その9【カスケードガレージの真実】2002.5.25前回「その8」でクソミソにけなしたカスケードガレージ。取扱会社のありようには腹が立ったものの、製品そのものに対する評価は決して低くはありませんでした。前回報告したように、取扱会社にはあまり積極的に販売する意志がないように思われ、会社ホームページにもカスケードガレージに関する情報は一切ありません。これではあまりに可哀想・・・というより、本当の良さを知らないで評価してしまうのは私自身の損、ということで製造元にアタックしてみました。 カスケードガレージの製造元は「(株)日江金属」という北海道の会社です。道内〜東北が主な展開エリアらしく、中四国ではほとんど名前を聞くことはありません(2002年5月現在)。が、私は無理を承知で日江金属のホームページから資料を請求してみました。正直な気持ちとして「もともと北海道の会社だし、わざわざ中四国まで資料送ってくれたりせんやろなー。無視されたとしても利益を考えれば当然やし、怒ったらアカン。その時は縁がなかったと思ってスッパリあきらめよう」という感じでした。 ところが。送られてきたじゃありませんか。立派なカタログが。200ページにもなる上質なカタログは、パンフレットというよりも、ちょっとした本という感じです。うーむ、企業としては当然の対応かもしれんが、このレスポンスの速さ。侮れんぞ。 というわけでパラパラ・・・とカタログを見てみると。
「ど、どっしぇえぇぇ〜!何じゃこりゃ!!」ムチャクチャすごいやんか!これって、スチールガレージとしては群を抜くすごさかもしれない。特に、趣味のガレージを求めている人に。あるいは物置系のスチールガレージの味気なさや融通のなさに嫌気がさしているんだけど、お手軽さと財布の中身で「しゃあないなー」と妥協しようとしている人に。安易に決めちゃう前に、ちょっと検討してみない? では、カタログからのデータを引きながら、私自身がグッときたポイントを紹介しましょう。 @カスケード構造自体の優秀さ「カスケード」とは「小さな滝」という意味の言葉だそうで、ジャバラ状にリブをつけて「折り構造」にした金属板を指します。カスケード工法による外骨格構造は、板厚や材質自体に頼らず強度を出せる、優れた構造だと個人的には思います。最近板厚が0.6ミリ→0.8ミリになったり、表面の処理を改良したりと部材自体の改良も怠りなくやっているようですが。それを考慮したとしても、このカスケード構造が一番のセールスポイントであることに変わりはないでしょう。外壁を叩いたときの硬さ感が尋常ではないのです。ここでは「シェル感(丈夫な殻=シェルのような安心感・・・というような意味の私の造語)」という言葉を進呈します。 そうそう、構造上奥行きを延長するのが簡単で、60センチ刻み程度という比較的細かいピッチでサイズ調整できるのもうれしいポイントです。敷地をギリギリまで有効に使えますからね。
A豊富なバリエーションクルマの種類や大きさ、台数などに対応するバリエーションが豊富です。ここまでは当たり前かもしれません。が、カスケード工法のガレージばかりでなく、鉄骨構造(つまり、内骨格型ということね)のものもあるのです。サイズ違いだけでなく、構造違いのバリエーションを揃えているメーカーって、ちょっとないと思うのですが。 外観も、スチールばかりでなくサイディングのものがあったり、シャッターも巻き上げ式だけでなくスイングアップ式(電動式あり。欲しい!)のものがあったり。スイング式のシャッターではシャッター面のデザインが選べたり、木製のものまでチョイスできるといいます。
さて、この豊富なバリエーションですが、もしかすると「無限」に近い可能性もあります。詳しくは後ほど・・・。
B豊富なカラーリング
スチールガレージのカラーリングといえば、グレーやアイボリーを思い出しませんか?差し色で黒や緑が少ーし入る程度でしょう。ではカスケードは・・・?これは説明するより写真を見てください。シャッターと外板の色を組み合わせると、はたして何通りになるのでしょうか。部分的にカラーを指定することもできるようですが、オーナーのセンスを問われることにもなるでしょう(苦笑)。私の好みである「黒外板に真っ赤なシャッター(ケバい?)」は残念ながら特注でもしないと無理みたい。でも「緑外板に黄色シャッター」なんて英国旧車にはハマるのでは?
C充実のオプション一般的なスチールガレージによくあるようなオプションは、カスケードガレージにも用意されているようです。電動シャッターもOK!シャッターケースも何とかなるみたい。棚やラックも大丈夫。断熱材もあるらしいです。心配していた開口部の問題も、窓をつけたり部分的にカーボネートの透明パネルにしたりすることが可能です。あとは、強制排気システムでもあれば・・・これは個人的に用意しましょう。もちろんドアも付けられますよ。 それから、雪対策の補強ということで、カスケード工法ガレージの内側に鉄骨の骨組みを組むことができるそうです!「骨がないと心配」という方でも安心ですね。さすがは雪国対応、というオプションです。
D設計自由度の高さ、仕様変更に対する柔軟性
つまり。ガレージの庫内スペースそのものは普通自動車用でもワンボックス車をカバーできることも多いわけです。なのに実際には入れることができないのは開口部のサイズ・・・特に高さ方向が足りないからです。巻き上げ式のシャッターは、巻き上げたシャッターを収納するスペースを開口部の上部に必要とします。その分、開口高さが不足するわけです。「前面ボンゴ仕様」とは、その巻き上げスペースを上に逃がし、庫内スペースを完全に利用するための仕様だったということですね。 「ウチの敷地にガレージ建つのかいな?」と悩んだ時は、相談すれば何とかしてくれるかも。・・・してくれるといいな(笑)。クルマを買い換えた際の「建てた後の仕様変更」にも柔軟に対応してくれるようで、まさに恐るべし日江金属。
E細かなことですが安全性に対する配慮がきちんとされています。ボルトの頭にキャップを被せるとか。美観の問題でもありますが、意外にいい加減なメーカーも多かったりします。また、長期間使用後の部品の交換についてもカタログに明記してあるのも嬉しい点です。部品供給は製造中止後10年間ということですが、サイズ等の基本寸法が変わらなければ、ニューモデルの部材を流用して修理することは可能かもしれません(未確認)。
もちろん弱点もある当たり前のことですが、全方位においてパーフェクトな商品というのは存在しません。むしろ、「長所と短所は表裏一体」と考えるのが妥当だと思います。後は、長所を重視するか、短所にこだわるかという買い手の価値観の問題ということになるでしょう。
○明らかな弱点:躯体サイズの割に、庫内の有効寸法が小さいこれは、カスケード工法を使用する以上、避けては通れない問題です。薄板で構成されていますが、強度を出すために折り曲げているので、実際には「厚い壁」と同じくらいスペースを取られます。「軽くて高強度」というメリットとトレードオフの関係になっているわけです。敷地が狭いと無視できない弱点かもしれませんね。
○今後に期待:販売網の充実まさに、今後に期待です。もはや、スチールガレージを定価で買う人はいません。良い悪いの問題ではなく、無制限にお金を使える時代ではなくなったということです。ま、その当たり前のことにバブル期には気付かなかった人も多いのですが。ともかく、多くのスチールガレージが安く購入できるのは、ホームセンターやDIYショップで入手・施工依頼可能であることと無縁ではありません。いわゆる「薄利」で営業するには「多売」が絶対条件ですから。そういう点では、カスケードガレージはまだまだこれから、という感じです。家計を握るのが主婦ならば、主婦を納得させるだけの「買い得感」を演出しなければならないと思います。クルマに興味のない人でも納得させられる、わかりやすい買い得感ですよ。 あえて「直売」という形で中間マージンを削るという方法もありますが、どのみち素人がセルフビルドできるものでもないと思うので、難しいかも。少なくとも組立費込みで定価に収まる程度にならなければ私の居住地での普及は難しいと感じています。もちろん土間コンクリート(意外に高価)は別。
○このデータも欲しい:風圧に対する耐久力私の見たところでは、このデータはカタログに載っていませんでした。見落としかな?全国には、「なによりも台風が問題」という地域もあります。特に「シャッターは強風に弱い」というイメージを強く持っている人もいます。全国展開を目指すのであれば「日本全国どこで使っても十分な性能を発揮できる」という裏付けデータを示すことが必要だと思います。
というわけで、私自身が「こりゃスゲエ」と思ったことを紹介しました。前回とあまりにも調子が違うので、「こいつ日江金属から何かもらってるんじゃあるまいな」という疑いをもたれたかも(苦笑)。そういう方には「※君子は豹変す」と答えておきましょう。これだけ宣伝すれば何かくれてもいいとは思いますが、まだ(笑)何ももらってません。まあ、前回あれだけ辛辣に批評したので、今回のでチャラということで。商品がいいだけに、よけいに取扱会社に対して腹が立ったりもしているんですよ。でも、日江金属さん、どうしても私に何かあげたいというのであれば、無期限モニターということでガレージ一棟ください(くれないって)。 えー今回の締めくくりに一言。カスケードガレージの商品力が高い理由の1つ(かもしれないこと)です。それは、 「日江金属は本来的にガレージメーカーである」ということ。物置の延長として作られたものとは何かが違う、と言ったら言い過ぎでしょうか。でも、それが正直な感想なのです。私のガレージ、ホンマにどうなっちゃうんでしょうね・・・。
注:君子は豹変す→本当に立派な人物(笑)は、「アカン、オレ間違ってた!」と思ったらこだわりなくよりよい考えに改めるというようなことわざ。まさに私のためにあるようなお言葉。 |