remove
powerd by nog twitter

【Lucifer/Boxy "The CUP V"】

DRINKING-BEER HALL "The STRESS"@

 2003年7月11日。金曜日。明日は休みという週末の夕暮れに、ぼくはイライラと動かない車列のテールランプを睨んでいた。まったく、何だってこんな時に渋滞が起きるのだろう・・・そもそも、国道の電光掲示板に「松山市内渋滞」という表示を見つけ、『じゃ大回りして伊予側から入るか』という判断を下したのが間違いだった。仕事帰りなのか遊びに行くのか、ただの田舎道に車が溢れかえっている。悪いことに雨脚まで強くなってきた。

 ついてないな・・・。しかし、気持ちは軽かった。あと数キロ先には、ぼくを待っている相棒がいる。共にカップを戦う新たな相棒にもうすぐ会えると思うと、もう2時間近くも狭い車内に閉じこめられていることも苦痛ではなくなる。

 この感じは何かに似ている、と思ったら新しい恋人に会いに行く感覚に近いものがあるな。


 ついに対面したカップガンV。スラリとしたその姿は、貴婦人・・・というよりも「銀の剣」を思わせる。バランスの良さ、アクションの確かさ、高い命中精度等で、一級品のカップガンとして完成した。上にある少し短いのがS−CUP1号機「スモーキン・ブギ」。製作者のジル・ビル・27さんによれば本来は6インチフレームで造りたかったそうで、その意味ではぼくの「ストレス」がイメージに近いモノということらしい。しかし、バレル長は6インチあるし、何より軽快なのが快感だ。バリケイドでの握り方には熟練がいるが、このままでスピード競技に使えそうなことから、ある意味ユニヴァーサルなGUNなのかもしれない。何挺ものカスタムGUNを準備できないビギナーにこそうってつけだといえそうだ。

 はじめは全然違うカスタムを依頼するために、6インチフレーム持参でガンボーイを訪れたのが2週間前。そこで「スモーキンブギ」に出会い、その出来の良さに物欲が爆発しすぐさま「売ってくれ〜!」と言ったものの、答えはNo。これからカップに挑戦しようとするカスタムガンをまだ持っていない人に使ってもらいたいんだと。ううむ、シューティングの間口を広げるためのカスタムなら、ぼくが手を出すのは良くない・・・と諦めることにして、その代わりに「ほぼ同じ仕様で長いヤツを造ってくださいな」とお願いしたのがストレス計画の始まりだった。それからわずか10日という突貫作業で完成したというわけ。

 完成品を見ると、スモーキンブギおよびB−CUPで得られた技術がフィードバックされているのがよくわかる。では次ページから、そのディテールを紹介したい。