〜スティールチャレンジ風競技参戦記〜
GBCS第7戦 Steel Challenge参戦ヨタ話裏プロローグ「隠れた主役・・・Y田の悲劇」
■■Y田という男■■ぼくの数少ない友人にY田という男がいる。全国を股にかけて飛び回っているビジネスマンで、高校時代からの付き合いになるから、かれこれ15年も経つのかな。多趣味、というほどでもないが、興味を持ったことにはある程度満足いくまで突っ込んだ関わり方をする。ま、多方面オタクですわ。しかも妙に理論的。何事も感覚的にとらえるファジーなぼくとは、奇妙にウマが合う。この間も、目薬の効きめの話になった。 私 :「しかし、目薬って注してすぐに効果が出るものじゃないと思うんだけど」 Y田:「でも、実感として『よく見えるようになった』と感じる場面ってあるよな」 私 :「疲れ目の時なんかは、特にね。けど、眼精疲労はそんなに急に解消されるワケないし」 Y田:「・・・・」 私 :「大体、仮にそこまで強烈な効き目の薬品だったとして、デリケートな器官に注すのは危険やろ?」 Y田:「わかった!」 私 :「へ?突然何を言い出すんや。わかったって何が?」
Y田:「目薬の効果。 私 :「なるほどー!」 ま、別にそこまで感心する必要はないと自分でも思うが、一事が万事こんなふうに理論付けをしようとする姿勢には感じるところがあるのも事実。すっとこどっこいな仮説もあるが彼の言動がヒントになって解決した問題も、ないことはない・・・ような気もする。それはともかく、理論的に物事を追求していくという姿勢から、GUNやバイクの師匠として陰ながら尊敬してるのだ。 特にGUNの世界ではMGCの93R全盛の時代から、独自のノウハウでカスタムを施し、「5メートルからのグルーピングが9ミリ(センターとセンターではない)」という超絶のカスタムガンを生み出した。ちょっとオーバーパワーっぽかったけどな、当時としては。ダットサイトもいち早く導入し、ウィルスンLE系に持ち替えてからは本格的なレースホルスタ(国産品)も購入した。ベルトだけは本物のビアンキだったと記憶している。 つまり。現在のぼくのスタイルの基本は、Y田から受け継いだものだというわけ。道具へのこだわり、テクニックへのこだわり、さらに練習へのこだわりは、高校時代に校舎の屋上にBB弾を散乱させて用務員さんの怒りを買ったほどだ。ちゃんと掃除せいよ(そういう問題ではないか)。 なのに、ここ数年・・・いや10年もの間、ヤツはバイク中心の生活を送っている。NSR250から始まって、限定解除にも成功し(免許センターで試験を受ける時代だった)、現在ではRVTなどというマイナーかつマニアックなリッターマシンでサーキット走行やレースを楽しんでいる。・・・と書くとブルジョアな生活を思い浮かべるでしょ?ま、ヤツはヤツなりに、趣味生活の資金を捻出するために涙ぐましい節約をしているようなので、たまに有給使ってサボってても会社には内緒にしてあげようか。とにかく、GUN趣味の世界から、スッパリと足を洗っていたワケだ。 それが、ひょんなことから、ぼくに相談の電話をよこしたのが、つい2年くらい前。何でも、「インドアでハンドガン戦をやるのだが、オススメのGUNはないか」ということだった。しばらくGUNの世界から離れていたので、その辺の事情に疎くなっていたのだ。 しばらく考えて、WAのインフィニティ5インチを推薦した。簡単に言うと、「ガスと弾が一杯入って、ちゃんと動くガバ」がよかろうと思ったわけだ。いつかシューティングの世界に復帰するとき、スムーズにいくだろうという親心もあった。 で、ぼくも同じのを買って、何回かゲームにも参加した。その結果、ぼくにはサバイバルゲームは向いていないことが判明した。楽しいんだけど、「人を撃つ」ことの抵抗が抜けきらないのだ。良い悪いの問題ではなく、自分の好みの問題だな。きちんと安全面をチェックすれば問題ないと思うし、「ゲーマーは戦争好き」なんてことは考えてないので、誤解しないでね。飛び交ってるのがBB弾じゃなくて実弾だったら・・・と想像すれば、「ゲームでよかった」と思うでしょ?撃つ方も撃たれる方も、申告の件も含めて信頼関係の上に成り立っているゲームだから、ある意味ゴルフよりも紳士のスポーツだと思う。自治体の協力を得て、きちんとした形で運営されるゲームだってあるわけだし、社会性の有無でゲーマーの淘汰が起きる時代がくるのかもしれない・・・話が思い切りそれた。けど、GUNの楽しみ方の1つとしてゲームは外せないものだと思うから、もっと市民権を得られる時代が来て欲しいものだと思う。 GBCSでお会いする人達を見ていると「大丈夫!」って気がするな。どんな分野の趣味でも、結局は「人」で成り立ってるからね。
■■Y田の復活■■さて。ぼくがゲームをやめてからも、Y田はポチポチとやっていたらしい。しかし、ぼくが本格的にシューティングを始めてからは、時々一緒にGUNBOYで練習するようになった。GUNは例のインフィニティ。ぼくもタクティカルクラスで使えないかとテストしたが、ノーマルでは厳しい。HOPバレルなので、根本的に当たらないのだ。無意味にキックが強いのも、マッチには不向き。好きなんだけどなー、惜しいよなー、と言いつつしまい込まれたままなのだ。 Y田が撃つ。ある日の練習風景だ。初めてのムーヴァー。シャーッと走り出したターゲットに反応して、10年前のSPEED製ホルスタからインフィニティを抜く。グリップセフティを殺した程度の、実質ノーマルのGUNだ。「ドガガガガガ!」と6連射。全弾が10点圏に集中していた。ぼくが、ダットサイトの載ったレースガンで苦戦している強敵を、あっさりと倒してのけたのである。振り返ってY田が言った。「意外と簡単やね」 ほんとにもう、可愛くない。けど、長年のブランクを感じさせない撃ちっぷりは、見事。どうしてもこの男をマッチの舞台に上げてみたい。そう思った。強力なライバルになるのはわかっているが、昔は逆立ちしても敵わなかったY田と、ガチンコの勝負をしてみたくてたまらなくなったのだ。
長いブランクの後ということもあり、簡単にはOKしてくれない。理由としては、 要するに、中途半端な形での復帰はイヤだということ。ほんまにワガママなんやから。 粘り強くて、ちょっと強引な説得(笑)の結果、今回の第7戦が復帰第1戦に決定した。タクティカルクラスでやってみて、ハマりそうならオープンクラスへの参戦も検討するということで。さあ、どうなるか? |
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■■ああ、Y田の悲劇■■あんなに渋っていたのに、Y田ったらタクティカル用にナイロンホルスタを新調したりして。試合前日の22日も、いそいそとGUNBOY入りした。なんや、結構ワクワクしとるんやないか。3本のマグにフルチャージして練習するから、なかなかレンジを使わせてもらえないのは誤算!でも、Y田の復帰戦だから、餞別代わりということでよしとするか。 家でドロウの練習でもしてきたか、えらくスムーズに抜く。そのまま、何かのコース風に配置されたプレイトを撃つのだが、なかなかいいリズムで撃っているじゃないの。ぼくには、オープンサイトをそのスピードで撃つなんていう芸当は到底無理。 ぼくも、オープン用とタクティカル用を取っ替え引っ替え撃ってみたが、今日はY田の練習を見ている方が楽しい。んー、ヤツをここまで引っ張り出すのにどれだけ苦労したことか。後はマッチにハマってくれれば、完全復活なんだけど。 などと思いつつ数時間。結構な弾数を撃った頃、Y田がぼくを手招きした。ん、なんだなんだ?指さしたのはインフィニティーのハンマー。銀色の線が背面に走っている。 Y田:「これね、折れてるの」
私 :「ええー!?インフィニティのハンマーは
Y田:「亀裂が入ってるのは背面だけで、ファイアリ
私 :「折れたら危ないぜ。使えるパーツがないか、
Y田:「いや大丈夫だって。往復したら何時間もかか そう言って、Y田はレンジへ行き、1発撃った。そして・・・ Y田:「あ、今ので完全に折れた。やっぱダメやな」 ハンマーは完全に折れていた。こうなると、もう1発も撃てない。 ダメもとで、事務所(というかサロン、かな)に走り、「予備ハンマーないですか!?」と相談。普通はそんなものあるわけないのだが、それがポロッと出てくるのがガンナッツの集団の普通じゃないところ。柴さんのご厚意で、ディスプレイGUNと化しているパラドからハンマー部分をお借りすることになった。 さっそく組んでみる。「ぽすっ」と微かにガスを吹くだけで、ちゃんと作動しない。どうやらボーマーサイトのブレードの下側がハンマーの上部と接触して、打撃力が十分ファイアリングピンに伝わらないようだ。ならば、解決策はただ1つ!リヤサイトをグリグリ上げて試してみると、見事にブローバックした。が、こんなにリヤサイトが高いと、狙ったところに当たらないではないか。おまけに、コマンダータイプのハンマーはインフィニティの純正よりかなり重いのか、異常な勢いでブローバックする。これ、壊れるんじゃないだろか。 また2人して大騒ぎしていたら、見かねたジル・ビル・27さんが、上部を削ったリングハンマーを提供してくれた。ふたたびバラして組んで・・・途中でセフティのプランジャースプリングを飛ばして、ぼくのカップガン(バックアップ用に持ってきていた)をバラして部品取ったりといった事件もあったが、無事に装着完了。 しかし!それでもまだ少し干渉する。適正位置より少しだけリヤサイトを上げないと正しく動いてくれないのだ。こうなったら・・・GUNBOY備品のドレメルモーターツール(笑)を引っ張り出して、サイトを削る!途中で加工中のブレードをゴミ箱に落とし、それを探して再び大騒ぎ!! これで何とか完全に動くようにはなった。それでもまだブローバックが強い。本戦で壊れなければいいけど・・・。よく考えたら、ぼくのカップガンから、スプリングだけじゃなくてハンマーも取れば良かったんだ・・・とは、試合後に帰宅して気付きました(Y田よスマン!)。 ドタバタしたけど、後は本戦で。皆さん、御協力ありがとう! |
![]() ポッキリ折れたハンマー。構造上の問題と、
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■■Y田のお約束的結末■■そして、当日。8時半に開場ということで、8時過ぎにY田亭に到着。ん?妙にやる気のない格好で出てきたな。それに、何やら妙に疲れた雰囲気。さては練習しすぎたな、ふふふ・・・。
Y田:「あのね、インフィニティ壊れた」
私 :「へ?やっぱりあのハンマーとの相性が悪かったのかな。また折れたの?」
Y田:「そうじゃなくて・・・ブローバックエンジンが、完全に破損しちゃったんだよ」 どうも、昼間の異常ブローバックで負担がかかったらしく、中身の樹脂部品がパッキリ・・・ということらしい。インフィニティ、活動停止。 ぼくがタクティカル用に持ってきたGUNを使うことも提案したのだが、「走り屋の世界でも、他人のクルマを借りて走るのはよくないって言うだろ」と言われ、妙に納得。残念ながら今回は出場見合わせということになった。それにしても、午前2時近くまでがんばって何とかしようとしたのにねぇ。
復帰への道は遠い!けど、くじけるなY田!!
あれだけGUNBOYを騒がせた君は、間違いなくあの日の主役だったぞ。 というか、あれだけ大騒ぎしたら、次のマッチに出場せんわけにはいかんやろ。* * * * * * * * * * こっちの裏プロローグは、別に本戦には関係ないんだけど、みんなの知らないところでこんなドラマがあったんだよー!ということで。ね、Y田に会いたくなってきたでしょ?第8戦ではきっと会えると思いますぜ♪ |