今日、春原は熱を出して学校を休んでいた。 
馬鹿は風邪を引かないらしいが、夏風邪なら仕方ない。 
風邪を伝染(うつ)されるとやっかいだし、 
隣にうなされている春原がいるというのも鬱陶しい。 
加えて、外は雨だった。 
だから今日は外へ出ず、もう何度も繰り返して読んだ漫画を面白くも無いのに読んでいた。 
  
トントン。 
ノックの音が聞こえる。 
「なんだよっ」 
体を起こしながら声を荒げて返事する。 
この家には、俺以外にはあの人しかいない。 
だから、こんな返事で十分だ。 
「朋也くん、お金足りてるかい?」 
軽く開けたドアの隙間から、親父は言った。 
そう言えば、今日は月に一度のあの日だった。 
覚えていればどんな理由があろうと外出していたのに、とんだ失態だった。 
親父の手元を見ると、案の定、札束が握られていた。 
うんざりしながらも、早歩きで親父の目の前に立つ。 
「俺がこれだけの金をとったら、どうやってこの家、維持するんだよ。何度も同じこと言わせるな!」 
怒鳴りながら、2、3万円だけ引っつかむ。 
親父と一緒に飯を食うのだけはご免だ。 
だから食費だけは貰わないといけない。 
それも苛立ちの原因の一つだった。 
  
  
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<作者・永空さんからのコメント> 
  
朋也がどうやって直幸さんから小遣い(&食費)を貰っているのか気になったのが、このSSを書いた動機です。 
  
このSSで感じた朋也の言動の矛盾は、私の認識の誤りではなく、 
朋也の考え方が矛盾していてそれに朋也が気付いていない、 
あるいは気付いていない振りをしているという風に考えてもらえれば幸いです。 
まぁ、朋也はそんな矛盾した考え方していないとか言われれば、それまでなんですけどね。 
  
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りきおです。 
永空さんから頂きました。 
かなり短いですが、朋也がどうやって生活費を手に入れていたのかが上手く表現できていると思いますw 
もう少し長いとなお良いと思いますけどね。 
  
感想などありましたら「掲示板」へお寄せください。 
永空さんも熱望しておられますので。 
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