■動物園の鳥坂木司 / 創元クライム・クラブ 読んでからかなり時間が経ってしまいました・・・(/TДT)/ 『ひきこもり探偵』第3弾にして完結編です。 前二作の感想はこちらから。 短編集→中編連作ときて、今回は一冊使った長編です。 これだけ読んでも面白いとは思いますが、やはり今まで出てきた登場人物が絶妙な配置で集まって来る醍醐味がありますので、前二作も読まれることをお薦めします。 今回は、鳥井がひきこもる原因となった過去と共に、鳥井だけではなく坂木も傷を負っていたのだということが明らかになります。 けれど、鳥井と坂木がこれまでの事件を通じて関係を築き上げてきた人々がその救いとなっている。 また、その人々も鳥井と坂木に救われたことで『自分自身を取り戻した幸福な今』を送っている。 そのつながりの象徴とも言える「一緒に食事をする」シーンはとても胸が温かくなりました。 美味しい食べ物描写にとても力が入っていると思うので、お食事シーンは毎回見所ですねv 事件自体は、犯人などすぐわかる作りになっていると思います。 だからこそ、そこから浮き彫りになってくる周囲の物語が際立っているとも言える。 特に、明子さんの描写なんか思い当たってズキリときた。やっぱり女性じゃないのかな!?坂木さん。 『コミュニケーション』の難しさ・大切さ。 日常に埋没して見て見ぬ振りをするようになった自分の弱さを、暴かれた気がして痛い。 ・・・けれど、最後には「卵から鳥へ」立ち上がる姿に明るい気持ちで読み終えました。 読んで良かった・・・素直にそう思える良い作品でした。 これからの作品も楽しみにしてます! 2005.xx.xx 記 |
▲このページのトップへ |
Home > Review > 小説 |