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【K-GUN】

2003.5.12

 つい数日前に手元にやって来た真性レースガン。他のGUNと識別するために、仮にK−GUNと呼んでいる。ベースになったGUNも作者も不詳。ということで、実は中古GUNなのです。「レースガンが売りに出ています。欲しい人いますか?」の情報に手を挙げて、幸運にもゲットした。写真のC−Moreも付いていたので、オープンタイプのダットサイトの経験が殆どない私には、まさに渡りに船の状態。

 とはいえ、実は中古カスタムガンの購入には、これまで否定的だったのも事実。レースガンは本来が道具。消耗したり故障したりするのは当然・・・というか、発射数が極端に多くなる運命にある。その際に、他人が手を入れたカスタムを完全に修理して性能を回復させる自信がないのだよ。ワンオフのスペシャルパーツでも逝っちゃったら・・・。そんなわけで、二の足を踏んでいたというわけ。

 ところが、だ。自分でチューンするようになって気が付いたことがある。基本的なノウハウはネットでも公開されているから、一応の形には出来る。が、周辺の細々したノウハウの積み重ねでカスタムガンの性能は大きく変わるし、そういった「隠し味」的ノウハウは意外に知ることが難しい。GUNBOYの常連さんたちも、他所から譲り受けたGUNをいくつか所有しているが、やはり手触りというか感触が微妙に違うのだ。

 そこで!実戦に使用するのは勿論のこととして、これからのチューニングの教材としてK−GUNを活用することに決定〜♪まずはちょいとバラして気になる所をチェキラッ♪♪


 まずは簡単にバラしましょう。フレーム側に手を付けないのなら、プラスドライバー1本でOK。ヘキサゴンレンチすら必要ありません・・・そう、「あのイモネジ」が存在しないのです。うーん、カスタムの世界は奥が深いなあ。

 ちなみに、現時点ではコンプ(というかバレルウェイト)周りの分解方法が分かりません。なので少々強引な方法でバラしてみました(^^;


【ショートリコイルキャンセル】

 チェンバー側のロッキングラグは綺麗に削り落とされている。よくあるのはチェンバーのピンを打ち替えて、ロッキングラグが噛み合わない位置にアウターバレルを「落とす」方法。

 このGUNの作者は、スライド閉鎖時に「あるべき位置」なチェンバーがあることにこだわりがあるのかもしれない。



 当然、スライド側のラグも落としておかないと作動しない。リューターか何かで丹念に削り落としてある。電動工具を使用しても、こういう作業は面倒で、執念に近い情熱がないとなかなか出来ない仕事だ。

 私の知っているガンスミスに、こういう拘りをもった人がいるが・・・もしかして同一人物!?彼の作品は1〜2挺しか見たことがないので何とも言えないわけですが・・・。



 で、コレ!白いパイプ状のパーツが、アウターのショートリコイルを妨げ、なおかつインナーバレルを所定の位置に固定している。多分、ジュラコンか何かの削り出しだと思うが、この辺りに「スペシャルな匂い」がして、レースガンヲタにはたまらない。

 実用上はエポパテを詰め込んでも変わらない訳ですが。カーボンとか、アルミ削り出しのパーツにクルマ好きが興奮するのと共通した部分があるかも。


【インナーバレル】

 WA用のノンホップインナーバレルとくれば、チャンピオンシップあたりのを流用するか、他社用カスタムバレルを加工して自作するのが常道だ。

 が、世の中には器用な人がいて、自分で旋盤を回して作ってしまう。rx78さんほかGUNBOYの常連さんたちが絶大な信頼を置くガンスミスFさんしかり、空腹親方しかり。ボール盤と手ヤスリで作ってしまうジル・ビル・27さんはある意味別格かも(笑)。

 このバレルの素性は分からないが、良い仕事をしています。


 マズルの仕上げもこの通り。丁寧に仕上げられている。そういえばベルゼブスのインナーバレルもこんな感じだった。いわゆる「MGC93R世代」の私としては、インナーのマズルは「エッジで手が切れるほどテーパーを切っている」のが好き。だけど、効果はわかんないの(苦笑)。

 GUNBOYにも旋盤が入ったことだし、オーダーメイドでバレルを作ってもらえる日も近い?

 ところで、このGUNには定番の「バレル押さえイモネジ」がフレームに入っていない(そもそもネジ穴がない)。なのにインナーバレル基部のパーツには、イモネジで押さえた跡がある。

 ネジ穴のないフレームも使用した形跡があるから、「一時はイモネジを入れた仕様で使っていたが、その後不要になった」と見るべきなのだろう。実際どうなのかは、いずれ試射すれば判明するはず。


【樹脂ブリーチ】

 軽量ブリーチは、もはやレースガンの定番。聞けばわずか数グラムしかないとか。ノーマルブリーチを極限まで削って約12グラム。最近私が試用中のジュラルミンブリーチもその辺りらしい。激しく前後するスライドの軽量化は、ショートストローク化と合わせてキック軽減に劇的な効果がある。

 個人的に作っている人もいるようだが、私が確認している樹脂ブリーチは2系統。大阪方面と山口方面だが・・・世の中にはまだ知られていない逸品があるのかもしれない。もしかするともうすぐ第3の系統にお目にかかれるかも(謎)。

 写真ではわかりにくいがガスカットのタイミングはかなり早められている。ガス抜き穴が無いのはどうしてだろう?実際の作動ストロークは?実はまだ撃っていないので不明なのです。


【切削加工】

 スライド後部。ボーマーサイトの基部をフライスで削り薄く加工し、ブリーチをネジ留めしてある。本当はこんなもの無くても困らない。直接ネジ(形状は適した物に変更)で留めるだけで十分保つ。

 だけど、ツールマークが鈍く輝く切削面を見ていると、そんな理屈はどうでも良くなってくるから不思議だ。



 スライドもフライスで加工してある。このツールマークに好き者は痺れる。実際問題としてABSのスライドをこれっぱかし削っても、効果ある軽量化にはならない(と思う)。が、そこはレースガンとしての「華」の部分として、十分意味がある。性能だけに囚われるのではなく「形」や「様式美」にも神経を注ぐあたりがレースカーに通じるような気もするな。

 様式美といえばバルタン星人。あんなに戦いにくそうなのにハサミにこだわるあたりは十分「様式美」だよなあ。


【リコイルスプリング&ガイド】

 ほらほら、こんなところにもスペシャルパーツが。スプリングは不思議なグリーンの代物。柔らかいのに十分なテンションを持つ。表面を観察すると微妙に凹凸があるのが分かる。コーティングの凹凸なのか・・・まさか、すごく細い金属線を寄り合わせてあるんじゃあるまいね!?どこで売ってるのか知りたくなるブツではある。

 スプリングガイドはアルミの中空。パイプを使って手作りできるが、各部の仕上げの見事さはマネできない。白いパーツは、ストロークを短くするための詰め物かな?ゴムの緩衝材を挟み込んである。

 写真ではよくわからないが、プラグも軽量物。アルミかな?ジュラコンのもあるらしいね。



 で、スライド側を組むとこんな感じ。白いパーツの分だけスライドのストロークが短くなるのがわかりますね。バレルウェイトは下面にイモネジが入っているのだが、それを抜いても外れない。なんで?もしかして純正と同じバラし方じゃなきゃダメなの?また試してみます。

追記:ノーマルと同じやり方でバレルウェイトは無事に外せました。


【直接手に触れるモノだから】

 私はトリガーガードに指をかけない。そこで、トリガーガード下面に滑り止めがある方を好む。

 これまでも自分のGUNにはチェッカリングツールで「ゴーシ、ゴーシ」とやってきた。このGUNにも前オーナーの好みでチェッカリングが刻んである。粗めのチェッカーが好きな私だが、この目が細かいのもシットリと手に馴染んで、意外に好きになれそうだ。

 ガード前方に見える四角い穴は、軽量化のためフレームに開けられた肉抜き。さすがに綺麗な仕上げだ。



 いわゆるドラゴンスキンと呼ばれる仕上げのグリップ。要するにハンダゴテやホットドライバーで樹脂を溶かして滑り止めを刻む方法のこと。

 トイガンではチェッカリングより有効な場合もあり、私も自分でやることが多い。が、素人の悲しさ、効きが今ひとつ。ポイントは「縦パターンを中心に刻む」ことだ。

 特に太めのハイキャパグリップでは、手の中でグリップの回転を押さえる方向に刻むと、意外なほど握りやすくなる。



 右側。スピードガンということで、スッパリと右側のセフティを除去している。のだが、SV系のロングセフティに片側のみのヤツってあったっけ?軸の周りに見える金属パイプも気になる。まだフレーム側は分解していないので、謎が多いのだよ。

 付着しているオイル1つとっても、得られる情報は多い。前オーナーはグリス状の潤滑剤をハンマーやシア周りに塗布していた模様。






 写真には詳しくないのだが、あまり「ブツ撮り」の際にフラッシュを使用するものではないという。照明とレフ板などで十分な光量を確保するのが常識らしい。フラッシュの強い光で、画面が白く飛んでしまうことも多いしね。

 だが、今回はあえてフラッシュ使用で撮影してみた。地味な印象のGUNだが、何となく肌に色気が出てきたような・・・気がしない?コンパクトで軽く、質実剛健。しかし、ウェイト先端までインナーバレルが伸びた面構えを見ていると、何かやってくれそうな気がする。

 さーて、実戦ではどのGUNを使おうかな?ちょっと贅沢な悩みに幸せを感じちゃう管理人なのです。