換手続開始の登記を申請しなければならない。

マンション建替え法:第55条2項; 前項の登記があった後においては、当該登記に係る施行マンションの区分所有権若しくは敷地利用権を有する者(組合が施行するマンション建替事業にあっては、組合員に限る。)又は当該登記に係る隣接施行敷地の所有権若しくは借地権を有する者は、これらの権利を処分するときは、国土交通省令で定めるところにより、施行者の承認を得なければならない。

マンション建替え法:第55条4項; 第二項の承認を得ないでした処分は、施行者に対抗することができない。

★ 権利変換を希望しない権利者は?

 建替えに賛成しても、事情により、新しいマンションに住みたくないと考える人は、権利を放棄して、金銭での支払を希望できます。

<参照>マンション建替え法:第56条1項;第十四条第一項の公告又は個人施行者の施行の認可の公告があったときは、施行マンションの区分所有権又は敷地利用権を有する者は、その公告があった日から起算して三十日以内に、施行者に対し、第七十条第一項及び第七十一条第二項の規定による権利の変換を希望せず、自己の有する区分所有権又は敷地利用権に代えて金銭の給付を希望する旨を申し出ることができる。

 A 施行者による権利変換計画の策定

次に、施行者は、施行再建マンションの配置や区分所有権者の氏名、再建後のマンションで与えられる新区分所有権や敷地利用権の明細や価格、登記されている抵当権の権利者や特約などの明細、再建後における抵当権や賃借の行方、そして権利変換期日・工事完了予定時期などを定めます。

<参照>マンション建替え法:第58条1項;(権利変換計画の内容) ; 権利変換計画においては、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる事項を定めなければならない。
   一  施行再建マンションの配置設計
   二  施行マンションの区分所有権又は敷地利用権を有する者で、当該権利に対応して、施行再建マンションの区分所有権又は敷地利用権を与えられることとなるものの氏名又は名称及び住所
   三  前号に掲げる者が施行マンションについて有する区分所有権又は敷地利用権及びその価額
   四  第二号に掲げる者に前号に掲げる区分所有権又は敷地利用権に対応して与えられることとなる施行再建マンションの区分所有権又は敷地利用権の明細及びその価額の概算額
   五  第三号に掲げる区分所有権又は敷地利用権について先取特権、質権若しくは抵当権の登記、仮登記、買戻しの特約その他権利の消滅に関する事項の定めの登記又は処分の制限の登記(以下「担保権等の登記」と総称する。)に係る権利を有する者の氏名又は名称及び住所並びにその権利
  六  前号に掲げる者が施行再建マンションの区分所有権又は敷地利用権の上に有することとなる権利
  七  施行マンションについて借家権を有する者(その者が更に借家権を設定しているときは、その借家権の設定を受けた者)で、当該権利に対応して、施行再建マンションについて借家権を与えられることとなるものの氏名又は名称及び住所
  八  前号に掲げる者に借家権が与えられることとなる施行再建マンションの部分
  九  施行者が施行再建マンションの部分を賃貸する場合における標準家賃の概算額及び家賃以外の借家条件の概要
  十  施行マンションに関する権利又はその敷地利用権を有する者で、この法律の規定により、権利変換期日において当該権利を失い、かつ、当該権利に対応して、施行再建マンションに関する権利又はその敷地利用権を与えられないものの氏名又は名称及び住所、失われる施行マンションに関する権利又はその敷地利用権並びにその価額
  十一  隣接施行敷地の所有権又は借地権を有する者で、この法律の規定により、権利変換期日において当該権利を失い、又は当該権利の上に敷地利用権が設定されることとなるものの氏名又は名称及び住所、その権利並びにその価額又は減価額
  十二  組合の参加組合員に与えられることとなる施行再建マンションの区分所有権及び敷地利用権の明細並びにその参加組合員の氏名又は名称及び住所
  十三  第四号及び前号に掲げるもののほか、施行再建マンションの区分所有権又は敷地利用権の明細、その帰属及びその処分の方法
  十四  施行マンションの敷地であった土地で施行再建マンションの敷地とならない土地(以下「保留敷地」という。)の所有権又は借地権の明細、その帰属及びその処分の方法
  十五  補償金の支払又は清算金の徴収に係る利子又はその決定方法
  十六  権利変換期日、施行マンションの明渡しの予定時期及び工事完了の予定時期
  十七  その他国土交通省令で定める事項

 

建替組合の権利変換計画に関する総会が開催され、決議がなされても、権利変換計画に賛成しない人(組合員)に対しては、組合からは賛成しなかった組合員に対して「売渡請求」ができ、また賛成しなかった組合員の方からも、「買取請求」ができます。

★注:ここが区分所有法と違う。

   区分所有法(第63条4項 参照)の建替えでは、「建替えの賛成者」だけから、売り渡しの請求ができたが、マンションの建替え法では「建替に賛成しない者」からも、買取の請求を認めています。

 


<参照>マンション建替え法:第64条1項;(権利変換計画に関する総会の議決に賛成しなかった組合員に対する売渡し請求等); 組合において、権利変換計画について総会の議決があったときは、組合は、当該議決があった日から二月以内に、当該議決に賛成しなかった組合員に対し、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。

マンション建替え法:64条3項; 組合において、権利変換計画について総会の議決があったときは、当該議決に賛成しなかった組合員は、当該議決があった日から二月以内に、組合に対し、区分所有権及び敷地利用権を時価で買い取るべきことを請求することができる。

権利変換計画も都道府県知事の認可を受けて、建替え事業は進みます。

B計画に定められた期日をもって、すべての従前の建物に対する権利関係が再建建物に移行する。

 権利変換期日をもって、古いマンションにあった諸権利(区分所有権、敷地利用権、抵当権など)は、全部なくなり、同時に権利変換計画に記載された、新しい建物(再建建物)の上に存在することになります。

古いマンションに住んでいる人は、決められた期限までに引越し(明渡し)を行い、建物が取り壊され、新しい建物の工事が始まります。

 

<参照>マンション建替え法:第70条1項;(敷地に関する権利の変換等) ;権利変換期日において、権利変換計画の定めるところに従い、施行マンションの敷地利用権は失われ、施行再建マンションの敷地利用権は新たに当該敷地利用権を与えられるべき者が取得する。

第70条2項;権利変換期日において、権利変換計画の定めるところに従い、隣接施行敷地の所有権又は借地権は、失われ、又はその上に施行再建マンションの敷地利用権が設定される。

第70条3項;  権利変換期日において、権利変換計画の定めるところに従い、保留敷地に関しては、当該保留敷地についての従前の施行マンションの敷地利用権が所有権であるときはその所有権を、借地権であるときはその借地権を、施行者が取得する。

第70条4項; 施行マンションの敷地及び隣接施行敷地に関する権利で前三項及び第七十三条の規定により権利が変換されることのないものは、権利変換期日以後においても、なお従前の土地に存する。この場合において、権利変換期日前において、これらの権利のうち地役権又は地上権の登記に係る権利が存していた敷地利用権が担保権等の登記に係る権利の目的となっていたときは、権利変換期日以後においても、当該地役権又は地上権の登記に係る権利と当該担保権等の登記に係る権利との順位は、変わらないものとする。

<参照>マンション建替え法:第71条1項:(施行マンションに関する権利の変換); 権利変換期日において、施行マンションは、施行者に帰属し、施行マンションを目的とする区分所有権以外の権利は、この法律に別段の定めがあるものを除き、消滅する。

第71条2項: 施行再建マンションの区分所有権は、第八十一条の建築工事の完了の公告の日に、権利変換計画の定めるところに従い、新たに施行再建マンションの区分所有権を与えられるべき者が取得する。

第71条3項: 施行マンションについて借家権を有していた者(その者が更に借家権を設定していたときは、その借家権の設定を受けた者)は、第八十一条の建築工事の完了の公告の日に、権利変換計画の定めるところに従い、施行再建マンションの部分について借家権を取得する。

<参照>マンション建替え法:第80条1項:(施行マンション等の明渡し) ; 施行者は、権利変換期日後マンション建替事業に係る工事のため必要があるときは、施行マンション又はその敷地(隣接施行敷地を含む。)を占有している者に対し、期限を定めて、その明渡しを求めることができる。

第80条2項; 前項の規定による明渡しの期限は、同項の請求をした日の翌日から起算して三十日を経過した後の日でなければならない。

★マンションの取り壊し。新築工事。新しいマンションの完成。

そして、工事が完了すると、施行者は公告をし、再建マンションに権利をもっている人に通知し、また必要な登記を行います。

新しく賃借関係も、新区分所有者と賃貸人の間で協議されます。

<参照>マンション建替え法:第81条1項:(建築工事の完了の公告等) ; 施行者は、施行再建マンションの建築工事が完了したときは、速やかに、その旨を、公告するとともに、第七十一条第二項又は第三項の規定により施行再建マンションに関し権利を取得する者に通知しなければならない。

<参照>マンション建替え法:第82条1項:(施行再建マンションに関する登記) ; 施行者は、施行再建マンションの建築工事が完了したときは、遅滞なく、施行再建マンション及び施行再建マンションに関する権利について必要な登記を申請しなければならない。
第82条2項;
施行再建マンションに関する権利に関しては、前項の登記がされるまでの間は、他の登記をすることができない。

<参照>マンション建替え法:第83条1項:(借家条件の協議及び裁定) ; 権利変換計画において施行再建マンションの区分所有権が与えられるように定められた者と当該施行再建マンションについて第六十条第四項本文の規定により借家権が与えられるように定められた者は、家賃その他の借家条件について協議しなければならない。


★ここから、過去の出題問題です。 (その他の問題は、目指せ! マンション管理士・管理業務主任者業務へ のページから過去の問題の解説をご利用ください。

{設問-1} マンション建替組合(以下「建替組合」という。)が行うマンション建替事業に関する次の記述のうち、マンションの建替えの円滑化等に関する法律の規定によれば、正しいものはどれか。

1 2以上の建替え決議マンションがある場合、それらの建替え合意者(区分所有法に基づく建替え決議の内容によりマンションの建替えに合意をしたとみなされた者をいう。)は、一つの建替組合を設立して、マンション建替事業を行うことができる。

答え:正しい。円滑化法9条6項によれば、
「二以上の建替え決議マンション(建替え決議に係るマンションであって一括建替え決議マンション群に属さないものをいう。以下同じ。)若しくは一括建替え決議マンション群又は一以上の建替え決議マンション及び一括建替え決議マンション群に係る建替え合意者等は、五人以上共同して、第一項の規定による認可を申請することができる。この場合において、第二項の規定は建替え決議マンションごとに、第四項の規定は一括建替え決議マンション群ごとに、適用する。」とあり、
二以上の建替え決議マンションに係る建替え合意者等は、五人以上共同して、第一項の規定による(設立の)認可を申請することができる。

2 建替組合がマンション建替事業を行う場合、施行マンション及び施行再建マンションは、5戸以上の住戸を有し、かつ、地上3階以上の区分所有された建物でなくてはならない。

答え:間違いである。円滑化法12条4・5・6・7号
「四  施行マンションの住戸の数が、国土交通省令で定める数以上であること。
 五  施行マンションの住戸の規模、構造及び設備の状況にかんがみ、その建替えを行うことが、マンションにおける良好な居住環境の確保のために必要であること。
 六  施行再建マンションの住戸の数が、国土交通省令で定める数以上であること。
 七  施行再建マンションの住戸の規模、構造及び設備が、当該住戸に居住すべき者の世帯構成等を勘案して国土交通省令で定める基準に適合するものであること。」とあり、
認可の基準において同施行規則13条から15条では、
(法第十二条第四号 の国土交通省令で定める施行マンションの住戸の数)
第十三条  法第十二条第四号 の国土交通省令で定める施行マンションの住戸の数は、五とする。
(法第十二条第六号 の国土交通省令で定める施行再建マンションの住戸の数)
第十四条  法第十二条第六号 の国土交通省令で定める施行再建マンションの住戸の数は、五とする。
(法第十二条第七号 の国土交通省令で定める住戸の規模、構造及び設備の基準)
第十五条  法第十二条第七号 の国土交通省令で定める施行再建マンションの住戸の規模、構造及び設備の基準は次のとおりとする。
 一  各戸が床面積(施行再建マンションの共用部分の床面積を除く。以下この号において同じ。)五十平方メートル(現に同居し、又は同居しようとする親族(婚姻の届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者その他婚姻の予約者を含む。以下この号において同じ。)がない者の居住の用に供する住戸にあっては、二十五平方メートル)以上であり、かつ、二以上の居住室を有するものであること。ただし、居住すべき者の年齢、所得その他の特別の事情によりやむを得ないと認められる住戸(現に同居し、又は同居しようとする親族がない者の居住の用に供するものを除く。)にあっては、当該住戸の床面積を三十平方メートル以上とすることができる。
 二  建築基準法 (昭和二十五年法律第二百一号)第二条第九号の二 イに掲げる基準に適合する建築物又は独立行政法人住宅金融支援機構の業務運営並びに財務及び会計に関する省令 (平成十九年財務省・国土交通省令第一号)第三十九条第三項 に規定する準耐火構造の建築物であること。
 三  各戸が台所、水洗便所、収納設備、洗面設備及び浴室を備えたものであること。」とあり、
定めているのは両マンションとも5戸以上且つ施行再建マンションでは50u以上・耐火準耐火構造・各戸が台所、水洗便所、収納設備、洗面設備及び浴室を備えたものであること、であり地上3階の階数の規制はない。

3 建替組合が隣接地を取り込んでマンション建替事業を行う場合、その設立の認可を申請するに当たっては、あらかじめ、隣接施行敷地となる土地の所有者の同意を得なければならない。

答え:間違いである。円滑化法12条3項「施行再建マンションの敷地とする隣接施行敷地に建築物その他の工作物が存しないこと又はこれに存する建築物その他の工作物を除却し、若しくは移転することができることが確実であること。」とあり、 また、同法施行規則3条1項4号「施行再建マンションの敷地とする隣接施行敷地がある場合においては、当該隣接施行敷地に建築物その他の工作物が存しないこと又はこれに存する建築物その他の工作物を除却し、若しくは移転することができることが確実であることを証する書類 」とあり 同意を得るの規定はない。

4 都道府県知事は、建替組合の設立の認可申請があった場合、当該事業計画を2週間公衆の縦覧に供しなければならない。

答え:間違いである。円滑化法11条1項によれば、「都道府県知事は、第九条第一項の規定による認可の申請があったときは、施行マンションとなるべきマンションの敷地(これに隣接する土地を合わせて施行再建マンションの敷地とする場合における当該土地(以下「隣接施行敷地」という。)を含む。)の所在地の市町村長に、当該事業計画を二週間公衆の縦覧に供させなければならない。ただし、当該申請に関し明らかに次条各号のいずれかに該当しない事実があり、認可すべきでないと認めるときは、この限りでない。」とあり、 縦覧を行うのは市町村長。

正解: 


{設問-2}マンションの建替えの円滑化に関する法律)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 建替え円滑化法における「マンション」とは、2以上の区分所有者が存する建物で人の居住の用に供する専有部分のあるものをいう。

答え:正しい。(建替え円滑化法第2条第1項)
    「第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一  マンション 二以上の区分所有者が存する建物で人の居住の用に供する専有部分のあるものをいう。 」とあり、
設問とおりに定義されている。

2 マンションの建替組合を法人とするか否かは、組合の任意である。

答え:間違いである。(建替え円滑化法第6条第1項)
   「第六条 1項 組合は、法人とする。 」とあり、マンション建替組合は、すべて法人とする旨の規定がある。
   設問は、「組合の任意」としており間違いである。

3 マンション建替組合には、役員として理事3人以上及び監事2人以上を置かなければならず、理事の互選により理事長1人を置く。

答え:正しい。(建替え円滑化法第20条)
   「(役員)
第二十条1項 組合に、役員として、理事三人以上及び監事二人以上を置く。
2 項 組合に、役員として、理事長一人を置き、理事の互選によりこれを定める。 」とあり、
設問とおりに規定されている。

4 マンション建替組合の組合員の数が50人を超える場合には、総会に代ってその権限を行わせるために総代会を設けることができる。

答え:正しい。(建替え円滑化法第31条第1項)
   「(総代会)
第三十一条  組合員の数が五十人を超える組合は、総会に代わってその権限を行わせるために総代会を設けることができる。 」とあり、
設問通りに規定されている。

正解: 


{設問-3} マンション建替組合に関する次の記述のうち、マンションの建替えの円滑化等に関する法律の規定によれば、正しいものはどれか。

1 マンション建替組合の設立の認可を申請しようとする者は、組合の設立について建替え合意者の4/5以上の同意を得なければならない。

答え:間違いである。建替え円滑化法9条2項によれば、「2  前項の規定による認可を申請しようとする建替え合意者は、組合の設立について、建替え合意者の四分の三以上の同意(同意した者の区分所有法第三十八条 の議決権の合計が、建替え合意者の同条 の議決権の合計の四分の三以上となる場合に限る。)を得なければならない。 」とあり、
合意者の四分の三以上の同意でいい。4/5以上はいらない。

2 マンション建替組合の組合員には、建替え合意者でなければなることはできない。

答え:間違いである。建替え円滑化法16条「(組合員)
第十六条  施行マンションの建替え合意者等(その承継人(組合を除く。)を含む。)は、すべて組合の組合員とする。
2  マンションの一の専有部分が数人の共有に属するときは、その数人を一人の組合員とみなす。 」とある。また、17条によれば「(参加組合員)
第十七条  前条に規定する者のほか、組合が施行するマンション建替事業に参加することを希望し、かつ、それに必要な資力及び信用を有する者であって、定款で定められたものは、参加組合員として、組合の組合員となる。 」とあり、 マンション建替組合の組合員には、建替え合意者の承継人のほか、参加を希望する資力のあるディベロッパーなどの外部の参加組合員も含まれる。

3 区分所有法に基づく一括建替え決議に係る一括建替え合意者は、都道府県知事の認可を受けなけば、マンション建替組合を設立することができない。

答え:正しい。建替え円滑化法9条4項によれば、「第一項の規定による認可を申請しようとする一括建替え合意者は、組合の設立について、一括建替え合意者の四分の三以上の同意(同意した者の区分所有法第七十条第二項 において準用する区分所有法第六十九条第二項 の議決権の合計が、一括建替え合意者の同項 の議決権の合計の四分の三以上となる場合に限る。)及び一括建替え決議マンション群(一括建替え決議に係る団地内の二以上のマンションをいう。以下同じ。)を構成する各マンションごとのその区分所有権を有する一括建替え合意者の三分の二以上の同意(各マンションごとに、同意した者の区分所有法第三十八条 の議決権の合計が、それぞれその区分所有権を有する一括建替え合意者の同条 の議決権の合計の三分の二以上となる場合に限る。)を得なければならない。」とあり、
建替組合は都道府県知事の認可で設立され、区分所有法に基づく一括建替え決議に係る一括建替え合意者の場合も同様。

4 マンション建替組合の設立の際に定める事業計画は、特別の事情があるときは必ずしも建替え決議の内容に適合したものでなくてもよい。

答え:間違いである。建替え円滑化法10条2項によれば、「事業計画は、建替え決議又は一括建替え決議(以下「建替え決議等」という。)の内容に適合したものでなければならない。」とあり、
建替え決議の内容に適合したものでなければならない。

正解: 

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