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CLANNAD小説(SS)の部屋
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24    『岡崎家After本編〜第4話(家族旅行編・その2)』
2006.11.14 Tue. 
『岡崎家After本編〜第四話(家族旅行編・その2)』
 
 
 と言うわけで、家族4人で入れるという、家族風呂にやってきた。
 
「あ、そういえば、風子ちゃんは朋也とお風呂入るの、平気?」
 
 おそらく、杏も俺と風子が一緒にお風呂に入ったことが無いことを知っているはずだった。
もしかしたら、それを許さないかもしれない、と思ったのだが…、
 
「岡崎さんに許可をもらいました。だから平気です」
「なら…良いわね。ね? 朋也」
 
 そう、不敵な笑みを浮かべて俺に答えを迫る杏。
 
「あ、ああ…」
 
 俺に反論の余地は無かった。
 しかし、まだ躊躇いのある俺を尻目に、女性陣は堂々としていた。
 
 脱衣所は1つしか無かった。男女で区切られているわけでも無い。
 どうしようか迷っていると、
 
「じゃあさ。朋也が先に入ってよ。あたしたちは後から入るからさ」
「…わかった」
 
 皆に見られている恥ずかしさは多少あったが、俺は思い切って脱ぎ、
全裸になって風呂場へと走った。
 何故コソコソしなければならないのかはわからなかったが。
 
 
 風呂は、なるほど「家族風呂」と言うのがわかるような広さだった。
 4人くらいで一緒に浸かれる広さの湯船。洗い場も狭くない。
家の風呂場よりも5倍くらいの広さがあった。
 
「ひゃっほ〜〜〜いっ」
 
 ざっばーん
 
 俺は年甲斐も無くテンションが上がり、掛け湯もソコソコに、思わず走って湯船に飛び込んでいた。
 
「サイコーっっ」
 
 誰もいない広い風呂と言うのは、どうしてこう気持ち良いんだろうか?
 言葉どおり、最高だった。
 ほのかな硫黄臭さが、また気分を高めてくれた。
 
 しばらく、1人でこの広い温泉を満喫していた。
 そして、ぼーっとしていると…。
 
 がらがらっ。
 
 脱衣所の扉が開く音がした。
 
「パパ〜〜っ」
 
 小さな人影が1つ、俺のほうへ向かって勢いよく向かってきた。
 すっぽんぽんのその姿は…間違いなく我が娘だった。
 
「汐〜っ」
 
 2mくらいの距離から飛び込んできた娘を、湯船から立ち上がってキャッチしてやる。
 
 ぎゅっ。
 
「えへへ」
 
 俺に抱きしめられたとわかると、嬉しそうに笑っていた。
 
「あ〜っ。汐ちゃんに一番乗りされてしまいましたっ」
 
 そんな声が聞こえて来たかと思うと、小さなタオルで前を隠しながら、
風子が湯船へと向かってきた。
 
「あ、恥ずかしい? …まあ最初だしねえ」
 
 と、後ろから余裕とも風格があるとも取れる言葉を発したのは…杏だ。
 見ると、汐と同じく何処も隠してはいなかった。
 
「は…恥ずかしくはありませんっ。ただ、いきなり見せてしまっては価値が半減してしまいますっ」
 
 風子は訳のわからない釈明をしていたが、やはり俺に裸を見られるのが恥ずかしいようだった。
 まあ、当然かもしれなかった。
 俺も、何となく風子の裸を見るのが恥ずかしかったからだ。
 
「ど、どうぞ…」
 
 そう言うと、意を決したように、隠していたタオルを取り去った。
 そして、晒された風子の裸を見た。
 
 う〜ん。
 見事な幼児体型だった!
 
 ただ、よく見ると胸はそれなりにあるし、女性らしい丸みもあった。
 そして、日焼けしたところと、しなかったところのコントラストも綺麗だった。
 
「あの…、どうでしょうか?」
「いや、キレイだぞっ」
 
 そう言ってやると、風子は不安そうな顔つきから一変して、
 
「本当ですか? 良かったですっ」
 
 と言って笑っていた。
 
 
 その後、4人でゆったりと湯船に浸かった。
 
 最初は汐が俺のヒザの上に座っていたが、杏も風子も、順番に座っていった。
 
「あっは〜っ。やっぱココはサイコーよねえ」
「やっぱりココは特別ですっ。ハダカだといつもより気持ちいい感じですっ」
 
 そう言って、2人も満足したようだった。
 俺も気持ち良かったが、興奮を抑えるには苦労した…。
 
 4人で洗いっこもして、家族風呂を十二分に堪能した。
 
 そして民宿に戻り、海の幸も満喫することが出来た。
 
 
 
 次の日。
 俺たちはある場所へ向かっていた。
 そこは…俺にとっても、汐にとってもまだ、記憶に新しい場所だった。
 
「何処行くの?」
「どこへ向かっているんでしょうか?」
 
 場所がわからない二人は、目指す場所について訊いてきた。
 
「汐はわかるよな?」
「うんっ」
 
 そう言うと、俺の手をぐいぐいと引いて前を歩き出した。
 俺たちも、釣られるようにして先を急いだ。
 
 
 
「…ここ」
「ああ…。覚えてるんだな」
「うん」
 
 汐が立ち止まった場所。
 そこは…お花畑だった。
 背の高いひまわりが、太陽に向かって咲き誇っている。
 1年前と同じ光景だ。
 
「なくしちゃった…」
「…ああ。あれか? もう良いんだぞ」
「…うん。でも、あれはたからものだったから…」
 
 娘にとっては、俺から貰った大事なものを無くした場所だった。
 それは今も変わっていないらしかった。
 
「でも、いっぱいたのしかった」
「そうだな…」
 
 あの日から俺たちは家族になった。
 そして、2人きりだった家族は、今や4人でずいぶんと賑やかになったんだ。
 
「これからも楽しいからなっ」
「うんっ」
 
「はぁはぁ…、待ってくださいっ。おふたり速すぎますっ」
「どうしたの? いきなりっ。…って、あ」
「うわっ。すごいですっ」
 
 追いついた2人は、一面のひまわりに魅入っていた。
 
 
 
「あ、汐ちゃん。鬼ごっこしましょう」
「うんっ」
 
 突然、小さいの2人は畑に駆け出していった。
 
「あっ。汐ちゃん、風子ちゃんっ」
 
 驚く杏を置いて、2人は畑でじゃれあっていた。
 
「元気ね…」
「そうだな」
 
 残された俺たちは、そんな2人をぼぅっと眺めていた。
 
「若さが羨ましい?」
「そうでも無いけどな」
 
 何度も言うようだが、風子は俺たちとタメだ。
 気は随分と若いかもしれなかったけど。
 
「じゃあ、参加する?」
「いや、遠慮しとくわ」
「あら…そう」
 
 杏はちょっと残念そうな表情で諦めた。
 一緒にはしゃぎたかったのだろうか?
 でも、俺には目的があった。
 
「人を待ってるんだ」
「えっ? 誰を?」
「俺たちの…大切な人だよ」
「あっ、そうなんだ」
 
 そう。
 俺は人を待っていた。
 俺や汐にとって大切な人を。
 
 杏はそれ以上聞こうとはしなかった。
 あるいは、気付いたのかもしれなかったが。
 
 近くにあった木陰に腰を下ろして、追いかけっこを眺めた。
 地面に置いた手を、どちらからともなく重ね合わせていた。
 
 
 
 
「おや? 朋也? 朋也かい?」
 
 しばらくして、第三者の声が聴こえた。
 少し前までは聞きたくも無かった声がした。
 今では懐かし過ぎるくらいに懐かしい声が。
 
「父さん」
 
 振り返ると、そこには、記憶の中の姿よりも更に小さくなった、父親の姿があった。
 
「元気だったかい?」
「ああ…。見ればわかるだろ」
「はは…」
 
 俺は、ついぶっきらぼうに返してしまった。
 でも俺の目に映った父親は、とてもやさしい目をしていた。
 
「おじぃーちゃんっ」
「おお、汐…。大きくなったねぇ」
「うんっ。えへへ…」
 
 駆け寄った娘に、優しく語りかける父親。
 その姿は、もうおじいちゃんそのものだった。
 
「この人…って、もしかして?」
「ああ」
「おや? そちらの方は…」
 
 杏も父親も、お互いの存在に気付いたようだ。
 手紙では知らせていたが、実際に会わせるのは初めてだったから、
きちんと紹介しておくことにした。
 
「俺の親父だ。
 で、こいつは俺の嫁さんだよ」
 
「そうか…。良い人じゃないか」
「当たり前だ」
 
 杏のことを、良い人と言われて悪い気はしなかった。
 
「杏です。朋也さんに貰ってもらって、すごく幸せなんです。ありがとうございます」
「そうですか。それは良かった」
 
 2人は微笑みあっていた。
 あまり会う機会は無いと思うが、今日会わせることが出来て良かったと思った。
 
「よく来てくれましたね、朋也さん」
「お祖母さん…」
 
 そこには、史乃さんも来てくれていた。
 
「新しい家族ですか?」
「ええ…。俺の、守るべき人たちです」
 
 俺は、杏や汐、風子を見て言った。
 
「なら…頑張れますね」
「はいっ」
 
 今は…1人じゃない。
 
 守るべきものは増えた。
 けれど、逆にみんなが俺を支えてくれる。
 どんな困難だって、打ち破れると思う。
 
「もう…大丈夫です」
 
 俺は、そう言った。
 史乃さんや父親に言ったわけじゃない。
 自分自身がそう思うから言ったんだ。
 
「あっ。風子って言います。よろしくお願いしますっ」
 
 挨拶が遅れた風子が、慌てた感じで自己紹介していた。
 
「風子ちゃんって言うのか。よろしく」
「よろしくね、風子ちゃん」
「はいっ」
 
 そう言うと、風子もやや緊張した面持ちだったが、次第に笑顔に変わっていった。
 
「じゃあ、ウチに案内するよ」
 
 
 
 俺たちは一晩、父親と祖母の家で過ごした。
 昔の事、そして俺たちが家族になってからのこと、色々語り明かした。
 
 
 
 そして、また俺たちが住む町へと戻った。
 
 
「いい旅行だったわね」
「そうだな。行って良かったな」
「色々と楽しかったです」
「おじいちゃんたちにまたあえてうれしかった」
 
 そう、思い思いに、初めての家族旅行を振り返った。
 今回の旅行で、俺たち家族の結束は、さらに強まったように思った。
 
「明日からまた仕事だなー」
「そうねー。まあいっぱい充電したから、頑張れるわねー」
 
 4人で目指す我が家。
 そこで再び始まる日常に、俺は気持ちを新たにしていた。
 
 
<第4話終わり→第5話に続く>
 
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 いかがでしたか?
 お待たせした割には、内容が薄くて申し訳ない限りです(謝)
 これでようやく、長かった(?)旅行編が終わり、また日常へと戻っていくわけですが、まだまだ続く予定ですので、末永く見に来てやってください。
 
 感想などあれば、
 
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