『あけましておめでとうございますっ』 
  
  
  
 風子が復活して2ヶ月あまり。 
 長いような短いような2学期も終わりに近づいていた。 
 期末テストも終わり、無事赤点を回避した俺たちは、冬休みの予定を話し合っていた。 
  
 そんな悪いタイミングで、目の前に金髪の目障りな男が近づいてきた。 
 …確かコイツは、赤点で冬休みに補習を受けないといけないはずだ。 
  
  
「あれ? 岡崎、風子ちゃんと一緒なんだ」 
  
 大方、憂さ晴らしか暇つぶしに声を掛けてきたのだろう。 
 少し鬱陶しかった。 
  
  
「見てくださいっ」 
  
 ばっ。 
  
 突然風子はそう言うと、繋いだ俺たちの手を見せつけるように挙げた。 
 手の、指と指を絡めるようにして繋いだ手を。 
そして…、 
  
「風子と岡崎さんは、恋人同士なんです」 
「……」 
  
 目の前の男が固まる。 
  
「恋人同士のする、手の繋ぎ方を実践してます」 
「…」 
「すごく、2人が近くにいる気がしますっ」 
  
「…あのぅ。風子ちゃんの言っている意味がわからないんだけど…」 
  
 どうやら困惑しているようだった。 
  
「ねぇ、岡崎? どういうことなのかな?」 
  
 状況をよく飲み込めていないようなので、俺は現実を突きつけてやることにした。 
  
 俺は、繋いだ手をそのままに、風子を正面から抱きしめた。 
  
 ぎゅっ。 
  
「わっ」 
  
 少し驚いた様子だったが、俺の腕の中に収まると、おとなしく抱かれていた。 
  
「こういうことだ。言ってなかったっけ?」 
「…よくわかりませんが、こういうことです」 
「悪いが、ラブラブってことだ」 
「ラブラブってことです」 
  
 男の顔色が変わった。 
 悪い方に。 
  
「う、嘘だよね? 嘘ですよね?」 
  
 現実を突きつけられたのに、未だにそれを信じられない男。 
 いい加減うっとうしくなってきたので、決定的なことを見せることにした。 
  
「風子」 
  
 そう呼ぶと、俺は抱きしめていた腕を緩め、風子の目線近くまで屈む。 
 そして、唇を重ねた。 
  
「んっ」 
  
 風子も、少し背伸びをして応えてくれた。 
  
  
「嘘だぁ〜っ!!? 風子ちゃ〜〜んっ!!」 
  
 そのうち、泣きながら走り去っていく音が聞こえた。 
 俺たちは、構わずキスを続けることにした。 
 ちょっとだけ、舌を入れてみる。 
 そうすると、合わせていた唇を少し開けて受け入れてくれた。 
  
 くちゅ。 
  
 お互いの唾液が混じりあう、少しいやらしい音が聞こえてきた。 
  
「んぅっ」 
  
 悩ましい風子の声。 
  
 風子の小さな舌。小さな歯。小さな唇。 
 それらを、大きな俺の舌と唇で蹂躙していった。 
  
 …。 
 2人の唇が離れた。 
 名残惜しそうに、2人の唾液が糸を引いていた。 
 見ると、風子の顔は少し赤らんでいた。 
  
「春原さん、行ってしまいました」 
「…だな」 
  
 少し、あの男には過激すぎるシーンを見せてしまったみたいだった。 
  
「嫌…だったか?」 
「何がですか?」 
「こういうキスは…」 
  
 ちょっと恥ずかしそうにしていた風子に、そう聞いてみた。 
 しかし…、 
  
「いえ…。恋人同士はこういうキスをするものだと聞いたことがありました。 
 だから、全然嫌じゃありませんでした」 
「そうか…」 
「はい。むしろ、ちょっと嬉しかったです」 
  
 なら、良かった、と思った。 
  
「あの…、またお願いします」 
「わかった。いつでもしてやる」 
「はい…。あの、あまり人前ではしてほしくないです…」 
「そう…だよな。ゴメンな」 
「いえ…。でも、2人きりのときにはお願いします」 
「ああ」 
  
 ヘンなお願いをされた。 
 ま、お願いなどされなくとも、しようとは思っていたけど。 
  
  
「じゃあ岡崎さん。クリスマスはよろしくお願いします」 
「ああ…。よろしく」 
  
 クリスマスは、2人で過ごすことに決めていた。 
 ツリーに飾り付けをして、クラッカーを鳴らして、チキンやケーキを食べて、 
自分たちは精一杯着飾って、ろうそくを灯して…。 
  
 もっと色々なことをしたかったのだが、いざ当日になってみると、 
同じような格好をして、同じモノを食べ、同じろうそくを眺めていただけだった。 
 抱き合ったまま、同じ時間を過ごしているだけで、ひどく満たされた気分になった。 
 その日はそのまま、同じ布団で寝た。 
 互いの温もりが一晩中感じられることの、嬉しさと安心感が感じられて、 
1人で寝るときの何倍も気持ちよく眠れたのだった。 
  
  
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 新年が明けた。 
 今年は、妹も目覚めて全快だったから、今までよりも忙しい1年になるだろう…。 
って、それを悩ましくも、嬉しく思う自分がいた。 
  
 しかし…何時まで経っても、妹の行動ルーチンは理解できなかった。 
  
「ふぅちゃん、どうしたの? そのヘンな格好…」 
  
 新年一発目から、妹は奇抜な格好をしていた。 
 頭に2つ、何かをつけていたし、普段着ないような格好をしていた。 
 …コスプレ? 
 今流行りの。 
  
「おねぇちゃん、わかりませんか? 
「うん…。微妙にどの路線を狙ったかがわかんないんだけど…」 
「風子、犬になりました」 
「はぁ」 
「戌年だから犬です。単純明快です」 
  
 妹によると、自分は犬になっているようだった。 
 言われてみれば、首輪をつけていたり、おしりに尻尾みたいなものをつけていたりした。 
  
 ただ、その格好のおかしさには百歩譲るとしても、冬にする格好では到底無かった。 
  
「…で、その格好のまま出かけるの?」 
「そのつもりですが…」 
「寒いよ?」 
「岡崎さんに暖めてもらうので平気です」 
「…」 
「…」 
  
 妹は、こんな、自分だったら恥ずかしくて言えないようなことも、 
サラっと言ってしまえるところがあった。 
  
「では行ってきます」 
「あ、ちょっとふぅちゃんっ」 
  
 がちゃ。 
 そのままの格好で、私の呼び止めにも聞く耳を持たずに出て行こうとした。 
  
 ひゅぅ〜っ。 
  
 …ぶるぶるっ。 
  
「すみません、おねぇちゃん。風子が悪かったです」 
「…わかれば良いんだよ、ふぅちゃん」 
  
 外の寒さを目の当たりにして、妹はようやく折れてくれた。 
 でも、 
  
「コートだけ着ていきます」 
  
 あの格好をやめよう、とか言うことは考えていなかった…。 
  
  
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 ピンポーン。 
  
 元日早々、訪問者が来た。 
 …思い当たるのは1人しかいなかったが。 
 俺は逸る気持ちを抑えられず、玄関へと急いだ。 
  
 がちゃ。 
  
 ドアを開けるとそこには…小さな訪問者がいた。 
  
「よぉ」 
「風子です。来ました」 
  
 開けた扉からは、肌を刺すような冷たい風が吹き込んできた。 
  
「早く入れ」 
  
 明らかに寒そうな屋外から来た小さな訪問者に、俺はそう促した。 
  
「では、お言葉に甘えまして」 
  
 そう言うと、俺が開け放った扉と俺の間をすり抜けるように入っていった。 
  
  
  
「…寒かったので、早く岡崎さんの部屋に案内してもらえませんか?」 
「ああ」 
  
 見ると、風子は随分と温そうなコートを着ていた。 
 それでもこの寒さだ。さぞかし寒かっただろう。 
 幸い俺の部屋は、薄着でも大丈夫なくらいに暖めてあったので、 
早めに案内してやることにした。 
  
  
「そこが俺の部屋だから、入って待ってろ」 
「はい。…岡崎さんは入らないんですか?」 
「何か暖かい飲み物でも持ってこようかと思っててな」 
「…わざわざすみません」 
「いいよ。寒い中来てくれたんだから当然だろ?」 
「…わかりました。待ってます」 
  
 俺は温めてあった部屋に風子を入れた後、1階の居間でミルクココアを淹れた。 
 市販のココアを、湯せんしていた牛乳で練ってといたやつだ。 
 そして自分の部屋へと戻った。 
  
  
  
「風子、お待たせ」 
  
 自室の扉を開けた俺だったが、そこにさっきまでいた少女の姿は無かった。 
 …代わりに、可愛らしい格好の少女の姿があった。 
  
「岡崎さん。あけましておめでとうございますっ」 
「おめでと…って、どうした?その格好」 
「はい。風子、犬になりました」 
「犬?」 
「はい。今年は戌年ですから」 
「そうか…」 
「はい」 
  
 改めてその格好を見た。 
  
 アタマには耳飾りをつけていた。 
 控え目な耳が何とも愛らしい。 
 手と足は毛皮風のもので覆われていた。 
 足はニーソックスくらいの長さだ。 
 …普段の風子は、黒いタイツを身に着けているため、 
風子の太ももが見えるのは少し新鮮だった。 
 その太ももは…白くてとても綺麗だった。 
  
「なぁ、風子」 
「何でしょう?」 
「ひざ枕、してもらって良いか?」 
  
 その太ももを見て、思わず、ストレートな欲望をぶつけてしまう俺。 
 しかし風子は…。 
  
「わっ。ダメですっ。 
 犬がひざ枕をするなんておかしすぎますっ」 
  
 おかしな理由を持って却下されてしまった! 
  
 改めて風子を見る。 
  
 身体の部分は…ほぼ下着状態で、きゃしゃな肩や鎖骨の部分、 
そしてへっこんだおなかとかが丸見えの状態だった。 
  
 こんな格好で外を歩けば、きっと良からぬ輩にさらわれてしまうに違いなかった。 
  
 極め付けが…首輪だ。マニアックすぎる。 
  
「な、風子」 
「はい」 
「…お前って、犬チックか?」 
「犬チック…ですか?」 
「そうだ。自分が犬っぽいな、って思ったこと無いか?」 
「…どうでしょうか……」 
  
「俺はどっちかというと、猫っぽいな、って思ってるんだけどな」 
  
 時々訳のわからない行動に出るものの、結局俺のことは慕っていてくれているみたいだった。 
そんな風子に、俺は正直メロメロだった! 
 しかもこんな格好をしているのである。 
 …普段は見えていない部分が丸見えの状態で。 
 我慢など出来るはずも無かった。 
  
「な、風子。こっちへ来いよ」 
「…はい」 
  
 手にもっていたココアを脇に置いて、風子を手招きした。 
 風子は、俺の差し出した手の中に埋まった。 
 俺はぎゅっ、と抱きしめてやる。 
  
「あったかいです」 
「そっか…。寒かっただろ? ゴメンな」 
  
 俺は、傍らに置いたココアを風子に渡した。 
  
「これ、風子にですか?」 
「ああ。これ飲んで暖まってくれ」 
「わかりました」 
  
 そう言うと、風子はココアに口をつけ、こくこくと飲み始めた。 
  
「んーっ。温かくて甘くて美味しいですっ」 
  
 その表情を見て、言葉を聞いて、俺も温かくなっていた。 
  
  
 その後、俺があぐらをかいて座り、その上に風子も座ろうとしていた。 
 その体勢が、俺たち2人にとってはベストな体勢だった。 
と言うのも、普通に隣に座っているだけだと、身長の違いから色々と不便が多いからだ。 
 風子が俺のヒザの上に座ってくれると、お互いの目線が、 
立っているときよりは近い高さになるから、色々と都合が良かったのだ。 
だから2人でいるときは、この体勢が多かった。 
 で、風子は俺のヒザの上に座った…が、 
  
「しっぽが邪魔でちゃんと座れません」 
「ああ…」 
  
 風子が座ろうとすると、おしりから伸びている長くて太いしっぽが邪魔して、 
上手く座れないでいた。 
 しばらくもぞもぞとしていたが、やがて意を決したように、 
  
「取ります」 
  
 と言うと、自分のおしりについているしっぽを取ってしまった。 
  
「…風子。お前犬じゃなかったのか?」 
  
 一応、こだわっていたところを訊いてみる。しかし、 
  
「風子が犬であることよりも、岡崎さんのヒザの上に座れないことのほうが、 
遥かに重要なことです。ですから、しっぽは不要です」 
  
 そう自信満々に答えられてしまった! 
 …ひざ枕のほうが、よほど現実的ではないか? 
 とは思いつつも、俺にとっても良いことだったので、黙って受け入れることにした。 
  
「では失礼します」 
「ああ」 
  
 改めて風子は、俺の太ももの上に座り、身体を預けてきた。 
 俺は、風子の座った方の、右腕で風子を抱きしめた。 
 小さなおしりの感触が自分の太ももに伝わる。 
 とても柔らかい。 
 何となく、空いた左手でアゴの下あたりを撫でてやる。 
  
「んーっ♪」 
  
 すると風子は、気持ちよさそうに俺に身を委ねた。 
 …。 
 ……。 
 …ゴロゴロ。 
  
 そんな音が鳴った気がした。 
  
「岡崎さん」 
「ん?」 
  
 間近にある風子の顔を見る。 
  
「今日は寒かったので、最初から岡崎さんに抱きしめてもらうために来ました」 
「そうか…」 
「はい」 
「なら、ご要望には応えないとな」 
「お願いします」 
  
 風子を抱いている右腕で、より強く抱いてやる。 
 空いた左手は、風子の右手の指と指を絡めて握ってやる。 
 春原の目の前でしていた繋ぎ方だ。 
  
「…岡崎さんの抱き方って、特別な感じがします」 
「どういう感じだ?」 
  
 俺自身は、何も特別な抱き方をしているわけじゃなかった。 
 単に、本能の赴くままに抱きしめているだけだ。 
だから、風子の言う「特別な感じ」と言うのは、俺にはわからなかった。 
  
「何と言うか…、いやらしい感じがします」 
「いやらしい?」 
「はい」 
  
 少し心外なことを言われたが、そう言われて思い返してみた。 
 風子を抱きしめるときは、互いの身体が出来るだけ密着するように抱きしめていた。 
 …別に、胸とかお尻だとかを触ったりとか、そういう露骨なことはしていなかったが。 
  
「おねぇちゃんたちと違って、優しいだけじゃない感じがします」 
「…」 
「何だか、少し頼りになる感じがします」 
  
 それが、いやらしいこととどう繋がるのかは全くわからなかった。 
 が、少なくとも、嫌がられているわけではないことはわかった。 
  
「風子…」 
  
 振り向いた風子と、視線を交錯させる。 
 そして、その唇に自分の唇を重ねた。 
  
「んっ…」 
  
 恋人同士になってから、何度も繰り返してきた行為。 
 最初の頃は、いちいち「キスするぞ」と前置きしなければ、手近なもので殴られていたものだが、 
今ではこうやって、いきなりキスしても抵抗することは無くなっていた。 
 むしろ、素直に受け止めてくれているようだった。 
  
 風子の唇は柔らかい。 
 唇を舐っているだけでも相当気持ちいい。 
 それに俺の唇も風子からのリクエストで、プルプルになるようにと、 
リップクリームを毎日欠かさずつけていたりする。 
 だから、風子も俺の唇を受け入れてくれているのだろう。 
 もし俺の唇がガサガサだったら、風子の柔らかい唇を味わうことに支障を来たすどころか、 
この柔らかな唇にキズをつけることにもなり兼ねなかった。 
 だから俺は、風子の提案を受け入れて、リップクリームを毎日欠かしていない。 
 これでお互いが気持ちいいんだから、安いものだろう。 
  
 学校でした時のように、舌を入れたり互いに舐めあったりする。 
  
 くちゅっ、ぴちゅっ…。 
 粘液質のいやらしい音を2人で奏でる。 
  
「んふ…」 
  
 時折漏れる風子の息が、生暖かくて…甘くて。 
 お互いの唾液を交換し合ったりして。 
 さらに俺はそれに気持ちが昂ぶって、激しく風子の唇や口内を求めた。 
 互いの舌と唇を、感覚として感じられた。 
  
  
「岡崎さん」 
  
 しばらくキスの余韻に浸っていたが、風子の呼ぶ声で引き戻された。 
  
「何だ? 風子」 
「岡崎さんから見て、風子は魅力的でしょうか?」 
  
 即答しようとして、俺は踏みとどまった。 
 風子の質問の真意がよくわからなかったからだ。 
  
「どういうことだ?」 
「…いえ。風子が子どもっぽいとか思っているのかと思いまして」 
  
 そう言われて改めて風子を見る。 
 確かに…、子どもっぽい。と言うか、俺と同い年ってのが信じられないくらいだ。 
 けれど、魅力の有り無しで言えば、話は全く違う。 
  
 上気した頬と潤んだ瞳がいやらしいし、着ている服が刺激的過ぎた。 
 風子に合った小ぶり過ぎる大きさの胸。露な鎖骨。可愛らしいおへそ。それらが丸見えで。 
 それに、魅力的で無かったらこんなに求めたりはしなかった。 
  
「めちゃくちゃ魅力的だからな!」 
  
 そう言うと、俺は抱いていた腕に、より強く力を込めて抱きしめた。 
 風子は、動くことなく俺にされるがままにしていた。 
  
「…では、風子を愛してくれますか?」 
「ああ。頼まれなくてもな」 
  
 風子を愛する…。 
 今の俺からすれば、もはや当たり前のことに過ぎなかった。 
 しかし、風子は俺の思いの範囲を超えたことを言っていた。 
  
「その…。いやらしいことも色々としてくれますか?」 
「???」 
  
 その言葉を聞いて、俺は一瞬たじろいだ。 
 何を言っているのかが、すぐにはわからなかったから。 
  
 …でも、その言葉が意味していることは、うすうす感じてはきていた。 
  
「ああいうキスよりも、もっとHなことをして欲しいって言うことだよな?!」 
「…はい。岡崎さんがえっちな気分になっていたら、風子は拒まないつもりです」 
  
 華奢で柔らかな腕を直に抱き、限りなく薄い布越しに肌と肌を密着させていた。 
  
「岡崎さんも興奮してくれてますか?」 
「…ああ。かなり、な。このまま押し倒したいくらいだ」 
「じゃあ…」 
  
 風子が次に何を言うのか? 
 俺は唾をごくり、と鳴らして待った。 
 …。 
 …。 
  
「風子は岡崎さんのものです。だから…」 
「だから?」 
  
  
「押し倒すなり何なり、好きにしちゃってくださいっ」 
「風子っ」 
  
…あとは、ご想像にお任せしたい。 
  
  
  
  
 事が終わって、俺は風子と裸のままベッドの中で抱きしめあっていた。 
 犬のコスプレの衣装越しにも感じられたことだが、風子の素肌の感触がより伝わっていた。 
 それはあまりに柔らかで温かくて。 
  
「気持ち良いな」 
「はい。岡崎さん、意外に肌がすべすべでビックリしました」 
「そうか?」 
  
 意外なことを言われたので、俺は思わず聞き返していた。 
  
「自信持って良いと思います」 
  
 …。 
 どんな自信を持って良いかはわからなかったが、風子が気持ち良いのなら俺は安心だった。 
  
  
  
「風子…」 
  
 そう言うと、俺は風子を強く抱きしめ、ある告白をした。 
 ずっと、心に決めていたことを。 
  
「毎晩さ。俺が卒業したらな、毎日こうやって一緒に寝ないか?」 
  
 毎日一緒にいたかった。 
 共に寝て共に起きて、休日は一日中同じ時間を過ごしたかった。 
 俺が卒業してからの2年は、風子は学校に行って、俺は仕事をする。 
 別々にいては、共有できる時間が減ってしまうのだ。 
  
「はい。風子もそうしたいです」 
  
 気持ちは通じ合っていた。嬉しかった。 
  
「これからもよろしくお願いします」 
「こちらこそな」 
  
 これからは、朝起きる瞬間から、夜寝る直前まで…。 
 いや、寝ている間もずっと一緒にいられるんだ。 
 そう思うと楽しみでならなかった。 
  
「風子は今まで、料理を作ったことはありませんが、これから修行して鍛えてきますっ」 
「楽しみにしておくな」 
「はいっ。期待していてくださいっ」 
  
  
 俺は、近いうちに食べられるであろう可愛い彼女の手料理に、頭の中で舌鼓を打ちつつ、 
腕に抱いた風子が、まだ頭に着けていた犬の耳飾りを撫でていた。 
  
  
<終わり> 
  
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 いかがでしたか? 
 って言うか、 
「思いっきり時節はずしでどうもすいません!!」 
  
 って感じですm(_ _)m 
  
 まあ、Keyからの年賀状絵の風子に激しく萌えてしまったせいで、衝動的に書き始めたものだったんですが…2ヶ月も掛かってしまいました(^-^; 
  
 こんなSSでも、感想などあれば、 
  
「Web拍手」 
  
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 などに書いてください。 
 なお、これの18禁バージョンも書き始めているので、ご所望の方がいれば、是非一言「さっさと書けやっ!!」って書いてくださいw 
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